「ウイイレ」の進化ではない 新しいサッカーゲーム

アンバサダーを務めるメッシ選手

まーさん(敬称略) まず、単刀直入にお聞きします。長年親しまれてきた「ウイイレ」の名前を使わない決断にはどんな意図があるのでしょうか?

木村(敬称略) まず、PlayStation 5やXbox Series X|Sなど次世代の家庭用ゲーム機が出るタイミングにあわせて、ウイイレのゲームエンジンを一新するプロジェクトが動いていました。他にも市場の流れに追いつくために、Free to Play(基本プレイ無料)化やデバイスの垣根を超えて対戦・協力ができるクロスプラットフォームへの対応が必要だと考えていました。

ゲームエンジンとビジネス面での変化を受けて、クロスプラットフォームによる大きなeスポーツシーンを作る。そのために、日本では「ウイイレ」、海外では「Pro Evolution Soccer(PES)」と呼ばれていたものを、「eFootball™」に統一しようと決断しました。

まーさん 自分は99年発売の「ウイイレ4(ワールドサッカー実況ウイニングイレブン4)」からプレイしていたので、ウイイレの名前が使われなくなることに寂しさも感じます。でも、新しい時代になったということですね。

木村 ウイイレは今までずっと進化を続けてきたわけですが、今作も「ウイイレ」の名前がつくとどうしても進化の延長に見えてしまいます。だから、生まれ変わったことを表明するために「eFootball™」と新しいブランド名をつけたんです。みなさんの反響が楽しみでもあり怖くもありますが、相当な覚悟をもって変えました。

eスポーツのプラットフォームとして最大化へ

「eFootball™」のロードマップ

まーさん 先ほどお話しいただいたFree to Playについて詳しく聞かせてください。様々なタイトルが基本プレイ無料で展開されている市場の流れにあわせて、「より多くの人にゲームに触れてもらいたい」という意図ですよね。

木村 まさにその通りです。Free to Playもクロスプラットフォーム対応も市場にあわせることはもちろん、「eスポーツのプラットフォームとして最大化する」ための取り組みでもあります。「サッカーゲームがしたい」と思ったら誰でも簡単にプレイできる環境を作るため、参加のハードルを極力下げたいと考えました。

まーさん 実は僕の身の回りの人に「まだウイイレやってる?」って聞くと、プレイはしているんだけど最新作は持っていない人が多いんです。

木村 そうなんですよ。最新版は買っていないとか、次世代機を持っていないとか、「昔はウイイレをやっていた」と過去形の人が多いんです。だから「すべてのサッカーファンにプレイしてもらう」ために大きく舵を切りました

まーさん プレイヤー層が非常にひろがりそうですね!

気になるゲームプレイは?

「eFootball™」の木村征太郎プロデューサー

まーさん ゲームエンジンは新たに「Unreal® Engine」が採用されましたよね。今までのゲームエンジンと何が違うんでしょうか?

木村 「eFootball™」は、Unreal® Engineの表現力をベースに、独自のサッカーゲームエンジンを開発して新しく生まれ変わりました。Unreal® Engineに関しては、開発における利点が非常に大きかったですね。今までのウイイレは自社製のゲームエンジンを採用していましたが、自社でしか使っていないエンジンだったので開発事例も多くはありませんでした。Unreal® Engineは他メーカー様の様々なタイトルで採用されていて、開発事例もたくさんあります。多くの事例を参照できるので、非常に制作しやすいんです。

また、Unreal® Engineではあらゆるデバイス向けの開発を一つの開発環境で行えるんですよ。クロスプラットフォーム化を目指す上でこの点は非常に大きなメリットです。開発目線の話ばかりしてしまいましたが、プレイヤー目線では「Unreal® Engineの表現力」の素晴らしさに注目してほしいですね。

まーさん ゲームプレイにおいては、1対1の駆け引きが進化していると聞きました。

木村 サッカーの面白い部分はやはり1対1に詰まっていると考えていて、そこの駆け引きに重点を置いて開発を進めています。仕掛ける守備・かわす攻撃など、幅の広い戦略が取れるようなイメージですね。細かい仕様についてはもう少し発表を待っていただきたいのですが、オフェンス面ではアンドレス・イニエスタ選手、ディフェンス面ではジェラール・ピケ選手にゲームプレイの監修をしていただいているので、内容は期待しておいてください!

まーさん どちらも僕が大好きな選手なので、めちゃくちゃ楽しみですね! 操作もガラッと変わりましたが……。

木村 操作についても試行錯誤中ですので、今後の発表をお待ちください。ただ日々調整を続けていて、本当にどんどん面白くなっていると思います。

注目の新システムは

まーさん 新しいゲームシステムとして、「チームビルドモード」や「マッチパス」なども実装されます。これらはどういったシステムなのでしょうか?

木村 「チームビルドモード」はまったく新しいゲームモードというよりは、今までの「myClub」に相当するものですね。今までのmyClubではいわゆる「ガチャ要素」が強かったのですが、よりプレイヤーのみなさんに楽しんでいただくため、好きな選手を指名して獲得することもできるようになります。

試合プレイの数に応じて好きな選手を指名して獲得できるアイテム等がもらえる仕組みが「マッチパス」です。無料と有料、どちらのパスも用意しています。モードの詳細については続報をお待ちください。

まーさん 予想外の回答でびっくりしました! ゲームプレイだけでなく、システム面も生まれ変わっているんですね。獲得できる選手の条件を指定する「スカウト」とも違いますもんね。

木村 スカウトとは異なり、特定の選手を名指しで獲得できます。参加のハードルを下げて「初心者からコアプレイヤーまで、誰でも遊びやすいゲーム」を目指した結果、採用したシステムですね。

まーさん ガチャが当たったときの気持ちよさも好きでしたが、指名で獲得できるのであれば「好きな選手で自分のチームを作る」ことにより集中できそうです。

目指すのは「誰もが世界一を目指せる世界」

ウイニングイレブン まーさん
まーさん選手(中村ユタカさん撮影)

まーさん クロスプラットフォームでの対戦が可能となると、いちプレイヤーとしては回線の問題が気になります。

木村 我々も常に悩まされているところです。「eFootball™」ではオンラインサーバーを全プラットフォーム、全世界共通にします。どんなデバイスでプレイしていても、世界のどこにいても参加ができて、誰もが「世界一上手い人」を目指せる大会を開けたら、ロマンがあるじゃないですか。だから、回線やデバイススペックの差が可能な限り出ないように配慮して作りたいと考えています。

まーさん ワクワクしますね。全世界共通のサーバーなんて、まったく想像していませんでした。プロ目線の話ですが、今までは日本で勝ち上がった選手が世界に行く仕組みだったので、世界大会に出る多くの日本人選手は海外選手との対戦経験が少なくて苦労する面がありました。日頃から世界中の人とマッチングできるのは、プロ選手たちにとってもロマンがありますね。

木村 まさにプロeスポーツ選手ならではの観点ですね。アマチュアの選手、カジュアルプレイヤーの方々にとっても、場所やデバイスの制限なく一緒にプレイできるので、フレンドを誘いやすいと思います。対戦する相手のデバイスを制限したり、通信が快適に行えるプレイヤー同士を優先してマッチングしたりと、マッチングオプションも充実させる予定です。

まーさん 大会については、どのような構想があるのでしょうか?

木村 世界一を決める公式大会を作りたいですね。構想段階ではありますが、エリアごと、デバイスごとなど、みなさんが自分に合った形で参加できるように大会を構築していこうと考えています。

まーさん オンラインでは様々なデバイスでも対戦できるわけですが、オフライン大会ではどのデバイスを主軸にするのでしょうか?

木村 まさに悩んでいる部分ですが、どうしても参加者が多くなるデバイスを選択することになると思います。入力デバイスに関してはPCでもモバイルでも、普段使っている好きなコントローラーをつなげるようにする予定です。プレイヤーのみなさんが好きな環境で参戦できるように配慮しますが、新しい試みなのでいろんなご意見もいただくと思います。そういった声も反映しながら、公平な形にしていきたいですね。

まーさん 「eFootball™」は操作や楽しみ方も今までのウイイレとはガラッと変わると思います。僕もプロとして一から勉強したいですし、新しい操作やシステムもとても楽しみです。ローンチが待ち遠しいですね!

木村 KONAMIは今までずっとサッカーゲームを作ってきているので、面白さは保証します! 選手の獲得や戦術など、今まで以上に遊びやすく楽しい要素を追加していますし、ローンチ後もみなさんの声を聞きながら随時アップデート・拡張していく予定です。新しい「eFootball™」をぜひみなさんで楽しんでください!

(渋谷侑希)