幼い頃から心を奪われていた

笑顔でゲームの魅力を語るゆとりんさん

――まずはゲーム遍歴について教えて下さい。一番最初に触ったゲームタイトルは何でしょうか?

確かNINTENDO64の「マリオカート64」でしたね。兄の友人宅へ遊びに行った際、みんなでプレイしたのを覚えています。ただ最初はパーティーゲームを遊んでいたんですが、NINTENDO64って一人用ゲームも多いじゃないですか。なので「スーパーマリオ64」(マリオ64)だったり、もうちょっと経ってから「星のカービィ64」などなど、一人用のタイトルも幾つか遊ぶようになりました。

――幼少期から色んなゲームに触れたんですね。では当時もっともハマったタイトルは?

あの頃は色んなソフトを転々とプレイしていた印象が強いですね。それこそ一人用ゲームだと「マリオ64 」になると思います。とは言え本当に小さい頃だったので、スター120枚回収(完全クリア)はさすがに無理でしたけど(笑)。

――では後続ハードのゲームキューブも発売当初にプレイしましたか?

そうです。最初に買ってもらったソフトは別にあったんですが、次に触ったのが「スーパーモンキーボール」と「ウェーブレース ブルーストーム」。どちらもそこそこやり込んで、気づいたらいつの間にか「スーパーモンキーボール」の方にドハマリしていました。そこから「モンキーボール」シリーズとは何だかんだ20年の付き合いになります。

タイムアタックはかけがえのないライフワーク

――RTAに初めて興味を持った経緯を改めて教えて下さい。

本格的に活動を始めたきっかけは、アメリカで行われたRTAイベント「Awesome Games Done Quick」(AGDQ)です。イベント内でGeoffという方が「スーパーモンキーボールデラックス」をプレイしていて、「あのゲームでRTAをしている人がいるのか」と驚きました。そして実際に自分で何となくまねをしてみたら、とあるステージを案外上手く突破できたんですよ。この成功体験が「モンキーボールでRTAを始めよう!」と決めた最初の取っ掛かりかもしれません。

――上級者の動画を見て何げなく試したのがRTAとの出会いだったのですね。

そうです。ところがもっと具体的にさかのぼると、以前からRTAに似たようなことをやっていたんです。小学3~5年生ぐらいだったと思いますが、当時は「スーパーマリオ」シリーズのRTA動画をよく見ていました。

その中で「マリオ64」のスター16枚クリア(通常はエンディング到達まで最低70枚必要)が特に気になって。有名なバグ技(ミップの扉抜け・連続後ろ幅跳び)を自分でやってみたら、思いのほか速く16枚クリアが成功しました。「マリオ64」は昔からよく遊んでいたソフトで慣れ親しんでいた。だから何度かタイムアタックを繰り返すうち、どんどん記録が短くなって面白くなったんです。

――小学生の頃からゲームのタイムアタックに興味を持たれていたのが驚きです。どことなくスポーツ選手を彷彿とさせる気がします。

どうなんでしょう(笑)。最初は現実の時間でタイムを図るより、クリアタイムが表示されるゲームで時間を縮めるのが好きでしたね。例えばよくやったのがレースゲームの「マリオカートDS」。ショートカットを駆使してラップタイムを縮める作業に没頭しました。もう少し時間が経って中学生になると、「メタルギアソリッド」でエンディングまでの到達タイムを縮めようと頑張ったり。こうして振り返ると、昔からタイムアタックにのめり込んでいた気がします。

――タイムアタックは別として熱中したタイトルは他にもありますか?

たくさんありますよ。普通に遊んだので言えば、セガの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」シリーズは2009年ぐらいまでに出たタイトルは一通り触っています。別ジャンルを挙げるとオンライン対戦のFPS(ファーストパーソンシューター)関連もハマっていましたね。

と言うのも、自分はRTA走者として活動する以前にFPSプレイヤーだったんですよ。「Call of Duty 4: Modern Warfare」でFPSと出会い、後続タイトルの「Call of Duty: Modern Warfare 2」やPCゲームの「Counter Strike Online」で対人戦に没頭しました。実際にFPSつながりで仲良くなった人に「モンキーボール」を遊ばせたこともあります。「俺には無理!」って言われましたけど(笑)。

とんでもなく難しいからこそ達成感が愛おしい

――一人のプレイヤーから見た「スーパーモンキーボール」の魅力とは何でしょうか?

まず大前提として、「スーパーモンキーボール」はこれでもかと言うぐらい難易度が高く作られています。クリアまで苦戦するのが当然のゲームですが、何度も挑戦するうち、目に見えて自分の腕前が上達していくんですよね。この過程がとても面白い。加えて仕組みが単純なゲームだからこそ、何回も挑みたくなる中毒性につながると思います。

あとはシリーズを通して使うボタンが少なく、複雑なコマンドを要求されることも一切ない。難しいゲームではあるけれども、間口が広くて初心者にもとっつきやすいのではないでしょうか。

――「スーパーモンキーボール」をRTAの対象に選んでから苦労した瞬間を教えてください。

一番苦労したのは「スーパーモンキーボールデラックス」の難易度「てつじん」。このモード、そもそもクリアすることが難しんですよね。スタート前に99機まで残機を持ち込めますが、全300ステージをノンストップかつノーコンティニューでクリアしないといけない。なので最初はクリア自体がままなりませんでした。シリーズ全体を通してトップクラスに難しいモードだと思います。

シリーズ最多、300ステージ以上を搭載

――「モンキーボール」シリーズは総じて難易度が高めですが、クリアが困難な上でタイムを縮める作業は、素人目でも至難の業だと感じます。

そうですね。結局、一回のミスが大幅なタイムロスにつながることもありますから……徹底的にタイムを縮めるなら、やはりミスはなるべく避けないといけません。

――ちなみにRTAのテクニックは独学で習得されたのでしょうか?

はい。最初は「Games Done Quick」(AGDQを含むRTAイベントシリーズ)で行われたプレイングをまねすることから始めました。だんだんと慣れてきた2016年末のタイミングで、「モンキーボール」関連のRTA界隈にも顔を出すようになりましたね。

ちなみにRTA界隈のコミュニティーは海外の方が9割、残り1割が日本人……という構図です。「モンキーボール」シリーズは海外で人気が高く、同時にプレイヤー数も多いんです。ここ数年でRTAの走者も増えましたが、日本人の規模感はまだまだ少なめです。僕は英語を少し話せるので、彼らとコミュニケーションを取る際は英語でやり取りしていました。

もっとカジュアルにRTAに踏み込んで欲しい

「幼い頃から心を奪われた」と語るゆとりんさん

――RTA走者として活動を続けている純粋な理由を教えてください。

RTAという遊び方自体が単純に面白いからです。自分もFPSプレイヤーだったので経験がありますけど、対戦ゲームは性質上、勝ち負けでどうしても心が疲れてしまう時があります。一方のRTAはひたすら”自分との戦い”。それに、やればやるだけ確実に上手くなっていくのも魅力です。

始めの一歩は誰でも失敗する。だからこそ、ちょっとした小技をまねするだけでも良い。それで意外と上手くできたところから、続けるうちにどんどん上達し、最終的にタイムが出せるようになる。ある意味、一人で遊ぶ方法としてはとても気楽に取り組めるんじゃないでしょうか。ちょうど話題にも挙がりましたが、「マリオカートDS」のタイムアタックもRTAに近い遊び方だと思います。

――始めの一歩を踏み出すことが重要なんですね。昨今は国内のRTAイベントも大きく盛り上がっています。

個人的に”盛り上がり”は2種類あると感じています。プレイヤーが増えるのか、それとも視聴者が増えるのか。前回の「RTA in Japan Summer 2021」で「リングフィットアドベンチャー」が話題を集めたように、現状は視聴者が大幅に増えている状況ですかね。このまま走者の方々も増えてほしいところではあります。

上手いプレイヤーのタイムアタックを見ると「難しそう」と思われがちですが、実はタイムを出すだけなら予想以上に簡単なんです。極論、クリアさえできれば一つの立派な記録として成立しますし、カジュアルプレイの延長線でタイムアタックを始めるのも一つの手です。世界記録に及ばずとも、自分が楽しければその遊び方は正しいと言えます。そういった方向でRTAに興味を持つ方が増えていけば良いなと。

おなじみのアイアイたち6キャラクターに加えて、様々なゲストキャラクターも登場

――クリアタイムを競い合うという点において、RTAはeスポーツと呼べますか?

個人的に今のeスポーツは「規模のデカい大会・高額な賞金」というイメージですが、RTAは空気感がやや異なります。例えば「RTA in Japan」はベストタイムを叩き出すという側面を持ちながらも、大部分で”プレイのお披露目会”という印象が強い。ただ、”タイムを縮める過程で走者と競い合う”行為はとても熱く、定義によってはeスポーツと当てはまる部分もあるのではないでしょうか。

――RTA走者として今後チャレンジしたい目標を教えてください。

直近だとメガドライブの「ソニック・ザ・ヘッジホッグ2」のRTAに挑戦していますし、「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」も発売後にもちろん研究するつもりです。基本的には自分が遊んで面白いと感じたゲームの記録を詰めるのがポリシーなので、今後もこの形は変わらないと思います。お気に入りのゲームで最速クリアタイムを叩き出しつつ、これからも一人のRTA走者として末永く頑張りたいです!

ゆとりん

ゲームのクリアタイムを競うRTA(Real Time Attack)のプレイヤーとして、「スーパーモンキーボール」シリーズを中心に大会などでも活躍中のゲーム配信者。RTA in Japan 2019では「スーパーモンキーボールデラックス」を走破。2021年夏に開催された、RTA in Japan Summer 2021では、「ビューティフルジョー」を走破した実績を持つ。
ツイッター:@M_YTR_FRMK

「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」

10月7日にリリースされたアクションゲーム「スーパーモンキーボール」シリーズ最新作。「おサルの入ったボールをゴールへ導く」というゲームシステムはそのままに、過去タイトルで好評を博した300種類以上のステージ&パーティーゲーム12種(ローカルマルチプレイ対応)を収録。ゲームルールをアレンジした各種モードに加え、好みのパーツでキャラクターを着飾れるシリーズ初の「おサルカスタマイズ機能」も実装している。
公式サイト:https://supermonkeyball.sega.jp/1and2remake/
公式ツイッター:@SMB_JP