eventhost、videogames、FRANCE、ドラクエ、eva、Gundam、麻雀、書道、Pokémon、MH、人狼、 格ゲー、釣り、コスプレ、esports……。

椿さんのTwitterアカウント(@ayanatsubaki)のプロフィール欄には、数多くのカルチャーが並びます。中でも「ゲーム&ウォッチが始まりだったかな」と振り返るゲームに関しての思い出は、自ら「雑食」と評するほど多岐にわたります。

「格闘ゲームはどのメーカーさんのも遊びましたね。プレイ時間の長さで言えば『モンスターハンター』シリーズも。音ゲーや落ちもの系もやりました。でも、何と言っても、私はRPG全盛期を通ってきている人間なので、はやったRPGタイトルはほとんど全部やってきたと思います」

逆に、あえてあまりプレイしないジャンルを挙げてもらうと、「運動が苦手なのでスポーツゲームは勉強中なんです」と笑います。それでも、どんなジャンルでもすらすらとタイトル名やエピソードが出てくるところは「筋金入りのゲーマー」。中でもやはりMCなどで活躍する「ぷよぷよ」に関してはエピソードのエピソードはひときわ濃いものが並びます。

「始まりは『すーぱーぷよぷよ』で、ゲームギアの『ぷよぷよ通』は熱中しましたね。私のお小遣いは全てゲームギアに使うマンガン電池に消えていきました(笑)。友達の家で遊んでいたら、そのお母さんが『ぷよぷよ』に夢中になってしまったり、大学生のころにDSで友達と対戦したりと、いつの時代も遊んできたタイトルです。友達とチームを組んで大会に出たこともありましたね」

今ではeスポーツにまつわる仕事も数多くこなす椿さんですが、こうしたゲーマー歴が礎となっている実感しています。

「私自身、ゲームセンターのアーケード筐体で対戦する文化に親しみがある世代ですし、格闘ゲームの大会に参加したこともあって、今のeスポーツの原型となった時期を経験しているんです。それが『大会を見ている人がどんな情報が欲しいのか』という気持ちを考える上でとても役に立っていると感じます」

「愛ゆえに」スタイルで磨いた腕前

「キャラ愛」が強いと語る椿彩奈さん

攻略法は見ない、隠し要素を全て回収する、などなど、ゲーマーは誰しもが自分のプレイスタイルを持っています。椿さんのスタイルをひとことで表現するなら、とにかく「キャラを愛すること」に尽きるでしょう。

「好きなキャラがいたら、そのキャラしか使いません。『ぷよぷよ』はシェゾ一筋ですし、RPGならとにかくそのキャラにアイテムを注ぎ込みます。途中でそのキャラが『離脱』してしまったら……それはしょうがないという覚悟を持って遊びます!」

そんな確固たるキャラ愛は対戦ゲームにも及び、特に格闘ゲームでは上達のための強い初期衝動として椿さんを支えました。

「格闘ゲームは別に上手かったわけじゃないんです、むしろ下手でした。でも、とにかく好きなキャラのエンディングが見たくて見たくて、盛り上がる対戦を横目に見ながら何度もコンティニューしてCPUとの対戦を繰り返していました。それで次第にできるようになっていったんです」

ゲームの競技としての側面がピックアップされるようになったからこそ、椿さんの持つ「上手くなくても楽しい」という気持ちに寄り添える感性は、多くの初心者にとって貴重なものになります。

「確かに『上手い方が楽しめる』場面もあるなとは思います。でも、プレイ人口のうちでプロと同じくらい上手い人の割合の方が絶対に少ないですよね。私はコスプレをしてコミケに行ったり友達が作った同人誌の売り子をしたりしましたけど、そういう形のゲームの楽しみ方も全然アリですよね」

今の時代に生まれても、MCになる?

椿彩奈さん

「ちっちゃい頃から好きだったゲームが、こんなに大きな流れになったことは本当に幸せです。当時はゲームへの否定的な意見も多くありましたけど、今になって『あの頃の私って、無駄じゃなかったな』って思えるんです」

親しみ続けてきたゲームという文化に、今では仕事として携わることも少なくない椿さん。もし、今の時代に生まれていたらeスポーツ選手を目指したのでしょうか。

「どうでしょう、私はどんなゲームもトップクラスまでは全然伸びないんです。それよりも今のMCという立場は本当に楽しくて天職だと思うので、やっぱりゲームについておしゃべりしたり伝えたりすることを仕事にするんじゃないですかね」

それほどに楽しいというMCの立場を務めるに当たって、ゲームへの愛は変わりませんが、スタンスには少しずつ変化が訪れていると言います。

「完璧主義なのかも知れないんですけど、以前は100%そのゲームのこと知っていないと嫌だったんです。実際、自分も好きなゲームに携わる人には『全部知っていてほしい!』と思うので、見る人のそういう気持ちも理解できるんです」

ここでも椿さんを突き動かしたのはゲームに夢中になる子供のような「愛ゆえに」ですが、様々な経験を経て次第に大人の「愛ゆえに」へとシフトしつつあります。

「今は、一周回って『にわか推奨派』になりました。誰にでも初心者の時期ってあるのに、何でも100%ができないとダメだっていうのは息苦しいじゃないですか。そこが和らいで行けば皆が幸せになれると思うんです」

好きだからこそ、自分にも相手にもマニアックなものを求めてしまう。でも、本当に好きなら大事にすべきなのは新しく好きになってくれた「にわか」の人。

これからのeスポーツがより多くの人に愛されるため、椿さんの見いだした「にわか推奨派」論が大きな役割を果たすのかも知れません。

ぷよぷよ公式大会に数多く足を運んできた椿彩奈さん