2002年開設の個人ニュースサイト「Negitaku.org」(@negitaku)を運営するYossyさん(@YossyFPS)は、国内外のeスポーツを長年にわたって見届けてきました。

Yossyさんの目に、現在のeスポーツ業界はどのように映っているのでしょうか? Yossyさんが見てきたeスポーツの歴史や変化などを、オンラインインタビューで聞きました。(インタビューは全3回です。#1#3はこちら)

「楽しく競い合いたい」ゲーマーの気持ちが競技シーンを作り上げる

――Yossyさんが現在注目しているeスポーツタイトルは何ですか?

特に注目しているのは国内でも大きな盛り上がりを見せている『VALORANT』ですね。あとは「Negitaku.org」で取り扱っている『Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)』『Dota 2』『PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)』『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』とか。マニアックなタイトルでいえば、サイトのルーツでもある『Quake Champions』ですね。全部のタイトルの情報を追うのは大変です(笑)。

――『VALORANT』は6月でサービス開始から1年が経ちました。競技シーンを含めて非常に大きな盛り上がりを見せていますが、Yossyさんは『VALORANT』競技シーンの盛り上がりをどう見ていますか?

競技シーンはかなり長く続くと思います。例を挙げるのであれば、僕がサイトを開設した頃から稼働している『Counter-Strike』『スタークラフト』シリーズは約20年、『LoL』『Dota 2』は約10年と、長きにわたってシーンが盛り上がっています。

『VALORANT』は『LoL』のノウハウを持ったライアットゲームズのタイトルですし、日本でも1年目とは思えないほど大きな盛り上がりを見せています。今後も期待できますし、個人的にも長く続いてほしいタイトルですね。

――なるほど。それではYossyさんが見てきた中で、これまでにeスポーツ市場を大きく活性化させたと思うタイトルがあれば教えてください。

eスポーツには様々なタイトルがあって、それぞれのタイトルが活性化しないと今のeスポーツ市場はないと思うんですよね。もちろん規模が大きいタイトルであれば市場に貢献していることは間違いないと思います。でも、規模の小さいタイトルにも競技者がいて、別のタイトルに移って活躍してい人もいる。その積み重ねがあるからこそ、今のeスポーツ市場があると思います。

2018年には日本eスポーツ連合(JeSU)が誕生し、「eスポーツ」が新語・流行語大賞トップ10に入賞するなど話題となりました。昔から頑張っている人たちがいるからこそ、ここまでeスポーツ市場が大きくなったのだと思っています。質問の趣旨とは外れてしまいますが、みんな頑張っていたと思うので、特定のタイトルを挙げるのは難しいですね。

――では、競技シーンが盛り上がるタイトルに共通する特徴はありますか?

僕はゲームや大会を運営する立場ではないので、難しい質問ですね(笑)。

そもそも、そのゲームが「競い合いたいくらい面白いタイトルである」ことは大前提だと思います。面白いゲームだからこそ、対戦してもっと自分の技術を磨きたくなる……そういった思いから競技シーンの熱は高まっていくので。

競技シーンを盛り上げるためには、プレイヤーたちを後押しする大会運営者も必要ですよね。コミュニティ大会を開催する人や、大会を観戦する人、メディアとして盛り上がりを伝える人など、様々な要因がそろってこそ競技シーンが長く続くのだと思います。

たまに「eスポーツ用タイトル」と銘打ってリリースされるゲームを見かけるのですが、それは順序が逆ですよね。「eスポーツだから」が重要なのではなく、ゲーマーが楽しめて競い合いたいと思えるようなタイトルが結果的に「eスポーツ」として成功しているのだと思っています。

――Yossyさんはこれまでに様々なタイトルの競技シーンを見てきたと思いますが、Yossyさんから見て今後もeスポーツ市場の盛り上がりは加速していくと思いますか?

先行している海外が盛り上がっているので、日本もどんどん伸びていくと思います。NTTドコモが設立した国内eスポーツリーグ「X-MOMENT」の『PUBG』プロリーグや『レインボーシックス シージ』の世界大会「Six Invitational 2021」では、3億円を超える賞金が発表されたことで注目を集めました。

オリンピック公認のeスポーツ大会「オリンピック・バーチャル・シリーズ」も期待できます。これまではゲーマー向けだったeスポーツですが、ゲームに詳しくない層もオリンピックをきっかけに観戦する機会が増えるでしょう。ゲームにネガティブなイメージを持つ親でも、自分の子どもが出場するとなればやっぱり応援すると思います。eスポーツの間口がどんどん広がってきているので、今後も盛り上がりは加速していくでしょうね。

感情が伝わってくる選手が好き

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△Absolute JUPITERのメンバー(YossyさんのFlickrより)

――競技シーンの華はやはり選手たちですが、選手たちを見ていて「もっとここをアピールすればいいのに」と思うところはありますか?

アドバイスではないのですが、今はSNSやYouTubeが大きな影響力を持つ時代なので、それらを上手く使うことで選手とファンとの距離がより近づくと思います。実際に上手く使っている選手は、ファンの数が加速度的に増えているので。

たとえばAbsolute JUPITERの選手たちは配信だけではなく、最近はYouTubeで初心者向けのノウハウ動画などを投稿しています。僕は昔から彼らを見ていますが、特に最近はフォロワーの数がものすごく増えていて、ツイートに対するエンゲージメントも高い。JUPITERはドキュメンタリー動画を作成したりカッコいい写真を投稿したり、チームとして積極的にアピールしていますよね。

――JUPITERは本当に情報発信が上手いですよね。Yossyさんが注目する選手はどういった選手が多いのでしょうか?

真剣にゲームに向き合っていることが伝わってくる選手ですね。よく挙げるのは『Couter-Strike』のレジェンドと呼ばれるNoppoさんです。彼はプロゲーマーを目指していたものの、当時の日本でプロになるのは難しい環境でした。そこで強豪チームが集うスウェーデンに留学してまで活動したのです。自分には絶対に真似できないと思いました。夢を追いかける選手はかっこいいですし、自然と応援したくなりますよね。

あとは感情がものすごく伝わってくる選手です。勝ったらガッツポーズをしたり、負けたらガッカリするなど、一瞬の感情表現に惹かれますね。オフライン大会で写真を撮っていると、いつの間にか特定の選手ばかり撮影していることもあります(笑)。

――最近では「2021 VALORANT Champions Tour(VCT) - Masters Japan Stage 1」で勝利したCrazy Raccoon所属neth選手の過去の写真を再掲されていて、とても印象的でした。

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△「GALLERIA GAMEMASTER CUP 2018」のオフライン決勝でAbsolute(当時はSCARZ)に敗れ、涙するneth選手

「GALLERIA GAMEMASTER CUP 2018」の写真ですよね。neth選手は何度も負けて悔しかったと思いますが、ずっと頑張っていました。だからこそ「VCT」の優勝インタビューで嬉し涙が出たんだなと。長く競技シーンの写真を撮影していると、点と点がつながったような場面に出くわすことがあります。取材に行って良かったと思えるし、僕としても嬉しいですよね。