PlayStation 5版「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー(CoD:BOCW)」を使用した公式eスポーツ大会「コール オブ デューティ プロ対抗戦」のSPRINGシーズンが11日に最終日を迎え、国内プロチームの頂点が決まりました。

6つのプロチームによる激闘を制したのは、2018年から公式大会を9連覇中だった絶対王者、Libalent Vertex(以下、LV)でした。リーグ戦を無敗で突破すると、グランドファイナルも圧巻の戦いぶりを見せつけ優勝。これで連覇は「10」の大台に乗りました。

今回はそんな偉業を成し遂げたLVメンバー4人への特別インタビューをお届けします。久々のプロ対抗戦となったSPRINGシーズンを振り返りつつ、さらなる高みに向けての意気込みを聞きました。

3年ぶりのリーグ戦でもモノを言ったのは「練習通り」

──SPRINGシーズンの優勝おめでとうございます。国内大会10連覇の大台に乗りましたが、お祝いはされるのではしょうか。

sitimentyo選手(以下、sitimentyo) もちろんです。でも段々リアクションが薄くなるというか、思い返してみると一番盛大に祝ったのは初優勝の時だったかもしれないですね(笑)。

プロ対抗戦はオンライン形式で開催され、LVのメンバーもリモートで出演(右上から時計回りに、Inaba UR選手、xAxSy選手、sitimentyo選手、GenGar AX選手)

──それは常勝LVならではの悩みですね。今年は「CoD:WW2」シーズン以来、3年ぶりのプロ対抗戦の開催となりましたが、率直な感想はいかがでしたか?

sitimentyo 久しぶりのリーグ戦で、長期戦となると調子が上がるチームも下がるチームもあります。その中でLVは常に良いコンディションを保てたと思います。各チームと2回対戦するので対策もされますが、その中で勝ち切れて嬉しいです。

Inaba UR選手(以下、Inaba) 前回のプロ対抗戦(2018年開催)はまだ自分の経験が浅かった頃で、自分が成長するにつれてチームが強くなっていく実感がありましたね。当時は下位から追い上げる展開でしたが、今は完全に追われる側というか「どれだけ追いつかれないか」を意識する立場に変わりました。

──追われる立場のプレッシャーもありますよね。

Inaba 練習試合で苦戦することも多くて、正直に言って開幕前は「2~3回は負けるかな」と思っていました。結果、作戦も上手く決まって全勝優勝できましたし、ギリギリの戦いは楽しかったですね。

▲最終チーム成績

GenGar AX選手(以下、GenGar) 前回のプロ対抗戦は別のチームに所属していて、ずっと首位だったのにグランドファイナルでsitimentyoとInabaがいたLVに負けてしまったんです。その悔しさが自分の中でずっと残っていて、今年リーグ戦が発表されたときから「前回のリベンジ」というイメージで挑もうと思っていました。

xAxSy選手(以下、xAxSy) トーナメントと比べると、リーグ形式は「対戦相手が減らない」のが大きな違いですね。常に多くのプロチームが調整・練習している環境が本当に良くて、プロ対抗戦ってお互いのレベルを高める上で大事だなと改めて思いました。同じレベルの相手とずっと切磋琢磨できると、本番でもアツい試合になりますね。

──プロ対抗戦の直前に開催されたコミュニティ大会では敗戦もありましたが、そのことは意識されていましたか?

sitimentyo その大会までに取り組んでいたことがあって、実戦でダメだったら変えようと思っていたんです。大会後からリーグ戦までに再調整は間に合うと思っていましたし、一発勝負のトーナメントと違って後半から盛り返すこともできるので焦りはなかったですね。

──その言葉通り、本番にばっちりと間に合わせて安定感のある戦いぶりを披露されました。チームとして手ごたえのあったルールやマップはありましたか?

GenGar SEARCH & DESTROYは重点的に練習できていなかったんですが、その分HARDPOINTを練習していたんです。その成果もあって、HARDPOINTではスコアで迫られることがあっても勝ち切れたのかなと思います。

──確かに、戦績を見てみるとHARDPOINTは16戦15勝でした。接戦になっても勝ち切れる要因はどこにあるのでしょうか。

sitimentyo 日々の練習で取り組んでいる「こういう状況ではこう動く」という約束事が体に染みついているからですかね。普段は基本的なことしか指示していないんですけど、逆にそれが接戦の時に効果を発揮したのかなと思います。

──HARDPOINTは試合中に戦況が忙しく変化しますが、あまり細かく指示しなくても良いということでしょうか。

sitimentyo そうですね。皆が状況をよく分かっているので、はっきりと指示出しするのは拠点が切り替わるタイミングか、不利な時くらいですね。あと、LV内では「200点を超えたら好きに動き出す」という流れがあって。

xAxSy 出た(笑)。

sitimentyo 250点に到達すれば勝利なので、200点を過ぎるとかなり有利な状況なんです。そのあたりからは各自が自由になりだすので、危ないなと思いながら次の拠点へ切り替える意味の「シフト!」を連呼しています(笑)。

「マイベストプレイ」と「S&Dで負けない理由」

──今シーズンで出た自分のベストプレイは?

xAxSy そうですね……自分はSEARCH & DESTROY全般が特に良かったかな。トップ5プレイにも選ばれたし、3人を倒すビッグプレイも出せましたね。プロ同士の交流戦でもやったことない動きを本番でやってみることもあるんですが、グランドファイナルのラスト1本でも「爆弾設置するプレイヤーを俺が倒す!!」と死角で待つ作戦がハマりましたね。

▲第2回のベストプレイに選出された、xAxSy選手のSEARCH&DESTROYでの立ち回り

GenGar あまり思い浮かばないんですけど、自分の成績では第3回の、特にCONTROLが良かったですね。LVは流れが良いときはそれにどんどん乗っていけるチームなので、そのおかげもあって良いスコアが出せたのかなと思います。

Inaba 第1回の調子が良かったイメージがあるんですけど、あんまり覚えてないんですよね(笑)。グランドファイナルのHARDPOINTでしょうか。MOSCOWで、時間もほとんど無い状況で中央まで上がって行って、前の拠点から向かってくる相手と撃ち合ったんです。

「やられてもリスポーンに時間をかければ作戦的にOKだな」と思ったんですが全員返り討ちにできて、あの試合は流れに乗って最高の形ができたんじゃないかなと思います。

sitimentyo 自分は単独で行動していることが多くて、味方から離れて動いている以上は試合を動かす責任があるんです。それが上手く決まった場面が多かったなと思いますね。

画像左下のミニマップに注目。右側の相手陣地まで単騎で入り込んでいるイエローのプレイヤーがsitimentyo選手

──sitimentyo選手は使用する武器が日ごとに変わることも配信上で話題になっていましたね。

sitimentyo 武器に装着できるアタッチメントの兼ね合いで、一番得意な距離での撃ち合いを重視して持ち替えていましたね。海外プロシーンを参考にアサルトライフルを使用する人数を変えるなど、編成の面でも色々とチャレンジできました。

──チャレンジを取り入れつつも、リーグ戦は全勝。10試合で落としたラウンドはたったの5つという素晴らしい戦績での優勝になりました。

sitimentyo 危ない試合も多かったので、落としたのが5マップだけに抑えられたのは自分たちでもすごいなと思います(笑)。

──確かに危ない試合もありましたが、本当にLVは瀬戸際に強いイメージです。SEARCH & DESTROYでも何度もフルセットの「5-5」を迎えましたが、ギリギリの状況で勝ちきれる要因はどこにあるのでしょう?

GenGar やっぱり練習量と経験が一番だと思っています。僕は3人に比べたらSEARCH & DESTROYの経験が浅い方なので、5-5の状況でも自信を持てる訳ではなかったんですが、時には2-5から逆転できることもあって、味方ながら「本当にこいつら上手いな」と改めて思いましたね。

一同 (笑)

sitimentyo 上からやなぁ(笑)。

▲S&Dで大逆転したシーン

第4回のCAG戦、RAIDマップのSEARCH&DESTROYでは2-5と王手をかけられてから大逆転に成功した。

xAxSy SEARCH & DESTROYではラウンド開始時にメンチョウさん(sitimentyo選手)が指示を出してくれるんですけど、昔から大事な場面でのオーダーがハマるんですよ。指示通りに皆が動けているのも大きいですね。

sitimentyo このコメント、使ってくださいね。

xAxSy (笑)。あとはメンタルですね。不利な時でも「負けている」って意識し過ぎることはなくて。第4回の試合で1 vs 1で爆弾を設置してから撃ち勝ったシーンがあったんですが、終わってから「あれっ、4-5じゃん。今の負けてたらラウンド取られるのに、よく設置したな~自分」と思いましたもん。

sitimentyo いやいや、自分は5本取られたらかなり意識しながらプレイしてますよ(笑)。ただ、相手も王手をかけると必ず意識してしまうので、その心理的な変化を上手く読み切れる俺はすごいなと思いますね。

xAxSy メンチョウさんは本当すごい。

──Inabaさんは追い込まれると意識しますか?

Inaba 自分も意識はしますが「そこから4~5本取ればいい」と思って、リセットするような気持ちでやっています。sitimentyoのオーダーって、仮に5本取られてもそこまでの展開を分析して対応しているので、そこから逆転まで上手く運ぶことができるんですね。

sitimentyo 試合では練習でやってなかったこともやりましたね。特にMIAMIはCAG(CYCLOPS athlete gaming)さんが得意なマップだと分かっていたので、試合前に「好きな事やっていいよ」と話しました。一言で意図を掴んでくれるので、本当にやりやすいメンバーです。

SUMMERシーズンで要警戒の存在は?

──LVは常に「世界で勝つ」ことを目標に「#NextLV」を掲げています。ネクストレベルに向けて、現時点での手ごたえはいかがでしょうか。

sitimentyo 世界と戦う上では、まだまだ練習が必要なのかなと思います。今年は海外に行く機会もないので国内大会向けに調整した部分もあって、世界と戦うためには別の練習も加えていかないといけません。

Inaba 自分もやはり練習が必要だなと思います。「CoD」シリーズに限らず、FPSでは日本と国外で「チームとしての考え方が違う」という話を聞きます。その違いを見つけて、どう変えていくのかが重要ですね。

──昨今の情勢では、世界のチームと試合を行える機会が少ないですもんね。

GenGar そうですね。去年ミネソタへ遠征してからもう1年以上経ちます。実際に世界で戦ってみて、彼らに近づくためには強いチームとの試合を重ねるのが一番の近道なのかな、と感じました。EUやNAには強いチームがゴロゴロいるので、もっと世界で戦ってみたいというのが正直な気持ちです。

▲2020年1月、ミネソタの世界大会に出場したLV

xAxSy 特に「CoD:BOCW」シーズンではほとんど国際大会に出られていないので、手ごたえが分からないんですね。日本で優勝しても世界でどこまで通用するかは未知数です。

──いつか来る世界との戦いに備えるためにも、6月からのSUMMERシーズンも負けられない戦いが続きます。今シーズンはCAGとのマッチアップが注目されましたが、他にも要注目の存在を教えていただけますか?

xAxSy やっぱりREJECT……と言いたいところだけど、終盤戦を見るとSCARZが一足先に抜け出してきたかなと感じますね。同じメンバーでSUMMERシーズンを迎えることができれば完成度が更に高くなると思いますし、アリス(AliceWonderland)選手のことだから「打倒LV」に一番の熱量を持ってくるに違いない。

──やはり元チームメイトのAliceWonderland選手がLV戦に情熱を注いでいるのは、対戦していて感じるものですか?

xAxSy 感じますね(笑)。要警戒ですし、ライバルとして頑張って欲しい気持ちもあります。

GenGar SCARZはコーチにNimbleさんというAPACの強豪チーム経験者を迎えていて、その強みは今後出てくると思います。逆にREJECTは序盤の調子が良くなさそうだったんですが、爆発力があって怖い存在です。特にCity of NewYork選手とGaliard選手は元チームメイトで「乗ってくるとヤバい」ことは知っているので、警戒しています。

▲REJECTでTOP3独占となった、第3回のベストプレイ集

Inaba REJECTの第2回、第3回での勢いは見る側としても楽しかったですね。好調をキープしていたCAGを相手に3-0だったかな?

sitimentyo そうそう。

Inaba そこからグランドファイナルまで逆転で上がって来るんじゃないかと思うくらいのパフォーマンスでした。

──他のチーム間でも熱戦が多く、皆さんも見ていて盛り上がる展開だったのでしょうか。

Inaba ですね。ただ、総当たりで対戦が2巡するんですけど、1回目勝った相手でも2回目までの戦いぶりを見ていると「あれっ、このペースで調子あげてこられたら嫌だな……」って(笑)。

──Inaba選手の注目のプレイヤーは誰でしょうか。

Inaba やっぱりLeisia選手とNicochaaaaaaaann選手。過去にチームメイトだったので強さが分かっていますし、そこから更に成長してくると厄介だなと。あとは既に名前が出てますけど、アリス選手もリーダーとしての経験値を積み上げながらSCARZを引っ張っていく姿勢に注目です。

sitimentyo 入替戦に臨むことになったFAV Gamingもシーズン終盤はかなり強くなってきていましたが、それでも確実に残れるとは言えないほどSPRINGシーズンに参加できなかった強豪チームもまだまだ多いです。ある意味、まだ見ぬ存在が一番警戒ですね。対戦経験がなくて相手がこっちを一方的に知っている試合って、心理的に難しいので。

全員がMVP級の活躍

──今季は試合後のインタビューでMVPに立候補しあう流れが定番となりつつありましたが、ぜひ自分以外でMVPを選んでいただけますか?

sitimentyo 2人で迷うなぁ。でもチームの事だからギクシャクしちゃうので誰かは言えないなぁ……。

GenGar 俺と、もうひとりは誰!?

sitimentyo InabaとxAxSyで迷うなぁ……。

GenGar 俺じゃないのか!

sitimentyo 活躍度は皆素晴らしかったですけど、特に窮地を救ってくれたので、最後の砦、支えという部分でxAxSyかな。

xAxSy ありがとうございます!

Inaba 僕もxAxSy……と言いたい気持ちもありますが、GenGarくんですね。第1回は調子が良くなかったんですが、特に第3回が凄かったです。普段は敵だけじゃなく味方にも負けない、という気持ちで試合に臨んでいるんですが、その日は「コイツには負けたわ」と思うくらいで、そこまで盛り返したのが凄いなと。

GenGar お返しじゃないんですけど、僕はInabaですね。

sitimentyo うわ、俺に2票入る可能性なくなったやん……。

GenGar 同じチームになってから常に安定したスコアを出しているんです。数字はやっぱり試合への影響を表しているので、ずっと活躍しているInabaがMVPかな。不利状況での耐えがすごくて「Inabaじゃなきゃ負けてた」という場面が何回もあった。

──綺麗に票が割れていますが、xAxSy選手はどうでしょうか。

xAxSy 俺は最初からメンチョウさんに入れるつもりでしたよ、本当に(笑)。試合中の指示出しもそうなんですけど、普段の練習に必要なものは全部メンチョウさんが用意してくれてるんですよ。やっぱり質のいい練習がなくてはアツい試合もできなかったと思いますので、全ての基礎になってくれているメンチョウさんに一票。

──やはりリーダーの存在は大きいですか。

xAxSy 本当に、これだけクセのあるメンバーをまとめ上げられるのってすごいと思いますし、リーダーはメンチョウさんしかいないですね(笑)。

sitimentyo ちょっと笑ってるやん。

──見事に全員一票ずつという、素晴らしい連携をここでも見せて頂きました。このチームワークを武器にSUMMERシーズン以降も更なる躍進を期待しています。本日はありがとうございました!

一同 ありがとうございました!

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世界での活躍というワンステップ先の目標を見据え、今後も国内シーンを牽引し続けるLibalent Vertex。「コール オブ デューティ プロ対抗戦」SUMMERシーズンは入替戦を経て、6月に開幕予定となっています。果たして次のシーズンでは彼らの進撃を止めるチームが現れるのか、それとも連覇の記録がまたひとつ増えることになるのでしょうか。

▲今後のスケジュール

LIBALENT VERTEX(リバレント・ヴァーテックス)

2018年に発足。発足後、半年で日本一に輝く。以来、現在(2021年春季)までSIE主催国内大会無敗。日本代表としても5度世界大会に挑戦。個人でもアジア・オセアニアエリアでランキング30位に入るメンバーが揃った、日本最強のCoDプロチーム。毎大会、会場がどよめくようなスーパープレイを披露し、そのプレイは国外のメディアが注目するほど。eスポーツの盛り上がりに伴い、各選手、地元TV局や、新聞に取り上げられるなど、注目度も高まってきている。