「ぷよぷよ環境」の変化を体感

ゲームタイトルとしては今年で30年になるぷよぷよですが、eスポーツとして公式大会が行われるようになってからは3年となります。その規模や注目度も年々変化を遂げてきました。椿さんはその全てを間近で見届けてきた一人でもあります。

「3年ほど前から、eスポーツがメディアなどで取り上げられる機会が増えていったと感じています。今では各地でイベントが開催されるようになり、すごくゲームの世界は変わったなって思います」

中でも印象に残っている出来事としては、「ぷよぷよ」が国体の文化プログラムとして初めて採用された2019年の茨城国体を挙げます。「小学生の部を皇室の方が見に来ていて、驚きました。以前では考えられないことですよね。さすがに会場の緊張感が違いました(笑)」

この大会では、決勝大会だけでなく、各地の地方予選にもプロ選手と共に出演し大会を盛り上げた椿さん。MCとしての活動を通じて、トップ選手の真剣勝負の場となることもあれば、年代を超えた交流のきっかけにもなるというゲームの魅力を感じる機会ともなりました。

深みを知ったからこそ更に面白く、更にバランスよく

「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」の出演で訪れた神田明神で撮影に臨む椿彩奈さん

変化は環境だけでなく、椿さん自身にもありました。トッププロの試合を間近で見続けたことで「ぷよぷよ」に関する知識量はグッと増加しました。

「私にとって『ぷよぷよ』はスーパーファミコンの頃からプレイしてきた大好きなゲームなんですけど、競技のための知識は無かったんですね。でも、勉強したり選手の方に教えてもらったりするうちに、徐々に『何を伝えたら盛り上がってもらえるのかな』ということがわかってきて、更に面白くなりました」

その変化は大会の視聴者にも伝わっており、「椿さん、びっくりするぐらい戦術に詳しくなってる!」というコメントも多く寄せられるようになりました。その奥深さを知ったからこそ、伝える立場として意識することも変わりました。

「大会で一番気を付けているのは、ライト層や初めて見る人に対していかにわかりやすくできるかということなんです。私も『ぷよぷよ』のキャラが大好きで、ゲームをプレイするだけじゃなくてイラストを描くのも楽しみだったんです。そういうタイプの人にもプロのすごさを知って欲しいので、なるべくかみ砕いた表現を意識しています」

老若男女を問わず愛されるゲームには、色んな楽しみ方のユーザーがいる。そう分かっているからこそ、時には対戦に影響しない使用キャラクターの情報を盛り込むこともあります。

「キャラクターはみんな可愛いので、とっつきやすい部分なのかなって。私は選手じゃないからこそ、そういう柔らかい部分を意識していますね。と言っても、キャラクターの紹介は私が楽しいからやっているだけなんですけど」

椿さんが公式大会で伝えるプロ選手のパーソナリティーも、そうした「柔らかい」情報のひとつです。選手の喜怒哀楽からちょっとした日常の一面まで、時折放送に乗せては視聴者に届けています。

「プロって技術がすごいのはもちろんなんですけど、人間性も魅力的なんです。例えば『この選手はチャーハンが好きだ』って知ったら、親近感が生まれるじゃないですか。そういう情報もなるべく入れていけたらと思っています」

見ている人が「応援したい」と感じる瞬間を探る目線は、選手ではないからこそ。「あんまり内側の情報を入れすぎても、内輪で盛り上がっているように見えてよくないので」とバランスを取ることも忘れずに、突き詰めたプレイヤーが作り出す世界への橋渡し役を担っています。

最前線で見つめてきた魂を注ぐ姿

インタビューに応じる椿彩奈さん

公式大会であるぷよぷよチャンピオンシップも先日SEASON3を終え、これからSEASON4へと向かっていきます。プロライセンスを保持するプレイヤーも増え、ますますハイレベルな戦いが予想されますが、椿さんはその魅力を少しでも多くの人に知ってほしいと願っています

「国民的なゲームとも言える『ぷよぷよ』が、今はeスポーツとして、日本だけではなく、世界中の『ぷよらー』によって技術が競われています。対戦ガチ勢ではなくても、プレイしたことがなくても見てみてほしいですね。それで、気に入ったら遊んでみてもらえたら、と思います」

「一度は見てほしい」という言葉の裏にあるのは、最前線で見守り続けてきたからこそ分かる、その魅力への確信です。

「現役高校生のプロ選手がいて、家族が大会の応援に来てくれていたり、賞金の使い道は学費と宣言したりする姿にほっこりしますよね。かと思いきや。その対戦相手が超ベテランのレジェンド選手だったりするんです」と語ります。

そして、「本当に、一試合ごとにドラマがあります。ひとつのコンテンツに人生をかけて、魂を注いている人の姿って、泣けるんですよ。実況していてもらい泣きしちゃうんです」とも話し、愛の深さを物語っています。

知れば知るほど感情を揺さぶるプロシーン。これからも椿さんが熱く伝え続けます。