悔し涙から得た課題

Day8で1on1に敗れ、涙を流すE選手(PMJL運営事務局提供)

──今年は春からPUBG MOBILE JAPAN LEAGUE(PMJL)のPhase1を戦いました。チームの戦績を振り返っていただけますか。

S4nkaRea 下から数えた方が早い順位が続いてしまいましたね。今思えば、長期的なリーグ戦形式の大会が初めてだったので、そのための練習方法が分かってなかったなと。

E 最初は自分たちの入り方も悪くて、その流れを終盤まで絶ち切れませんでした。

PMJL Phase1の最終順位

1位 REJECT
2位 SCARZ
3位 Sengoku Gaming
4位 Lag Gaming
5位 UNITE
6位 FOR7
7位 Donuts USG
8位 BC SWELL
9位 ZETA DIVISION(JUPITERから改名)
10位 AQUOS DetonatioN Violet
11位 SunSister
12位 原宿 STREET GAMERS
13位 CYCLOPS athlete gaming
14位 DetoNator
15位 BLUE BEES
16位 AXIZ

S4nkaRea ただ、シーズンの半ばから終盤にかけて練習方法を変えたり、メンバーと揉めたり話し合ったりしながら絆を深めて、徐々に結果を伸ばしていけた印象です。

E お互いに話し合うことで徐々に改善されましたね。「もうちょっと早く気付いていれば」ということが多かったので、次のシーズンは最初から自分たちの良さを生かして上位を狙いたいです。

──Day8には最後の最後でドン勝を逃がす惜しい試合もありました。

E あの試合の後だよね、チームで話し合ったの。

S4nkaRea そうだね。それ以前も何回か話し合いはあったけど、すぐに結果が出るわけではないので焦っていた部分もありました。

【PMJL SEASON1】Phase1 Day8/待望の初「ドン勝」目前まで迫ったPMJL Phase1 Day8 Round4の最終盤。ラストは緊迫の1on1に

──試合後、E選手は悔し涙を流していました。

E 覚えています。やっとドン勝が取れそうな場面がきて、最後に負けてしまったのでむちゃくちゃ悔しかったです。

S4nkaRea 悔しかったけど、練習の成果は出てきているんだろうなと実感する試合でもありましたね。

Day8で1on1に敗れ、-R41N-選手に励まされるE選手(PMJL運営事務局提供)

情報戦で求められる役割

──そこからシーズン終盤で成績を伸ばせた要因はどう分析されていますか。

S4nkaRea 基礎ができていない部分もあって、今もまだ練習中ではありますけど成果は出てきていますね。何より、やっぱりリーグ戦に向けた練習方法に変わっていったことですね。

──リーグ戦と短期決戦では、練習内容の違いはどこにあるのでしょうか。

S4nkaRea やっぱりランドマークや移動ルートが固定されるので、お互いに情報戦になるんです。短い大会でも似たような要素はありますが、ずっと同じチームで試合をするのでお互いの戦術を分かり合った上で「どのタイミングで違うことをするのか」という読み合いと臨機応変さが必要になりますね。テンプレートな動きばかりでは勝てないんです。

E 僕も同じ意見です。REJECTが他のチームに差をつけて優勝したのも、そこにいち早く取り組めていたことが大きいのかなと。

S4nkaRea 日や週によってメタも大きく変わるので、それに対処するような練習もしなければいけないんです。

──そうした情報戦の分析はオーダーであるS4nkaRea選手の担当になるのでしょうか。

S4nkaRea そうですね。最初に僕が情報を頭に入れて、メンバーに還元する流れになります。

E 僕はアタッカーですけど、情報面をれあさん(=S4nkaRea選手)に任せるのではなく「全員がオーダーできるくらいの状態に」というのがチームの目標のひとつでもあります。

S4nkaRea 僕は撃ち合いが得意ではないので生存ポイント重視で順位を伸ばすことを考えているんですが、僕以外のADVメンバー4人は全員「キルを取りたい」というタイプで。

E 確かにそこだけは一致してるなぁ(笑)。

──S4nkaRea選手がいないとキル優先になってしまう可能性もあるんですね。

E なりそうですね。

S4nkaRea なっちゃうかも知れないです。

バラバラの長所を発揮して

Day8でプレイ中のE選手(PMJL運営事務局提供)

──おふたりが考える「ADVというチームの特徴」を教えてください。

S4nkaRea 「オーダーが生存を考えながら他のメンバーがキルを狙う方針でまとまっている」ことかな。ADVのメンバーはそれぞれがプレースタイルや考え方が違っていて、お互いに足りない部分を補い合っている感じなんですよね。そのバラバラさが違った良さとして出ているのが特徴じゃないかなと思います。

E 確かにそう。皆はキルを獲りたい気持ちがありながらも「れあさんのオーダーが一番良い」というのを分かっているので、そこでまとまっていますね。

──それは絶妙のバランスですね。

S4nkaRea みんな個性的なので(笑)。

E もうひとりくらい、生存重視のメンバーが居ても良いのかなとは思いますよね。

S4nkaRea 他のチームはキル重視か生存重視、どちらかに統一されているイメージがありますね。ひとりノックダウンしたら絶対に詰めて倒し切ると決めているチームもあれば、逆にキルが少なくても順位が安定しているチームもあります。だから自分たちの個性は悪く言えばどっちつかずにも捉えられますけどね(笑)。

つかんだ待望のドン勝

ドン勝獲得直前のシーン。画面右のS4nkaReaが道路に銃を落としてしまっている(4月24日の配信より)

──そんなチームの長所が発揮された試合がPhase1のday11。待望のドン勝を獲得し、MVPにはE選手が輝きました。

S4nkaRea その日はかなり特徴が出ていたと思います。僕は生存するための情報を取りつつ外からくるチームを警戒して、その間に他のメンバーがキルを奪う。個人個人の意識や性格が出ているシーンが全体にあったかなと。

E Erangelの試合はメンバーそれぞれの特徴が出つつも、陣形は崩れずに連携もかなりハマっていて……あれ?

S4nkaRea ドン勝とったのはMiramarだね。Erangelはアクシデントがあったから。

E そうだそうだ(笑)。でも本当にすごく良い連携だったんですよ。

【PMJL SEASON1】Phase1 Day11/見事な立ち回りを見せたErangelでの試合。好連携で道中の敵を撃破し続け、最終的に16キルを獲得

S4nkaRea 本当に綺麗だったんです。でもちょっとしたミスから人数が削れてしまって、気付いたら「一番撃ち合い弱い俺ひとりやん」っていう展開になってしまいました(笑)。

──勝利したMiramarよりもErangelでの試合運びの方が印象深いと。

S4nkaRea Miramarはエラーが起きすぎて、正直「これは負けたな」と思ったくらいです。

E そうですね。むしろなんで勝てたのか分からないくらいで(笑)。でもこれもバトロワの面白さかなと。

S4nkaRea 相当色んなミスをしたんですが、どんな会話をしてどこが反省点だったのかも覚えています。オーダーは細かなところまで指示しないといけないんですが、それが大まかすぎたせいでEさんが車を着ける場所を間違えちゃったシーンがありましたね。

E 全員が焦っていたので情報伝達ミスがあって、自分が勘違いして単独で広い所に出てしまったんです。結果的に1枚倒せたんですけど、その1ミスから負けてしまうこともあるのがこのゲームなので、危なかったですね。

S4nkaRea 僕も「左にいるよ!」という敵の位置報告が頭に入っていなくて正面ばかり見ていましたし、最後なんか焦りすぎて武器を捨てちゃったんですよ。配信をよく見ると分かるんですけど、一度取りに帰っているんですよね(笑)。やっぱりミスに繋がるので「焦るのは抑えよう」というのが最近の練習試合での課題にもなっていますね。

──ドン勝を獲得した試合からでも反省点は得られるのですね。

S4nkaRea その試合から「ミスをしても次のプランを即座に言えるように」という目標を建てています。あと最近では「無駄な言葉をなくすように」と気を付けていて、例えば「ごめん!」みたいに謝る言葉って試合中は正直要らないんですよね。でも癖付いているので、なかなか治らないですけど(笑)。

世界に向けてリーグ全体の底上げを

Day8でプレイ中のS4nk4Rea選手(PMJL運営事務局提供)

──今シーズン対戦してみて、印象的だった相手チームについても聞かせてください。

S4nkaRea 僕はREJECTとLag Gamingですね。

E 自分もLag Gamingが印象に残っていますね。相手が嫌がる動きをやってきて、すごく頭の良いチームだなというイメージです。

S4nkaRea Lag Gamingは一度決めたら絶対にファイトしてくるんです。特に徐々に相手チームを囲う動きが得意で、僕らが狙われる側となって広く展開しようとしたら、それよりも広く展開して内側に追い込んでくるのが厄介でした。REJECTはどんな場面でもひとりダウンさせたら一気に突貫してくる動きが綺麗で、難しい相手でしたね。

──そんな国内のトップチームも、世界大会まだまだ苦戦を強いられるシーンが目立ちます。これから日本の「PUBG MOBILE」が世界と戦う上で必要なことは何でしょうか。

S4nkaRea まだまだ現状ではレベルに違いがありますね。プロとアマチュアでも差がありますし、国内で高いレベルにあるチームでも世界で戦えるとは限りません。

E 海外は日本と比べてスクリムの環境が違うんです。例えばタイなんかは世界大会に出られるような強豪が4チームも5チームも参加するので、他のチームにとってもすごくレベルの高い試合が経験できる。

S4nkaRea それと比べると、やっぱり日本はまだレベルの高い練習試合の数が圧倒的に足りないですね。現状だとREJECTさんやSCARZさんが世界でも戦えるチームですが、そうしたトップレベルのチームが伸びていけるような舞台が不足していると感じます。

E 全体の底上げや環境づくりをしていかないといけないな、とは選手としても思います。世界でも勝てるようなチームをどんどん出していくためにも、自分たちのレベルを上げていくことが必要になりますね。

シーズン終盤になると、エリアごとのすみ分けをいかに崩すかがポイントになる(4月24日の配信より)

PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE(PMJL)

使用タイトル:PUBG MOBILE
主催:NTTドコモ
チーム数:16チーム(1チームの選手登録は5名~7名)
試合構成:年間2Phase制 計100試合
試合形式:SQUAD
スケジュール:Phase1 2021年2月13日~5月1日
                  Phase2 2021年9月18日~10月(予定)
世界大会への出場条件:上期 Phase1 優勝チームが出場(※7月の「PUBG MOBILE WORLD INVITATIONAL」へREJECTが出場)
                               下期 年間SEASON総合優勝チームが出場(予定)
賞金など:年間賞金総額3億円(賞金とは別に、選手全員に1人年間350万円以上を保証)