2002年に開設された個人ニュースサイト「Negitaku.org」(@negitaku)では、『VALORANT』『Counter-Strike』といったFPSから、『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』『Dota 2』といったMOBAなど、様々なeスポーツタイトルの情報を取り扱っており、現在に至るまでeスポーツ業界を支えてきたサイトです。

そんな「Negitaku.org」を運営するYossyさん(@YossyFPS)にオンラインインタビューを実施。長年eスポーツ業界を見てきたYossyさんが考える「eスポーツメディア運営の難しさと楽しさ」について聞きました。(インタビューは全3回です。#2#3はこちら)

自分用のメモが多くの人に見てもらえるようになった

――まずは簡単な自己紹介をお願いします。

2002年から「Negitaku.org」というちょっと変わった名前のeスポーツニュースサイトを運営しているYossyです。eスポーツ大会で写真を撮るのが好きで、撮影した写真はFlickrにアップロードしています。2020年2月からは「電競元年ラジオ」というポッドキャストも始めました。こちらは毎週金曜日に細々と更新しています。

また、規則性があるものを集めるのが好きで、プロゲーマーが腕組みをしている写真を集めたり、「eスポーツ元年」や「eスポーツの聖地」に関連する記事をまとめたりと、メインのサイトを運営しつつ色々なことをしています。

――なぜeスポーツのサイトを始めようと思ったのでしょうか?

サイトを開設した2002年当時はFPS『Counter-Strike』『QUAKE III Arena』などをプレイしていたのですが、その頃から日本人が海外の「Cyberathlete Professional League(CPL)」「World Cyber Games(WCG)」などの国際的なイベントや大会にチャレンジする事例が増えてきて、面白いなと思っていました。

当時は「Internet Relay Chat(IRC)」というチャットツールがあり、そこで自分が所属するチャンネルにイベントや大会の情報を貼っていたのですが、反応してくれる人はあまりおらず……。それならサイトにしてみよう、と思って始めたのが「Negitaku.org」です。当初は「eスポーツのサイト」と意識してはおらず、個人ニュースサイトとして自分が好きなゲームの情報を取り扱っていました。

たとえばゲームのアップデートがあった時に「ここからパッチノートを確認できます」とリンクを貼るなど、自分がピックアップした情報にコメントをつけて紹介することが多かったです。シンプルな内容で文章にすらなっていなくて、自分用のメモや日記みたいなものですよね。

でも、いつの間にか多くの人に見てもらえるようになったので、きちんとした文章を書こうと思うようになりました。

――扱うネタや方向性など、今の「Negitaku.org」のスタイルはどのように確立したのでしょうか?

19年も運営しているので、今の「Negitaku.org」になるまでに様々な変化がありました。当初は『Counter-Strike』や『スタークラフト』など、eスポーツ大会が開かれるタイトルは数えるほどしかありませんでしたが、今はリストアップしきれないほど様々なタイトルがeスポーツとして認知されています。eスポーツの世界が広がっていくにつれて、自分が取り扱うネタや伝え方が変化してきましたね。

昔は海外サイトの翻訳や、リーク情報を取り扱ったこともありますが、権利・モラル的に良くないので止めました。実際のところ刺激的な内容の方がアクセス数も増えますが、それよりも正しいことをやりたい。ネタによっては、信頼を失う可能性もありますし。

そう気づいてからは正しい情報を取り扱うよう心がけ、実際に取材にも行くようにもなりました。時代に合わせて変化していきましたね。今は自分が紹介したいネタを中心に取り扱っています。昔の方が良かったと思う人もいるかもしれませんが、やりたいことじゃないと続かないので。

「すばらしい大会や選手を紹介したい」自分が好きなことだから続けていける

「Negitaku.org」運営者Yossyさん

――長期間サイトを運用するにあたって、どのようにモチベーションを維持されていますか?

大会や選手を紹介するのが好きなんですよ。

開設した当初は誰も見ていないと思って運営していましたが、徐々に見る人が増えてきてアクセス数を伸ばすことが指標となった時期もありました。ですが、数字を追うのはなにか違う。開設当初の動機からかけ離れていることに気付きました。

「自分が好きなこと」のために運営しているので、それ以外でアクセスを増やしたり広告を掲載したりしても、僕が楽しくないんですよね。だから、アクセス解析を見るのもやめました。

――アクセス解析を見ないのは、サイト運営者としては珍しいですよね。

もちろん多くの人に見てもらえるのは嬉しいのですが、アクセス数を見て一喜一憂したくないんですよね。

今はすばらしい大会をファンに伝え、活躍した選手に喜んでもらえるような記事を書いています。あとは大会の運営や裏方に着目して、選手やファンのために頑張っている姿などを伝えることで、働く人のモチベーションになればいいなと。

自分なりのテーマを持って記事を書いているので、思った通りの反応があったり、届けたい人に届いたりすると嬉しいですね。

――自分が取り上げた方に記事を読んでもらえると嬉しいですよね。他にも「Negitaku.org」を運営していて、印象的な出来事はありますか?

特に驚いたのは……僕の知り合いが「Negitaku.org」のロゴを入れたパーカーを着て「DreamHack」(世界最大級のLANパーティー)に行ったのですが、現地のゲーマーから「それって日本のeスポーツサイトだろ?」と言われたそうです。日本語のサイトがヨーロッパのゲーマーにも知られているなんて、非常に驚きました。

選手たちの成長が見られるのも嬉しいですね。10代の頃から海外の大会で活躍していたような選手がたくさんいて、中には「結婚しました」「就職しました」と報告してくれる人もいます。昔はヤンチャだったのに、今はコーチやストリーマーになっていたり、大会を運営したりと、eスポーツ業界で頑張っている人もいる。選手たちの成長を親戚のおじさんのような視点で見届けられるのも、サイトを長年運営していたからこそです。

それと、親になった選手から「子どもがeスポーツをプレイしている」との話もよく聞くようになりました。「C4 LAN」(日本最大級のLANパーティ)を運営する方の息子さんは高校生大会「STAGE:0」に出場していて、「eスポーツプレイヤーの子どもがeスポーツで活躍している」という構図が面白いですよね。REJECTのHaReeee選手は逆に、以前使用していたPCを父親にプレゼントしたことで、父親が『VALORANT』を始めたそうです。eスポーツを通じて親子でコミュニケーションを取るエピソードは、非常に興味深いですね。