「バーチャ」は3Dポリゴンを使った初の対戦格闘ゲームとして1993年にリリースされ、以降幅広いプレイヤー層に親しまれてきたセガの代表的なタイトルの一つです。

しかし、一世を風靡した「バーチャ」も、2010年にリリースされた「バーチャファイター5 ファイナルショーダウン」を最後に、新作が出ない状態が約11年続いていました。伝説のゲームとして語り継がれる一方、ゲーム画面すら見たことない若いゲーマーも多いのではないでしょうか。

何を隠そう、格闘ゲームシーンを中心に取材する僕も、今まで「バーチャ」シリーズを触ったことはありませんでした。そんな僕が東京・大崎にあるセガ本社で、最新作を先行プレイさせてもらいました。果たして最新「バーチャ」は、最先端の格闘ゲームで目の肥えた若者にも楽しめるタイトルになっているのでしょうか?

最新のグラフィックで動くお馴染みのキャラクター!

バーチャファイター最新作をプレイする筆者(スサキ)

まず注目したいのはビジュアル面です。「バーチャ」といえばカクカクのポリゴンキャラクターのイメージがありましたが、それは間違っていました。キャラクターは衣装から髪質まで細かいディテールで描画されており、アニメーションも非常にスムーズに感じます。

最新作のプレイアブルキャラクターは全部で19名で、前作「バーチャファイター5 ファイナルショーダウン」と同じとのこと。個性豊かなキャラクターたちは全員が異なった格闘技の使い手で、見ているだけでも楽しめます。「バーチャ」を全くプレイしたことのない僕でも、結城晶(あきら)や舜帝(シュンディ)など、見覚えのあるキャラもちらほら。

20代と40代 ターゲット同士が対戦

「Virtua Fighter esports」の「アーケード」モード

まずはトレーニングモードで技の練習をしようと思った矢先、取材に同行したGAMEクロス編集部の岩井建樹さんに「対戦しようよ! 対戦!」と言われ、いきなり対戦することに。

岩井さんは41歳。中学生のときに「バーチャ2」にはまったとのことで、最新作を前にして、かなりテンションが上がっている様子。僕からすると「格ゲーといえばまずはトレモから」なのですが、恐らく岩井さんの時代にはトレモなんてなかったのでしょう……。

そして、この20代と40代の対戦こそ、今回の新作で想定される二つのターゲット層なのです。セガによると、一つが35~49歳というバーチャの復活を待ち望んでいた世代です。岩井さんはど真ん中ですね。

もう一つは格闘好きながらも、往年のバーチャを知らない15~29歳。こちらは僕自身がストライクです。

そんなセガの思惑通りの2人がコントローラーを握り、岩井さんは主人公キャラの晶を選択。僕は見た目の気に入ったジェフリー・マクワイルドを選んで、いざ対戦です。

「格闘ゲームライターとして、易々と負けるわけにはいかない」

と、意気込みましたが、試合が始まると晶に一気に攻め入られ、僕はそれぞれのボタンの操作法を把握する間もなく敗北。勝った岩井さんは満面の笑みで喜んでおり、曰く「20数年ぶりにプレイしたけど、身体が操作を覚えている」。これはある種の「パワハラ」ならぬ「格ハラ」ではないでしょうか……。

充実のトレーニングモードで練習しリベンジ!

「Virtua Fighter esports」の「トレーニング」モード

今度こそは練習したいと思い、トレーニングモードへ駆け込むと、やっと敗因が判明しました。

ボタンと動きの仕組みをよく理解していなかったからです。「バーチャ」にはパンチ、キックに加え、ガードのボタンがあります。先ほどの試合でレバーを「後」に入れても一切ガードできなかったのは、ガードボタンを使っていなかったからだったのです。

操作方法が分かったところで、次は技の練習です。「バーチャ」は操作がシンプルなため、ボタンを適当に押しているだけで戦えることは戦えるのですが、コマンドリストを開くと膨大な数の技が並びます。

例えば、晶は多種多様な打撃技を持っているほか、当身技も豊富に持っており、試合中の各場面で適切な技を繰り出せるようになるには相当な練度が必要になりそうです。また、「鉄山靠(てつざんこう)」などの有名な技は高い入力精度を要すため、慣れるまでは他の技が出てしまうこともありました。

トレーニングモードの機能性ですが、さすがeスポーツと銘打ってるだけあってかなり洗練されています。ダミーの状態指定やポジションリセットといった基本的な機能が揃っているのはもちろんのこと、それぞれの技の発生フレームやヒット・ガード後の硬直差まで画面に表示させることができ、攻略サイトに頼らなくても確定反撃などの練習をすることができるようになっています。

また、チュートリアルモードも非常に充実しています。基本的な操作方法を学べるのはもちろんのこと、終盤の項目では打撃と投げを同時に防ぐことができる複合ガードのやり方や、横移動で相手の攻撃を避けてからのサイド攻撃での反撃方法など、マニアックで実戦的な操作方法まで教えてくれます。とてもすぐには活用できそうにありませんが、「バーチャ」上級者同士はこうしたテクニックを駆使して高度な駆け引きをしているのでしょう。

「Virtua Fighter esports」の「ランクマッチ」

さて、一通り練習をしたところで、満を持して岩井さんと再戦。僕がトレモで練習をしている間、岩井さんはアーケードモードで遊んでいたようなので、今度は勝機がありそう。岩井さんはリオン・ラファールを、僕は先ほど練習した晶を選択し、試合開始です。

岩井さんは先ほど同様ガン攻めのスタイルなので、ここは一度距離を取って相手の出方を見ます。そして、相手が技を空振りして無防備になった瞬間に先ほど練習した鉄山靠を叩き込む! これには岩井さんも驚いたようで「いつの間にそんな技、出るようになったの!」と狼狽しています。

しかし、ここで手を緩めることはせず、今度はトレモで発見した即席のコンボを決めて、一気にKO。筆者はなんとか先ほどのリベンジを果たし、ゲームライターとしての面子を保つことができました。

初心者から上級者まで楽しめる作品

こうして1時間ほど「Virtua Fighter esports」をプレイしましたが、率直な感想として、非常に楽しく遊ぶことができました。

本作は操作性がシンプルで初心者でもとっつきやすく、キャラクターも魅力的なので、「バーチャ」を知らない人でも存分に楽しめる仕上がりになっているといえます。

そして今作はトレーニングモードをはじめ、ランキング機能やオンライン大会機能なども充実しており、以前「バーチャ」を真剣にプレイしていたプレイヤーにとっても、非常にやり込み甲斐のある作品になっているといえます。

これから「バーチャ」を通して、新規プレイヤーと古参プレイヤーたちの間で新しいコミュニティーが形成されていくのが今から楽しみです。ひょっとすると「Virtua Fighter esports」から、新たな若手プロゲーマーが誕生する日も近いかもしれません。

「Virtua Fighter esports」には様々なステージが用意されている

25年ぶりのバーチャ 爽快な記憶が蘇った

初めてプレイしたスサキさんに勝ち、大人げなく大喜びした編集部の岩井です。

4月から編集部のメンバーに加わったのですが、ゲームは高校生以来、やっていませんでした。FPSという言葉さえ知らず「このままではやばい」とばかりに今、ゲーム業界、eスポーツ界隈について必死に勉強中です。バーチャが10年以上も新作が出ていなかったことも知らず、「えっ、そうだったんだ」という感じでした。

私にとって格闘ゲームと言えば、「バーチャ2」です。初の3D格闘ゲームとして登場したバーチャ1の映像に度肝を抜かれたのですが、バーチャ2では動きがなめらかになり、興奮しました。バーチャ2をプレイするためにセガサターンを購入し、やりこみました。

当時、「→→パンチ←←キック」(適当です)のような独特の必殺技の出し方に戸惑いながらも練習を繰り返し、技やコンボを繰り出せたときの爽快感に酔いました。

ただ、その後はロールプレイングに興味が移ったこともあり、バーチャ3以降はプレイしていませんでした。ですので、今回は25年以上ぶりのプレイです。

「今さら、できるかなぁ……」と不安でしたが、プレイするにつれ、どんどん操作を思い出していきました。そして、技が決まったときのあの快感。「あ~、これだよこれ、バーチャの楽しさは」と懐かしい感覚がこみ上げてきました。

「Virtua Fighter esports」のアーケードモード

しかし、若者は上達が早いですね。スサキさんに当初の数戦は連勝。「格闘ライターもたいしたことない!?」と調子に乗り、僕が遊んでいる間にも、スサキさんはトレーニングモードで技を黙々と練習。結果、なかなか勝てなくなりました。負けた瞬間、「くそ~」と大人げなく声をあげていました。この悔しさも、ゲームの醍醐味ですよね。

「Virtua Fighter esports」は「PS Plus」のフリープレイで、8月2日まで無料で配信されます。対象期間中にダウンロードすれば、期間終了後もプレイできるとのこと。太っ腹だなセガさん。私のように「二十数年も格ゲーしてないよ」という30~50代の方々も多いと思いますが、試しにやってみたら「あの頃の楽しさ」を味わえるかもしれませんよ。