キルレ0.05から始まったk4senの「CoD」 実況のルーツは競馬中継?

──今では「CoD」実況といえばk4senさん、というくらいの存在です。現在に至るまでの経緯を、タイトルとの出会いから改めて振り返って頂けますか?
k4sen 高校生の頃に友達の家にあった「コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア 2(CoD:MW2)」がシリーズとの出会いでしたね。その友達がInterventionというスナイパーライフルで「これがクイックショットだ!」と言いながらスコープを覗いてはバンバン敵を倒すところを見て「これ面白いじゃん!」ってなって。一緒にやろうと誘われたので、PS3ごと買って始めましたね。
──濃い思い出ですね。
k4sen でも当時はすごく下手でしたね。その友達にDOMINATIONのルールを聞いたら「B地点に入っておけばいいんだよ」と言われたので、銃も撃たずにB拠点で立ち止まっているくらいでした(笑)。そしたらキルレートが0.05くらいまで下がってしまったんですが……スナイパーにハマってやり込んでいましたね。
──それはちょっとルール説明が足りませんでしたね(笑)。
k4sen それからずっとシリーズ作品を遊んでいたら、知人から「大会を開くので解説をやってほしい」と頼まれたのがキャスター業の始まりですね。当時は皆が「一番強くなりたい」と思っていながら、eスポーツルールのような仕組みもなくて、一番を決めるために大会が必要だったんです。自分も最初はコミュニティー大会に選手として出ていて優勝したこともあったんですが、なんで喋りがメインになったんだろうな……。多分だんだん勝てなくなって、キャスターにシフトしたのかな(笑)。以来ずっとコミュニティー大会を実況していました。
──現在キャスターとして活躍されている方には選手活動歴のある方も多いですよね。
k4sen その後は実況をやっていない時期もあったんですが、東京に出てきた頃にとある番組にゲストで呼んでいただけたんです。自分が実況した大会に出場していた選手が就職して配信を企画する側に回っていて、「CoD界で実況と言えばk4senさんなんで!」とFPS繋がりで声をかけてもらったんですね。
──すごい縁ですね。
k4sen その番組でMCの岸大河さん(@StanSmith_jp)やブンブン丸さん(@BUNBUN_fam)を見て、掛け合いや実況についてのテクニックを学びました。なんせコミュニティー大会しかやったことなかったので、台本が裏表で1枚というレベルから急に本格的な「仕事」になって全てが新鮮でしたね。当然フロアディレクターさんがいる現場も初めてでしたし、番組でカンペが出たときは「本物のカンペだ!」ってテンション上がりましたよ(笑)。
横並びの放送席でもちゃんと顔を見て喋ったり、コメント中に頷いたりするんだという基本の基本から吸収しましたね。そんな経緯でキャスターとして本格的な活動が始まって、ちょうど「CoD」の公式大会を開催するので声をかけて頂いた、という経緯ですね。
結婚した!!!ありがとう!!!!本当に!!! pic.twitter.com/8RIny9cFVv
— k4sen (@k4sen) June 6, 2021
△6月6日には配信上で結婚を報告したk4senさん
──今年の「コール オブ デューティ プロ対抗戦」SPRINGシーズンはオンラインでの開催となり、選手だけでなくキャスターとしても難しい環境だったのではないかと思います。
k4sen 自分たちもそうですけど、スタッフさんもすごく大変でしたよ。少しでもいい状態でプレイするために機材をこまめに再起動している姿が放送席から見えていました。
──配信は非常に長時間に及ぶことも多かったです。
k4sen 映ってない所に大量のラムネと上顎に貼るトローチを用意していて、常に体をケアしながら喋っていましたね。普段から個人で長時間配信をしていたので体力的には大丈夫でしたが……。むしろ午前中の試合の方がエンジンがかかっていなくてキツかったくらいです。皆が面白い試合をしてくれるので、見ているとアドレナリンが出てテンションが上がって、夜まで突っ走れちゃいますね。いつも帰る時に「もう1周行けます!」って宣言するくらいで、終わった時が一番元気だったかもしれないです(笑)。
──やはり実況席としてもオフラインが待ち遠しいですね。
k4sen もうオンラインに変わって2年くらいですか? 久しくオフラインでやっていないですけど、会場の盛り上がりが恋しいですね。特にRush Gamingは声援の量が一番多くて押されますよね。海外の「CoD」競技シーンで活躍するOpTic Gamingを目指しているのかと思うんですが、OpTicのファンは「Green Wall(グリーンウォール)」と呼ばれていて、ゲームの音が聞こえないくらい大きな声援を送るんですよ。ちなみに今Rushのハッシュタグとして使われている「#REDCLIFF」を最初に言い出したのは俺だと思っているので、これは覚えておいてください。
──承知しました(笑)。それほど反響のある会場での試合は実況していても楽しいのではないでしょうか。
k4sen 自分が喋って盛り上がる時は楽しいですね。「すごいプレイが出たぞ!」「うわー!!」って。コンサートのコール&レスポンスじゃないですけど(笑)。
前スプリットブロ4からほぼ毎日APEXやってきて、見事カスタム優勝までこれました!
— k4sen (@k4sen) April 3, 2021
優勝とか10年ぶりぐらいかな?
応援コメントたくさんいただけて普段キャスターの席なので後押ししていただけるのは新鮮でうれしかったです。本当にありがとうございます。
ちなみにヒューズは使わない方がいいです。 pic.twitter.com/J1L5YhASdc
△今でもカスタム大会などでは出場者として活躍するk4senさん
──k4senさんの実況での盛り上がりポイントといえば、毎回印象的なフレーズが飛び出しますよね。あれは準備している言葉なのでしょうか。
k4sen 試合の前に「こっちが勝ったらすごい逆転劇になるな」という時はちょっと考えますけど、基本的には反射で喋っていますね。
──何か実況として参考にされているものはあるのでしょうか。
k4sen 実はちょうどディープインパクト世代で、中学の頃に盛り上がりがありました。当時から競馬を見るのが好きで、自分の実況でも競馬に影響を受けている部分はありますね。競馬実況って最初はゆっくりとそれぞれの馬と展開を紹介しつつ、見せ場が最後に来る流れがあるじゃないですか。「CoD」のSEARCH&DESTROYも同じで、最初に展開して最後に一番の見せ場が来る、そして終わった後に気の利いた盛り上がるようなフレーズで終わる。
──なるほど、確かにそうですね。連続キルの場面では選手名を連呼するシーンがありますよね……という質問も用意していたのですが、それも競馬?
k4sen 競馬ですね。その選手が最後の直線で差してきているわけですよ(笑)。
この土壇場で、weekmoke選手が獅子奮迅の大活躍💥💥
— CoD eスポーツ公式@6.27プロ対抗戦 (@CoD_SIEJA) April 11, 2021
追い詰められた @CYCLOPS_OSAKA が反撃を成功させ、第4マップへ望みを繋ぐ!!
📺https://t.co/E2um3bAoGd
📺https://t.co/2yWIctyq2p#CoDプロ対抗戦 | #さらなる高みへ | #俺たちの戦場はここにある | #BlackOpsColdWar pic.twitter.com/MfB8qK3aMz
△勝負所での連続キルシーンを実況したシーン
──すごく納得の理由でした(笑)。
──実況席が盛り上がっていると視聴者も盛り上がりやすいので、そこもk4senさんの実況の魅力かなと思います。
k4sen 岸大河さんとOooDaさん(@OooDa)のラジオに出させて頂いたことがあって、実況をするときの「視聴者の人と一緒にゲームをやりながら喋っている感覚」にすごく共感できたんですよね。話しかけているというか、友達の家に集まって選手と並んでコントローラーを握っているようなイメージなので、普通に「すげぇ」とか出ちゃいますよね。
──時々、感想ばかりの実況になるシーンもありますよね(笑)。
k4sen そうなんですよ。解説の(鈴木)ノリアキさん(@NORIAKIISGOOD)もそういう時があるので、プレイがすごすぎるとふたりともドン引きして実況解説を止めちゃうんですよね。すごすぎて、「いや、ダメでしょそれは……」って思ってしまう(笑)。
──実況に向けて事前プレイしたり予習したりするのでしょうか。
k4sen 実は「CoD」だけは特に予習せずとも実況できるんですよね。別のゲームを実況する時の方がマップやスキルの名称など覚えなきゃいけないことが多くて大変ですね。もちろん最新のアップデートでどの武器が強くなって、何が追加されて、というパッチノートはチェックしています。でも、ノリアキさんは見てないこともありますよ(笑)。
──そうなんですね(笑)。
k4sen でもノリアキさんの頼もしいエピソードもあるんですよ。実はSPRINGシーズンで一度だけ自分が喋れないくらいの腹痛に襲われた時があって、すぐに異変を察したノリアキさんがすごい勢いで喋ってカバーしてくれました。思わず「よく気付いたね」って聞いたら「だっていつも言葉が出てくるタイミングで出なかったから」ってサラッと言うんですよ。長年やってるからの関係性ですね。お互い喋り出すタイミングなんかも分かり合っています。
──そんな放送席にSPRINGシーズンからはコテつなさん(@Kotextsun4)も加わりました。
k4sen 彼の存在は有難いですね。めちゃくちゃ謙虚だし、毎回「何を勉強したらいいですか?」というのを聞いてきてくれるんです。解説と実況がお互いをさえぎらずに掛け合いしている例として「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」でお馴染みのeyesさんとRevolさん(@krevol)とか、あとは「レインボーシックス シージ(R6S)」のふり~ださん(@frieda0914)とOkayamaさん(@TDokayama)のコンビとかをオススメするんですが、次の回には必ずチェックして来てくれますね。
──コテつなさんはSPRINGシーズン第4回では実況も担当されましたね。
k4sen その試合は控室で見ていたんですけど……なんか俺と喋り方似ていませんか?
──正直、似ていたと思います(笑)。
k4sen 「違う声の俺が喋ってんな」と思って見ていましたよ(笑)。あれは俺の影響を受けていますね。
──いい試合を見るとコテつなさんが泣く、という一幕もありました。
k4sen それぐらいアツい男なんですよね。でもいきなり締めトークを始めるのは違うと思いますけどね(笑)。インターバルなのにエンディングみたいな話をするじゃないですか。
──そんな一幕も含めて、すごくいい3人組だったと思います。
k4sen ずっとノリアキさんと実況解説をしてきたので、2人とも「いい試合」に慣れちゃった面もあると思います。そこにコテつなさんが入って「確かに今のは泣くほどいい試合だったな」って新鮮な気持ちになれました。
──今後はさらに連携が深まっていくであろう放送席の皆さんにも注目ですね。
k4sen 頑張ります。よろしくお願いします!
コール オブ デューティ プロ対抗戦 SUMMERシーズン
6/13 (日) 第1回
6/27 (日) 第2回
7/11 (日) 第3回
7/25 (日) 第4回 + ファイナル
YouTubeチャンネル「PlayStation Japan」にて配信。
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