Agu選手Jay選手Web Nasri選手の3人で構成する2021年のサッカーe日本代表にとっては、初めて開かれた国際親善マッチでした。キリンビバレッジ社の特別協賛のもと「e国際親善試合 KIRIN iMUSE CUP(キリン イミューズ カップ)」として開かれました。

eマレーシア代表はアジアの中でも強豪国です。e日本代表とともに、8月に行われる国対抗の「FIFAe Nations Cup」(デンマークで開催予定)への出場権を得ています。5月に行われた予選では日本代表は敗れており、いずれは倒さなければならない強敵と言えます。

フィットネスプログラムでコンディションを調整

フィジカルフィットネスプログラムに臨む3選手(右)

試合に先立ち、6月17日には3選手に対するフィジカルフィットネスプログラムが実施されました。「世界で戦えるフィジカルの構築」「個人の特性にあったフィジカル要素の向上」を掲げ、e代表選手のコンディション、パフォーマンス向上のためにプログラムが作られました。

フィジカルフィットネスプログラムに臨む3選手

大会だけでなく、日常のトレーニングにも取り入れられるというフィジカルトレーニング。菅野淳・JFAフィジカルフィットネスプロジェクトリーダーが選手たちにレクチャーしました。

オンライン対戦ならではの感覚に思うように対応できず

そして迎えた試合本番。今回の対戦形式は、レジェンド選手を好きなだけ使ってチームを組める「FUT21」モードにおける、2on2の試合になりました。

e日本代表の使用チーム

2on2はセットプレイなどの場面でプレイヤー間の綿密な連携が求められる形式で、「FIFAeNations Cup」も2on2で行われる予定です。e日本代表が公式戦で2on2の試合に臨むのは今回が初めてで、その腕前に期待がかかります。

事前インタビューでWeb Nasri選手は「思っていたよりコンビネーションをとるのが難しく、まだ課題も多い」と語っていましたが、果たして彼らのチームワークはどれほどまでに仕上がっているのでしょうか。

まず第1試合はJay選手とAgu選手が出場。前半始まってすぐに右サイドからの攻撃が通り、e日本代表が先制点を決めたものの、全体的なボール支配率はマレーシア代表が勝っていた印象です。

Akmal選手とLuqman選手によるマレーシア代表は比較的珍しいエトーを採用しており、前線での素早い攻めを武器に戦ってきます。日本代表は防御面で連携の取れていないような場面も見られましたが、少ないチャンスの中で確実にゴールを決めていました。一進一退の攻防の中、試合は3-3で延長戦にもつれ込みます。

試合に臨むAgu選手(左から)、Nasri選手、Jay選手

集中力が切れかける延長戦、日本代表としては何としても初戦を勝ち切りたいところでしたが、前半始まってすぐにマレーシア代表がカウンターからロナウドでシュートを決めます。日本代表は果敢に反撃を試みますが、マレーシア代表の防御をなかなか突破できません。

続く後半戦、またもやマレーシア代表が縦パスを通してロナウドで得点。日本代表は3-5から点差を縮めることはできず、第1試合はマレーシア代表に軍配が上がりました。

延長にもつれ込んだ第2試合

会見に臨むJay選手

第2試合はAgu選手とNasri選手が出場。Agu選手は先ほどの試合を受けて、「オンラインというラグのある環境下で思った通りのディフェンスができなかった」と語り、この反省点をどう活かすのかが注目されます。

早急に流れを変えたい日本代表でしたが、前半が始まってすぐ、マレーシア代表に自陣深くまで侵入を許し、ネイマールでシュートを決められてしまいます。ゴール正面からの角度が無いシュートで、キーパーによる捕球も十分に期待できる場面でしたが、さすがは高性能に設定されているネイマール、難しいコースの球も易々と得点に変えてきます。これは日本代表にとって精神的にも大きな痛手です。

試合について語るWeb Nasri選手

その後両チームお互いに1点を入れ、前半は1-2の1点ビハインドで終了となります。ボール支配率はやはりマレーシア代表の方が高く、日本代表は何としてでも主導権を奪いたいところです。

続く後半、日本代表が見事なゴールを魅せます。Agu選手のボックス内へのフライスルーパスにNasri選手が見事に対応し、そのままシュート。選手間のコンビネーションがなければ成立しない素晴らしいプレーです。これで両チームは同点となり、試合はまたもや延長戦にもつれこみます。

互いを称えあう日本代表チーム

延長戦では拮抗したせめぎ合いが続き、両チーム得点をして3-3のままアディショナルタイムを迎えます。マレーシア代表の猛攻が続く中、日本代表は同点を死守してPK戦に持ち込みたいところでしたが、時間切れ寸前のところでセンターからの鋭い攻めが通り、ネイマールのシュートが決まってしまいます。残された時間で得点することは叶わず、日本代表はまたしても敗北を喫しました。

果敢に攻めるも、マレーシアは難攻不落

第3試合の出場選手はNasri選手とJay選手。最後に一矢報いたい日本代表は、序盤から積極的な攻めの姿勢を見せます。これまでの試合とは変わってボールの支配率が上がり、前半戦の主導権は常に日本代表にあった印象です。しかし、ボックス内まで行くことはあるものの、ラグにも阻まれて中々得点には繋がらず、前半は0-0のまま終了になります。

後半も日本代表は果敢に攻めますが、一向にマレーシア代表の防御を崩せません。そんな中、後半54分、マレーシア代表が強引にドリブルで日本代表の防御を突破し、一度キーパーが前に出たところをパスでつないで華麗にシュートを決めます。

会見で答えるAgu選手

この失点が皮切りとなったか、その後日本代表は立て続けに2失点、態勢を立て直すことなく試合終了になってしまいました。精一杯戦った日本代表でしたが、結果はまさかの3連敗。アジアの強豪マレーシアに実力差を見せつけられた形になりました。

悔しさをにじませる3選手

試合後のインタビューで3選手は「申し訳ない気持ちでいっぱい」と悔しさを口にしました。防御面での失敗のみならず、攻撃面でも得点を決めきれない場面があり、攻守ともに課題が見つかったと話しました。また、ビハインドの状態から互いを鼓舞する声かけの面でも課題があったようで、「今日の結果を受け止めて、本戦までに3人で修正していきたい」と今後に向けての目標を語りました。

配信に解説として参加した元日本代表選手の佐藤寿人氏はe日本代表について、「結果は3連敗だったが、全てが悪かったわけではない」と分析。「3人なりに試合中に相手に対応して戦術を修正していた姿勢はとても良かった。今後は自分たちの長所を伸ばしてより強くなって欲しい」と励ましていました。

解説を務めた佐藤寿人氏

ゲストの貴島明日香さん「友だちとFIFAをやりたい」

大会の配信には、Apex Legendsなどのゲーム好きで知られるタレントの貴島明日香さんが参加しました。選手とのエキシビションマッチも行い、企画を盛り上げました。

貴島さんは「初めて(FIFAの)プロゲーマーの方のプレイを見て、ほんとに展開が早いなと思いました。私はサッカーは詳しくないのですが、サッカーってこんなに楽しいんだって思いました。サッカーの楽しみ方をすごく感じました」とゲームの魅力を肌で感じた様子。エキシビションマッチについては、「ゲーム(FIFA)に関しては初心者だったのですけど楽しめました。佐藤さんと日本代表と、ほんとに豪華なメンバーだったなと思います」と振り返りました。

配信にゲストとして参加した貴島明日香さん

また、代表選手がチームとして戦ったことを踏まえ、「私がApexを好きな理由は、ゲームだからこそのつながりがあるから。チームワークが大事なゲームで、友だちとオンラインで通話しながらできます。FIFAもやっていてすごく楽しかった。これからは友だちとFIFAをやりたいなと思いました」。そのうえで、「eスポーツは人をつなげるので、そういうところが素晴らしいと思っています」と話しました。

今後の挽回に期待

3連敗という結果に終わってしまった「KIRIN iMUSE CUP」でしたが、e日本代表はこの敗戦から学んだことも多いことでしょう。8月の「FIFAeNations Cup」に出場に向けて、今後の動向に注目です。