メタと異なる戦略をとる独創的なチームは、どのタイトルにも存在します。

「Apex Legends(以下、Apex)」の競技シーンにおいても、SBI e-Sports(@SBI_eSports)の存在が光ります。JCG社が主催、GAMEクロスが後援するオンラインコミュニティー大会「FACE」の3月大会においても優勝を果たしたチームです。

大多数とは一味異なるレジェンド編成を用い、4戦トータル34キルと次点の19キルを大きく引き離した圧巻の立ち回りの秘訣は。そして、暗号資産(仮想通貨)取引所とのスポンサー契約によって「年俸を暗号資産で受け取っている」という情報も。

個性が光るチームの皆さんに、優勝記念インタビューでお話を伺いました。

MATCH4でチャンピオン獲得の瞬間

確固たる役割と「自分たちに合った強み」が優勝の要因

──まずは簡単にゲーム内の役割と共に自己紹介をお願いします。

Lelia選手(以下、Lelia) Lelia(レリア)です。ゲーム内では後衛を担当していまして、HaRuさんやP1NKIさんのサポートをしつつ、次への立ち回りを考えています。後衛なので、ジブラルタルを使うことが多いですね。

HaRuLuuuuuN選手(以下、HaRu) IGL(インゲームリーダー)を務めているHaRu(ハル)です。役割としては前衛ですが、今まで前~後衛のほとんど全て触ってきています。なので、他のプレイヤーよりはキャラクター理解度が高いと思っています。

P1NKI選手(以下、P1NKI) 中衛として前と後ろの間でカバーする役割のP1NKI(ピンキ)です。

──ゲーム内では後衛とのことですが、インタビュー時はLelia選手が前に立つ印象を受けます。

Lelia そうですね。最年長という事もあり、IGLはHaRuさんですが、チームリーダーは自分が務めています。

──優勝を果たした「FACE」の3月大会を振り返りたいと思います。
一同 ありがとうございます。

Lelia やっぱり大会での優勝は嬉しいですし、モチベーションに繋がります。

大会の最終結果

──大会の配信内でも触れられていましたが、当時のバージョンではまだあまり脚光を集めているとは言い難かったオクタンをピックしての優勝でした。この構成にはどのような意図があったのでしょうか。

HaRu 比較的狭いマップであるキングスキャニオンでの大会でしたので、スピードのあるオクタンで駆け抜けることができれば逃げるにも漁夫を狙うにもメリットがあるだろう、という理由での採用でした。

──他のチームは基本的にジブラルタルとホライゾンを入れていましたが、SBI e-Sportsはジブラルタル抜きの編成でしたね。

HaRu 自分たちに合う構成を見つけられれば、強いとされている一定の構成にこだわらなくても良いと思っています。もちろん、マップによっては他のチームと全く同じになることもありますね。

──自チームの確かなスタイルがあるということですね。他に、チームとして特徴的な点はありますか?

Lelia HaRuさんと私は「Overwatch」を長くプレイしていたんですが、キャラも多くメタの移り変わりも激しいタイトルでした。その経験が、流行っている構成を「流行っているから使う」のではなく、「強いとされる理由を分析して自分たちに合わせてチョイスしていく」能力に繋がっているのかなと思います。

──キャラ理解度の高さが長所ということですね。「Overwatch」でも役割は今と同じでしたか?

Lelia いや、私は前衛でしたね。ただHaRuさんは「Apex」と同じで色んなロールをしていましたし、その頃からすごく視野が広い印象ですね。

──他に、各メンバーの印象はいかがでしょう?

P1NKI HaRuさんは僕らのチームで一番強くて全部こなせる人なんで、まさに「目指すところはこれ」って感じのプレイヤーですね。Leliaさんはスナイパーが上手すぎるので、本当に後ろを任せて安心な存在です。

HaRu Leliaさんはクレーバーを持たせたらほぼファイトに勝てると言っても過言ではないくらい、スナイパーが上手いです。

P1NKI 間違いない(笑)。

HaRu P1NKIさんは仲間思いですぐカバーに来てくれるのが印象的ですね。

──おふたりともLelia選手のスナイパーについて非常に評価されていますが、Lelia選手にとっても自信のあるポイントなのでしょうか。

Lelia スナイパーのエイムは界隈でもトップクラスだという自負があります。対面だったらほぼ負けないですね。

──敏腕スナイパーになった経緯はどのようなものなのでしょうか。

Lelia 中学生ぐらいの頃に遊んでいたFPS「AVA(Alliance of Valiant Arms)」でずっとスナイパーだったので、そのおかげかなと思います。

──特徴といえば、HaRu選手はパッドプレイヤーですよね。

HaRu 以前はマウスとキーボードでプレイしていたんですが、シーズン4の頃に試してみたら「パッドの方が弾当たるな」と手ごたえがあったので、練習を経て移行しました。

──競技シーンでパッドを使う選手は珍しい印象があります。

HaRu 今はコンシューマからPCに移行しているプレイヤーも多いので、全体ではそこまで珍しくないと思います。プロシーンではまだ少ないですけど、パッドプレイヤーを含んだチームが上位に来ることも多いので、存在感は負けていないですよ。

──皆さん独自のバックボーンがあって今に至るというわけですね。P1NKI選手はいかがでしょうか。

P1NKI 僕は「スペシャルフォース2」というFPSをプレイしていましたが……ゲーム性が違いすぎるので「Apex」の腕にはあんまり関係なさそうです(笑)。そもそも「Apex」では始めた頃に強かったレイスだけをずっと使っていたので、チームに加入してから他のキャラを理解するのに本当に時間がかかりました。

不利時に光る戦闘力は「ソロカジュアル」の賜物

──「FACE」3月大会では非常に良いスコアでの優勝となりましたが、チームとしてはどのような試合運びが理想なのでしょうか。

Lelia 基本的にはリング内の安全地帯を取ることが優先で、それが無理だと分かったらキルポイントを稼ぎに行くのがベースです。どこで位置取りを諦めるか、という判断が大事ですね。

──その判断は非常に難しいんじゃないでしょうか。

Lelia バトルロイヤルなので結果論で語れてしまうことは多いですね。後から見返せば誰でも分かることでも瞬間での判断は難しい。でも、この判断を更に良くしていくことが結果に繋がると思っています。

──判断時、意見が分かれることはないですか?

HaRu 戦術は共通理解を持てていますが、試合中には割れることもありますね。試合後にはちゃんと討論して「こうだったんじゃないか」と話し合います。僕がズバズバ言っちゃって、そこにLeliaさんとP1NKIさんが反論してくるような構図かな(笑)。

Lelia 遠慮はしない方が良いと思っているので(笑)。ゲームの性質上、完全に同じ状況が再現されることはないので、振り返る時にもある程度の割り切りが必要だとは考えています。

──安定した戦いぶりは高い個人技も不可欠だと思いますが、それを生み出す練習方法も気になります。

Lelia 今はソロでカジュアルマッチに潜れるので、味方抜きでの1vs3を練習するために全員ソロカジュアルをやっていますね。逆に大会のスクリムでは撃ち合いではなく移動の練習が中心で、安全地帯までのスムーズな移動や守りやすいエリアをチェックすることを重視しています。

──カジュアルマッチとはいえ、完全にソロで戦って勝つのは凄まじいですね。

HaRu ソロカジュアルでは相手の攻撃が自分に集中するので、射線の管理と位置把握能力が鍛えらます。3人でオンラインをやっても練習にはならないですからね(笑)。

△ソロでチャンピオンを獲得するHaRu選手

P1NKI 僕も一緒ですね。あと自分はこれまで単発武器しか使ってこなかったので、相手を追いかけるトラッキングエイムが苦手なんです。だから、毎日エイム練習ゲームをやるようにしています。

──せっかくの機会なので、試合中のオーダーについても聞かせてください。HaRu選手はIGLを務めるにあたって、何か参考にされたりしたのでしょうか。

HaRu 自分はバトルロイヤル系の「PUBG」などは触ってこなかったので、最初は誰も参考にしていませんでした。最近になって、他の人の配信を見て勉強したりもするようになりましたね。

──そこも他のチームを真似するよりも自分たちなりに、という話に一致しますね。プロ大会だと終盤でもかなりの大人数が残っているので、オーダーと立ち回りが難しいように見えます。

HaRu そうですね。第6収縮が始まってからが本番で、できれば戦わずに勝ち残るのが基本です。戦闘しなきゃいけないこともありますが、理想は最後まで良いポジションからぺちぺちと一方的に撃てることですね。

──Lelia選手はスナイパーが得意とのことですが、最終リングではなかなか生かせませんよね。

Lelia リングに追われる相手を倒すのは得意なんですが、最終盤では難しいですね。ただ、今は以前と違って最終リングがゆっくりと時間をかけて縮んでいくので、全員がレイスのアルティメットでリングへ飛び込んで乱戦になっていた頃よりも、戦ってキルを取りやすくなりました。

モバイルリスポーンビーコンに上手く隠れて回復するLelia選手

──ますます連携や戦術が重要になってきますね。

Lelia 相手を不利なポジションに追い込んだら「自分がジブラルタルで空爆を要請して、それを防ごうとした相手のシールドをHaRuさんのクリプトがアルティメットで壊す」という連携も使っていて、結構キルも取れましたね。アルティメットを2つ使っているので強いのは当然と言えば当然ですが、これが意外とピッタリ合わせるのは難しいんです。

──それだけ細かい判断の世界では、本番の緊張感がプレイに影響することもあるのではないでしょうか。

HaRu 僕も最初の頃は緊張のあまり声や手が震えたりしていましたが、段々と慣れてきました。様々なコミュニティ大会が頻繁に行われる「Apex」ならではの経験かなと思います。ただ、個人的には同じチームで長期的に戦うリーグ戦がもっとあっても良いのかな、とも思いますね。

年俸は暗号資産で支払い

──「Apex」から話は逸れますが、SBI e-Sportsの年俸はXRPという暗号資産で支払われているそうですね。運営の方からも「チームを通じて若い視聴者の方にSBIという会社と暗号資産について知ってもらうため」と説明を頂いたのですが、実際に暗号資産に触れてみての感想はいかがでしょうか。

Lelia 実は、自分は以前からXRPに注目していたので「まさかこれが年俸になるとは」という衝撃がありました。ある意味、ふたつの分野の趣味が合体した感じです。数字の変動をチェックするのも楽しいので、充実していますね。

──なるほど、意外とすんなり受け入れられたんですね(笑)。HaRu選手とP1NKI選手はいかがでしょうか。

P1NKI 僕はこれまで暗号資産のことを全く知らなくて、「なにこれ?」という未知のものでした。ちょっと怖いイメージもあったんですが、いざ振り込まれてからはLeliaさんに教えてもらいつつ触っています。結構面白いですね。

──まさに「若年層への普及」のモデルケースのような事例ですね。

HaRu 僕も全然分からなかったんですが、今はある程度理解が深まってきていて、ゲーム感覚で楽しんでいます。

──ゲーム感覚でリスク管理ができるというのは興味深い話ですね。ある程度のラインで切り替えてポイント狙いに転じるという「Apex」での戦術にも通じるようにも感じます。

HaRu 確かに、そうかもしれない。

Lelia どちらも判断が遅れたら大変なことになってしまうので、気を付けないとですね(笑)。

──普段はオンラインでの活動というのも、相性が良いのかもしれません。

Lelia 最近は特に、撮影などの機会がない限りは完全にオンラインでの練習になっていますね。

──ということは、優勝の祝勝会もまだということですね?

Lelia 言われてみたら……今回に限らず、あまりそういうのをやったことないですね。

P1NKI 確かに。

──では、また情勢が落ち着いたら皆さんで是非お祝いの機会を設けていただけたらと思います。本日はどうもありがとうございました!

一同 ありがとうございました!

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作戦面から私生活の年俸まで一貫して伝わってくる独自色が強みの、SBI e-Sports「Apex Legends」部門の皆さんでした。

果たして次の大会ではどんなチームが優勝するのでしょうか。「FACE Apex Legends」は6月も大会が予定されています。FACE公式ページはこちら