目次

  1. リーグ戦が面白い!
    1. KACとの棲み分け
    2. アミューズメント施設運営会社によるリーグ戦
  2. 選手だけじゃない! 「BPL」への様々な貢献
    1. 解説席が果たした役割
    2. 現場の司会とDJ、裏方たち
  3. BPLが示した新しい「グルーヴ」
  4. BPL 2021参加6チームの紹介
BPL 2021を代表する名勝負の一つ。その劇的な幕切れは、kors kによる時宜を得たDJ演出とも相まって多くの観衆の感涙を誘った

いよいよ2021年に正式キックオフを迎えた「BPL」は、コナミアミューズメント社の音楽ゲームを題材とした初のプロリーグだ。初年度となるBPL 2021の競技対象は、音ゲーブランドBEMANIの旗艦タイトル「beatmania IIDX」である。

競合からも参入が相次ぐeスポーツ×音楽ゲームという分野でのBPLの独自性について、コナミアミューズメントの担当者は「BPL2021では、アミューズメント施設を運営する企業様が、チームオーナーとなり、ネットというバーチャルな空間だけではなく、リアルな場を持つ『アミューズメント施設』と一緒に、盛り上げて相乗効果をはかってきました。『音楽LIVE』面の強化も図り、新しいエンタテインメントとしてさらなる変革をはかっていきたい」と説明する。

低~中難度帯の対戦がもたらす緊張感は、KACの決勝大会ではまず見られなかった魅力の一つだ

コナミは「BPL」のローンチはるか以前の2011年から、自社音ゲータイトルの年次大会であるKAC(Konami Arcade Championship)を継続開催している。「BPL」が発表された時点では、同じくトッププレイヤーによる競技大会としてのKACと役割が重複するのでは、という懸念も存在した。

しかし蓋を開けてみて、懸念が杞憂に過ぎなかったことは明らかだ。繰り返される試合の中で全選手の個性にスポットライトが当たる展開。それら個性や過去の経歴、試合経過が文脈を形作るドラマ。音楽ライブとの複合による途切れ目のない音楽番組としての魅力。そして選手・関係者や観衆による試合分析・ファンアート・観戦エッセイといった情報発信文化すら巻き込んで発展する総合エンタメとして、空前のコンテンツを成立せしめることにBPL 2021が成功したのは、コラム前編でも語った通りである。

BPLとKACの関係について、コナミアミューズメントの担当者は「KACはアミューズメント業界最大のゲーム大会をめざし、『BPL』はエンタテインメントコンテンツとして展開する」と認識を語る。より具体的な話として、「KACは個人が頂点を目指す、競技大会。『BEMANI PRO LEAGUE』は、アミューズメント施設を運営する企業様がチームオーナーとなり、チーム戦で優勝を目指すエンタテインメント性をもたせたリーグとして展開していきたい」としている。

配信キャプチャーより 再利用時確認
RoughSketchのDJライブ。超高速BPMと歪んだキックが特徴の先鋭サウンドに、配信コメントでも絶賛が相次いだ

担当者が語った通り、「BPL」は日本プロ野球などと同様、オーナー会社が各チームを運営する形式のリーグ制である。オーナーには株式会社ラウンドワン、株式会社ワイ・ケーコーポレーション、株式会社山崎屋、株式会社マタハリーエンターテイメント、株式会社レジャラン、株式会社共和コーポレーションというアミューズメント施設の運営企業が名を連ね、6社の展開するゲームセンターは全国で計200店舗以上を数える。

さらに各チームには、かめりあ、RoughSketch、Yuta Imai、MK、Blacklolita、Hommarjuという新進気鋭のミュージシャンたちがチームイメージミュージックを制作している。いずれもコナミの音楽ゲームの影響を公言し、またBEMANIシリーズに多くの作編曲を提供する、音楽ゲーム文化に縁と理解の深いアーティスト揃いの陣容だ。

チーム楽曲は各チーム試合開始前の選手紹介に合わせてRESIDENT DJ・kors kによって一部が流される他、各アーティストがセカンドステージで務めたDJライブではフル尺のお披露目がなされた。

リーグ制により3ヶ月以上にわたり所属選手が繰り広げた熱戦の数々、様々なチーム間・選手間カードを経て培われた選手やチームへ抱く感情、そしてそれらの象徴たるイメージミュージック。積み重ねられた文脈が複合し、果たしてオーナーチームに対する愛着の育成を促す環境が整えられ、また「BPL」というイベントそのものへの没頭もまた促されることとなった。なお筆者はSILKHAT推しである。

魂を揺さぶる激戦の後、思わず目頭を押さえるA4NAGA(あしなが)監督(右)のもとに駆け寄ったMIKAMO選手

選手がその個性あふれるゲームプレイによりオーディエンスを魅了してみせたのと並列で、競技と運営を支える様々な人材による貢献が「BPL」の盛り上がりに寄与した点は指摘すべきだろう。チームのプロモーションや独自の企画運営を担うマネージャーはじめオーナーチームの構成員、監督やアドバイザーとして所属したプレイヤーたち……。挙げ始めれば際限がないが、本稿では特に「解説席」と「現場運営、番組編集」に着目しよう。

声優・佐伯伊織としても活躍するNU-KO(右)は、かつて「pop’n music」のボーカリスト公募で栄冠を勝ち取り歌唱参加を果たしてきた

2020年に開催された前哨企画「BPL ZERO」は、「BPL」本戦のプロモーションイベントとして位置付けられ、様々な側面からの実験的な試みを行う場であった。ここから得られたBPL 2021へのフィードバックについては、コナミアミューズメントの担当者はその筆頭として「『BPLZERO』は完全録画を配信していたものが、今回は録画で収録した試合に、生配信で実況解説を付けるという新しい試み」を挙げた。

実際に「BPL」の全配信では、番組進行、解説者、ゲストからなる解説席を用意。配信のプログラム進行の最前線を担い、eスポーツとしての音楽ゲーム競技に的確な解説を加え、また配信を観覧する我々と試合のタイムラインを共に経験し、熱狂と興奮を分かち合った。

“俺が答えだ”ANSA選手の試合後インタビュー。敗北の末「(現時点では)部分回答くらい」と吐露した彼は、後に自らの「答え」を鮮烈に示す

そして「BPL」というチャレンジングな企画を成し遂げる上で、現場で各々の役割を果たし、あるいは番組編集や配信・広報などの実務を通して番組の成立に貢献したスタッフの寄与は言うまでもないだろう。

例えば会場の司会と各種アナウンス・コールを一手に担い、試合後インタビューでも選手たちを見事に鼓舞しあるいは激励し、「司会のプロ」という仕事の実在をまざまざと見せつけた森一丁。約22年の歴史と1500曲以上のラインナップを有する「beatmania IIDX」の楽曲群から歴戦のファンすらうならせるプレイリストを選定し会場に響かせ、ときには試合状況を踏まえての機を見るに敏なピックアップすらこなしたRESIDENT DJのkors k。

kors kとKANASA(bless4)によるBPLテーマソング「Winner’s Proof」のライブアクト

また全試合のリアルタイムを現地で見届けた森一丁のブログ記事では、配信に名前はクレジットされずとも確かに選手たちによる戦いの場を支援した、熱意あふれる運営スタッフたちの貢献についても大いに証言されている。

司会、解説、DJ、編集といった「BPL」を支える人材の素晴らしさについて率直に伝えたところ、コナミアミューズメントの担当者は「ありがとうございます。そのように仰って頂けるのはスタッフ一同非常にありがたく励みになります」と返答。その上で、「毎回、視聴者の皆さまにご協力いただいている貴重なアンケートなどをもとに、都度、編集、配信や告知回りについて見直しや改善を行っております。本当に視聴者の皆さまや、チームオーナー様、選手の皆様と共に作り上げていっている番組といっても過言ではありません」とコメントした。

解説席でほぼ全配信回の司会進行を務める荒木美鈴は、セカンドステージを終えての振り返りのなかで、BPLは「みんなで育てて、盛り上げてきた」ものであると感慨あらわに強調した。

全霊を賭してリーグ戦の対決カードを駆け抜けた24人のプロ選手。情熱と技能にあふれたスタッフたち。全ての基盤となるゲームそのものを20年以上にわたり磨き上げてきたディレクター、コンポーザー、デザイナーをはじめとする歴代の制作者。そして画面を通してこの魅力を享受し、接続数やアンケート、ファンアートや文章での情報発信によって、陰に陽にフィードバックを行ったオーディエンス。どの要素が欠けてもBPLがこれほど魅力あるコンテンツにはなり得なかったことを、視聴者から「ヘルチャージ荒木」の愛称とともに大きな信頼を受ける彼女が、飾らない言葉でこの上なく的確に代弁したものといえるだろう。

BEMANIに端を発する近代音ゲー文化が有する「新しい音楽が生まれる場」という機能を、BPLもまた継承する

コナミの音楽ゲームが巻き起こした社会現象さなかの1999年初頭、同社が発行した「ビートマニア プレスミックス」という書籍がある。同書では「beatmania」のヒットの要因について、当該機種が単なる一人用ゲームに留まらず「自分達で盛り上がるためのグルーヴを作り出すツール」として用いられ、「自らも参加して楽しむことで生まれる、“プレイヤー同士が生み出すグルーヴ感”」をもたらしたと分析している。また「自分のプレイをアピールして楽しむだけでなく、他人のプレイを見ても楽しめるという斬新な内容は、“魅せるゲーム”の誕生とも言えた」と論じてもいる。

音楽用語としての「グルーヴ」は大まかに言えば“場のノリ”、“気持ちよさ”といった概念を表す(BPLの流行語でいえば「アチアチ」に近いだろうか)。「beatmania」や、その後継にしてBPL 2021の種目機種である「beatmania IIDX」でゲームクリアの基準となるゲージは伝統的に「グルーブゲージ」と呼ばれる。音楽を巧みに奏でることでプレイヤーの、ゲーム内の、そしてゲーム機の外に広がるグルーヴを高めるという本質的な趣向は、初代「beatmania」から現在に至るまで不変にして普遍だ。

BPL 2021に用いられたシリーズ最新作「beatmania IIDX 28 BISTROVER」

「BPL」のエグゼクティブ・プロデューサーを務める西村宜隆執行役員は開会宣言の中で、「BPL」に込めた想いについて、「BEMANIの新しい楽しみ方を創出すること」「BEMANIを好きになってくれる人をひとりでも増やすこと」であると明言した。そして満を持して世に放たれたBPL 2021という挑戦は、ゲームプレイヤーとしての選手のみならず関係者や観衆による幅広い寄与と熱狂をもその現象の一部として呑み込み、eスポーツ×音楽ゲームというフィールドが生み出す新しいグルーヴを示すことに成功した。

「beatmania」のリリースは1997年。今年2021年は、BEMANIが駆け抜けた最初の四半世紀の結びにあたる。2022年から始まる次の四半世紀、「BPL」は、そしてBEMANIは、一体どのようなグルーヴを我々にもたらしてくれるだろうか?

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BPL 2021は2日にファイナルステージを迎えます。APINA VRAMeS対ROUND1の試合は午後4時から配信されます。

SUPER NOVA Tohoku
【BPL 2021】SUPER NOVA Tohokuチーム紹介

KONAMI提供
ROUND1
【BPL 2021】ROUND1チーム紹介

APINA VRAMeS
【BPL 2021】APINA VRAMeSチーム紹介

GAME PANIC

【BPL 2021】GAME PANICチーム紹介|

レジャーランド
【BPL 2021】レジャーランドチーム紹介

SILKHAT
【BPL 2021】SILKHATチーム紹介

※並び順はセカンドステージの順位表より