10月5日(日本時間)よりリーグ・オブ・レジェンド(LoL)の国際大会「2021 League of Legends World Championship」(Worlds 2021)がアイスランド・レイキャビクで開幕しました。日本の国内リーグ「League of Legends Japan League」(LJL)を勝ち抜いたDetonatioN FocusMe(DFM)を含め、世界の各地域を代表する22チームが11月6日の決勝をめざして戦います。そこで、LJL公式解説者を務めるRevolさん(@krevol)にインタビュー。注目ポイントや過去のWorldsの印象について聞きました。(インタビュー前編はこちら

■Worldsの配信 ライアットゲームズ公式チャンネル

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メタの変遷と競技シーンの成長、チームゲームの難しさ

LJL公式解説者のRevolさん

――Worldsには様々な地域のチームが出場していますが、現状どの地域のチームが強豪と言えますか。また、どの地域がメタの最先端を開発しているのでしょうか。

ここ最近は中国と韓国のどちらかのチームが優勝しているので、この両地域が強豪と言えます。加えて、決勝の舞台までチームを送り込んでいる経験があるという点では、ヨーロッパもそうですね。この3つの地域が現在のリーグ・オブ・レジェンドだと強豪地域と言われていると思います。

アメリカ発祥のゲームではあるんですけど、北米地域はちょっと結果が伴っていないのもあって苦しんでいる。中国台北のTPA(Taipei Assassins)がシーズン2の時に優勝しているのですが、それ以降は厳しい状況のため東南アジアは古豪のような地域になりますね。

メタ的にいうと、昔は韓国が「メタを作る」地域でした。とにかくリスクを抑えることを徹底して、細かく小さなリスクを取らないようにしながら、着実に有利を積み重ねて勝つというスタイルが一般的だったんですが、そういったスタイルがゲームシステム的にやりづらくなっていったんです。その後、ヨーロッパと中国がシステムの変化に応じて台頭してきたという歴史があります。

――シーズン5やシーズン6など、決勝が韓国vs韓国だったころは小競り合いも少なく、どちらもリスクを冒さずにローテーションの差で勝負するというメタだった覚えがあります。ああいったローテーションの動きは、ある程度知識がないとすごさが分かりづらいですし、試合の魅せ方も難しい印象が強いのですが、解説面ではどのようなことを意識していましたか?

The Breakdown Episode 26 with Zirene: 戦わずして勝ったSSG(Worlds 2017準決勝)

実は、僕が解説を始めるにあたって参考にしたのが韓国のリーグなんです。なので、僕自身は特別難しさを感じていませんでした。ただやっぱり、映像の引きが弱いというのは分かるので、そこをどうやって伝えようかという難しいポイントはあります。

僕が解説の仕事を始めたのがシーズン4、韓国のそういったメタのピークがシーズン6で、そこからどんどんメタが変化していった。解説の仕事を始めてからの数年は「韓国のリスクを取らない展開をいかに視聴者の方に伝えるか」を主軸に準備してきた中でメタが変化していった時に、戸惑いながらやっていたという時がありました。

――特に、ヨーロッパと中国が台頭してきて韓国地域がWorldsベスト4から消えたシーズン8からは、「あれ、こんなところで戦いだすの?」といったシーンが非常に増えていきましたし、個人技の面を強く押し出してくるチームが勝ちあがってくるようになって競技シーン全体のフィジカル面のスキルアップにつながったのではと思っています。

そういった流れの変化についていけているか、いけていないかという点は、優勝を狙ううえで本当に重要なポイントです。特にヨーロッパはどんどんメタが変化してきていますし、決勝に進出するものの優勝はできていないという現状がある中で、どうやったら勝てるのかを多くのチームが試行錯誤している。そういう意味でいうと、ヨーロッパが一番戦術のバリエーションが豊富なチームのるつぼで、どのチームもスタイルが違う変わった地域になっています。

――ヨーロッパ地域で特に印象に残っているチームや戦術などはありますか?

戦術というかチームカラーの面なんですが、Fnatic(ヨーロッパ第2シード)は見ていて驚きましたね。 ヨーロッパ地域の特徴として、トレードの効率をどんどん良くしていこうとする傾向があります。例えば、相手がトップのタワーを取りにきたときに、自分たちは反対側にあるボットのタワーを取りに行く。積極的にトレードを重ねてゴールドを獲得し、一気に勝ちに行くぞという動きが基本になっています。その中で、Fnaticだけ「とにかく敵を倒せばいいよね」といった考え方を持っていて、非常にシンプルに勝負する形を作っている。見ていて楽しいんですが、ファンはヒヤヒヤするでしょうね。そこが一番驚いた点でした。

――ヨーロッパ地域といえば、今年のグループステージの組み合わせを見た時に、ヨーロッパ代表からG2 Esportsが消えたのはちょっと衝撃でした。

2020年から2021年でメンバーが1人変わっただけなのですが、とてつもなく大きな変更でしたね。 Perkz選手がいなくなっただけでチームがガラッと変わってしまって、本当にチームゲームなんだなということが強く感じられました。試合の内外でもリーダーシップの有無という点がチームに様々な影響を与えたんだと思います。

度肝を抜いたピック、王者の失墜 印象に残るWorldsの歴史

――話は変わりますが、RevolさんがWorldsの中で印象に残っている試合やシーンなどはありますか?

パッと出てくるのは、2016年のWorlds準決勝、T1の「ザイラ」サポートに対して、ROX Tigers(現:HLE)が「ミス・フォーチュン」サポートが出された試合ですね。

T1の「ザイラ」サポートに対して、ROX Tigersが「ミス・フォーチュン」サポートが出された「2016 World Championship」

――確かにありましたね。

あれは度肝を抜かれましたし、ちょっと信じられなかったです。後はSKTが決勝で負けた2017年のWorlds。試合内容の細かい部分は全く覚えていないんですが、最後Faker選手がうなだれているシーンというのは強く印象に残っています。あのようなFaker選手の姿はかつて見たことがありませんでした。

WCS 2017 Final Game3 SKT vs SSG

あとは、ちょうど僕が初めてWorldsを解説するとなった時に、Cloud9で当時プレイヤーだったHai選手がbotレーンを隠れて進みインヒビターを怖そうという動きを1分近くやって、最後バレてしまって上手くいかなかったシーンがすごく印象に残っていますね(笑)。

C9 vs SSB - 2014 World Championship Quarterfinals D2G2

――懐かしい試合から知らない試合まで挙げていただきありがとうございます。直近の試合ではどんな試合がありましたか?

直近だと、昨年のDAMWON Gamingの強さ……でもやっぱり最近の事より、3、4年以上前のシーンの方が強く印象に残っていますね。後は少し前ですが、2018年のWorlds準決勝でiG(Invictus Gaming)のTheShy選手がエイトロックスを使っていて、ドラゴン前にいるG2の面々を破壊したシーンなんかも、「え、それ今はいるの?」「勝つの?」とすごく強く戸惑ったことを覚えています。

G2 vs IG | Semifinal Game 3 | World Championship | G2 Esports vs Invictus Gaming (2018)

――2018年のWorldsは色んな意味で衝撃が強かったです。アレを見て僕はiGファンになりました。今ではすっかり出てこなくなってしまって複雑と言いますか、中国はとんでもない地域なんだなというのを痛感しましたね。

去年Worldsに出ていたチームが今年は1チームも残らないなんて、僕も初めて見ました。リーグには17チームいますし、競争が激しい地域なんだと改めて思います。パフォーマンスがよくなかったとはいえ、ヨーロッパ地域のWorlds常連チームだったG2が出られないくらいレベルが上がっています。

ただ、各地域の実力が大きく上昇している中で、韓国地域はちょっとどうなんだろう?と見てて思いますね。DWG KIAは強いけれども、それ以外のチームの強さがいま一歩伸び悩んだのかなという印象がありました。最終的にはT1がすごく強いチームになってDWG KIAにあと一歩まで迫るくらいの実力を見せていましたが、そこに至るまでちょっと時間がかかっています。

Gen.Gも今回第2シードでの出場ですが、調子を落としていましたからね。韓国の地域としての進化という部分が僕はあまり感じられなかったですね。もちろん、戦っているチーム同士が非常に強いので、はたから見てそう見えているだけかもしれないという可能性もあるので、Worldsで僕の中の答え合わせができるという意味では韓国チームにかなり注目しています。

――「対決する可能性がある」という組み合わせも含めてRevolさんが注目しているマッチアップはどのチームの対決になるでしょうか。

まさに、MAD Lions対Gen.Gは「答え合わせ」と言えますね。ヨーロッパ1位のチームと韓国2位のチームが戦った時に、僕はもうぱっとMAD Lionsが勝つだろうなと思っているんですけど、そこでGen.Gが勝つのかどうかは注目しています。そこで韓国地域の強さが一つ分かるというのと、やっぱりDWG KIA対FPXというカードは頂上決戦という意味合いもありますよね。EDG対T1は、かつてT1が1万ゴールド差を逆転した伝説の試合の組み合わせですから。

The Breakdown Episode 23 with Zirene: SKTがEDG相手にみせた大逆転劇(Worlds 2017 Group Stage Week 1)

――プロがプロたるゆえんを魅せた集団戦だったと思います。

一番はあのエンゲージ(集団戦を起こす行動)、今見ても見事ですからね。T1のああいった細かい部分の動き、神は細部に宿ると言いますか、突き詰めていけば1万ゴールド差なんて簡単にはね返せるんだというのを体現したチームでした。

――個人的に一番記憶に残っているシーンがその集団戦なんです。あの試合をきっかけに自分の中の競技シーンを観戦することに対する注目ポイントや面白さが一つ変わりました。

EDG対T1の試合になったら、まず最初にその時の動画が差し込まれるでしょうし、分かり切っているんですがそれでもわくわくしてしまう。そんな組み合わせが2度は必ず見られるというのは非常に楽しみです。

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2回にわたってお届けしたRevolさんへのインタビュー。歴史あるWorldsはそれだけで話題が尽きず、取材後も「まだまだ話せることはたくさんある。」という印象を受けました。今回のインタビューでお話しできなかった話題は、きっとWorldsの配信にて語ってくださると思います。

「2021 Season League of Legends World Championship」は日本時間10月5日から11月6日まで開催予定。日本語公式チャンネルを見て、Revolさんを含むキャスターの方々と共に、日本代表DetonatioN FocusMeの活躍と過去最大級のWorldsで生まれる伝説を見逃さないようにしましょう。

Revol

レボル 吉本興業所属のeスポーツキャスター。リーグオブレジェンドの国内プロリーグであるLJLの解説を担当。その経験に基づく、膨大な知識量からBan&Pick予想は高い的中率を誇っている。

LJL解説者のRevolさん

【著者紹介】明形 知式

あけがた・ちしき 友人から「宇宙人」と言われるWebライター。LoLやストラテジーゲーム全般と読書が趣味です。好きな言葉は「愛するということは、おたがいに顔を見合うことではなくて、いっしょに同じ方向を見ることだ。(人間の土地/サン・テグジュペリ)」。