ゲームが深める学び ぷよぷよプログラミングとeスポーツを小中学生が体験 東京・多摩市教委が企画

「ぷよぷよ」を使ってプログラミングを学び、eスポーツに触れるイベント「多摩っ子未来チャレンジ Let's プログラミング」が8月下旬、東京都多摩市で開かれました。市内の小中学生が参加し、ゲームを通じた学びを体験しました。
多摩市内では、市立多摩中学校で3月、ぷよぷよのプロプレイヤーぴぽにあ選手らを招き、「ぷよぷよプログラミング」を使った授業が2年生向けに実施されました。さらに校内でeスポーツ大会も開きました。このときに生徒らが意欲的に取り組んだ様子を踏まえ、市教委が新たな企画として実施しました。
例年、夏休み明けの新学期は、様々な不安や悩みから学校に通いづらくなる子どもが増える傾向にあります。そこで、新学期も子どもたちが少しでも安心して学校生活を送れるよう、eスポーツに興味を持っていたり、登校に不安を感じていたりする小・中学生を対象に、夏休みの最後にみんなで楽しい思い出づくりをしてもらおうと、セガの協力のもとで開催しました。GAMEクロス(朝日新聞社)も協力しました。
プログラミング教育は学習指導要領に示され、2020年度から小学校で必修化されています。中学校でも、その内容を発展させる観点で21年度から技術・家庭科の技術分野「情報に関する技術」で扱うことになります。高校でも、22年度から情報科での学習が予定されています。
このように教育現場でプログラミングが授業として採り入れられる中、アクションパズルゲーム「ぷよぷよ」を展開するセガは2020年から「ぷよぷよプログラミング」を提供しています。ソースコードを正確に写していくことで画面上の「ぷよ」が実際に動き、プレーすることができるようになる教材です。基礎、初級、中級、上級とレベル別のコースがあり、気軽にHTML5とJavaScriptでプログラミングを学べるツールとして利用が広がっています。
当日は、市内にある恵泉女学園大の教室を会場に、小学4年~中学3年のいずれも男子4人が参加しました。一人一台、キーボード付きのタブレット端末を用意。システムエンジニアの経験があるぴぽにあ選手が講師を務めました。
「ぷよぷよプログラミング」はお手本となる英数字のソースコードをもとに入力していくことでプログラミングを体験する教材ですが、ふだんキーボードを触る経験の少ない子どもたちにとっては、どこを触れば入力できるのかを探すことが一苦労です。一部が未入力となっており、穴埋めする形で打ち込んでいきます。セガのスタッフらが一対一でサポートに入り、丁寧に指導をしていました。
慣れてくると、「ぷよ」を回す、動かす、といった実際のゲームの動きにつながるコードを入力。さらに、「背景の色を変える」「落下速度を変える」といった一歩進んだ課題にもチャレンジしていました。
プログラミングに続いて、eスポーツに触れる企画に移りました。パソコン向けのSteam版「ぷよぷよeスポーツ」を使い、実際にゲームの「ぷよぷよ」をプレイします。ぴぽにあ選手はどうすれば連鎖がうまくできるのかというプロならではのコツを伝授。子どもたちは黙々とプレイしていました。
参加した中学3年生の男子生徒は「楽しかった。英単語や、キーボードの場所(を探すこと)が難しかった」と感想を話しました。また、参加した小学生の母親は「ゲームを学習に採り入れることは良いことだと思います」。ぴぽにあ選手から「ゲームについては時間を決めてやるとよいです」というアドバイスがあったことを踏まえ、「家ではなかなか難しいので、(プロから)言われたことは良かった」と話しました。
ぴぽにあ選手は「純粋に楽しんで、集中して取り組んでもらっていたと思います。連鎖を組むことにも没頭していたようで、うれしいです」と講座を振り返りました。また、自身が多摩中学校に出向いた授業を機に今回の企画につながったことを受け、「生徒たちの反応が本物だと思います。活動がプラスに見られているのは良いことです。(さらに活動が)大きくなってほしい」と話しました。
(金子元希)
※(件名に「ぷよぷよプログラミング」と明記してください)
実際にプレイをしながら、連鎖のポイントを説明するぴぽにあ選手
プログラミングで、背景の色を変える方法を解説するぴぽにあ選手
連鎖にチャレンジ
連鎖のポイントを小学生に説明するぴぽにあ選手
プログラミングで、ステージの大きさを変える仕組みを語るぴぽにあ選手
お手本を元にソースコードを入力
3連鎖にも挑戦
参加した小学生に、ぴぽにあ選手が連鎖のコツを伝授
ぷよぷよを使ったプログラミングを丁寧に教えるぴぽにあ選手
2連鎖のポイントを説明するぴぽにあ選手