「eスポーツ✖️教育」 世界で活躍できる人材を

鳥取県eスポーツ協会代表理事の渡部裕介さん

――鳥取県eスポーツ協会は、どんな活動をしている団体なのでしょうか。

eスポーツを通して、鳥取から世界で活躍できるグローバル人材を育成し輩出することを目的に、2019年2月に設立しました。これまで鳥取県内で、イベントの企画や講演などを行ってきました。

20年12月には、eスポーツによるグローバル人材育成サービス「ゲーミング英会話」をリリースしました。フィリピンのセブ島にいるプロの英会話講師と一緒にオンラインゲームをやりながら、英語やプログラミングを学べるサービスで、日本全国の方を対象にしています。

ゲーミング英会話は、ゲームに特化した英語を学ぶわけではありません。講師とゲームをしながらコミュニケーションをとることで、日常英会話に必要な単語や文法を自然と身につけられるプログラムとなっています。学校での「お勉強」とは違い、楽しく続けられるのがポイントです。

――どうしてeスポーツに注目されたのでしょうか。

コロナ前まで私は、東南アジアに住んだり、アメリカに滞在したりしていました。そのとき、海外でのeスポーツの盛り上がりを肌で感じたんです。

ラスベガスで開催された格闘ゲーム大会「EVO 2019」に参加したときには、野球やバスケにも負けない熱を感じ、この波は日本にもくるだろうと確信しました。

日本とアフリカ、Twitterでつながった縁

今回の提携を通し、渡部さんはアフリカが抱える社会問題に光が当たることを願っています。

――今回の提携の背景は。

eスポーツを通して社会に貢献したいと考えているなかで、日本とアフリカの間にeスポーツの交流がないことがわかりました。Twitterを通し、アフリカeスポーツ連盟会長のエマニュエルさんとつながりました。すぐにZoomで話し「eスポーツで国境を越え、社会問題の解決に貢献したい」という私の思いを伝えました。

エマニュエルさんが、ナイジェリアeスポーツ協会の会長であったことから、まずはナイジェリアからスタートすることになりました。

――eスポーツを通じた社会問題の解決とは、どういうことでしょうか。

アメリカで滞在していた時、私も街中で人種差別を受けた経験があります。日本では強く感じることは少ないかもしれませんが、人種差別、貧困、教育格差、環境問題と解決すべき社会問題は世界にたくさんあります。

こうした問題の解決に、貢献する事業をしたいと私は考えてきました。

今回の提携が、こうした問題の解決に直接繋がるわけではないかもしれません。しかし、年齢や性別、身体的ハンディキャップを問わずに楽しめるeスポーツは、国境や言語すらも越えて、人と人がつながるきっかけになる可能性も眠っています。こうしたつながりの積み重ねの先に、私が願う平等や平和な社会があるのだと思っています。

こうした私の思い、考えを表現したのが、今回の提携です。表現する方法は対話、SNS発信、アート、事業など無限の方法がありますが、eスポーツにも言葉では伝えられないことを伝え、広げる力があると信じています。

社会問題の解決のためには、まず知ることが大切だと考えています。私たちの取り組みを通し、アフリカが抱える社会問題に目を向ける人が一人でも増えてもらえたらと思っています。

実際、この発表をきっかけに、日本のある企業から、ゲームを活用した社会貢献事業の連携について、お声がけをいただいています。教師の数も質も不十分なアフリカの教育を支援するため、「ゲーミング英会話」の仕組みを活用できないかとの話です。

日本とアフリカのプレイヤーの相互受け入れも構想

アフリカやナイジェリアでは、格闘ゲームが盛り上がっているそうです

――ナイジェリアのeスポーツ事情を教えてください。

ナイジェリアでは「ストリートファイター」「鉄拳」といった格闘ゲームや「FIFA」などのサッカーゲームが盛り上がっています。ネットカフェに集まって、100人規模のゲームイベントが開催されているそうです。

――今回の提携で、どのような取り組みをするのでしょうか。

まずはeスポーツイベントの共催です。これは年内にも実現できたらいいなと考えていますし、日本とアフリカの架け橋となるような情報をSNSで発信していきます。

また日本のeスポーツプレイヤーをアフリカのチームで、反対にアフリカのプレイヤーを日本のチームで受け入れる構想もあります。そうすることで互いの文化や経験、スキルを共有しつつ、切磋琢磨することができます。すでに鳥取県eスポーツ協会のゲーミングチーム「TeSA GAMING」には、メキシコ在住のメキシコ人プレイヤーが所属しています。世界をフラットにとらえチームメイトとして所属できるのはオンラインだからこそできることです。

――連携の課題に感じていることはありますか。

一番の大きな課題は、ネット環境の整備です。日本とアフリカでは距離が遠すぎてラグが発生してしまい、eスポーツイベントでも採用できるゲームタイトルが限られてしまいます。インフラまわりが得意な日本の企業にもご協力いただきながら、整備していきたいと思っています。

――今後の目標について教えてください。

eスポーツを通し世界中の子どもたちに教育の機会を平等に与え、将来の可能性を広げたいという想いがあります。いずれは「ゲーミング英会話」を発展途上国や非英語圏へ展開したいと考えています。

eスポーツの流行に乗るというような小手先の考えではなく、その可能性や本質を見据えたうえで、eスポーツを活用した様々な挑戦をしていきます。