ビジュアルを一新 攻略を手助けする機能も

ステージを操作しておサルたちをコロがそう

――本日はよろしくお願いいたします。

城﨑 「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」のプロデューサーを担当したセガの城﨑です。よろしくお願いします。

ゆとりん RTA(リアルタイムアタック)プレイヤーとして活動中のゆとりんと申します。「スーパーモンキーボール」は20年前の発売当時からプレイしています。よろしくお願いいたします。

――まずはじめに「スーパーモンキーボール」シリーズとの関わりについて教えてください。

城﨑 2019年に発売された「たべごろ!スーパーモンキーボール」でも、今作と同じようにプロデューサー及びディレクターを兼任させていただきました。シリーズ自体との関わりで言えば、プレイステーションVITA用ソフト「スーパーモンキーボール 特盛あそビ~タ!」の開発時にチェックを手伝ったのが最初だったと記憶しています。

――今作は従来シリーズのリメイクタイトルですが、オリジナル版と比べて最も変わったポイントを教えてください。

城﨑 まず何と言ってもビジュアル面ですよね。「スーパーモンキーボール」は20年前のタイトルなので、手を加えずにそのまま発売すると古さが目立ってしまいます。このご時世はカラフルな方が見栄えも良いし、そういう作品も実際に多い。

なので、ビジュアルに関しては現代のトレンドに合わせて一新させました。オリジナル版からステージ自体の形状は特に変えていませんが、簡素だった部分にカラフルさを追加して、見た目でも楽しめるようにしてあります。単なるベタ収録ではなく、300以上のステージをひとつひとつ丁寧に描き直しているんですよ。

――ステージひとつ取ってもこだわり抜かれているんですね。では今作から「モンキーボール」シリーズに触れる方々に向けたセールスポイントはありますか?

城﨑 「モンキーボール」シリーズって初心者の方にとっては難しいゲームだと思います。具体的な失敗理由を挙げると、「時間が足りない」「細かい操作ができない」「ゴールの位置が分からない。大体はこの3つに当てはまります。

この統計を踏まえ、今作ではビギナーの攻略を助けるための「おたすけ機能」を導入しました。こちらは「制限時間が倍になる」「特定のボタンを押している間だけ時間の流れが遅くなる」「ゴールまでナビゲーションしてくれる」……といった具合に、初めてプレイされる方でも楽しく遊べるようなアシスト機能となっています。

ステージごとにON・OFFを切り替えられるので、手こずりそうな場面で使ってもらえると役立つはずです。あとは「どうしても突破できない!」と感じたステージをクリア扱いにする(ゲーム内ポイントを消費)こともできます。

また「モンキーボール」はスタートからゴールまでキャラクターを導くゲームですが、今作は他にも新しいモードが新規で入っています。例えばスタートとゴールの位置を逆にした「リバースモード」、バナナを避けてゴールを目指す「ダークバナナモード」など、違う遊び方にもチャレンジできます。

黄金のバナナを制限時間内にすべて獲得できるか挑戦する「ゴールデンバナナモード」も新しい機能の一つ

――基本的なゲームシステムをベースに様々なモードを新たに実装したのですね。

城﨑 そうです。加えて、それぞれゲーム性が異なるパーティーゲームも12種類入っています。レースにテニス、ビリヤード、フットサル……などなど、パーティーゲームは最大4人までのローカルマルチプレイに対応しているので、そちらをメインにがっつり遊んでもらうことも可能です。ゆとりんさんのようにRTAが好きな方には、ネットワークランキングで世界中の猛者と競い合うこともできますし、上手い人のゴースト(走行データ)をダウンロードしてみるのも面白いと思います。

――個人的には豪華なゲストキャラクターに驚きました。

城﨑 セガのゲームキャラクターはもちろん、「セガサターン」や「ドリームキャスト」といったゲームハードもプレイアブルキャラとして実装しました。そのほかにもキャラクター着せ替え、オリジナル版のBGM追加、画面の雰囲気をガラッと変えるレンダリングにジャンプ機能のON/OFF……20年前のゲームをリメイクするにあたり、コンテンツを考え抜いて盛り込んだつもりです。価格設定を抑えたのも、なるべく多くの人に安く手に取っていただきたかったからです。

開発者がリスペクトを止まないRTA走者のたゆまぬ努力

番組の企画で50分を切る記録を出したゆとりんさん

――ゆとりんさんは「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」の公式番組にて最新作のタイムアタックに挑戦。ストーリーモードを50分弱でクリアされました。実際に間近で様子を見守った感想はいかがでしょうか?

城﨑 挑戦している時間は40分ほどですけど、そこまで到達するのにかかったプレイ時間は膨大なはず。普通のプレイヤーよりも、よっぽど遊んでいただいていると思うんです。あの瞬間は短く感じても、やはり尋常ではないやり込み度が伺える。「モンキーボール」シリーズに関わっている身としてはクリエイター冥利に尽きますよね。

相当プレイしているはずの開発陣でも1時間を切るとかできないし、尊敬の念しかないです(笑)。だって僕らの場合はゲームの裏側を知っているけど、ゆとりんさんは一般ユーザーとして遊んでいるじゃないですか。だからプログラムの設定とかデザインの都合を知らないはず。なのに開発者の記録を越えてくるのは本当に凄い。

ゆとりん  ある意味では自分みたいな遊び方をしているプレイヤーって、「開発者の想定を越えられるか」という部分がありますね。

――ストーリーモードの全ステージクリアにはどのくらいの時間がかかりますか?

城﨑 普通のプレイヤーだったら6~8時間、アクションゲームが苦手な方なら12~15時間ほどかかります。ちなみに開発陣の中で一番上手いスタッフでも約2時間でしたね。ストーリーモードが終わっても、残り200ステージ以上あるのでまだまだ遊べるのもポイントです。

YouTubeYouTuRTA Japan 2019覇者のゆとりんによる世界暫定最速プレイをお届け!【たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク】

――ゆとりんさんは20年間、「モンキーボール」シリーズを黙々とやり込んでいたと伺いました。

城﨑 例えばレースゲームなら「タイムを縮める」という感覚って普通だと思います。だけど「モンキーボール」は誰かとクリアタイムを競い合うゲームと言うより、ステージクリアを目指すゲームで、オリジナル版だとネットワークランキングも入っていません。今作は実装されていますけど、20年前の作品でコンスタントにタイムを削り続けていることが全くもって驚きです。

ゆとりん でも、最初から余裕でクリアできたわけでは無いです。初めて触った時は全く突破できなかったし、「そもそもエンディングまで行けるか」という感じ(笑)。当時は5~6歳で、初級と中級はコンティニューを駆使してなんとかクリアできても、上級は最初の2面ほどで詰まっちゃって。そのステージがどうしてもクリアできず、プレイ自体を諦めたこともあります。

でも、しばらくして再挑戦すると突破できたんです。それで先に進んで詰まっての繰り返し。その過程でだんだんと腕前が上達し、「スーパーモンキーボール」にハマっていきました。こうした自分の体験を踏まえると、やっぱり難しかったことが「モンキーボール」にのめり込んだ最大の要因かもしれませんね。

ゲーム内タイマーに現れた開発陣の誠意

キャラクターたちと一緒に対談するゆとりんさん(左)と城﨑雅夫プロデューサー

――ライフワークの一環として取り組まれているのですね。最新作をプレイした感想を改めて教えてください。

ゆとりん 「スーパーモンキーボール」と「スーパーモンキーボール2」はどちらもファンの間で評価が高く、ステージデザインも完成されています。最新作はそうしたオリジナル版を美しく再現していて、作り込みも非常に丁寧。なので基本的なゲーム性に関して問題は無いと思われます。

個人的に嬉しかった変更点は、プレイ時の「ゲーム内タイマー」。前作は残り時間の小数点第1位に出ないはずの数字が出てしまい、タイムアタックの記録に支障が出ていたのですが、今回は綺麗に修正されていて安心しました。

――開発に際してコミュニティの反応を取り入れた結果でしょうか?

城﨑 ずいぶん専門的な情報が飛び出しましたね(笑)。もちろんゲーム内タイマーの問題点も含め、できうる限りの手段で前作の評判はチェックしております。「モンキーボール」は海外ですごく遊んでもらっているので、翻訳機能を使ってプレイヤーの声を拾い上げました。ピックアップした意見に基づき、できることは尽くしたと思っています。

シンプルなゲーム体験で海外ファンを育んだ

キャラクターのアイアイを手に「スーパーモンキーボール」について語る城﨑雅夫さん

――海外のプレイヤー層に受け入れられている理由について教えて下さい。

城﨑 「モンキーボール」は言語をあまり必要としないのが大きなポイントです。ユーザーインターフェースも見た目でそれとなく伝わるし、操作方法もスティック1本で事足ります。また、アイアイ(メインキャラクター)たちは人間が喋る言葉を使わないので、そういったところもグローバル展開に向いている。難しいことは抜きにして、シンプルな体験として楽しんでもらえるように作っています。

ただ、ゲストキャラクターに関しては海外展開を意識している部分もあります。「ジェットセットラジオ」の主人公である「ビート」は国外でも人気が高いし、「ソニック」や「テイルス」も海外で根強く愛されている。DLCの「ハローキティ」は日本が世界に誇るスーパースターですしね。

ゆとりん 今作は対応しているプラットフォームも幅広いですよね。

城﨑 世界中の誰でも場所を問わずたくさんの人に遊んでほしい。それが最初から変わらない方針だったので、より多様な地域へ供給できるよう、9言語に対応させました。ちなみに本体パッケージの色についても綿密なリサーチに基づいています。実際に幾つかゲーム屋さんを訪れてみると、ゲームソフトの棚は青色や赤色のパッケージで溢れかえっていた。だからこそ、より目立つようにパッケージカラーを黄色に仕上げたんです。

リモートでの開発環境を支えたスタッフの熱意

コントローラーを手に語るゆとりんさんと城﨑雅夫プロデューサー

――本作の開発はいつ頃からスタートしたのでしょうか?

城﨑 実際にプロジェクトが始まったのは2020年の2月ぐらいです。ただご存知の通りコロナ禍のため、会社にみんなで集まって画面を見ながら開発することが中々できず、いわゆるリモートで画面越しにみんなと話しながら制作に臨みました。

とは言っても、最初から万全の状態で開発が進んだわけではないです。緊急事態宣言で在宅作業が決まったあとは、まずリモート環境を作るところから始めました。みんなの家に開発用PCを置き、チャットツールを導入し、マイクを繋いで「聞こえますか?」という状態。毎日お昼の定例ミーティングでは、ゲームの中身というよりも「開発環境を上手く作ることができない」といった話題が挙がり、今までと違う環境下で仕事をする大変さをみんなで励まし合っていました。

実は完成にこぎつけたのも、今年8月のことなんです。僕はセガに勤めて15年ほど経ちますが、今回のような経験は初めて。リモート環境で普段と同じようにゲームを出せたことを感慨深く思います。

離れていてもデジタルな仕事なので、そういうところはスタッフひとりひとりの熱意に支えてもらいましたし、普段からどこにいようが「良いゲームを作りたい!」と考えているスタッフが多い証拠だと感じています。

開発当初から決まっていた起用策

――慣れない環境下でスタッフ陣の意思をまとめるのは大変でしたか?

城﨑 過去作のリメイクということもあり、開発陣の中でおぼろげな完成像はイメージできていたと思うんです。なので「こんな方向で進めたい」というのは割と早い段階で決まっていました。あとは「他社さんのIPとコラボしたい」、「今作からの新要素を入れたい」、「難しいゲームだからおたすけ機能を作りたい」という風にアイディアを出しつつ、毎日の定例でスタッフ陣と組み込めるかどうかを話し合って進めました。

やらなきゃいけないことを洗い出して、日々起きる問題にみんなで対処する……みたいな。最初の3ヶ月ぐらいで全体像が固まったので、ディティールの変更こそ多少あれど、特に大きな変更点はなかったはず。ゆとりんさんの起用案も開発初期に決定していたんです。

ゆとりん いま初めて知りました!

城﨑 ここ2~3ヶ月で「使いたい!」とかじゃなく、彼の起用はちゃんとプロジェクト始動時に見立てていました。と言うのも、前作のプロモーションで得られたお客さんの反応を見て、ゲームの中身にフォーカスしたコンテンツの方が喜ぶお客さんも多かったんですよ。「モンキーボール」は20年間続くシリーズだから、昔からのファンが一定数ついてくれている。今作はそういう方々が反応してくれるだろうと踏んだ上で、「もっとシリーズやコミュニティに寄ったプロモーションをしよう」と考えました。

そこで単純にプレイが上手く、解説者の素質もあったゆとりんさんに直接、TwitterのDMでお願いした次第です。彼の場合は「RTA in Japan 2019」で活躍した肩書きもあるし、その界隈では一流プレイヤーとして一目置かれている。だからこそ、新しい「モンキーボール」をいち早くプレイする権利や納得できる理由もあります。

ゆとりん すごくありがたいお話ですよね。好きなゲーム作品の開発陣から直接お声をかけて貰えるなんて中々あることじゃないので。最近だと動画配信で人気になるゲームも多いですし、そういう意味では現代的なプロモーションだと思いますね。

「遊んでいるよ」という声を届けてほしい

ゆとりんさん(左)と城崎雅夫さん

――これから最新作をプレイする方に向けて、ゆとりんさんからアドバイスはありますか?

ゆとりん 1日で全部クリアできるようなゲームでは無いので、少しづつ、味わいながら遊ぶのがオススメです。特に今作はコンテンツ量も相当多い。「難しいからクリアできない!」と投げず、まずはゆっくり「モンキーボール」本来の楽しさを噛み締めながら進めてみてください。もしRTAに興味があるなら、最初は特定のステージのみ最速クリアを目指すのも良いですし、タイムアタックモードでさらに腕を磨くのもアリだと思います。

――最新作を発売するにあたってファンの方へメッセージをお願いします。

城﨑 「モンキーボール」はセガのみならず、我々が所属する龍が如くスタジオにとっても大事なIPです。これからたくさんの方々に遊んでいただき、気に入ってくださる方が多ければ新しい未来を作れると思いますので、まずは最新作「たべごろ!スーパーモンキーボール1&2リメイク」をぜひ遊んでもらいたい。そして、ユーザーの皆さまに率直な感想を言ってもらいたいです。

開発者はSNS等でゲームに対する反応を見ています。それが誉められていようがけなされていようが関係なく、皆さまの感想ひとつひとつが開発者にとってかけがえのない力となります。この便利なご時世、何語であっても大体は翻訳できますので、黙って遊ばず、「遊んでるよ!」と大きな声を届けて欲しいです!

オリジナル版をフルリメイクしたパーティーゲームを全12種類収録

ゆとりん

ゲームのクリアタイムを競うRTA(Real Time Attack)のプレイヤーとして、「スーパーモンキーボール」シリーズを中心に大会などでも活躍中のゲーム配信者。RTA in Japan 2019では「スーパーモンキーボールデラックス」を走破。2021年夏に開催された、RTA in Japan Summer 2021では、「ビューティフルジョー」を走破した実績を持つ。
ツイッター:@M_YTR_FRMK

城﨑 雅夫

しろさき まさお 2007年セガ入社。「龍が如く」シリーズ、「サカつく」シリーズ「クロヒョウ」シリーズなどコンシューマタイトルにプランナーとして参画。2019年より「スーパーモンキーボール」シリーズのディレクター兼プロデューサーを担当。代表作は「サンリオキャラクターズ ファンタジーシアター」「ジャッジアイズ:死神の遺言」「スーパーモンキーボール」シリーズなど。
ツイッター:@ShirosakiMasao

「たべごろ!スーパーモンキーボール 1&2リメイク」

10月7日リリースのアクションゲーム「スーパーモンキーボール」シリーズ最新作。「おサルの入ったボールをゴールへ導く」というゲームシステムはそのままに、過去タイトルで好評を博した300種類以上のステージ&パーティーゲーム12種(ローカルマルチプレイ対応)を収録。ゲームルールをアレンジした各種モードに加え、好みのパーツでキャラクターを着飾れるシリーズ初の「おサルカスタマイズ機能」も実装している。
公式サイト:https://supermonkeyball.sega.jp/1and2remake/
公式ツイッター:@SMB_JP