レジェンドたちの映像に刺激

「小学生になるかどうかの時期に親戚の家でスーパーファミコンの『ぷよぷよ通』を遊んだのが最初のぷよぷよだと思います。面白いと感じていたんでしょうね」

momokenさんのぷよぷよキャリアのスタートは幼少期にさかのぼります。しかし、「対人戦」との出会いはまだまだ先でした。

「ソフトを買ってもらって家でも遊ぶようにはなったのですが、そこから7、8年はコンスタントにプレイしていたわけではありませんでした。『CPUと戦って倒すゲーム』という感覚でしたね」

そんな「CPUを倒すゲーム」だったmomokenさんにとっての「ぷよぷよ」が変わったのは、高校生のころ。当時、レジェンドと呼ばれたプレイヤーのリプレイ映像がゲーム内の機能としてたった3試合だけ保存されていたのですが、その映像との出会いが転機となります。

「ずっとそのリプレイを見て、まねしながら『世の中にはこういうすごい人がいるんだ、対戦してみたいな』という気持ちがありました」

アーケード対戦が主流だった当時はなかなか対戦の機会を得られなかったmomokenさんですが、オンラインで対戦可能な「ぷよぷよフィーバー」の発売を機に、ついにプレイヤー同士の真剣勝負へと足を踏み入れます。

「最初は中級者部屋でも勝率4割くらいでした。ただ、他の初心者と違って自分はCPU戦での下積みがあったので、すぐに勝敗を楽しめるくらい戦えたのかなと思います」

巧みな駆け引きが繰り広げられる「ぷよぷよ」対戦に魅了され、対戦を重ねるうちにその腕前は磨かれていきました。的確な中盤戦技術で次々に猛者を撃破すると、その名は広く知れ渡っていくことになります。

全勝で示してきた「対応の神」の強さ

インタビューに応じるmomokenさん

momokenさんが「最盛期」と振り返るのは2011年です。それまで絶対的な強さを誇っていたプレイヤーが集結した「ぷよぷよS級リーグ」が開催されました。100本先取と言う長期戦でありながら、最後の1本を争う接戦が繰り広げられたS級リーグに当時の全ぷよらーの注目が注がれます。momoken選手はそのリーグ内で「全勝」という圧巻の成績で優勝を果たすのです。

その後も、2013年の第3回までS級リーグ内では全戦全勝。常に最適な行動を選択し続ける試合運びと圧倒的な戦績は、momokenさんが「ぷよぷよ」の「全一」(=全国一位)であることを示すのに十分すぎるものでした。卓越した盤面把握能力で決して相手に攻め込むことを許さないスタイルで「対応の神」とも称さるようになります。

「色んな人との対戦成績を加味しても、当時は自分が(パフォーマンスの)平均値では一番という手ごたえがありました」とmomokenさん。まさに自他ともに認める「全一」の称号でした。

自ら辞した「全一」の座

大会の解説で訪れた神田明神で撮影に臨むmomokenさん

しかし、2014年のS級リーグへの出場辞退を皮切りに「momoken選手」は大会から姿を消しました。「端的に言えば、格付けの場にさらされながらプレイすることに疲れたのです。プロライセンスを目指していないのもそれが大きな理由ですね。でも、ぷよぷよは楽しいのでずっとプレイを続けています」

その後も配信上でトッププロと互角以上の勝負を繰り広げたかと思えば、ぶっ続けでの「1000本先取」という常軌を逸した長期戦にもチャレンジする姿も。その技術とモチベーションの高さは維持されてきました。

しかし、奇しくもmomokenさんが勝負の舞台を降りた頃を境に「ぷよぷよ」がeスポーツとして注目を集める機会が増え始めます。若手選手の台頭も著しく、大会で優勝の称号を手にするプレイヤーが増えると、次第にmomokenさんは「元全一」と呼ばれるようになっていきました。

最強リーグで再びトップの座に挑戦へ

今年2月、そんなmomokenさんが一度は自ら離れた格付けの舞台に出場するという知らせが飛び込んできました。株式会社EADが主催する「ぷよぷよ最強リーグ」の参加者として、momokenさんの名前がアナウンスされたのです。

「出場を決意した一番の理由は、ぴぽにあプロの『ぷよぷよ界を盛り上げたい』という気持ちを手伝いたいと思ったからですね。彼のぷよぷよに対する情熱を理解しています」

現役プロとして、そして専業プロとして競技シーンを牽引するぴぽにあ選手の発案だからこそ実現した豪華な顔ぶれによるリーグ戦でした。

過去の大会を振り返って語るmomokenさん

しかし、満を持しての復帰戦となったSEASON1。全勝で迎えた最終日の4月11日、初代国体王者として知られるマッキー選手に黒星を喫し、4勝1敗の2位で終える結果となりました。

momokenさんにとってはS級リーグ時代から数えても初めての公式な対戦での敗北。それでも、新世代の強豪に敗れてなお、「次こそは」と感じさせる試合内容は「全一」と称されたプレイヤーとしての存在感を示すのに十分なものでした。「ぷよぷよ最強リーグ」はSEASON2の開催が既に告知されており、すぐにリベンジの機会は巡ってきます。

「『ぷよぷよ最強リーグ』は、ぷよ界を盛り上げていくという観点では本当に良いリーグだと思います。自惚れのような発言になりますけど、自分が出ると出ないとでは試合の価値が変わることは理解しているので、その期待に応えられるようにできるだけ抗っていきたいです」

レジェンドを追って対戦の世界に飛び込み、当時の「最強」を破ってトップへと君臨すると、いつしか自らがレジェンドと呼ばれる立場になったmomokenさん。今回の敗戦が意味するものは世代交代の始まりか、それとも再びmomokenが「全一」を奪い返すための序章となるのか。

再び追いかける立場となったmomokenさんの戦いはここから続いていきます。