オンラインで開催されてきたSFL: PRO JP 2021はスト V CEで活躍するプロプレイヤーたちがチームを組み、優勝賞金500万円をかけて戦うリーグ制大会です。ふだん大会ではライバル同士である選手たちがチームを組んで共闘する姿が見られることから好評を博しているストリートファイターリーグ。今年のSFL: PRO JP 2021は総チーム数が昨年の6チームから8チームに増え、チームオーナー制度も導入されたことから、メジャースポーツのリーグ戦のようなかつてないほどの盛り上がりを見せています。

各チームが総当たりで戦うリーグ本節はすでに全試合が終了し、本節の最終順位で見事1位となったチーム「Good 8 Squad」は、1月29日に東京・恵比寿で観客を入れて開催予定のグランドファイナルへの進出が確定しています。また、本節の最終順位2位~5位のチームで1月8日にプレイオフが行われ、勝ち上がった2チームもグランドファイナルへ進出することができます。

【リーグ本節の結果】
1位 Good 8 Squad(グランドファイナル進出確定)
2位 v6プラス FAV Rohto Z!(プレイオフ進出)
3位 Mildom Beast(プレイオフ進出)
4位 忍ism Gaming(プレイオフ進出)
5位 魚群(プレイオフ進出)
6位 名古屋OJA BODY STAR
7位 Saishunkan Sol 熊本
8位 コミュファDetonatioN

若い力で圧倒的強さを見せた「Good 8 Squad」

「Good 8 Squad」のガチくん選手(左から)、カワノ選手、ぷげら選手、キチパ選手

今年のSFL: PRO JP 2021については、出場チームが発表されたばかりのころ、ファンの間では「v6プラス FAV Rohto Z!」が優勝するのではないか、という見方もありました。「v6プラス FAV Rohto Z!」は「 Intel World Open 2021 Street Fighter Regional Finals Japan & South Korea スト V CE 部門」優勝のときど選手、「EVO 2019」優勝のボンちゃん選手に加え、前期開催された「ストリートファイターリーグ : Pro JP 2020 グランドファイナル」優勝のチーム功労者sako選手を擁することから、他のチームでは中々太刀打ちできないだろう、という予想がされていたのです。

しかし蓋を開けてみると、2位の「v6プラス FAV Rohto Z!」に9ポイントもの勝ち点差をつけて、「Good 8 Squad」が1位に君臨する結果となりました。彼らの戦績はずば抜けており、「Good 8 Squad」が負け越したのは第12節の対「Mildom Beast」の1試合のみで、他の全試合で引き分け以上の結果を残し、今大会で最も安定した活躍を見せたチームとなりました。

若手3人が躍動、高い勝率のカワノ

「Good 8 Squad」はCAPCOM公式世界大会「CAPCOM CUP 2018」優勝経験者のガチくん選手率いるチームで、他のカワノ選手、ぷげら選手、キチパ選手に関しては、まだ国際シーンではあまり活躍の機会に恵まれない選手たちですが、並みいるベテランプレイヤーたちに気おされることは全くなく、むしろ若い力で次々と勝利を掴みとっていました。

3人の若手の中でも特に目を見張る活躍をしたのがカワノ選手です。カワノ選手は23歳という若さでありながら国内強豪が集う「第3期 TOPANGAチャンピオンシップ」を優勝するなどの成績を残す、いま最も勢いのあるプレイヤーです。今年のSFL:PRO JP 2021では先鋒として選出されることが多く、どの試合でも安定して勝ち星をあげ、最終的な勝率は約73パーセント(8/11勝)と非常に高水準でした。

カワノ選手の試合の中でも特に印象的だったのは第9節、「忍ism Gaming」の藤村選手との一戦です。本リーグの藤村選手はキャミィという欠点の少ないキャラクターを使いこなして安定した成績を残しており、第9節の時点ではいまだ無敗でした。容易に倒せる相手ではありませんが、カワノ選手はこの試合を2-0のストレート勝ちに収めます。

藤村選手は踏み込みガードや中足払いなどを巧みに使って近距離戦を有利に進め、序盤は藤村選手優勢かとも見えました。しかしカワノ選手は徐々に藤村選手の技振りのタイミングを掴み、立ち弱キックや中パンチなどの置き技を駆使してこれに対抗します。ひとたびVトリガーが溜まると、カワノ選手はその性能を最大限に活用し、フロントステップでまとわりつくような攻めを展開、序盤に失ったリードを一気に巻き返します。

藤村選手対カワノ選手 V トリガー I I では 「フロントステップ」が地面を滑るダッシュ動 作に変化する

そして圧巻だったのは、カワノ選手の読みの強さです。お互いの体力が残りわずかとなった終盤戦において、カワノ選手が前ダッシュ投げを決めている場面や、またカワノ選手が藤村選手のキャノンスパイクをガードしている場面が見られ、緊迫した瞬間の心理戦をしっかりと勝っているのが印象的でした。たとえ体力差で追い詰めたとしても、この読みの強さがあると相手としては油断できず、そういった面もカワノ選手の安定した成績を支えている要因といえるでしょう。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」第9節 Day1
藤村選手対カワノ選手 レバーレスコントローラーの特性を生かした前ダッシュはカワノ選手の強み

リスク承知で果敢に攻めるキチパ

また、出番こそ少なかったものの、キチパ選手の活躍にも要注目です。キチパ選手は若手のプレイヤーで、使用キャラクターはザンギエフ。ザンギエフは近距離で大ダメージを出すことができる代わりに動きが遅いという特徴を持つキャラクターで、キチパ選手はその性能を最大限まで生かした、リスクを顧みない大味な攻めが魅力です。

特に印象的だったのは第14節での試合。「コミュファ DetonatioN」の竹内ジョン選手と若手対決を繰り広げ、ギリギリまで競った激戦の末にキチパ選手が見事勝利を収めました。

試合が始まるとキチパ選手はいきなり「ツンドラストーム」を決め、強気の姿勢を見せます。「ツンドラストーム」は対応した足技にカウンター攻撃を決める当身技で、竹内ジョン選手が操るコーディーの多彩な足技に対する牽制として非常に有効。開幕からこの一撃を見せたことによって、竹内ジョン選手は立ち回りで思うように技が振れません。

しかし、その後竹内ジョン選手も徐々にペースを取り戻し、試合は最終戦までもつれ込みます。竹内ジョン選手は終盤に差し返しからクリティカルアーツを決め、大幅な体力リードを獲得、キチパ選手は後がない状況に追い込まれます。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」第14節 Day2

Vトリガーも使い切り、接近の手段に乏しいザンギエフにはかなり難しい戦況になりますが、キチパ選手は最後まで諦めません。一発の被弾も許されない状況の中、決死の前ダッシュを通し、クリティカルアーツで攻撃。これが見事にヒットし、華麗な逆転勝ちとなりました。

キチパ選手対竹内ジョン選手 ザンギエフのクリティカルアーツがヒットし大ダメージ

多彩なメンバーの活躍で本節を1位で終えた「Good 8 Squad」は、グランドファイナルの進出が確定しています。グランドファイナル観戦の際は、カワノ選手をはじめ「Good 8 Squad」の若手選手の活躍に注目してみてください。

ウメハラ、ふ~どの「Mildom Beast」の巻き返しは

「Mildom Beast」のウメハラ選手(左から)、ふ~ど選手、YHC-餅選手、もると選手

プレイオフへの進出を決めたチームで要注目なのは、本節を3位で終えた「Mildom Beast」です。こちらは言わずと知れたトッププレイヤーであるウメハラ選手、ふ~ど選手に加え、ドラフトで選考されたYHC-餅選手、もると選手で構成するチームです。

ウメハラ選手、ふ~ど選手のベテラン両名はその円熟した実力を遺憾なく発揮し、本リーグでも安定した成績を残しています。特にポイズンを使って戦うふ~ど選手は、勝率約77%(10/13勝)という驚異的な数字をたたき出し、チームを牽引しています。

YHC-餅、もるとが繰り出す職人技

しかし「Mildom Beast」はこの両名だけではありません。ヨーガの奇跡で腕や脚を自在に伸ばして戦うキャラクターとして知られるダルシムを使いこなし、「仙人」の通り名で親しまれるYHC-餅選手、そして自称サイキョーの漢、ダンを極限まで研究して戦うもると選手、この2人の職人的プレイヤーの活躍も必見です。

YHC‐餅選手は「ヨガテレポート」を巧みに使って画面を左へ右へと動くプレイスタイルが特徴。長い手足で遠距離戦をチクチクと戦いながら、画面端が近くなると「ヨガテレポート」を使って位置を入れ替えることで、相手に近寄らせません。また、逃げると見せかけて「ヨガテレポート」で接近する攻めを展開することもあり、対戦相手はひとときも気が抜けません。

「ストリートファイターリーグ: Pro-JP 2021」第8節 Day

第8節では「忍ism Gaming」のリーダーももち選手と相まみえたYHC-餅選手。第1試合ではももち選手が使用するあきらに接近されて思うように立ち回れませんでしたが、続く第2、第3試合では多彩な空中技を駆使してももち選手を攪乱し、また防御面でも小技暴れやVシフトを上手く使って凌ぎ、2-1で見事勝利を収めました。ダルシムというキャラクターをここまでの水準で使いこなすプレイヤーは他にいないため、ももち選手を以てしても対策が難しいということでしょう。

YHC-餅選手対ももち選手 「ヨガフロート」で浮遊するダルシム

もると選手もYHC-餅選手に負けない職人技の持ち主。彼が扱うダンというキャラクターはシリーズ通してネタ要素の強いキャラクターですが、もると選手はそれを大会でも通用するレベルまで研究し仕上げてきています。何と言っても特徴的なのが、「サイキョー流漢吼え」を使った攻めで、通常技の後隙をキャンセルすることで次の通常技を素早く繰り出すことができるテクニックを使い、接近戦で相手を決して逃しません。

また、もると選手の特筆すべきなのはキャラクターの他にも、プレイヤー性能の強さにもあります。相手の垂直ジャンプや前ダッシュには必ず反撃を入れる優れた反応速度や、画面端の攻防で投げの読み合いを確実に制する心理戦の強さなどは圧巻です。もると選手は、その卓越したプレイヤー性能でダンのクセの強いキャラクター特性を遺憾無く発揮しているプレイヤーといってもいいでしょう。

NISHIKIN選手対もると選手 コンボを決めるダン

v6プラス FAV Rohto Z!、忍ism Gaming、魚群にも注目

プレイオフにはそんな「Mildom Beast」の他にも、本節2位の「v6プラス FAV Rohto Z! 」、4位の「忍ism Gaming」そして5位の「魚群」が進出を決めています。どのチームも個性的なプレイヤーがそろっていて、普段大会であまり見かけないような選手でも、本リーグで素晴らしい活躍を見せている選手が多数います。プレイオフ観戦の際は、ぜひ各チームの面々をチェックし、推しのチームを見つけてみてください。

◆プレイオフ 1月8日午後1時~
※プレイオフのweb先行視聴チケット購入はこちら
◆グランドファイナル 1月29日午後1時~
※グランドファイナルのweb先行視聴チケット購入はこちら(会場観戦チケットは完売)