「お互いに速い攻めを警戒している中で、相手が先に4連鎖で動いた。打たせたかったので想定していた通りの流れです。後はどれだけ伸ばせるか。これは良い伸ばしの手順ですね」

3月20日に開かれた「GigaCrysta Presents ぷよぷよファイナルズ SEASON3」。プロ選手の年間王者を決するセガ公式大会で、momokenさんの口から滑らかな解説が披露されました。

複雑に組み上げられた大連鎖の打ち合いもあれば、僅かな隙を見逃さない瞬間的な攻防も重要な「ぷよぷよ」対戦。momokenさんは的確に盤面を把握しつ、プレイヤー心理を交えた言葉を並べていきます。

「ディープすぎて分かりやすい」解説の魅力

「ぷよぷよ」の魅力を語るmomokenさん

10年ほど前、当時の最強プレイヤーとしてmomokenさんの名は知られていました。全国一位である「全一」といえば、momokenさんを示していました。

ところが、2018年からJeSU公認タイトルとして「ぷよぷよ」のプロライセンスが発行され、「ぷよぷよ」がeスポーツタイトルとして注目されるのと反比例して、momokenさんは第一線の競技シーンから離れます。それでも腕前は高く評価されており、公式大会の解説者として出演するようになりました。

「公式大会では出場するプレイヤーが交代制で解説も兼任していましたが、その図式に少し違和感があったんですよね。やっぱり選手は試合に集中できた方が良いと思っていたので、S級リーグなどで解説経験があった自分なら、と務めさせて頂きました」

プロプレイヤーが試合に専念できるように、とオファーを受けたmomokenさんですが、持ち前のずば抜けた「ぷよぷよ」力を駆使した解説は、あっという間に視聴者に浸透。テンポの速い対戦の中でも両者の攻防を見逃さず盛り込み、選手の技術を引き立てます。

「振り返りの時間が少ない公式大会では、後から紹介しても覚えていられないことも多いと思って、良いプレイや大事なポイントは優先して拾うようにしています。自分だからこそ見えている情報を紹介することがテーマですね。他の人に比べたら盤面は見えているので、自分の色を出すとしたらそこかな、と」

視野の広さを生かした「ディープな解説」と自ら位置づけますが、その「次に起こる展開」を見越した「ディープ」な話術は、初心者が見ていても分かりやすい情報につながっています。何より注目は、試合中に差し込まれるプレイヤーの意図や心境をフォローする一言。これは上級者だから、ではなくmomokenさんこその魅力と言えるでしょう。

多才さの原動力は「面白そうだから」

解説を務めた「ぷよぷよファイナルズ SEASON3」の会場でポーズを決めるmomokenさん

コンスタントに「ぷよぷよ」の配信も行うmomokenさん。試合後には自分の対戦動画を見ながら一試合ずつ細かな意図を振り返って解説し、その状況把握力と記憶力には驚きのコメントも数多く寄せられています。

配信上では、視線の動きを表示するアイトラッカーを導入したことも。これは上級者の対戦では必須となる「相手の画面を見て連鎖量や仕掛けのタイミングを把握する」技術が具体的に表現される画期的な仕組みでした。

【ぷよぷよeスポーツ】凝視してないのがバレる放送【視線計測】 視線の動きのわかるmomokenさんの配信

「先にdeltaプロが試していて、それを見て(自分と相手の画面を)どれぐらいの割合で凝視しているかが分かるのって良いなと思ったんですよね。自分でもはっきりとは意識していないことが伝えられて、面白いと思いました」

過去にはバーチャルな2Dキャラクターを自分の分身として登場させたこともありましたが、その理由も「単純に面白そうだなと思って」とのこと。配信の収益は配信のために、という姿勢もあってこうした「面白そう」が実現しました。

このmomokenさんを動かす「面白そう」は「ぷよぷよ」に限らず他のタイトルにも向けられており、「リーグ・オブ・レジェンド」をプレイしたかと思えば、リズムゲームもやり込むマルチなゲーマーでもあります。

「他のタイトルは単純に面白いから遊んでいますけど、そこまでトップを目指したい欲求はないですね。始めた時期が遅かったのもありますし、自分には『ぷよぷよ』が合っているのかな、という感覚もあります」

しかも、「DanceDanceRevolution」では公式大会にも出場経験があるmomokenさん。やはり「面白い」ことが「ゲーマーmomoken」を動かす原動力になっていることは間違いないようです。

プロの技術の楽しみ方は

「全一」と呼ばれてきたmomokenさん

最後に、momokenさんに「ぷよぷよ」観戦のポイントを教えていただきました。

「少し踏み込んだ話ですが、プロプレイヤーはフィールド上のぷよをめちゃくちゃ効率的に使う能力が高いからこそ、プロなんです。『画面にどれくらいぷよがたくさんあるか』が有利不利のポイントだと思っていただけたら、分かりやすいでしょう」

プロにとっては、積み上げられたぷよの多さは攻撃力の高さ。この攻撃の有利関係をベースに、少ないぷよ量から逆転する工夫などに着目すると観戦の楽しみもワンステップ広がるはずです。

「基本的にはそれぞれの面白いと思う要素を楽しんでもらえたら理想です。あとは、自分たちしゃべる側の人間がそこに面白さをプラスして行く必要があると思うので、これからも頑張ります」

手軽で親しみやすく、それでいて奥深いがゆえに上級者のプレイは一見しただけでは理解できないレベルにある「ぷよぷよ」対戦。思わずハードルの高さを感じてしまうこともありますが、初心者の方もmomokenさんをはじめとする解説者の皆さんのトークを入り口に、自分なり「面白そう」を見つけるところからスタートしてみてはいかがでしょうか。