eスポーツで地域の活性化をめざそう。こんなテーマについて考えるイベントが10月31日、北海道千歳市で開かれました。パズルゲーム「ぷよぷよ」を展開するセガが開催に協力。北海道のeスポーツ団体の関係者や「ぷよぷよeスポーツ」のプロ選手らが参加するパネルディスカッションでは、交通の便の良い千歳市で大会を開いて、地元を盛り上げていくプランなどが議論されました。

一般社団法人千歳観光連盟が主催。市内のホテルを会場に、観光や教育、行政関係者ら約50人が参加しました。千歳市が後援し、セガサミーホールディングス、セガサミーゴルフエンタテインメント、北海道eスポーツ連絡協議会、北海道eスポーツ連合も開催に協力しました。連盟としては今後、eスポーツを観光振興に生かす方針で、そのキックオフに位置づけたイベントでした。

北海道のeスポーツの歴史は10年以上

eスポーツの持つ可能性について意見を述べ合うパネリスト

前半は「ちとせeスポーツセミナー」として、講演やパネルディスカッションがありました。まず登壇した北海道eスポーツ連絡協議会の久保秀一委員長は北海道eスポーツ連合専務理事も務め、北海道のeスポーツ界をリードしてきた一人です。

久保さんは「eスポーツによる地方創生」をテーマに講演。2018年ごろから国内ではeスポーツという言葉が広く認知されていきましたが、それに先駆けて2011年には北海道でeスポーツチームが発足していたとして、「北海道のeスポーツの歴史は実は早かった」と語りました。 その後、道内各地にeスポーツ団体が設立しました。それを束ねる形で2019年に「連絡協議会」が発足しました。中心となって活動してきた久保さんは「eスポーツ、ゲームを楽しんでいただき、笑顔をつくりたいという一心で今までやってきた」と振り返りました。

「ぷよぷよ」はPlaceless、Genderless、Borderless

ぴぽにあ選手(左)と千歳北陽高校の生徒がエキシビションマッチで対戦

次に登壇したのはセガのeスポーツ推進室企画チームの正廣康伸・チームマネージャー。まずeスポーツとは何かという理解に向けて、セガの考えるeスポーツは、場所を選ばない「Placeless」、性別を選ばない「Genderless」、年齢や⾝体能⼒を選ばない「Borderless」という三つの特徴があると説明。それを満たすものが今年30周年を迎えたパズルゲーム「ぷよぷよ」であると紹介しました。

その「ぷよぷよ」では、プロ向けの大会のほか、2019年の茨城国体から国体文化プログラムとして全国都道府県対抗eスポーツ選手権を開いています。さらに、開発した学習教材「ぷよぷよプログラミング」を使い、教育にゲームを採り入れた「草の根」的な活動を続けている姿勢を説明しました。そのうえで、「eスポーツを通じた活動をみなさんと一緒に取り組み、千歳をeスポーツで盛り上げたい。そして、ぜひ公式大会を千歳市でやりたい」と「ぷよぷよ」の公式戦を千歳市で開く構想を明らかにしました。

「若者の夢を応援」「北海道に可能性」

eスポーツでめざす地域の活性化について、5人のパネリストが意見を述べた

続いて、「千歳市におけるeスポーツの未来」と題したパネルディスカッションが開かれました。5人のパネリストが登壇。参加した北海道旭川市にある旭川龍谷高校教員の下村幸広さんは同校でeスポーツ同好会を立ち上げて、生徒たちの取り組みを支えています。 下村さんは「ゲームを『スポーツ』ととらえているが、勝つことを目的としているわけではない。eスポーツを入り口に、どうやって自分の夢に向かっていけるかが大事だ」と説明。将来の進路を見据え、「夢を持つことが一番大切。プロプレイヤーをめざしたけれども、やっぱり(ゲームを)作る側に行きたいとか、実況する側に行きたいとか、自分の最終的なところを決めるための高校生活だ」と語りました。

セガの正廣さんは北海道でeスポーツがさらに発展していく可能性について、「ぷよぷよ」の現在の大会の開催件数を踏まえると、九州・沖縄と並んで北海道は活発な地域であり、北海道は「先進地」の一つであると強調。「県単位で見ると、北海道は非常に可能性があり、進んでいる(地域)と思っている。とても広い中に地域ごとにeスポーツ団体があるのは魅力的だ」と述べました。

空の玄関口・千歳でイベント開催を

話題は千歳に絞った想定にも及び、下村さんは「交通の要所として、人が集まりやすい。地の利を生かしたことができると面白い」と提案しました。eスポーツチーム「AKIHABARA ENCOUNT」に所属する南雲玲乃音さんは千歳在住。「eエンタメ」として、eスポーツをより幅広く情報発信していくケースが増えているという説明をしたうえで、「交通の便が良いことも生かし、リアルとネットの両側面からeスポーツをエンターテインメントとして知らない人に発信していくと良い」と述べました。

パネルディスカッションで、eスポーツについて意見を述べるぴぽにあ選手(中央)

また、北海道情報大学のeスポーツサークルで代表を務める正木さくらさんは、新千歳空港で開かれた国際アニメーション映画祭で「ぷよぷよ」の体験イベントが開かれたとき、ボランティアで携わった経験があります。「空港は人通りが多かったので、家族連れで一緒になって見ていく姿が多く見られた。大人と子供が一緒になることがよい」と話しました。

10月に開かれた「ぷよぷよ」のプロ大会「チャンピオンシップ SEASON4 STAGE1」で優勝し、現役トッププロのぴぽにあ選手。「外に発信するということで、知らない人に目が届く。こういうところでぷよぷよ大会を開くと、すごくいいものができる」と述べました。

プロに地元の中高生が挑戦

イベントの後半は「ちとせeスポーツプレイベント」として、ぴぽにあ選手が参加するエキシビションマッチが開かれました。まず、ぴぽにあ選手に挑戦したのは、千歳市内にある道立千歳北陽高校の生徒たちです。

千歳北陽高校の生徒(右)とぴぽにあ選手がエキシビションマッチで対戦

ぴぽにあ選手はぷよぷよの魅力を説明しながら、余裕の表情で連鎖を繰り出して会場を沸かせました。2年生の工藤梨央さんは「『ぷよぷよ』は好きだけど、(実力が)天と地の差があった。でも、『伸びる』とほめてくれたので、うれしかった」。この日のセミナーの内容を聞いた感想としては「千歳でeスポーツイベントを開いてほしい」と今後の地域の盛り上がりに期待を込めました。

ぴぽにあ選手(左)がぷよぷよについての説明を入れながら、千歳北陽高校の生徒と対戦

続いて、2019年の茨城国体の国体文化プログラム・小学生の部で北海道代表として出場して準優勝し、現在は北海道にあるeスポーツチーム「レバンガ☆SAPPORO」に所属するかぴ選手が対戦。お互いに大連鎖の応酬の末、トッププロを破る金星を挙げると、「勝てて良かった。将来は(ぷよぷよの)プロになれたらいいと思う」と話しました。

かぴ選手(右)とぴぽにあ選手が真剣勝負を繰り広げた

連鎖ボイスを「改編」 高校でプログラミングの授業

翌11月1日、元システムエンジニアのぴぽにあ選手は千歳北陽高校を訪問。「ぷよぷよ」をベースにした学習教材「ぷよぷよプログラミング」を用いた講義の講師を務めました。1年生約120人が参加。一部が未入力となっているソースコードを打ち込み、プログラムを完成させると「ぷよ」が動く仕組みで、代表する生徒がキーボードに向かう様子をぴぽにあ選手が丁寧に指導しました。

ぴぽにあ選手(左)による授業では、千歳北陽高校の生徒が描いた「ぷよ」を画面に表示させた

さらに、プログラミングを「改編」すると、ゲームの内容に変化をつけられることも紹介しました。生徒たちが事前に描いたイラストをもとにした「ぷよ」を表示させたほか、生徒たちがタイミングを合わせて「イチ」「ニイ」と発声してその場で録音し、オリジナルの「連鎖ボイス」をプログラムに組み込んでプレイ。連鎖が起きると、生徒たちの声が体育館に響きました。

前日のイベントでぴぽにあ選手と対戦したうえでこの日の授業に臨んだ加来佳花さんは、対戦には「緊張しました」。この日の授業は「プログラミングで(「ぷよぷよ」が)できあがっていく様子を見ているのは楽しかった」と話しました。

(GAMEクロス編集長・金子元希)

ぴぽにあ選手(中央)に教わりながら、プログラミングに取り組む千歳北陽高校の生徒たち

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