アイスランド・レイキャビクで10月から開催中の「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」の国際大会「2021 League of Legends World Championship」(Worlds 2021)は大詰めを迎えています。日本の国内リーグ「League of Legends Japan League」(LJL)を代表して出場したDFM(@teamDFM)はLJL史上初となるプレイインステージ突破を達成。16強としてグループステージに進出し、0勝6敗という結果に終わりました。そんなDFMのうちの4人(Evi選手Yutapon選手Ceros選手Kazuコーチ)が「Worlds 2021」を終えた率直な思いを語り合いました。

LJL史上初の16強入りを果たしたDFM

オープニングに使われるティザームービー撮影を待つDFMの選手たち

Worlds 2021はまず、下位シード10チームがAとBの2グループに分かれてのプレイインステージからスタート。DFMはBグループ1位となり、LJL史上初の16強となるグループステージ進出を決めました。グループステージはこのほかに上位のシードチームを加えて、4グループに分かれて実施。DFMはグループBに入り、3チームと2試合ずつを戦いました。

DFMの戦績

<プレイインステージ> ※日付は試合開始時点の日本時間
10月5日 ○Unicorns of Love
10月5日 ●Cloud9
10月6日 ○Galatasaray Esports
10月7日 ○Beyond Gaming
10月7日 ○Cloud9

<グループステージ>
10月11日 ●T1
10月12日 ●100 Thieves
10月13日 ●EDward Gaming
10月16日 ●EDward Gaming
10月16日 ●100 Thieves
10月16日 ●T1

グループステージ6敗で痛感した世界の壁

プレイインステージDay2でそろって一礼をするDFMの選手たち

――本日はEvi選手、Yutapon選手、Ceros選手、Kazuコーチにうかがいます。まずはWorlds 2021を戦い終えた率直な感想をお一人ずつ聞かせてください。

Evi 「ああ、夢が叶っちゃったな」という感じです。Worldsでプレイインステージを突破してグループステージに参戦するのは、本当にずっと目標としてやっていました。燃え尽きたわけではありませんが、一つの夢が実現したのは間違いないです。

ただ、プレイインステージを越えた喜びだけでなく、グループステージで6敗した悲しみもあります。感動一色と言うよりはプラマイゼロに近いかもしれません。特にグループステージで「世界の壁」を実感しましたね。

Ceros 結果として国内チームとしての記録(プレイインステージ突破)を更新しましたが、抜けた先で実力差を感じたのもそうだし、応援してくれるファンにも「世界の壁」を感じさせてしまった。僕はこの困難を同時に突破しないといけない大変さを感じました。もちろん悪いことばかりではなく、Worldsで日本チームが勝つことにより、国内のLoLシーンが盛り上がったのは非常に良いことだと思います。

Yutapon 僕は試合で勝った時の喜びも覚えていますが、それよりもグループステージの連敗が重く残っています。正直に言って嬉しさよりも負けた悔しさが強い。今までの話でも挙がりましたが、グループステージでは相手のレベルが違い過ぎて課題や改善点が見えませんでした。

――コーチやアナリストの皆さんは選手の活躍を間近で見ていたと思いますが、プレイインステージを突破した際は感極まりましたか?

Ceros 感情が表に出るKazuはかなり喜んでいましたけど、僕は割とドライでしたね。と言うのも、客観的に実力を見た上で「DFMはグループステージまで勝ち残るはず」と思っていたので。純粋に突破できると踏んでいたからこそ、ドライだったのかもしれません。

Kazu Eviの意見と被りますが、7年をかけてやっとプレイインステージを突破できたのはすごくうれしかったです。これまでは国際戦に出ても良い結果を残せず、そもそも国内戦で優勝できなかった時期も経験しました。だからこそ喜びも大きかった。その分、みんなが言うように「次のステージでどう戦えばいいのか?」という問題も抱えています。コーチ視点で答えを考えているものの、まだまだ悩んでいる最中ですね。

とにかくスクリムをこなした大会期間

Cloud9との試合に臨むDFM

――大会期間中における現地での過ごし方は?

Ceros 基本は宿泊先のホテルで練習に加え、他チームとのスクリム(実戦)をたくさんこなしました。練習部屋の人数制限などの問題もありましたが、スクリムに関してはKazuが各チームには働きかけてくれたこともあり、練習の質はかなり良かったはずです。

特にワイルドカード地域(5大リーグを除くリーグの総称)はスクリムを組むこと自体が難しい。他チームが「スクリムを取れなくて困っている」という話も聞いていたので、その点についてDFMはとにかく頑張ったと思います。

Kazu スクリムの量に関して言えば、開催地がアイスランドだったのが大きかったのかもしれません。ヨーロッパ(EU)であれば僕も英語でコミュニケーションが取れるし、他チームともある程度のコネクションを既に形成できていた。そこで、EUの2部~3部チームやWorldsに出場しているチームと積極的に交渉したんです。平均して1日につき8~10試合、トータル換算で70戦から80戦は組みました。

――練習時にスクリムを重要視したのはなぜですか?

Kazu スクリムを多く取った理由の一つは「Worldsのパッチに適応するため」ですね。実戦を通して「どのチャンピオンが強いのか」を探り、ロールごとのTierチャンピオンリストを作るためには、どうしてもスクリムをたくさんこなす必要がありました。

「数秒の迷い」が招いたバックドアの失敗

Yangコーチ(左から)、Ceros選手、Kazuコーチ

――100 Thieves戦(グループステージDay5)の最終盤でバックドアを決行した瞬間、チーム内でどのような会話が生じていましたか?

Ceros これは実際に出場していた選手の口から聞くのが早いと思います。僕らもVCを耳に入れていましたが、やはり現場のイメージや空気感まではつかみにくいですから。

Evi 当初、あのバックドアは「8割~9割ぐらいで成功する」と踏んでいました。バロンに触って敵陣を引き出している間にベースへ飛ぶ。しかもトリンダメアとツイステッド・フェイトはどちらもタワーを割るのが早い。ちょうど敵陣はインヒビターとネクサスしか無かったし、余裕だと思ったんです。

でも、連携がうまくいかなかった。実際にバロンを攻撃して引き込んだあと、敵陣へ攻めたところまでは良かったんですが……。相手もしっかり5人で守ってきた。ほんの2~3秒のズレが生じたせいか、失敗しましたね。相手が仕掛けられないタイミングを作りだせていたら100%決まっていたかもしれません。

Kazu あの試合で言うと、100T側もこちらの編成を見た上で「バックドアされるかもしれない」と警戒していた節はあります。Eviが言ったように精度を上げれば決まったかもしれないし、テレポートを使ってさっさとネクサスへ向かうセットプレイも選択肢としてあった。

とは言うものの、あのワンシーンは本番のプレッシャーやさまざまな要因が作用していました。なおかつWorldsに来る強豪チームであれば、お互いバックドアを警戒しているのは珍しくありません。試合後に100Tのコーチがインタビューで話していましたが、向こうの選手もずっとバックドアを念頭に置いていたし、こちらもバックドアのタイミングをうかがっていた。お互いにやりたいことが推測できた上で、100Tの方が少し上回っていたんだと思います。

チームを変えた初日の敗北

グループステージDay5の試合に臨んだDFMの選手たち

――プレイインステージ及びグループステージで印象深かった一戦を聞かせてください。

Ceros 印象に残った試合はグループステージのEDward Gaming(EDG)戦ですね。試合が終わってから改めてリプレイを見返したんですが、レベルの高さに驚きましたね。僕たちもかなり善戦したものの、後半になって一気に巻き返されてしまった。

しかもその逆転劇は偶然ではなく、必然的に起こりうるよう仕組まれていた。つまりEDGはマクロをすごく重視していたんです。あの時はあまり言及しなかったものの、今になって思えばEDGにうまく逆転された。その理由はEDGのマクロ管理の上手さにあったと思います。

Evi 印象深かった一戦……Beyond Gaming(BYG)戦でしょうか。DFMは今までCloud9(C9)やEUのチームに勝ってきたものの、結局勝ち切ることができずに国際戦で予選敗退という流れが2~3回あったんですよね。

プレイインステージ3日目に戦ったBYG戦はグループステージ進出をかけた重要な一戦だと思っていて。いつもの国際戦だとここで負けて「今回も惜しかったね」で帰路についていましたが、あの日の勝利は「ほぼグループステージ進出が確定した!」という意味でうれしかったです。C9と戦ったタイブレーク戦は、正直「棚からぼたもち」状態に近かったところもありますね。

Yutapon 僕は「これが印象深い!」という特定の試合は無かったです。

Kazu コーチ視点で語るなら、BYG戦の一個前だからGalatasaray Esports(GS)戦かな。プレイインステージ初日は1勝1敗で終わり、特にC9戦の負け方がチーム的に納得いかなかった。その結果を踏まえてミーティングをしたところ、チームの方針ががっちり固まりました。だからGS戦はEviのテレポートガンクをはじめ、試合序盤からボットレーンで戦闘を起こし、うまくアドバンテージを握ることができたんだと思います。

こう振り返ってみるとGS戦と言うより、C9戦の敗北後にみんなで話し合った経験が印象深かったですね。第1試合のUnicorns of Love戦は自分たちのやりたいことをある程度できた。ただ、あのまま先へ進むと敗北のムードを引きずっていたかもしれないし、認識を改める良いキッカケになったのではないでしょうか。

DFMのCeros選手(左上から)、Kazuコーチ、Yutapon選手、Evi選手

――実際に対峙して印象強かった選手は?

Yutapon やっぱりT1のボットレーン組が印象強いです。Gumayusi選手とは何回かスクリムで戦ったことがあって、その頃から既に上位レベルの上手さだった。そこへKeria選手のサポートも合わさり、世界に通用するボットレーナーになっていました。そう考えるとかなり印象深いタッグでしたね。

Evi 選手を単体で挙げるなら、僕も同じくT1のCanna選手。もちろん他チームのトップレーナーも十二分に強いのですが、Canna選手には本当に驚かされました。オートアタック1発からまず違いますし、試合時に僕が使ったセトのフラッシュ+Eスキルを反射神経で避けられてしまったんです。

これまでプレイ面で驚くことってあまり無かったのに……。あの瞬間はWorldsで一番びっくりしました。レーン戦で避けるそぶりを見せていなかった。だからフラッシュを使って勝負に出たものの、Canna選手は何事も無かったように避けた。あのプレイはずっと忘れられないです。

ただ、もう少し視野を広げると、EDGや100Tもチーム全体の戦術が優れていました。レーン戦の1vs1では何とかなっても、試合が進むにつれてマクロ面でアドバンテージを取られてしまうこともあった。グループステージで戦ったチームはどれも印象深いです。