プログラミング授業に続くeスポーツ大会の企画

対戦に臨む生徒たち

ぐんま国際アカデミーは小学校・中学校・高校の12年間を一貫教育で行っている私立校です。「英語イマージョン教育」として、全体の約7割の授業を英語で展開しているほか、IT教育にも力を入れています。同校で中学1年生からChromebookを一人1台を持ち、初等部でもiPadやChromebookをクラス単位で使います。

eスポーツ大会に先立ち、11月19日には中1の生徒たち約80人が、「ぷよぷよ」をベースにした教材「ぷよぷよプログラミング」を使った授業を受けました。システムエンジニア経験のあるぴぽにあ選手を講師に迎え、ソースコードを入力して「ぷよぷよ」を作り上げることを体験しました。

体育館に響く「ぷよぷよバトル、スタート!」

ぴぽにあ選手(左)とともに実況席に座る生徒たち

この日は、11月の授業を受けた生徒を中心に、中1から高1までの希望者約30人が参加。教員も加わって、「ぷよぷよeスポーツ」の団体戦に臨みました。

学校には「ぷよぷよ」を展開するセガのスタッフや、プロプレイヤーのぴぽにあ選手と飛車ちゅう選手が出向きました。大会運営にあたっては、できるだけ学校にある備品を活用することを前提に企画。セガはeスポーツ大会「らしさ」を演出するため、ゲーミングPCやゲーミングデスク、ゲーミングチェア、配布用のバルーンスティックを用意しました。

飛車ちゅう選手(中央)のアドバイスを受けながら対戦する生徒たち

大会は、まずブロックに分かれて個人が総当たり戦を行い、上位2チームが決勝に進出するシステムです。先生が相手となると、普段は教わる立場の生徒たちの目も真剣に。勝敗は普段からゲームに慣れている生徒側に軍配が上がりました。

決勝では、解説を務めるプロ選手の横に生徒の有志が座り、実況のMCを担当しました。生徒たちは公式大会でもおなじみの「ぷよぷよバトル、スタート!」のかけ声などで、会場を盛り上げます。このほか、「ぷよ」の「着ぐるみ」役を務めた生徒もいて、運営側で活躍する機会にもなりました。

初めて見て、体験したeスポーツ

体育館で対戦する生徒たち

参加した中学2年の篠崎心晴さんは、「ぷよぷよ」をプレイしたことはありましたが、「eスポーツ」に触れるのは初めての経験でした。「実際に他の人と対戦して、その人の能力や技術(の差)があって楽しいと思いました」。また、スクリーンに映し出して「観戦」をしたことについても、「自分ができない技を見ているだけで、『こんなこともできるんだ』と色々学べてよかったです。(他のスポーツと比べて)ゲームはゲームなりに盛り上がるので、楽しかったです」と話しました。

プログラミングの授業を受けたうえで参加した中学1年の阿部怜君はMCの一人を務めました。実際のeスポーツの大会配信を踏まえると、「『ぷよぷよ』という一つのゲームで、何千人、何万人を、一試合あるいは30秒という一瞬の展開だけで盛り上げられる」と、eスポーツが持つ「熱狂」の魅力を知った様子。そのうえで、この日の実体験を踏まえ、「eスポーツはプロ選手だけではなくて、周りや支える人間も大事な仕事だと気づけました。将来、一度はそうした外側にも触れてみたいと思いました」と裏で支える存在の大きさに感銘を受けた様子で、キャリア教育としての側面も持った企画となりました。

プログラミングってすごい

プロ選手と記念撮影する優勝チーム

同様に授業を受けて臨んだ中学1年の江口和樹君は優勝チームの一員となりました。最後は自身の勝利で優勝が決まり、プロから表彰を受けました。

江口君は、プログラミングでソースコードを入力した授業を振り返り、「こんなすごいゲームを作っていたんだ、という感覚が沸いて、『プログラミングってすごいんだな』って思いました」と改めて感じ入った様子。さらに、11月の授業では「回転する」「落下速度を変える」などの基本的な操作に関するソースコードに触れていたことから、「今回は(おじゃまぷよが)『出現する』ことが新しく頭に入った知識。なんとなくその仕組みわかり、前回やっていて良かったなって思います」と、一連の取り組みを通じて、自身の勉強になったことを実感していました。

ぐんま国際アカデミー「ぷよぷよプログラミング公式ワークショップ」&「ぷよぷよeスポーツ大会」映像

論理的な思考が教育への親和性

対戦する生徒たち

参加したプロ選手は、運営や解説を担いました。ぴぽにあ選手は、10月に開かれたプロ大会「チャンピオンシップ SEASON4 STAGE1」で優勝しており、現役トッププロといえる存在です。飛車ちゅう選手は「『ぷよぷよeスポーツ』高校eスポーツ部応援プロジェクト」に参加し、オンラインで高校生に連鎖のコツをレクチャーしています。二人は、エキシビションマッチとして生徒や教員と対戦したほか、選手同士の「真剣勝負」も披露しました。

飛車ちゅう選手は「論理性の高さが『ぷよぷよ』にはあると思います。プログラミングも論理で組み合わせるので相性が良く、『ぷよぷよプログラミング』をもっと幅広く(教育現場で)展開できるとよいと感じました」。学校を会場にeスポーツ大会を開催したことについては、「学校で開くこと自体が珍しく、私としても初めてで新鮮。子どもの頃にあったらと、うらやましく思いました」と話しました。

プログラミングの授業に続いて参加したぴぽにあ選手は「『ぷよぷよ』というゲームを通して、それをコミュニケーションの核として色々な生徒たちが一つにまとまっていたことがすごく良いなと思いました」と感想を話しました。一連の取り組みを振り返り、「プログラミングで、実はこういうものが作れる、と生徒に実感してもらえるのがよいです。『ぷよぷよ』はシンプルなルール。ゲームが生徒の興味を引き、そのゲームを作るということで勉強に入っていくことができます」と「ぷよぷよプログラミング」が教育現場に適していると改めて実感していました。

脳が活性化する授業を ゲームが教育に活用できる可能性

対戦を見守る飛車ちゅう選手(左から)とぴぽにあ選手

ぐんま国際アカデミー中高等部の金子弘幸校長は同校が取り組む教育の特色として「アクティブラーニング」を挙げます。そして、その前提として「脳が活性化しているかどうか」がポイントになり、普段から体験的な学習などに積極的に取り組んでいる生徒たちだからこそ、効果があると説明します。

また、今回のようにゲームを教育の素材として採り入れることについては、「ゲームにも色々あるが、生徒の脳を活性化させるという観点であれば、意味があります。もともとゲームは生徒にとっては魅力あるもの。だからこれだけ今浸透しているのです」と指摘。「ゲーミフィケーション」として、ゲーム感覚を授業に導入することは賛成であるとして、「それだけゲームが生徒をひきつけるものならば、敵対視するのではなく、そこに何があるのだろう、とむしろ考えていった方がよい。だから、教える側としても逆に採り入れると良いのです」と語りました。

試行錯誤のできる「ぷよぷよ」教材

盛り上がる生徒たち

今回の取り組みを担当した情報・技術科の吉田慎吾教諭は、「生徒たちが自分自身でプログラミングで作ったものが現場で動き、eスポーツの大会に生かされました。『プログラミングを勉強しなさい』と与える授業ではなく、プログラミングを生かすにはどんな方法が必要か、どんなスキルがあるか、というゴールを生徒たちが直接体験できたことが大きかったと感じました」と評価します。

さらに、今後「ぷよぷよプログラミング」を活用する方法として、ぷよぷよが色覚多様性に対応していることや、落下速度を変えて、高齢者に配慮するゲームに改編できることに注目。「ゲーム自体の考え方はわかりやく、子供たちがプログラミング学習の導入として取り組みやすいです。さらに、工夫して色々手を加えることができます。どのように改編しようかと想像していこうと考えるところが取り組みやすく、様々な試行錯誤ができる教材だと思いました」と語りました。

参加した全員で記念撮影

プログラミングは教育現場で注目が高まっています。文部科学省の学習指導要領では、2020年度から小学校でプログラミングが必修化されました。中学校でも、その内容を発展させる内容が技術・家庭科の技術分野「情報に関する技術」で扱われています。高校でも、2022年度から情報科での学習が予定され、来年度の高校1年生が3年生になって臨む2025年度入試では、大学入学共通テストの教科の一つに「情報」が追加される方針が示されています。

そうした中、「ぷよぷよ」を展開するセガは「ぷよぷよプログラミング」を学習教材として開発し、2020年6月にリリースました。英数字の列であるソースコードを正確に入力していくことで、「ぷよ」が実際に動き、「ぷよぷよ」が完成する過程を体験できる教材です。基礎、初級、中級、上級と入力量に応じてレベルが分かれており、気軽にHTMLやJavaScriptでプログラミングを学べることが特徴です。親しみやすい「ゲーム」を使って学びに生かす試みとして、教育現場での活用が始まっています。

(GAMEクロス編集長・金子元希)

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