目次

  1. 第3回、SZとCAGの怒涛の追撃
  2. 狭く険しいグランドファイナルへの道
  3. CAG vs Rush、注目の一戦はまさかの展開に!
  4. 加速する2位争い
  5. SUMMERシーズン天王山 Rush vs LVは歴史に残る激闘に
  6. 過去最高レベルのグランドファイナル、優勝は……
  7. SUMMERシーズンを終えて
  8. 【著者紹介】洲央

7月25日、「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー(以下、CoD:BOCW)」の日本一を決める「コール オブ デューティ プロ対抗戦 SUMMERシーズン」の最終戦が行われた。逆転に次ぐ逆転、まさかの敗北と圧倒的成長、僅差の2位争い、窮地に立たされる絶対王者……長年CoDシリーズプロシーンの解説を務める鈴木ノリアキ氏をして「過去最高レベル」といわしめたSUMMERシーズンの戦いは、片時も目が離せない激戦ばかりだった。

中でも個人的に最も印象に残ったのは、最終節の第5試合、Rush Gaming(以下、Rush)vs Libalent Vertex(以下、LV)である。今回はRushに焦点を絞り、この試合に至るまでの後半戦(第3回~第4回)の軌跡を追いきたい。そして、グランドファイナルの結果を含めて改めてCoD:BOCWシーズンを振り返ってみよう。

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まずは、第2回大会を終えた時点での各チームの順位を改めて確認しておこう。

無敗の王者LVが1位を独走している。2位のRushも13点と2位争いの中で頭一つ抜けている状態だ。また、3位のSCARZが9点、4位のCYCLOPS athlete gaming(以下、CAG)が8点、5位のREJECTが7点と3位争いもし烈を極めている。前回の記事で記したように、第3回大会では2位争いの本命であるRushとSCARZが激突することになっていた。

第1回大会でSCARZはRushに1-3で敗れており、特にリスありルールは力量に大きな差があると感じさせられる内容だった。また、SCARZはここで勝てなければ2位争いが厳しくなるため、プレッシャーも大きかったに違いない。一方、Rushとしてはリードしている分、心理的にも余裕を持って戦いに挑めるはずだった。

しかし、結果は3-0と圧倒的な大差でSCARZの勝利に終わる。Rushは序盤でリードを作るも追いつかれて呑み込まれてしまう展開が目立った。SMGを持つCurrent選手とWinRed選手のK/Dが目立って凹んでいることから、前線での撃ち合いに負けており、後衛のカバーが間に合っていないことが分かる。

作戦は正しいが、それを実行するためのフィジカルが足りていないのだ。チームで戦うCoDにおいて、「フィジカルの強さ」とは個人技だけでなくカバーも含めた総合的な撃ち合いの強さを指す。これを向上させるために必要なのは、より適正なコールアウトによる連携である。円滑なコミュニケーションを取れれば、敵味方の位置を正確に把握し、要所でのカバーを行って撃ち合いの主導権を握れる。この敗北を糧にRushが成長できるかどうかは、こうしたコミュニケーションの向上にかかっているのだ。

△撃ち合いで一枚上を行ったSCARZ

この日のSCARZはとにかく撃ち合いが強かった。新メンバーのRumia選手も抜群のフィジカルで見事チームにマッチしていた。第2回大会でその片りんを見せていた「チームとしての連携力」もしっかりものにし、見違えるほどに成長していた。プロシーン勃興以前から続くRushとの伝統の一戦に勝利したことは、SCARZを一気に勢いづけた。

△強さを見せつけたRumia選手

この後、RushはFAV相手に3-1で勝利して第4回に希望を繋ぐことはできた。しかし、まったく安心はできない。なぜなら、最終日の対戦相手はCAG、RC、LVである。CAGは第2回での大敗を糧に研鑽を重ね、ついに過去最強とも言える強さでプロ対抗戦に帰ってきていた。REJECT相手にはリスありルールで圧倒的な強さを見せつけて3-1勝利。LV相手にも一歩も引かず、1マップをもぎ取った。第2回大会でRushとSCARZに手痛い敗北を喫したことによる危機意識が、CAGをかつてないほどに成長させたのである。

△強すぎるCAGの前線たち

SCARZもこの日LVから1マップ取ることに成功し、FAVにも3-0で危なげなく勝利した。
前半戦とはまるで異なる強さを手にしたライバルチームたちの怒涛の追い上げを、Rushは躱すことができるだろうか。そして、いまだ土つかずの絶対王者LVに勝つことはできるのか。

WinRed選手が「あまり俺自身楽しめなかった」と素直に語ってしまうくらい、第3回ではチームとしてやりたいプレイがあまりできていなかった。加えて、撃ち合い面にも不安が残った。課題は見えてるが、状況は厳しい。

このような中で発せられたGorou選手の「全チームから3マップ取ることを目標にしている」という言葉は、LVへの宣戦布告であると同時に、自分たちを鼓舞する言葉でもあったと思う。敗北を引きずるのではなく、反省点を生かして成長していかなければならない。この目標宣言によって落ち込みそうになっていたチームの意識は、再び前を向くことができたはずだ。

後は、修練を重ねるのみである。

第4回大会を前にした、各チームのポイントおよび試合日程を見てみよう。

第4回直前のポイント
第4回の試合日程

Rushと同じ16ポイントながら消化した試合数が一つ多いSCARZは、CAGとRCに勝利しても22ポイントまでしか伸ばせない。12ポイントと出遅れているCAGは、Rushに3-0、SCARZに3-1以上、FAVにも勝利してようやく21ポイントとなる。

Rushは16ポイントで残り3試合のため、すべて勝てれば25ポイントとなり自力でグランドファイナル進出を決定できる。

3チームにとってとりわけ重要な試合は、直接対決となる第1試合CAG vs Rushと、第4試合CAG vs SCARZである。ここで勝ったチームがライバルに大きく迫ることができる。ちなみに、全試合を終えてポイントが並び勝利マップ数も同じだった場合、HARDPOINT(HP)で一発勝負を行って2位を決めることになる。

状況だけ見れば16ポイントで3試合を残しているRushが圧倒的に有利である。しかし、CAGとSCARZは前回大会からかなりの成長を見せてきている。追う側はメンタル的にも「やってやるぞ」と気合いを入れやすいものだ。対して、追われる側のRushはこの2チームの勢いに対抗できるほど成長できたのか。

絶対王者LVとのグランドファイナルをかけたデッドヒートは、初戦から大一番で開幕する。

CAG vs Rush、誰もが接戦になることを予想したこのマッチアップだが、意外な結末が待っていた。

なんと、3-0でCAGが快勝したのである。CAGが培ってきた戦術、連携、個人技、すべてが最高到達地点に届いた渾身の勝ちだったように思う。特に撃ち合いでのカバーは完璧で、どの場面でも常に人数有利を作ることに成功していた。

△CAGのカバー力は日本一だろう

第1、2回で機能していなかったチームとしてのまとまりが発揮され、Nicochaaaaaaaann選手とweekmoke選手のSMG陣が前線で自由に躍動していた。試合後、Nicochaaaaaaaann選手は「あのDay2(第2回)の敗北があったから長所を維持しつつ短所をカバーして成長できた」と満面の笑みで語った。

△選手たちもこの笑顔である

一方のRushは、CAGのスピードと前線への圧力に対策が追いついていない印象だった。カバーは間に合わず、SMG陣は個別に狩られる。戦術的にも後手後手の対応になってしまった。朝一番の試合ということもあり、Rushはまだエンジンがかかり切っていなかったのかもしれない。過去作でも、Rushはスタートダッシュを苦手としているイメージがあった。その分、土壇場で力を発揮するのも確かではあるが。

いずれにせよ、この敗北によってRushのグランドファイナル出場への可能性が一気に低くなったことは間違いない。CAGが全勝すると仮定しての話ではあるが、LVから2本取ったとしてもCAGとのHP一発勝負に勝たなければならなくなったのだ。この日のCAGは、リスありルールでは日本一強いのではないかと思わせる圧倒的な勢いを持っていた。第1試合を見た限りでは、Rushが決戦HPで勝てる可能性はないに等しい。そう言い切れるほど、CAGは強かった。

追い詰められたRushの次の相手はREJECT。ここで勝てなければ、LVとの対決を待たずしてグランドファイナルの夢は潰えてしまう。先程の大敗は、選手たちにどのような影響を与えているだろう。順位こそ伸び悩んでいるが、REJECTは強い。特にSEARCH & DESTROY(S&D)は全チームでもトップクラスの実力を誇っている。敗北のイメージに引きずられて全力をぶつけられなければ、この壁を超えることは不可能だ。

果たしてRushは気持ちを切り替えることができたのか。

負けられない第3試合は、3-1でRushの勝利となった。APOCALYPSEのHPではRushの見事な陣形に対してREJECTも素晴らしい追い上げを見せ大接戦。しかし最後にはRushがチームとしての底力を発揮して勝利を収めた。

このHPの勝利は、Rushの選手たちにとって大きな一本だったに違いない。その後のマップでは、CAG戦とは別チームであるかのように生き生きとプレイができていた。陣形、カバー、個人技の爆発、どれをとっても安定感がある強いRushの姿がそこにはあった。

△輝く一等星、脅威の4枚抜き

実際に選手たちの心境がどうだったのかは分からない。しかし、視聴者目線からはCAGに負けたことによってRushのエンジンがかかったように見えた。思い返せば、CAGもまた第2回でRushに0-3で負けたことによって、自らを見直してここまで成長することができたのである。ライバルがいるから成長できる。その言葉がまさにここでは体現されていたのではないだろうか。

その後、息つく間もなく始まったCAG vs SCARZの第4試合。撃ち合い最強を決めるフィジカルのぶつかり合いはCAGに軍配が上がった。ポイントも3-1と、CAGにとっては理想的な結果となった。

△強すぎるweekmoke選手

以下は全チームが9試合を終えての順位表である。

9試合を終えた時点での順位表

CAGが10試合目に勝利すれば21ポイントとなる。すると、RushがLVに1マップ以下で敗北した場合は、自動的にCAGがグランドファイナルへ進出する。Rushが2マップを取った場合、HPでCAGと決戦することとなる。そして、RushがLVに勝てば自力でグランドファイナル進出を決めることができる。

泣いても笑ってもこれで決まりの第5試合開始前。おそらく、RushがLVに勝つとこの時点で心の底から信じていた視聴者は一人もいなかったのではないだろうか。確かにRushは勢いを取り戻したが、LVもまた第2試合でFAV gaming相手に圧勝していた。10連覇中の絶対王者の強さは相変わらずだ。

Rushは土壇場に強いため0-3ということはないだろうが、1-3くらい、あるいは2-3で敗北してCAGとグランドファイナル進出を懸けてHPで戦うこととなる……視聴者のほとんどがこのように考えていたはずだ。

実際、私もそうだった。Rushは1マップ目のHPとコントロールを取るも2-3でLVが勝ち、CAGとのHPに行くのだろうと考えた。

しかし、私の予想は1マップ目からいきなり外れることとなる。マップはGARRISON、先に主導権を握ったのはRushだった。エースのSirius選手が躍動し、チームメンバーもその勢いに乗る。これまでRushに足りないと言われていた個人技の絶対的フィジカルを、この試合では4人全員が発揮していた。

LVも当然負けてはいない。一進一退の攻防が続き、ほとんど点数差のないまま最後の地点に至る。先に取ったのはやはり勢いのあるRush。見事に拠点を固め、残り数ポイントで勝利というところまで迫る。

普通のチームであれば焦って正面から突撃してしまったであろう場面。しかし、絶対王者は焦らなかった。冷静に遠回りをして、強い形で地点を囲んだのだ。その落ち着いた行動によって、地点内は一時的に4 vs 2になってしまった。土壇場での勝ち方を熟知していたLVはそのまま地点を制圧し、250-241という僅差で勝利した。

歴史に残る大接戦のHPだった。視聴している間、呼吸を忘れるほどのシーソーゲーム。どちらが勝つのか、最後まで本当に分からなかった。

△絶対王者の冷静さ

続くS&Dは、LVが得意としており、Rushはやや苦手としている印象のあるルールだった。しかし、蓋を開けてみればなんと6-1と大差でRushの勝利となったのである。地点へ侵入する際や爆弾を設置してから守る際の、お互いをカバーする動きが実に洗練されていた。

作戦の手札も多く、LVをまったく寄せ付けなかった。また、Sirius選手の圧倒的なフィジカルも目立ち、まさに完璧なS&Dと言っていい内容だった。

△堂々たるエースのSirius選手

この時点で、実況解説のお二人も含めて、視聴者の誰にもこの試合がどうなるのか完全に予想ができなくなってしまった。HPの大接戦は辛うじて理解できる。しかし、あのLV相手にS&Dで圧勝となると、画面に映っているのはもはや私たちの知っているRushではない。第1試合と別人どころか、別次元の存在だ。

ワケが分からなくなったまま迎えたCONTROLは、これまた視聴者の心臓に悪い大接戦となった。結果的にはLVが3-2で制したが、内容的にはRushの方が積極的に試合を展開していたように思う。撃ち合いも負けていなかったし、作戦もよかった。

それでも紙一重で勝ってしまうのがLVの絶対王者たる由縁だろう。最後の攻めでグイグイと前線を押し上げ、Rushの巧みな受けを破壊した腕力はさすがの一言だった。

△LVのA地点での押し引きはもはや芸術

続くAPOCALYPSEのHPは、Rushがピックマップ故の練度の高さを出して勝利した。HPにおいて極めて重要なリスポーン管理は、両チームともトップレベルで大差はなかった。

勝負を分けたのは、重要な場面での撃ち合いの強さだった。向上したRushのコールアウト性能が完璧なカバーを作り出したのだ。おかげでノリに乗ったCurrent選手とSirius選手が活躍し、LVの攻撃陣形を破壊した。Rushが必ず先にキルを取れたためLVの攻撃は続かず、Gorou選手のARでとどめを刺される展開も目立った。WinRed選手もチームのために動き回り、LVに主導権を渡さなかった。

250-142という点差から、Rushがどれだけ素晴らしいプレイをしたのかが読み取れることだろう。このマップでのRushの勝利によって、SCARZはグランドファイナル進出の可能性を断たれた。

△Current選手が見せた最強のフィジカル

そして、マップカウント2-2で迎えたS&Dは、LVの得意マップであるSTANDOFFで行われた。

絶対王者LVは2-2からが強い。過去、こうした修羅場は何度も抜けてきた。一方のRushもまた、こうした土壇場で劇的に勝利を収めてきたチームである。

プライドをかけた最後の戦いは、Current選手の気合いのキルから始まった。ワンマガジン全て撃って一人の敵を倒し切ったのだ。勝ちたい気持ちが全面に現れた射撃に、見ているこちらも胸も熱くなった。

しかし、2ラウンド目はLVが見事な連携で防衛を決める。どちらも譲らない戦いは続き、2-2となる。一つでもビッグプレイが出れば、そちらのチームに流れが傾くであろう5本目。

Current選手が1 vs 2クラッチを見事に決める。

△射線管理とヘッドショット=最強

さらに続くラウンドでもGorou選手も超人的な反応速度とエイムを発揮して1 vs 3を制し、流れを完全に引き寄せる。

△実況解説のお二人の喉も破壊するダブルキル

勢いに乗ったRushは強気の前攻めを繰り出し、5-2と王手をかける。LVも王者の意地を発揮して1ラウンドを返すが、Rushが勝ち切った。最後、ボム設置を止めたのがRushの象徴ともいうべきWinRed選手だったことも感動的だった。

△LVが敗れる日が来た

第5試合のRushは、まさにチームとしての理想形だったと言えよう。元々強みだった陣形の美しさと戦術の幅を生かしつつ、王者に負けないフィジカルも発揮していた。

個人技の爆発もあったが、Rushが撃ち合いに勝った場面をよく見てみると、ほとんどはカバーが間に合って勝っていることが分かる。このカバーの早さと正確さを支えているのは、敵の位置報告や撃ち合う際の味方との距離感などの連携力のおかげであろう。第3回での課題であったコミュニケーション部分をRushはきっちり仕上げてきたのである。

特にSTANDOFFのS&Dのミニマップに注目してみてほしい。味方が接敵していると分かった瞬間、カバーすべき選手全員の射線がそちらに向く。まるで四人で一つの生き物であるかのような有機的な連携である。コールアウトを聞くことはできないが、おそらく正確かつ素早いコミュニケーションが交わされていたのだろう。

絶対王者を相手に、誰も勝てないと思っていた試合を僅差で勝利する。「事実は小説よりも奇なり」というが、こんな筋書きは神様でさえ考えていなかったに違いない。Rushの勝利は歴史的な快挙であった。

また、たった一勝にそこまでの重みを付与するLVというチームも同じくらいすごい。しかも、決勝戦ではこの組み合わせをもう一度見ることができるのだ。視聴者としては、嬉しいことこの上ない。

激戦の爪痕が残る最終結果

一方、絶好調のCAGがあと一歩届かない悔しい結果に終わったことも忘れてはならない。なにせ、CAGはRushに0-3で勝っていたのだ。今日のCAGならLV相手にも勝てるかもしれないと思わせるほどの圧倒的な強さがあった。第6試合の勝利インタビューでNicochaaaaaaaann選手は「第2回での敗北がなかったらと思うが、あの敗北があったからここまで強くなれた。複雑な気分。でも全力で楽しめたから悔いはない」と語った。

Leisia選手も涙ながらに悔しさと達成感を語ってくれた。そんな二人を見守るメンバーたちの表情も朗らかで、本当にいいチームだと心から思った。

△CAG、感動をありがとう

グランドファイナルは、第5試合の結果から考えれば、HPはLV、S&DはRushに分があると言えよう。加えて、RushはLVに勝った自信と勢いがある。故にマップピックから、Rushは攻めの姿勢を見せていく。

S&DでLVが得意とするRaidをあえて選んでいたのだ。初めての敗北に動揺していたはずのLVの選手たちの目に、この挑戦的なピックはどう映ったのだろう。インターバルの間に、LVはマインドを切り替えられたのだろうか。

その答えは、さっそくHPで示された。予想通り接戦となったHPだが、最後はLVが練度の高さを見せつけて勝利したのである。追い詰められてもぶれない精神力を見せつけたLVは、これで勢いに乗る。しかし、Rushも負けていない。

両チームの意地と意地がぶつかりあったS&Dは、5-5までもつれ込む。LVはS&Dで5-5になってからほぼ負けたことがない。しかし、その神話はここで崩された。Gorou選手のセンター見張りが刺さり、勢いのままにRushが押し切ったのである。

△LVは強気に攻めたが、Rushの戦術が上をいった

攻めのピックをしたマップで勝ち切ったことは、Rushに自信を与えたに違いない。1-1となり、勝負は振り出しに戻された。

運命のCONTROL、マップは第5試合と同じくGARRISON。防衛有利とされているこのマップで、まずはLVが2本を先取する。しかし、Rushも驚異的な爆発力で2本取り返す。

どちらも一歩も退かずに迎えた最終戦、有利な防衛側はLVだったが、Rushは果敢に攻めてB地点を奪取する。けれども決め手に欠けるまま残り24秒。2キルでチャンスを得たRushがA地点に殺到する。地点内の攻防はRush優勢に進むも、2人残っていたうちのCurrent選手がInaba UR選手に落とされる。そして、そのカバーにWinRed選手がギリギリで間に合わなかった。

△Inaba UR選手が生き残って勝つ

このカバーが成功していれば後続の仲間が地点に乗れただろう。しかし、Inaba UR選手がすんでのところで身体を隠し、WinRed選手の射線を切ったのである。このプレイによって、紙一重のコントロールはLVに軍配が上がった。

4マップ目のHPは、LVが自力の高さを見せて危なげなく勝利。前人未到の11連覇を達成した。

△11連覇の瞬間

試合後、11連覇を決めたLVの勝利インタビューで判明したのは、5試合目の敗北にやはり動揺していたということだった。敗北を経て成長したRushは、本当にギリギリまで絶対王者を追い詰めていたのだ。それでも、LVは気持ちを立て直して勝ち切った。

王者もまた、敗北することによって一つ強くなったのである。勝った選手たちの目に浮かぶ涙が、この戦いの激しさを物語っていた。

△王者の涙

SUMMERシーズンは、これまでの日本CoDプロシーンにおいて最高レベルの大会だったように思う。

戦術、個人技、連携力、どれをとっても間違いなく世界とそん色なく戦える水準に達していた。SPRINGシーズンも含めて見てみるとより顕著であるが、出場した6チームすべてが明らかに成長を遂げていた。

また、Sirius選手やweekmoke選手、Rumia選手など若手の大活躍も目立ったシーズンであった。後日行われたLeisia選手の振り返り配信によれば、今シーズンはライバルチームのリーダー同士でも、考え方や戦術などの交流があったそうだ。個人ではなくチーム、チームだけでなく日本全体で強くなっていったわけである。

「ライバルにして戦友」という言葉がぴったりの全選手たちに、心からの称賛を送りたい。彼らはみな、本気で勝つための努力を重ねていた。誰一人、手を抜く者はいなかった。

第4回では各チームが勝利インタビューで涙を見せる場面があった。見えないところで、敗北したチームもまた色々な意味のこもった涙を流していたことだろう。本気でやってきたからこそ、その涙は流されたのだ。自分も彼らのように本気で努力して成長したい。自然とそんなことを思った。

今の日本勢ならば、世界に出ても確実に結果を残せるはずだ。先のわからない不安な情勢ではあるが、いつかまたオフラインの世界大会を開催してほしい。その時、ライバルと競い合って成長してきた日本勢の強さは、必ず世界に衝撃を与えることだろう。

これで日本におけるCoDプロシーンはいったんオフシーズンとなる。しかし、選手たちを引き続き応援することはできる。

例えば7月27日にはxAxSY選手、WinRed選手、Leisia選手の三人で「Call of Duty: Warzone」の配信をしていた。LV、Rush、CAGと激戦を戦い抜いたライバルたちが仲良くゲームをしている姿は、見ているだけで温かい気持ちになった。

他の選手たちの多くも、配信や動画投稿などで活動を続けている。各チームによる大会の振り返り配信なども行われる予定だ。大会が終わってからも、CoDの熱が冷めることはない。

すおう 作家。第1回百合文芸小説コンテスト大賞受賞。現在はコミック百合姫でアイドル青春百合小説「いつか君と、輝く星に」を連載中。小説以外にもシナリオ、マンガ原作、動画脚本など多方面で活動している。ゲームはカジュアル勢。プレイ中に絶景を見つけては、そこに立つ自分を妄想して日々を生きている。
Twitter:@laurassuoh
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