目次

  1. 「接戦」の連続で獲得ポイントの差が縮まる
  2. Rushの著しい成長 WinRedは大輪の花火を咲かせるか?
  3. 夏、生まれ変わったSCARZ
  4. Rush vs SCARZ 伝統の一戦が見られる第3回

現在、「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー(以下、COD:BOCW)」の日本一を決めるコール オブ デューティー プロ対抗戦のSUMMERシーズンが開催されている。プロ対抗戦は隔週で4回行われ、全6チームが総当りで2回対戦する形式だ。現在、SUMMERシーズンは第2回までが終了し、総当たり戦の1周目を終えたところである。

SPRINGシーズンの振り返りでも紹介したように、プロ対抗戦では5マップをそれぞれHARDPOINT(HP)、SEARCH & DESTROY(S&D)、CONTROL(CT)、HP、S&Dという流れで戦い、3マップ先取した方が勝ちというBo5形式が取られており、勝ったマップ数が直接ポイントとなる。たとえば、3-0で負けると0ポイントだが、3-2で負けると2ポイント獲得できるといった具合だ。

このポイントシステムを踏まえた上で、次の2枚の画像を見比べてほしい。

SPRINGシーズン第2回を終えた時点でのポイント数
SUMMERシーズン第2回を終えた時点でのポイント数

これはプロ対抗戦の各シーズン第2回を終えた時点での戦績であり、1枚目はSPRINGシーズン、2枚目はSUMMERシーズンのものである。

SUMMERシーズン 第2回終了時の順位

1 Libalent Vertex
2 Rush Gaming
3 SCARZ
4 CYCLOPS athlete gaming
5 REJECT
6 FAV gaming

興味深いのは上位3チームの獲得ポイントがSPRINGとSUMMERで同じ「15、13、9」である点だ。いずれのシーズンでも、トップに位置するのは最強王者のLibalent Vertex(以下、LV)であることは変わらない。

しかし、2位以下の顔ぶれが大きく異なっている。SPRINGシーズンでは4位だったRush Gaming(以下、Rush)が2位に、最下位だったSCARZが3位になっている。

加えて、4位以下のポイントもSPRINGとSUMMERでは様相が異なる。SPRINGでは5位と6位が4ポイントで下位につけていたのに対し、SUMMERでは4位が8ポイント、5位が7ポイントとかなり競っている。

これらの数字から「全チームの実力差が小さくなってきている」ことが読み取れる。SUMMERシーズン 第2回では3-2までもつれ込む試合が多かったことも、その証拠だろう。より細かく分析すると、S&Dでは6-4や6-5、CONTROLで3-2など、ギリギリの戦いも随所で目立っていた。

ここまで接戦が多いと選手たちは疲れるだろうが、見ている側としては楽しいことこの上ない。とりわけ第2回では、絶対王者LVがREJECT相手に3-2とあわや敗北しそうになったり、SPRINGシーズン2位の強豪CYCLOPS athlete gaming(以下、CAG)がRushとSCARZに敗れる大番狂わせが発生したりと、手に汗握る名勝負がたくさん行われた。

シーズンの最後を飾るファイナルに向けての争いはますます混沌とし、もはや誰にもその行方は分からなくなってきた。

そんな中でも、2位、3位と好調なRushとSCARZに注目して、両チームの成長を分析すると共に、SUMMERシーズン前半戦を振り返ってみたい。

SPRINGシーズンでのRushは戦術こそ素晴らしいが、連携面やフィジカル面であと一歩及ばない場面が何度も見られた。それでも第4回では成長した姿を見せて3位を獲得し、SUMMERシーズンでの活躍に大きな期待を残してSPRINGシーズンを終えた。

あれから2カ月、新たに開幕したSUMMERシーズンにて、Rushは視聴者が想像した以上にチームとして成長した姿を見せてくれた。味方をカバーする射線の作り方、息を合わせて同時に動くためのコミュニケーション、敵や味方の位置の情報管理、etc……一口に「連携力」と言ってもその内訳は様々だが、Rushはそのすべてにおいて目覚ましい進化を遂げていた。

おかげで元々強みだった戦術の幅がさらに広がり、敵に合わせて柔軟に対応できるようになった。どのマップでも一定以上の強さを安定して発揮できており、順位的には下位のチームに足をすくわれることなく第1回を勝ち切ってみせた。

しかし、相手が勢いに乗ると押されてしまいぐらつく場面もないではなかった。強くはなったが、伸びしろはまだまだある。それが第1回を終えてRushに抱いた率直な感想だった。

△第1回ではSCARZ戦のこの映像だけでなく、FAV gaming戦でもひやっとするシーンが多かった

続く第2回でRushは、CAG、LV、REJECTとSPRINGシーズン上位陣と顔を合わせることとなった。果たしてRushはどこまで成長しているのか。向上した連携力は、上位チームにも通じるほどのものなのか。

SUMMERシーズンの行方を占う上位対決は、大番狂わせから始まった。

SPRINGシーズンでは0-3という手痛い敗北を喫したCAGを相手に、Rushはまさかの3-0で勝利を収めたのだ。しかも、その試合内容もかなり良かった。どのルールでも確固たる戦術を持って冷静に戦い、チームとしての完成度の高さを見せつけた一戦となった。

例えばHPのGorou選手の3連続キルの場面。鈴木ノリアキ氏も解説していたように、Gorou選手が個人技だけでキルしたわけではなく、味方が削った結果生まれた連続キルだった。

△チームで取った美しい3連続キル

このキルにつながるWinRed選手の「味方を待つ動き」もとても良かった。これまで、こうした動きは特にCurrent選手が得意としていたように思う。しかし、今回の試合を見ていると、Current選手だけでなくメンバー全員が「待つところでは待てる」ようになってきた印象を受けた。

SPRINGシーズンのRushは、形にこだわるあまり敵の動きを待ってしまったり、一気に行こうとしてもタイミングが噛み合わなかったりと、4人で合わせる連携に難があった。それを自覚していたからこそ、Gorou選手もインタビューで語ったように「行く時は行くし、行かないときは行かない」というチームプレイの緩急を重点的に仕上げてこられたのだろう。

個人的に一番Rushが光っていた思った試合は対CAG戦、CHECKMATEのCONTROLだ。強気に暴れ回るSirius選手の圧倒的フィジカル、見事な位置取りで敵をかく乱するCurrent選手、遠距離から味方をカバーして敵を倒し切るGorou選手と、各選手の強みがしっかり出ていた。

そして何より最高だったのは、WinRed選手だ。

△Winred選手の見事な立ち回り

相手陣地に巧みに入り込み、キルがほしい場面でキルログにしっかりとWinRed選手の名前を流す。さらにキル後も落ち着いており、調子に乗って猪突猛進することもない。相手にとって「敵がいたらイヤなところ」をきちんと抑え、無駄にデスせず、軽快にSMGの役割を果たしていく。

これまでのWinRed選手は過去作も含めて、フィジカルの強さで押してしまえるが故に位置取りが疎かになり、カバーがもらえずデスしてしまうことがそれなりにあったように思う。しかし、SUMMERシーズンになってからのWinRed選手は、どこで自分が存在をアピールすれば敵にプレッシャーをかけられるか、どこで撃ち合えば味方がカバーしやすくなるか把握して動いているように見える。チームの一員として、自分と味方を同時に生かす立ち回りができているのだ。

長期的な目線を持ち、シーズンを通して自分の課題を理解し、足りない部分をしっかり補って成長できているのは素晴らしいことだ。フィジカルの強さに加えて、立ち回りの巧みさまでをも備えてしまったWinRed選手は、間違いなくこの夏に大輪の花火を咲かせることだろう。

その後Rushは、REJECTに接戦の末3-2で勝利、LVには1-3で敗れこそしたがCONTROLを3-2で取り、S&Dも5-6と惜しいところまで迫る熱戦を繰り広げた。これだけ競った試合をすると、褒める点と反省すべき点の両方が多く出てくるはずだ。Rushはそうやって課題を見つけた時に、きちんと自分たちの成長につなげる形で消化していくのがとりわけ上手いチームだと思う。だからこそ、現在2位にまで上がってきているのだろう。

ポイント的にも、伸びしろ的にも、Rushはきたる第3回で最も目が離せないチームの一つである。果たしてその銃弾は、日本一の高みへ届くか否か。

SPRINGシーズンのSCARZは、撃ち合いこそ全チーム中最強クラスだが、連携力や戦術面の練度が撃ち合いの強さに追いついていない印象だった。それでも最終戦では上位チーム相手に善戦し、SUMMERシーズンでの成長に期待がかかる終わり方をした。

そうして迎えたSUMMERシーズン第1回。結果は3試合で4ポイントと振るわないものだった。撃ち合いの強さは相変わらずだが、戦術面、連携面の習熟はまだまだ足りていない印象も変わらない。SCARZはSPRINGシーズンの開幕戦でも同じような状況に陥っており、戦術が広がり連携力がついてきた頃にはシーズンが終わりかけていた。

△SUMMERシーズン第1回の対Rush戦、最後の最後に連携力で上を行かれてしまったSCARZ

SUMMERシーズンでも同じ轍を踏むのか、あるいは違いを見せるのか。注目の第2回、対CAG戦にて、SCARZはそのプレイで答えを提示する。

初戦のHP、SCARZは随所で撃ち合いの強さを発揮しながらいい位置をキープし続け、危なげない勝ち方をした。これまでのSCARZは個人個人が撃ち合いに勝っても、その後にチームとして動けていなかった。故にせっかく大量キルをしていい位置を取っても守り切れずに、結局取り返されてしまってポイントにつながらないことが多々あった。
たとえばSUMMERシーズン第1回のvs Rush戦がそうだった。撃ち合いで勝ってはいても、ポイントでは僅差で負けてしまうのだ。

しかし、今回は違っていた。地点ローテーションの2周目から、SCARZは拠点内で一度固まって敵を圧倒すると、その後すぐにバラバラにならず、それでいて小さくなりすぎない見事な距離感でお互いをカバーして拠点を守り切った。CAGはSCARZの形が常に良かったため一人一人狩られてしまい、全員で一気にいくタイミングを失ってしまった。その後、第3ポイントではCAGも巻き返しを図ってきたが、SCARZは落ち着いて第4ポイントを固め、持ち前のぶつかり合いの強さを発揮して見事に250-189で勝ち切った。

△これこそフィジカルを生かす連携力!

S&Dは3-6で落とすが、CONTROLでは攻めが圧倒的に難しいGARRISONで3-0と完勝。NevvtonX選手が化け物フィジカルで敵をなぎ倒し、SUMMERシーズン第2回から新加入のRumia選手も連続キルを繋ぎ、ARのはずのChieFlord選手までもがSMGで大暴れ。個人技の爆発だけでなく、連携面でも4人全員でがっつり攻めまくり、長所を前面に押し出してキルを重ねた。

△このゴリゴリフィジカルである

続くHPは224-250の僅差で敗れるも、最終戦のS&DではCAGの得意マップであるMOSCOWを6-4で制した。

△AR陣の対面の強さには目を見張るものがある

REJECTとの最終試合こそ研ぎ澄まされたS&Dの完成度の前に一歩及ばず2-3で敗北したが、CAG戦と合わせてかなりポイントを積むことができた第2回となった。

全体的に、化け物フィジカルを生かすための連携力を手に入れた「新生SCARZ」の片鱗が見えた日だった。自分たちの長所と短所を理解して練習していなければ、ここまでの成長はあり得ない。あとはマップに合わせた戦術の幅が広がれば、SCARZは確実に優勝争いに絡むチームとなるだろう。

以下は、現在の順位表と次回の対戦表である。

SUMMERシーズン第2回を終えた時点でのポイント数

1 Libalent Vertex
2 Rush Gaming
3 SCARZ
4 CYCLOPS athlete gaming
5 REJECT
6 FAV gaming

SUMMERシーズン第3回の対戦表

この中で個人的に楽しみなのは何と言っても第5戦、Rush vs SCARZだ。公式大会が開催される以前より日本一の座を巡って競ってきたこの対戦カードは、ファンの間では伝統の一戦と呼ばれている。SUMMERシーズンでは両チームとも勢いに乗っており、ポイント的にも上位につけている。Rushが勝てればファイナルへ向けて大きなリードを作れる。一方、SCARZが勝てば2位争いは本当に分からなくなる。

また、第3戦のSCARZ vs LVも注目すべき一戦だろう。今のSCARZなら、絶対王者相手にもいい勝負ができるのではないだろうか。もしも、SCARZがRushとLVに勝てたとしたら、1位争いは三つ巴の混戦となる。

さらに、CAGとREJECTも全勝できればファイナルへ希望を繋げる位置につけているのも見逃せない。第2回で悔しい思いをしたCAGは、必ず猛省と猛練習を重ねて化けてくる。初勝利を掴んだREJECTも、いい雰囲気で第3回に臨めるはずだ。最下位のFAVも前半戦で足りない部分を自覚しただろうから、死に物狂いで巻き返しを図ってくるのは間違いない。

各チームの実力が伯仲しつつある状況の中で、頭一つ抜け出すのはどのチームなのか。灼熱の第3回は7月11日(日)に開戦する。

第3回はこちらから視聴可能

【著者紹介】洲央

すおう 作家。第1回百合文芸小説コンテスト大賞受賞。現在はコミック百合姫でアイドル青春百合小説「いつか君と、輝く星に」を連載中。小説以外にもシナリオ、マンガ原作、動画脚本など多方面で活動している。ゲームはカジュアル勢。プレイ中に絶景を見つけては、そこに立つ自分を妄想して日々を生きている。
Twitter:@laurassuoh
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