今回で僕のコラムは最後になりますが、あえて最近ハマっている “やられて覚える” 系のFPS「Ready or Not」の話をさせてください。

いわゆる「死にゲー」です。今の時期に死にゲーと言うと「エルデンリング」を連想される方が多いでしょう。僕もエルデの王を目指す褪せ人の1人ではありますが、仕事でバタバタしていてなかなかプレイできていません。一度始めたら時間を忘れてプレイし続けてしまいますし。

そこで、様々なミッションにチャレンジする形式でサクッとプレイできる「Ready or Not」を嗜むようになりました。「Ready or Not」も死にゲーで、己の無能さを実感しつつも心が鍛えられている感じがして徐々にのめり込んでいってしまいます。

何も説明してくれないReady or Not

「Ready or Not」はリアルさを追求したSWATシミュレーターで、プレイヤーはSWAT隊員となり武装した容疑者たちが占拠する建物に突入して制圧したりしなくてはなりません。

「リアル」とマイルドに表現しましたが、要は1~2発弾が当たるとゲームオーバーになる激ムズFPSです。しかも丁寧なチュートリアルがあるわけでもなく、ほぼ何もわからない状態で現場に放り込まれます。SWAT隊員らしく訓練を積もうとしても、基地には突入や射撃の仕方をおさらいできる訓練場くらいしかありません。

訓練所に設置された的

一通り操作方法を確認して「Ready or Not(準備できているか否か)で言えばReadyだわ」と軽い気持ちでミッションに臨みましたが、甘かった。シングルモードだとBotの部下4人を従えての出撃となるので「隊長の自分が先陣を切ろう」とズカズカ進んでいった結果、3回ほどドアを開けた際に謎の死を遂げました。

リザルト画面では何が原因で死んだのかも教えてもらえず、事件は迷宮入り寸前です。ここで攻略情報を検索することも考えましたが、せっかくだから自分の死因を自分で探ろうと同じミッションに何度かチャレンジしてみました。

案の定20回ほどやられましたが「ドアをむやみに開けると死ぬ」「クリアリングせずに角を曲がると死ぬ」「ボーッと突っ立ってると死ぬ」など、そこかしこに死のリスクが潜んでいることがわかってきました。モードにもよりますが、ドアには即死トラップが仕掛けられていることもあります。ブービートラップの存在にようやく気づいたとき、「最初の謎の死はこれだったのか」と妙にスッキリしました。

こういうスッキリ感のせいで、難しくてものめり込んでいってしまうんですよね。

失敗しても何かを得る!

撃たれると画面が真っ赤に。僕はよく見る画面です

やられればやられるほど、ゲーマーの端くれたるもの攻略情報に頼らず自分の力でなんとかクリアしたくなるものです。何度も死ぬうちに「何をすべきだったか」を体で覚えることになりますし。

ドアの先を覗けるガジェットを装備するようになったり、マップの構造を覚えてクリアリングの効率を高めたり、部下の配置を調整して奇襲されにくくしたり。

ゲーム内のレベルのように可視化できるわけではありませんが、自分のプレイスキルが向上していく感覚というのでしょうか。失敗→改善→失敗→改善を繰り返すうちに、このサイクルに快感を覚えるようにもなりました。とにかく「失敗しても何かを得る」ことを意識すると、モチベーションも持続します(偉そうなことを言っていますが、この時点でミッションを1つもクリアしていません)。

「Ready or Not」にボコボコにされ続けると、プレイスキルではなくメンタル面でも成長を感じ始めます。

ドアを確認してくれる部下

失敗を繰り返すうちに隊長としての自覚(?)が芽生え始め、部下に背中を任せたり、ドアチェックやクリアリングもお願いするようになりました(最初からそうしろって話ではありますが)。そして「絶対に全員生還させる」という使命感すら覚えるようになります。

こうして少しずつ学んでいった結果、ようやくミッションを1つクリアできました。全員生還は達成できませんでしたが……。

ゆっくりなスピード感が逆にいい

部下に容疑者を拘束してもらう様子

もちろん「難しい」だけでハマったわけではありません。ここまで続けられているのは、「Ready or Notのスピード感」が自分に合っているからだと思います。

「Ready or Not」の動きはゆっくりというかモッサリしていますし、慎重にクリアリングしないといけないので、どうしてもゆっくり移動せざるを得ません。そのせいか、順調に進めても1ミッションをクリアするのに1時間弱かかりました(上級者は10~20分くらいで済むそうです)。

「Apex」や「コール オブ デューティー(CoD)」シリーズのようなスライディングもありません。でも、速い動きについていけない僕にとっては「Ready or Not」くらいのスピードがちょうどいいように感じられます。

動きがゆっくりだからこそ「撃たれたら隠れる」わけにはいかず、開けた場所で急に撃たれると一瞬でゲームオーバーになります。単に隣の部屋に移動するだけでも集中力が求められるのです。緊張感が続くため、ゆっくりな動きながら手持ち無沙汰になることはほとんどありません。

心が鍛えられてる気がする

索敵も移動も緊張感が続くためか、1~2時間ほどプレイしていると精神的にが疲れ切ってしまいます。集中力の短さに年齢を感じつつも、サッとプレイを止められるので生活リズムを保つ意味では助かっています。しかも筋トレと同じで、毎日疲れ切るまでプレイしていると、心がどんどん強くなっていく気がします。

以前、ある人から「完全な失敗は『諦め』だけ」と教わりました。最近は仕事で色々あって忘れがちでしたが、「Ready or Not」はその教えを「体で思い出せ」と言わんばかりに僕をボコボコにしてくれました。諦めずにプレイすれば、激ムズなゲームも乗り越えられるはず。よく言われることですが、身を持って再認識できたことで人生のモチベーションも高まった気がします。

まだボコボコにされている途中の僕が大げさなことを言ってしまいすみませんが、ぜひ皆さんもプレイしてみてください!

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GAMEクロスの更新停止が決まり、僕の連載も今回が最後となります。今までGAMEクロスの記事を読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。

僕はゲームこそ好きですが、ゲームが上手いわけではありません。だからこそeスポーツの世界でプレイスキルを磨き続けるプレイヤーの皆さんが輝いて見え、eスポーツメディアの編集者として追い続けているんだと思います。

立場こそ変わりますが、今後も皆さんにeスポーツの魅力を届けられるように精進したいと思います。それではまた!