――「グローバルパートナーデベロップメント&リレーション eスポーツ課」とは、どんなお仕事でしょうか。

2018年の春からeスポーツを担当しています。当時はeスポーツへの関わり方を模索し始めたばかりでしたが、この3年でeスポーツも社会に浸透し、私たちの活動にも幅が出てきたと思っています。ただ、まだまだ足りない部分はあり、さらに伸ばすことがチャレンジだと思っています。

競技シーン、幅広い年齢層、見て楽しい

――SIEが主催するeスポーツ大会やイベントでは、どんな取り組みに力を入れていますか?

eスポーツを通じてゲームのすそ野を広げたいというのが基本的なスタンスです。ゲームをプレイしている人も、なじみがない人もeスポーツを通じて、PlayStationやゲームとの接点が生まれます。我々はこれを、ビジネスを広げるチャンスだと考えております。

例えば、「コール オブ デューティ」(以下CoD)シリーズでは、世界基準のeスポーツを日本に持ってこようというのが、試みの一つです。「CoD」シリーズは全世界で人気のシリーズで、「CWL(Call of Duty World League)」という世界大会が当時既に開催されていました。しかし、日本には残念ながら当初、参加枠がありませんでした。

PlayStationが日本で「CoD」シリーズのeスポーツ大会を開催するときには、この「CWL」日本代表枠をかけて戦う形として、発足したばかりのJeSU認定プロチーム同士が戦う大会として開催しました。日本のユーザーさんに国内で一番ハイレベルな戦いを見せたいという思いから、プロが戦う大会の醍醐味と熱量の高さを感じていただけるように始めました。チーム戦だからこその戦略や試合運びが出てくるので、特に若い人を中心に支持されていると感じています。

一方、「ピラミッド」という言葉をよく使うのですが、高い賞金をかけて戦うプロ選手層や高い技術を持つ層とともに、広く一般の方々まですそ野を広げたいという思いもあります。

例えば、「グランツーリスモSPORT(GTS)」というゲームにおいては、小さな子どもから年配の方まで幅広い年齢層の人たちが楽しめます。「GTS」ではFIA(国際自動車連盟)公認の世界のトッププレイヤーが集う「FIA グランツーリスモ チャンピオンシップ」もありますが、2019年の茨城国体で、国体文化プログラムとしては初めて全国規模でのeスポーツ大会「全国都道府県対抗eスポーツ選手権」が開催されました。

こちらの大会では「グランツーリスモ」シリーズとしても初めて「少年の部」が設けられ、18歳以下(6~18才)の方々も参加できるようになりました。これにより全国各地域での予選大会では、親御さんがレースに参加して家族が後ろで応援する、あるいはお子さんが参加することを家族が応援する、という光景も見られました。

2020年の鹿児島国体は文化プログラムも新型コロナウイルスの影響により中止となりましたが、オンラインで「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2020 KAGOSHIMA」として決勝である本大会まで継続開催されました。そして、今年の三重国体でも文化プログラムとしての採用が決まり、3年連続で「GTS」が競技タイトルに選ばれました。

3月に開かれた「PLAY ALIVE」より

――オンライン番組も注目を集めています。

2020年からは「PLAY ALIVE」という新しい活動もしています。エンタメ色を強めたeスポーツのオンライン番組で、インフルエンサーの人たちやタレントさんにもご参加頂き、友達にシェアしたくなるeスポーツ、エンタテインメント番組をコンセプトに制作しており、見ても楽しいWeb配信番組として企画しております。

出演して頂いたインフルエンサーの方々に聞くと、「楽しかった」「また出たい」という声がありました。ゲームを通じて、今まで接点がなかったユーザーさんにも我々の活動を広げられるという点でチャレンジし続けたい企画だと考えています。

このように、「トッププレイヤー層に向けた競技シーン」「幅広い年齢層も共に楽しめるeスポーツ」「見て楽しい」という三つのポイントに力を入れています。

コロナ禍で力を入れる配信イベント

――新型コロナウイルスの影響で「オープンのオンライン大会」を積極的に企画されている印象があります。狙いを教えてください。

(新型コロナウイルスの感染拡大で)1年前は「どうしよう」という思いがありましたが、比較的早くeスポーツの世界でオンラインに切り替えられたと思っています。オフラインで開いていた大会もまずはオンラインに切り替え継続させる、というところからスタートしました。

そのうち、オンラインならではのものをやりたいという声が出るようになりました。遠方からでも参加できるメリットもあるので、これからはオンラインでの開催を中心に考えながら、オフライン大会を今後の状況も見ながら検討していきます。自宅でゲームをプレイする人も多いので、なるべく皆さんに参加する機会がある方が良いだろうという形でオープン予選も始めています。

――配信中心となるオンラインで面白く見せる工夫をしていますか?

初めのうちはオンライン配信するだけでもユーザーさんから満足を頂いた部分はあるのですが、だんだん絵的な違いが出なくなる部分があります。まだ我々も試行錯誤の段階ではありますが、例えば「PLAY ALIVE」ではコンテンツという意味でどのように見せるかを意識して取り組んでいます。

次世代機の変化に合わせて

迫力のある「グランツーリスモSPORT」

――現在、PlayStation 5(PS5)とPlayStation 4(PS4)のユーザーが混在しています。このような過渡期に大会を開くことの難しさはありますか?

機材だけの話ではないですが、やはりeスポーツにおいて大事なのは公平性だと思っています。そのため、あらかじめどの機材が使えるかはレギュレーションで規定し、それに基づき参加していただくことになります。

例えば競技タイトルとなったソフトがPS5とPS4のどちらにも対応している場合にはどちらも選べるようにしています。例えば現在開催している「コール オブ デューティ プロ対抗戦」では、そこは追加ルールとして運営側から必要があればPS5などの機材を貸し出すなどの対応を取り、公平性を保つようにしています。

――PS5だからこそのメリットを教えてください。

PS5は処理能力、画質、フレームレートの向上から、より快適なゲームプレイが可能になる点がメリットとして挙げられます。一方で、eスポーツでは「参加する楽しみ」と「観る楽しみ」の両方を我々は大事にしているので、そこはPS5でもPS4でも共通にしていきたいです。

eスポーツファンを増やすために

3月に開かれた「PLAY ALIVE」より

――カジュアルゲーマーにとっては、大会参加のハードルは高いようにも思います。オープン大会を開くにあたって、どのような施策や工夫をされていますか?

「eスポーツ」という言葉の認知は過去に比べて非常に広がったと考えていますが、これからは実際に参加したり、観たりすることによって、eスポーツに関わる人を増やすことが大事なポイントです。具体的には、一般の人たちに参加して頂くため、気軽に腕試しをしていただくことを狙って、PS5やPS4から直接参加できるトーナメント機能を用意して、参加のハードルを下げるという点は継続して取り組んでいます。

また、見て楽しむという点では、「PLAY ALIVE」の中でインフルエンサーやタレントをきっかけに、初めて見る人たちを取り込もうと考えています。ゲーム業界以外とも連携してアイデアを取り入れていくことも大事だと考えています。

――ユーザーの反応はいかがでしょうか。

観戦するという点においては、「PLAY ALIVE」では「こういう配信を見たかった」という声を頂いております。「こんな大会に参加したい」と感じていただけるオープン大会もこれからもっと開催していかないといけないと考えています。

ソーシャル化するゲーム

――若年ユーザーへのリーチはどのように考えていますか。

学生の場合、流行するゲームの情報は、学校やバイト先などの普段の仲間との会話の中で出て、誘われるケースが多いと考えています。またこの新型コロナウイルスの影響下においてはオンラインで会話することも日常的になっています。

例えば、オンラインゲームでは友達とゲームで遊ぶ一方、チャットでそのままゲームとは関係ない宿題の話をするなど、ゲームの域を超えてコミュニケーションツールになっている面も出ています。これを「ゲームのソーシャル化」と我々はとらえています。

そこで、若者層のライフスタイルに合わせたeスポーツの楽しみ方も必要だと考え、ゲームを異なるエンタテインメントの角度からも楽しんでいただくため、「PLAY ALIVE」では2019年に開催した時からインフルエンサーを呼ぶだけでなく、ファンアートをお客様から募集するなどの参加型企画も取り入れて盛り上げてきました。また、「ゲーム内で過ごす時間」自体が増えており、ゲームをするだけでなく、その中で友達と会話するなど、ゲームプレイ内に他のエンタテインメントの要素が入ってきている面もあり、そういった意味ではeスポーツのすそ野を広げる上でチャンスだとも考えています。

――ゲームがソーシャル化することで、eスポーツにも影響を与えているのでしょうか?

ゲームがオンライン化して、その中で友達と遊んだり、会話が増えたりすることで、体験や共感が増えていきます。その発展として「一緒に大会に出よう」、「この大会を観てみよう」といった興味が出てくると思っています。

eスポーツは十分認知が広がっており、以前からゲームが好きな方々にはもちろん十分刺さっています。でも、その周囲にいる人たち対しては、まだまだ認知を広げるチャレンジをしていく余地があると思っています。

熱狂を生むために

臨場感のある「グランツーリスモSPORT」

――eスポーツを日本でさらに盛り上げるために何が必要でしょうか?

エンタテインメント化が鍵となりますが、プレイヤー人口の拡大や社会的な価値の向上も必要です。eスポーツというとかつては高額賞金や賞品が話題として先行することもありましたが、今は必ずしもそれだけが評価される指標ではないでしょう。例えば「CoD」シリーズでは、日本代表になることや日本一という名誉が得られることも大事だと思います。

――お金ではない価値も打ち出していく、ということですね。

世界的にも注目される規模の賞金が出るとなると盛り上がりますが、それだけではない価値もあると考えています。日本で「eスポーツの楽しみ方」や「eスポーツに参加した経験、共有体験」をいかに定着させていくかを考えると、世代を超えて若い層以外にも広げるため、様々な価値を付加させつつ継続していくことも必要です。

――いま注目しているeスポーツのトレンドは。

eスポーツに限らず、現在インフルエンサーをきっかけにゲームを始めるケースが多い印象があります。これは、日本だけでなく海外でも同様の傾向がありますが、特に日本の市場では、VTuberの配信も人気があります。このため、そうした人たちといかに盛り上げるかという点で「PLAY ALIVE」にもご一緒に参加頂いています。さらに、昨今ゲーム業界以外の参入もあり、ゲーム市場の活性化につながり、ありがたいと考えています。

――ゲームを文化と考え、eスポーツを浸透させていくには何が求められているでしょうか。

人によってゲームへの関わり方は異なると思いますが、まずは「eスポーツ自体が楽しい!」と感じてもらうことが大事だと思います。「友達と一緒に遊ぶ」あるいは「一緒に新しい体験をする」、そして、「思い出に残る」といったことが、eスポーツを通じてできると良いと思っています。ぜひ、多くの人に今どんどん上昇しているeスポーツの熱量を感じ取ってPlayStationに集まって頂きたいと考えています。

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CoD「プロ対抗戦」SPRINGシーズンファイナル、11日開催

SIE主催の「『コール オブ デューティ プロ対抗戦』SPRINGシーズン第4回+ファイナル大会」が11日に開かれます。プロチーム6団体による賞金総額1000万円の大会です。当日は午前10時からライブ配信(約10時間を予定)があります。

◆PlayStation公式YouTubeチャンネル:http://www.youtube.com/user/playstationjp
◆PlayStation公式Twitch: https://www.twitch.tv/playstationjapan

第4回大会のランキング上位2チームが、その日に行われるグランドファイナルで対決。SPRINGシーズンの優勝チームが決まります。配信の特別ゲストとして、でんば組.incの藤咲彩音さんが出演します。詳細は大会の公式サイトとCoD eスポーツ公式Twitter(@CoD_SIEJA)で案内があります。

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