プロゲーミングチーム「SCARZ」(@SCARZ5)が4月、川崎市をホームタウンに選びました。eスポーツチームが地域社会に飛び出す狙いは何でしょうか。SCARZの運営会社「XEZOZ」を率いる友利洋一社長(33)に話を聞きました。

SCARZは2012年に発足し、15年にプロチームとなりました。日本ではトップチームの一つです。現在、ゲームタイトルごと9グループ45人の選手が所属し、国内外の大会で実績を重ねています。

昨年秋に行われた「VALORANT」の国内大会「EDION VALORANT CUP」では、VALORANTのチームが強豪を次々に倒し、悲願の優勝を飾っています。また、FIFAのJay選手は2021年のサッカーe日本代表に初めて選出されました。

脱サラで会社を設立した友利社長

友利さんは、子どもの頃からゲーム好きで、かつてはアマチュアのeスポーツ選手でもありました。ゲーム会社から「脱サラ」して会社を設立した後は、マネジメントに徹しているといいます。

選手たちへの報酬も含めた運営費は、数千万円にのぼるグループもあります。スポンサー収入をはじめ、グッズ販売、大会での賞金やイベント収入で売り上げを立てています。

eスポーツチームは国内に100近くあるとされる中、ホームタウンを定めているのは少数でした。友利さんがホームタウンが必要だと思ったのは、ファン層を広げるためです。野球やサッカーなどのプロスポーツチームで成功しているところは、地域との結びつきが強いです。ゲームについての理解を広げて、地域社会に貢献したいとの思いもありました。

XEZOZの友利洋一社長

川崎と結ばれた浅からぬ縁

東京の下町出身の友利さんが川崎を選んだのは、かつてゲームとともに力を入れていた音楽活動を通して、親しみを感じていたからです。

それまでは、川崎市に隣接する横浜市鶴見区に活動拠点となるゲーミングハウスを置いていました。また、Jay選手がJリーグ・川崎フロンターレの推薦で「eJリーグ」に出場して優勝するなど、川崎には浅からぬ縁も感じていました。

当面の目標は、川崎市内での知名度向上です。JR川崎駅直結の商業施設「ラゾーナ川崎プラザ」でのイベントを計画しています。友利さんは「まずはeスポーツを知ってもらわないと、始まらない」。

新型コロナウイルスの感染状況をみながら、実施時期を詰めていきます。また、子どもや保護者たちにゲームとの付き合い方を啓発するなど、地域貢献活動にも力を入れる考えです。

地元企業の経営者にアピールしたい

地元企業のスポンサーを増やすのも課題です。eスポーツは若者を中心に人気ですが、企業経営者層にはまだまだなじみが薄いです。ホームタウン化を機に、地元企業経営者に直接メリットを説明していくつもりで、会社名に「川崎」を入れることも考えています。

友利さんは、地元から有望な若手選手を獲得したいとも考えています。「eスポーツをやる魅力は世界が近いこと。10代で年収1千万円プレーヤーもいる。夢があるということを、直接伝えていきたい」

SCARZのホームタウン化と前後して、川崎市も、障害者がスポーツに参加するツールとしてeスポーツに注目していました。今年度の予算には300万円を盛り込み、体験会を開く計画です。友利さんは、こうした活動にも協力し、eスポーツを広めるきっかけにしたいと考えています。

(朝日新聞川崎支局 大平要)