指導者不足がeスポーツ部の課題

高校生にオンラインで教えるくまちょむ選手

最近、全国の高校では公認のeスポーツ部の設立が相次いでいます。一方、セガによると、各地で慢性的に指導者が足りないという現状があり、「なかなか技術が上達しない」という悩みを抱えている生徒が多いそうです。

そこで、セガはこのプロジェクトを企画。日本eスポーツ連合(JeSU)公認プロ選手のオンラインコーチングを受けられる「ぷよぷよブートキャンプ」に参加したい高校を5月から募集を始めました。教えるプロは、今年6月の「ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON4 STAGE1」で優勝したlive選手のほか、飛車ちゅう選手、くまちょむ選手、kuroro選手の4人です。

コーチングを担当する飛車ちゅう選手(左から)、live選手、くまちょむ選手、kuroro選手

都道府県代表として国体文化プログラムに出場を

学校側の費用は無料です。プロジェクトに参加した学校には、「ぷよぷよeスポーツ」のSteam版(PC版)アカウントを三つまで無償提供。「プレイする環境がない」という悩みに答え、パソコンがあればプレイできるようにしました。学習教材「ぷよぷよプログラミング」や特製ユニホームも提供します。

今年のブートキャンプは3期に分けており、7~9月の第1期には全国から26校132人の生徒が参加。10~12月にかけて実施中の第2期は19校79人の生徒が参加しています。2021年1~3月の第3期は12月から募集を始める予定です。eスポーツ部や同好会などでeスポーツに取り組んでいる学校が対象になります。

オンラインで高校生に指導をするkuroro選手

プロジェクトでめざすのは、「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」に代表選手として出場し、ゆくゆくは優勝できる実力をつけることです。2019年の茨城国体で国体文化プログラムとしてスタートした選手権は、2020年、2021年は国体中止によりオンライン開催でしたが、全国規模のeスポーツ大会として注目を集めています。

また、高校を卒業するまでにJeSUのプロライセンスを獲得することも目標に掲げています。ライセンス獲得には、セガの公式大会で実績を積む必要がありますが、高校在学中にプロになることも決して夢ではありません。現在、プロとして活躍するともくん選手もその一人で、今年3月までは「現役高校生プロ」として活躍していました。

現役プロがカリキュラムを制作

高校生への指導方法を話し合うプロ選手たち

オンラインコーチングは主に放課後、東京・セガ本社と各学校をDiscordでつないで実施。カリキュラムの制作の段階からプロ選手が関わり、その技術と経験が生かされています。

講義では、コントローラーの使い方から連鎖の仕組み、基礎的な「階段積み」や実践で使われる「GTR」の組み方などを、習熟度別に3コースに分けて学びます。コーチングでは、生徒と選手が1対1での個別レッスン。それぞれの習熟度に応じ、積み方や対戦の指導が行われます。

また、各期の締めくくりには、他校の生徒との対戦会「ぷよぷよフューチャーカップ」を開催。実力を試す場となっています。

飛車ちゅう選手「ロジカルな思考を磨いて」

オンラインで高校生に教える飛車ちゅう選手

コーチングに携わる飛車ちゅう選手に狙いやこれまでの感想を聞きました。

ーープロジェクトに参加しようと思った理由を教えてください。
私には、「ぷよぷよコミュニティーの拡大」という大きな目的がありますが、そのためには初心者や若い方に「ぷよぷよ」の魅力を伝えていく必要があります。高校生向けのサポートを行うこのプロジェクトは、私が目指す方向とぴったりでした。

また、プロの多くが強さの頂点を目指す戦闘狂みたいなタイプです。こういった初心者のレベルに目線感を落として伝える活動は苦手な方が多いので、他のプロには任せられないと思ったんです(笑)。

ーー実際に指導した感想を教えてください。
初心者へのコーチングというのは、実際大変なことです。自分が「ぷよぷよ」に慣れてしまっているので、慣れない生徒たちがつまずくポイントをつかむのは難しい。

どこが分からないのか、なぜ分からないのか、どうしたら出来るようになってもらえるのか。制作メンバーで議論を重ねて、なんとかカリキュラムに落とし込みました。

ーープロジェクトを通して高校生にはどのように成長してほしいと思いますか?
感覚だけで物事をとらえるのではなく、ロジカルな思考を身につけることは、(普段の生活においても)重要だと思います。「ぷよぷよ」の試合においては、最後の最後で勝敗を分けるものは感覚だと思う一方、確率のゲームであり、数学の理解に役立つこともあります。ぜひ「ぷよぷよ」に興味を持ってロジカルな思考を磨いてほしいです。

オンラインで連鎖の組み方を教えるlive選手

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第3期の参加を希望する学校に向けては、セガのサイトにあるこちらのフォームで申請を受け付ける予定です。現在、eスポーツ部や同好会があるか、立ち上げを検討している高校(準じる学校含む)の教員からの申請が必要です。