タクティカルFPS「VALORANT」の世界大会「VALORANT Champions Tour(VCT)–Champions」が日本時間12月1日から13日にかけて開催されました。Championsでは最新マップ「フラクチャー」も新たに追加され、トッププレイヤーによる様々な戦術が披露されました。

フラクチャーはEpisode3 Act 2で追加されたマップで、これまでにない「H型」のレイアウトが特徴。一見するとディフェンダー側はどちらのサイトにも寄りやすい一方、アタッカー側はサイトを挟むのに適しており、コミュニティでは「攻めマップ(アタッカー側が有利なマップ)」との声がよく見られます。

今回の記事では、VCT Championsで披露されたフラクチャーのテクニックや戦術などを紹介します。

「フラクチャー」ミニマップ

アビリティをふんだんに使用したBタワー制圧

最初に紹介するのはDay 3、Vision Strikers(VS)対Fnatic(FNC)のラウンド5における、Bタワーの制圧方法です。フラクチャーのBサイトにおけるBタワーは非常に重要なポジションで、Bタワーを制圧できているかどうかで大きく戦局が変化します。

FnaticのBサイト攻め

FNCが見せた戦術は、まずヴァイパーの「トキシックスクリーン」をアタック側スポーンからBサイトに向けて使用。BタワーからBブリッジやBアーケードへの射線を切り、そのまま真っすぐにBサイトへと進行するセットアップでした。

サイファーとレイズがBサイトへエントリーした後、スパイクを持っているブリーチのDoma選手はアフターショックをBアーケードからBタワーに向けて使用。BタワーではVSのk1Ng選手がBサイトを守っていました。

k1Ng選手はBメインから進行してきたFNCのMistic選手をキル。これによってBタワーに敵がいると分かったFNCは、Derke選手のレイズがペイント弾をBサイトからBタワーに向けて使用。退かなければペイント弾、退けばアフターショックと八方塞がりな状況を作り上げました。

Bタワーを制圧するのに覚えておきたいアビリティの組み合わせですね。

中央のジップラインを使用した大胆な裏取り

続いて紹介するのはDay 9、X10 CRIT(X10C)対Gambit Esports(GMB)のラウンド17における、foxz選手のジップラインを使用した大胆な裏取りです。

アタッカー側のX10CはBベンチに2人、Bツリーに3人で進行。KAY/Oの「ヌル/コマンド」とキルジョイの「ロックダウン」をBトンネルで使用し、早めのプッシュを仕掛けます。GMBはBベンチ側で2キルし人数有利となるものの、ヌル/コマンドとロックダウンから逃れるために、BサイトからBベンチ側に退かざるを得ない状況となりました。

空いたBサイトにスパイクをプラントしたX10Cは、さらにアストラの「コズミックディバイド」で、Bアーケードを分断。その後、BトンネルにいたKAY/Oのfoxz選手は大胆にアタック側スポーンを経由し、中央のジップラインを使用してGMBの裏を取りに行きました。

中央のジップラインで大胆な裏取りをするX10 CRITのfoxz選手

GMBの選手は全員でBベンチからコズミックディバイドの効果が切れるのを待っており、効果が切れたタイミングでブリーチの「ローリングサンダー」を使用しリテイク。しかし、このとき裏を警戒するプレイヤーもいませんでした。

結果的にX10Cはラウンド17を勝利で収め、foxz選手の大胆なプレイが功を奏することに。GMBの選手からすれば、さっきまでBトンネルにいたKAY/Oがいつの間にか背後にいる……という恐ろしい展開でした。

ディフェンダー側のエリアを狭めるラーク

最後に紹介するのはDay12のFinals、Acend(ACE)対GMBのマップ3における、nAts選手のラークです。ラークとはアタッカー側で本隊とは別に単独行動し、相手の裏取りを抑えたり、本隊が攻めているサイトとは別のサイトの情報を得る役割を指します。

GMBのnAts選手は秀でたラーカー(ラークをするプレイヤー)として知られており、このマッチにおいてnAts選手は得意のサイファーをピックし、KDA 10.0・コンバットスコア394を叩き出しました。ACEの動きを幾度となく抑えたマッチMVPです。

nAts選手のラークはこのマッチでACEを大きく苦しめたプレイ。ディフェンス側はディフェンス側スポーンを経由することでサイト間をスムーズに移動できるマップですが、アクションがあったサイトとは逆のサイトに残ったACEの選手が、nAts選手のラークを警戒してうかつに移動できないシーンが何度も見られました。

ラウンド9のエリアコントロール(赤:アタッカー、青:ディフェンダー、黄:中立)

また、nAts選手のラークはエリアコントロールにおいても大きく貢献しています。特に注目したいのがラウンド9。このラウンドで本隊はAサイト挟み、nAts選手はBベンチおよびBツリーにトラップワイヤーを設置し、Bメインで本隊の裏取りを阻止する動きをとっていました。

フラクチャーのマップ中央に設置されたジップラインは上手く利用することでローリスクで相手の裏をとることができるのですが、nAts選手のトラップワイヤーは相手にジップラインを使用させない設置方法。結果としてアタッカー側のGMBは警戒するエリアが減り、本隊のAサイトへのエントリーを大きく手助けしていました。

終わりに

VCT Championsの時点では最新マップとなるフラクチャー。これまでにないレイアウトのマップということもあり、世界トップレベルの選手たちによる熱い駆け引きが楽しめました。まだ研究余地のあるマップなので、来年のVCTではどのようなテクニックや戦術が披露されるのでしょうか。期待が膨らみます。