「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)の国内リーグ「League of Legends Japan League」(LJL)の新シーズン「LJL 2022 Spring Split(Spring Split)」が2月11日に開幕し、盛り上がりを見せています。9年間のDFM(@teamDFM)での選手生活にピリオドを打ち、コーチへ転身したCerosさん@trollceros)と、「リーグ・オブ・レジェンド:ワイルドリフト」で競う「Wild Rift」部門のbagel選手@bagel_lol)が対談。DFMを愛してやまないbagel選手が、Cerosさんのルーキー時代や選手生活を通して培った経験について、様々なトークを繰り広げました。

【DNGは2月6日、CerosさんがSpring Splitで選手登録をしないことを発表。Cerosさんはコーチとしてチームに携わりながらYouTubeで動画投稿をメインに活動しています】

前を見てがむしゃらに頑張ったルーキー時代

スマホの画面を見つめるbagel選手

bagel選手(以下、bagel) 対談の場をいただいて実感しましたが、Cerosさんはインタビュー時の受け答えやメディアの質疑応答を含めてスマートに対応されていますよね。逆にルーキー時代を振り返って緊張した瞬間があれば聞いてみたいです。

Cerosさん(以下、Ceros) どうだろう……。それこそ、競技シーンに入りたてのルーキー時代は基本的に緊張しっぱなしでしたよ。インタビュー時も何なら試合よりも緊張していたかも。人前に出てマイクを握ることも無かったし、その辺りがたぶん今と一番違うんじゃないでしょうか。

bagel たくさんの場数を踏んで、慣れてきたんですね。僕も2021年度から初めてフルタイムのプロゲーマー生活を経験したのですが、シーズンを通してうまく行かないことや、気持ちの浮き沈みもありました。Cerosさんはルーキー時代にどのような苦労を体験しましたか?

Ceros bagelさんと同じく色んな苦労を一通り経験しましたね。やっぱりLoLは5対5で戦うゲームだからこそ、個人のパフォーマンスだけでなく、チーム全体のパフォーマンスも発揮しないと勝てない。だから自分の実力を磨くだけじゃ駄目で、試合時のコミュニケーションの取り方も考え抜く必要があります。

その辺りをどう両立させるかが難しくて、チームの話し合いが嫌になることもありました。今はもう慣れましたが、当時はよりどころになるノウハウなんて何も無かった。その分、前を見据えてがむしゃらに取り組んでいました。

武器を持たずに戦場に立った国際試合

約9年にわたり、チームを支えてきたCerosさん

bagel では、Cerosさんがご自身のキャリアを振り返るにあたって特に大変だった出来事を聞いてみたいです。

Ceros 大変だったのは最初の国際戦だったと思います。LJLだと国内戦だからライバルのことを研究し尽くして戦えますが、当時の国際戦は相手の情報が不足していたし、未知の相手に対する戦い方を全く分かっていなかったんです。そもそも自分たちよりもレベルが高い相手だと、なおさら混乱してしまう。相当量の経験を積んだ今のDFMなら大丈夫ですが、あの頃の国際線は”武器を持たずに戦場に立たされている”感じでしたね。

bagel Cerosさんの言う通り、事前情報が分からない相手と戦う難しさは桁違いですよね。そういった状況は競技シーンを生き抜く上で何度も訪れると思いますが、現役時代に「プロゲーマーを辞めたい」と思った瞬間はありましたか?

Ceros 辞めるか続けるか自体をあんまり考えていませんでした。もちろんオフシーズン時に将来について悩むことも少しありましたけど、シーズン中の出来事が原因で「辞めたいなぁ」と感じたことは無かった。

僕にとってプロゲーマーは「マラソンをずっと走っている感覚」に近いかもしれません。立ち止まることは選択肢に無いし、立ち止まったとしても大変なのは変わりない。色んな意味で自分はゲームが一番だし、これまでは辞めるという発想がありませんでしたね。

bagel そうして選手自体を走り切ることができたんですね。キャリアを続けるメンタルを今後も見習いたいです。

特殊ピックは自分にしか出来ない最大の強み

bagel 僕はDFMの皆さんを応援して4年ほどになりますが、Cerosさんはチャンピオンプール(使用キャラクターの幅)がとても特殊だと感じました。実際に国際戦で特殊なチャンピオンを選択するにあたって、コーチやアナリストから何か指導はあったのでしょうか。

Ceros 指導と言うか、試合前にたくさん話し合いましたね。僕が使うチャンピオンってあまり競技シーンで使われないので、「なぜ試合で使いたいのか?」という理由をコーチ陣にしっかり伝えていました。

使われていないということは競技シーンにおけるデータも少ないし、チャンピオン同士のマッチアップ知識も僕しか持っていない。ゆえに責任重大と言いますか、特殊ピックに際した説明の義務は僕にあると思うので、試合前はメンバーにきっちり説明しました。大きな反対をされることも無く、基本的にみんな受け入れてくれた方だと思います。

bagel 国内外を問わず、勝敗が全てと言っても過言ではない競技シーンで特殊ピックを実行するのは相当なプレッシャーだと思います。その上で特殊ピックに関する説明責任をしっかり引き受ける。それを実行するのみならず、チームメイトへの説明責任をしっかりと果たすCerosさん、改めて格好良いと思いました!

毎日が新鮮だったゲーミングハウスの生活

キーボードを扱うCerosさん

bagel 同じDNG所属ながらも、僕が体験していなくてCerosさんが体験しているものと言えばゲーミングハウスでの生活がありますよね。想像上の話になりますが、共同生活をするにあたって最初は苦労などありましたか?

Ceros DFMはそんなに苦労はしていないですね。まあ自分の部屋は多少散らかったりしていますけど、共有スペースはみんなきれいに使っていますし、そこはチーム全体のルールとして徹底してきました。もう長年住んでいるので、色んなことに慣れましたね。

bagel ではゲーミングハウスに入居した当初の目新しい部分はどうでしたか?

Ceros それで言えば、仲の良いチームメンバーと一緒に住むのは新鮮でした。でも何も不安は感じなかったです。

bagel やっぱり環境が変わっても常に前向きだったんですね。僕は逆にゲーミングハウスと聞くと期待もありますが、「共同生活って大丈夫なのかな?」という不安やメンバー同士の関係性で大変そうな印象を受けました。

Ceros おっしゃる通り、多少は喧嘩に発展することもありましたね。でも他のメンバーが仲裁してくれたり、中立のポジションで客観的に言い分を聞いてくれたりする人もいたから、気まずさが残ることは無かったです。喧嘩の理由もLoLに関することが多かったし、喧嘩してもすぐに解決できるから、何だかんだ楽しく過ごしてきたと思います。

動画投稿に対する意識が変わった

誰も知らないカルマの使い方 【Ceros解説カルマ編】

bagel CerosさんはYoutube動画で引退を発表した後、本格的にご自身のYoutubeチャンネルで動画投稿を始められましたよね。今までも配信などされていたと思いますが、LoLプレイヤーに向けてレクチャー動画を作ろうと思ったきっかけなどはありましたか?

Ceros 昔と比べて動画に対する認識が変わったのかもしれませんね。僕は面倒くさがりな方で、動画を作るのもおっくうに感じていたんです。でも今は「そこまで難しいことでも無いのかな」と思い、それでチャンネル運営に至っています。

bagel チャンピオン解説動画、いつも拝見しています。実は僕もワイリフで動画投稿や配信を頑張っていて(ベーグルチャンネル)、動画のネタに困ることが多々あるんです。動画投稿を始める前後でCerosさんも苦労したことはありますか

Ceros 強いて挙げるなら、自分が思った通りの動画を撮影できるとは限らない点ですかね。例えばチャンピオンの強みや弱みを説明したいと思っても、試合展開が悪い(大敗や大勝)と解説の余地が無いし、チャンピオンの特性を紹介することができない。自分が思った通りの試合ができるまで撮影し続けないといけないし、大変に感じることもあります。結局は地道にやっていくしかないんですけどね(笑)。

bagel 「このチャンピオンはここが強い!」と思っても、十分に強みを見せることができず試合が終わったりしますよね。すごく共感できました。

メンタルとパフォーマンスを切り離して試合に臨むべし

コーチとしてLJLに臨むCerosさん

bagel 長年キャリアを積んでこられたCerosさんにアドバイスをいただきたいです。僕は2022年でプロゲーマー2年目を迎えるのですが、先ほどの通りメンタル面でやや不安定な部分もあります。メンタル面を整えるには何をどのように意識すれば良いのでしょうか。

Ceros 自分なりに調べて役立ったのが「瞑想」かな。普段の練習に取り入れるだけで効果を実感できるし、メンタルの浮き沈みをコントロールするためにもオススメです。

bagel ありがとうございます。プレイングに集中するにはメンタルを整える必要がありますよね。

Ceros あとは何にせよ、不運に見舞われた際に考えすぎないようにしています。性格にもよりますけど、僕の場合は考え過ぎる前にやることをやるタイプです。どんな場面であっても気分をフラットに保つのが一番かなと思います。

bagel 「メンタルに迷わされずに今やるべきことを粛々とこなす」ということですね。参考になります!

DFMの「大ファン」というbagel選手

――最後に改めて対談の感想をお伺いしてもよろしいでしょうか?

bagel Cerosさん、本当に大好きです。これからも頑張ってくださいね。応援させていただきます!

Ceros ありがとうございます!そう言われると逆に照れくさいですね(笑)。若いプレイヤーから質問されるのは新鮮でした。「こういうことを聞きたいんだ」とか「こんなこと考えているんだ」とか、自分の若い頃を思い出しながら色々とお話できたので楽しかったです。