麻雀大会にも出場する先駆者として

選手として数々の大会で結果を残しながら、同時に対戦会の開催や社会人eスポーツリーグの解説など多方面で活躍するlive選手。「ぷよぷよ」のイベントにその姿あり、と言っても過言ではないほどの幅広い活動を行っています。

「僕の感覚では、楽しいことや『実現したら良さそうだな』と思うことをやっているだけです。確かに大変だと感じることもありますが、何事も誰かが始めてみれば後続が続きやすいと思うので、自力で可能な範囲内のことはチャレンジしています」

まだまだ実験的な試みも多いeスポーツの世界では場面によって要求されるパフォーマンスもさまざまですが、live選手はそうしたチャレンジによって自分が情熱を注ぐタイトルが世に広まるならと、労を惜しみません。「自分が失敗しても、それが教訓になれば」と、先駆者の姿勢で取り組んでいます。

「特にここ数年は『ぷよぷよ』のプロシーンがスタートして、誰かが率先してこの役割を担わないといけない時期だと思っています。今の環境が本当に恵まれているのは分かっているので、『楽しいこと』と『周りのためになること』で頭を切り替えながら色んなことをやっています」

他タイトルのプロゲーマーと共演することもあれば、情報発信のために記事を書き上げることもあり、時には競技の枠を超えて「プロゲーマー代表」として麻雀大会に出場したことも。「ぷよぷよ」の技術も歴史も、そしてプレイヤー界隈の事情も深く知るlive選手には、まさに「コミュニティーリーダー」という言葉がよく似合います。

上京初日、終電を逃すまでゲーセンで没頭

インタビューで思いを語るlive選手

そんなlive選手が本格的に「ぷよぷよ」対戦の道へと進むきっかけは高校生のころ。インターネットを通じて名人級のプレイヤー同士が対戦していることを知ったことで「自分はどれくらい通用するんだろう」という感覚が芽生え、対戦の世界へと歩み進めていきます。

それ以前から興味を持って「ぷよぷよ」の技術や知識を研究していたことで次第にオンラインの世界では戦果が出始めましたが、当時はアーケード版での対戦文化が根強かった時代。「最強のプレイヤーはゲームセンターに集まっている」という情報はlive選手の耳にも届いており、上京を機にその文化へと飛び込みました。

「就職のために北海道から上京してきた初日に横浜のゲームセンターへ行ったんです。ちょっとのぞいてみるか、くらいの気持ちだったんですけど、気付けば終電を逃していました。あれほどディープに趣味を共有した集まりってそれまで経験したことがなかったので、本当に楽しかったことを覚えています」

対戦せずに談笑しながら誰かのプレイを見ているだけでも楽しい。そんな「同じ趣味の仲間と同じ空間を共有すること」の魅力をゲームセンター文化の中で味わったlive選手。この体験が元となって生まれたのが、同じくプロとして活動するdelta選手と共に定期的に開催している「上野BPT」という対戦会です。

対戦・配信環境を備えた施設「Buzz esports 上野」で毎週火曜日に行われるこの集いは、対戦会でありながらも。live選手本人の言葉を借りれば「対戦している人がいれば観戦専門の人もいて、その後ろでなぜか漫画を読んでいる人だっている」という自由さも持ち合わせており、まさに古き良きゲームセンターのような空間です。

「人って、思い入れが強いことのためなら動けるじゃないですか。だから自分はオフラインって楽しいよね、という思い入れから『上野BPT』を開催しているし、それが誰かの思い入れになる可能性もあります。そういう土壌を作りたいんですよね」

今は練習も試合もオンライン対戦が主流になりつつある「ぷよぷよ」の世界に、終電を忘れるほど楽しかったゲームセンターでの交流体験を文化として残したい。この気持ちがlive選手の活動における大きな原動力となっています。

EVOと国体、輝く2つの頂点

「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」で訪れた神田明神で撮影に応じるlive選手

競技者としてのlive選手を語る上で外せない称号のひとつが「EVO優勝」。世界有数の格闘ゲームの祭典「EVO」と同時に開催される非公式サイドトーナメント「AnimEVO」の「ぷよぷよテトリス」部門で、live選手は2018年から2連覇を果たしています。

「元々はプロという肩書が付いたことで『それまでとは違う活動がしたい』という気持ちがあったんですが、その矢先にAnimEVOへと誘われたんです。他のタイトルのプロ選手は海外の大会に出場していることも珍しくなかったですし、縁あって同行者にも恵まれたのでチャレンジ精神で行ってみました」

ここでも「チャレンジ」の気持ちで、ラスベガスへと飛んだlive選手。世界のぷよらーを前に「本場」の日本勢としての実力を見せつけての優勝は他の誰も獲得していない名誉であると同時に、貴重な体験としてlive選手の心に残っています。

「海外のプレイヤーは日本のプロということにリスペクトを示してくれましたし、EVOは本当に楽しかったです。完全に自分の知らない世界が広がり、日本に比べてすごい規模でやっているんだな、こういうレベルでゲームのイベントってやれるんだ、っていう非日常感がありました」

トッププレイヤーが参加した異文化交流は海外勢にとっても大きな意義を持ったことでしょう。近年は海外から日本の対戦会や大会に参加するプレイヤーの姿も見られるようになっており、live選手も上達へのハードルがあるのは間違いないとしながらも「オンラインの時代なので、ちょっとしたきっかけで実力が跳ねて上がる可能性はあるのかな」と、国際的な発展に期待を寄せています。

そんな「覇王」の肩書に2020年末、新たに「都道府県対抗eスポーツ選手権 優勝」が加わりました。国体文化プログラムとして話題を呼んだ大会で、埼玉県代表としてオンライン大会を勝ち抜き、見事に頂点に輝いたのです。

「(オフライン開催だった)2019年大会も参加したんですが、とにかく全国からプレイヤーが集まって一堂に会する機会がめちゃくちゃ楽しかったんですよ。ホテルで過ごすのでさえ楽しくて、長く続いてほしい大会への気合が結果につながったのかなと思います」

国際試合や都道府県対抗戦など、多くのプレイヤーが交差する舞台でいつも以上の勝負強さを発揮するのが持ち味。人と関わり合うことの楽しさ、大舞台での経験値が覇王の強さの源です。

「魅せて勝つ」ことで楽しませたい

「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」で訪れた神田明神でポーズを決めるlive選手

長く競技シーンに携わるlive選手。状況に応じて柔軟に積み方を変えていく「不定形」の使い手として知られ、特に上級者をもってしても理解が追いつかないほどの複雑な連鎖も得意としているのには「自己満足で複雑な連鎖を組んでいた」というバックボーンが存在します。

「最初の内は定番の形を組まなくても勝てていたんですが、壁にぶつかってから基本の形もしっかりと勉強して身に付けました。でも今はその定石に、原点回帰した自由なプレースタイルを混ぜたらどうなるんだろう、と試している段階です」

公式大会でも不定形や珍しい土台を用いて戦うシーンが目立つのは、そんな探究心から。研究が進んだことで徐々に固定化しつつある現在の戦術トレンドを理解したうえで、live選手は目指す先にある理想をこう語ります。

「最近はある程度“正解”とされる行動がハッキリしていて、それを高い水準で遂行することが重要になっていると感じます。でも、僕はその中でも全然違うことをしながら勝っていきたい。予測を裏切って『魅せて勝つ』ことを目指したいんです」

普通の形で勝ちたいと思わないんですか、という質問を「全員同じ形だと、見ていて面白くないじゃないですか」と笑い飛ばしたlive選手。プレイでも行動でも、私たちに「ぷよぷよ」の楽しさと面白さを教えてくれる存在です。