取り組んだのは、福岡市にある福岡工業大学附属城東高校の2年生です。「ぷよぷよプログラミング」とは英数字の列であるソースコードを正確に写していくことで「ぷよ」が実際に動くことを体験できる教材です。基礎、初級、中級、上級と入力量に応じてレベルが分かれており、気軽にHTMLやJavaScriptでプログラミングを学べることが特徴です。

10月下旬、日頃からプログラミングを学ぶ同校の生徒たち約80人がぴぽにあ選手の指導を受けました。まずは「ぷよ」を「動かす」「回す」などの簡単な課題からスタート。さらに「落下速度を変える」「背景の色を変える」といった簡単なソースコードの「改編」にもチャレンジしました。

オンラインでセガ本社と結んでプレゼン

生徒たちの発表を聞くぴぽにあ選手(左)と細山田プロデューサー(右)

そのうえで、授業の内容を生かし、電子情報科で「スペシャリストコース」として学ぶ生徒たちが数人ずつの計13班の「開発チーム」に分かれて、オリジナルの改編に取り組みました。約2カ月の間に5回ほどの授業を行い、生徒たちでも自主的に集まって、プレゼンに向けた資料作りにも取り組みました。

その成果を発表する授業が12月21日、同校と東京・大崎のセガ本社をオンラインで結んで行われました。本社側では、ぴぽにあ選手や細山田水紀・ぷよぷよ総合プロデューサーが発表を見守りました。

青森の「ぷよりんご」に対抗、福岡は「いちご」

「いちごぷよ」をテーマに、落下速度などの変更にも取り組んだ生徒たちの発表資料

「いちごぷよ」を発表した班は、青森県観光企画課の取り組みで、SNSを中心に話題となった「ぷよりんご」に刺激を受けて企画しました。「ぷよりんご」は、青森特産のりんごの写真が「ぷよ」として落ちてくる内容です。生徒たちは福岡特産の「あまおう」などを使ったほか、落下速度などのアレンジにも取り組んでいました。発表した生徒は、「有名になった『ぷよりんご』に対抗し、福岡と言えばいちごなので、福岡をPRしたいと思いました」。同様に特産物を生かす発想では、博多ラーメンをもとに「ラーメンぷよ」に取り組んだ班もありました。

「だれでもぷよぷよ」として、見やすさなどをテーマにした生徒たちの発表資料

「ぷよぷよ」は色覚多様性に対応して、色や形を調整できるアップデートを実施しています。同様の発想で、「だれでもぷよ」として、形や色をアレンジした班や、「こどもぷよ」として、子どもに親しみやすい動物の絵柄を使った改編を行った班がありました。このほか、落下速度がだんだん加速していくなど、ゲームの内容を変えたアイデアもありました。

四字熟語が落ちてくる

落下速度がだんだん加速していく改編に取り組んだ生徒たちの発表資料

田中颯磨君は「四字熟語ぷよぷよ」として、「ぷよ」を漢字に置き換える大胆な企画に取り組みました。「四字熟語がそろったら消えるようにするなど難しいところも多くありました。初めは完成するのか心配になったけれど、発表前にはしっかりと完成させることができた」と達成感を得た様子。将来の夢はゲームプログラマーで、「ものを作るときは、一人ではなく何人もの人と協力して作らなければいけない。今回の経験を生かして将来の夢を実現できるようにがんばりたい」との思いを抱きました。

クイズ形式の「ぷよ検」の企画にチャレンジした栗山太陽君は、細山田さんらの評価を聞いて「実際に働いている人の目線から考えたら、まだまだ足りなかったようで、やはり経験の差がとても感じられました」と難しさを改めて知った様子。一連の授業を通じて「実際にゲームに触れてプログラムを改造するという大人になってから必要になる創造力や計画の重要性、チームで協力する力を実感できて、自分のためになりました」との感想を持ちました。

また、鬼塚友紀恵さんは当初、HTMLやJavaScriptは「初めて使う言語で何も分からない状態だった」ところから、今回の授業に取り組みました。それでも、「先生や友人の力を借りながらも完成させ、今では一人で機能を作ることができるようにもなりました。でも、まだやれることは無限にあるのでもっと技術を磨いていきたい」と今後も学習を進めていく意欲を見せていました。

チーム作業の難しさ 将来の目標とも向き合う

「DOKIDOKIぷよぷよ」と題し、ゲームの仕組みを変更した生徒たちの発表資料

同校のスペシャリストコースでは、学んだ専門的な内容を生かし、大学進学や企業への就職を進路として想定し、国家資格の取得や各種コンテストへの参加、キャンパスが隣接する福岡工業大学と連携した授業、一般企業のものづくりイベントといった様々な学びの機会があります。それぞれ努力をして、成果を残す生徒も多いそうです。

ただ、今回の指導にあたった電子情報科の髙濱勇樹教諭は「今回の改編はチームで活動しなければなりませんでした。部活動や資格試験の補習などで、スケジュール管理がうまくいかないケースが見受けられました」と明かします。「よりよい結果をもたらすには、自分だけではなく、周囲と話し合ってイメージを共有し、協力して進めていく必要があります。今回はその難しさや大切さを知る機会になったと思います」と語り、チーム作業という課題も今回の取り組みのポイントになっていました。

改編する作業については、「生徒たちがチームでアイデアを出し合って、自分たちでイラストを描き、発表資料を作成し、プロが使う本物のプログラムの改編に取り組み、さらにプロにプレゼンするという『一つの商品を作り、売り込んでいく』ような、実践に近い形で進めることができました」と振り返ります。そのうえで、「ゲーム業界や職種への理解が深まり、自分がどのように働きたいのか、自身の将来と向き合うことができ、目標を定めるきっかけになったように思います」とキャリア教育としての成果も感じていました。

プログラミング本来の難しさとやりがい

生徒たちの発表を聞くぴぽにあ選手(右)と細山田プロデューサー(左)

ぴぽにあ選手は「改編を通じて、『難しいけれども、考えた結果としてうまくいく』、という経過をたどったことで、プログラミングの本来の難しさとやりがいを感じられたのではないかと思います」とコメント。細山田さんは「システムを根本的に変えようとしたチームや、熱量の高いチームがあったことが良かったです」と生徒たちの姿勢を評価しました。

文部科学省の学習指導要領では、2020年度から小学校でプログラミング教育が必修化されました。中学校は2021年度からプログラミングに関する学習内容がより充実し、技術・家庭科の技術分野「情報に関する技術」で扱われています。高校では、2022年度から新たな科目として「情報Ⅰ」と「情報Ⅱ」が全面実施されます。「情報Ⅰ」は必修科目で、プログラミングにも触れます。

(GAMEクロス編集長・金子元希)

「ぷよぷよプログラミング」の出張授業の様子

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