ぷよぷよ公式プロライセンス保持者のSAKI選手は20日、「ぷよぷよチャンピオンシップ SEASON3」のファイナルズに臨みます。ふだんは大学院生として勉学に励みながら、その分析力と積み重ねた経験値を武器に数々の大会で好成績を収めています。

大会とあれば積極的に参加して戦績を積み重ねる傍ら、勝負と同じくらい力を注いでいるのが「初心者がどうすればうまくなるのか」というテーマです。時には論文のような解説記事を書き上げてしまうほどの情熱の源泉に迫りました。

プロとして初心者のために何ができるか

インタビューに笑顔で応じるSAKI選手

SAKI選手がプロライセンスを獲得したのは、2019年8月のぷよカップ大阪大会でした。プロとしての活動は2年目を迎えています。「やっぱりプロ大会に出られるというのも貴重ですし、取材を受けることも緊張します」

そうした経験を通して、プロとしての責任を感じたことが、SAKI選手なりの初心者に向けた数々のアプローチにつながっています。

「プロとして『上手くなりたい人のために何が出来るだろう』と考えたんです。それからはぷよぷよの上達を目指す人の配信では積極的にコメントをするようになりました。自分で解説記事を書いたこともあり、その一環です」

自分が上達した経緯にもやはり上級者の存在があり、そこからプロとしての活動に大会で勝つこと意外にも使命感を見いだしています。

「自分がプレーをする上で考えていることがたくさんあるんです。その全てを伝えようとするとかなりのボリュームになってしまうのですが、初心者の人が上手くなるためのアドバイスであればできるだけ丁寧に説明したいんです」

2月には、有償でコーチングに取り組むことも発表しています。

上手くなるためには形を真似するだけでなく、理解度が必要。それを誰よりも実感しているからこそ、その道筋を丁寧に示し続けるという姿勢がSAKI選手なりのプロ意識であり、「ぷよらー」としての矜持になっています。

バイタリティーに溢れた学生とのパラレル生活

SAKI選手はプロの技をこの腕で繰り出す

プロゲーマーの中には数多くのタイトルを並行してプレーする選手もいますが、SAKI選手がプレーするゲームはかなり「ぷよぷよ」中心です。

「今は大学院で研究している数論と『ぷよぷよ』で精いっぱいで、練習ばかりして研究がおろそかにならないように気を付けないといけません。でも、ありがたいことに大学院では自分で自由に使える時間を頂けていて、それをマネジメントしてやっています。」

大学院生といえば時間的な制約が多いイメージもありますが、自分なりのバランス配分で乗り切っているというSAKI選手。今はなかなか難しい状況となってしまっていますが、地方でのオフライン大会や交流会にも積極的に参加してきました。

「ぷよぷよを盛り上げたいという気持ちがありますし、何よりぷよぷよが好きなんです。『この一手二手をどう置くべきか』という話題で何時間でも語れちゃいますね」

SNSでは普段の食事を撮影してアップしたり、時には他のゲームをプレーしたりしながらそのタイトルの上級者と交流するなどさまざまな一面を持つSAKI選手。しかし根っからの「ぷよぷよ」愛が一本の強い芯となっていることは間違いないようです。

駆け引きこそ、ぷよぷよの魅力

プロとしての思いを語るSAKI選手

これだけ真剣に「ぷよぷよ」を研究するSAKI選手ならではの視点を追求すべく、ゲーム内容についても質問してみました。そこで返ってきたのは、ゲームスピードの高速化が一つのハードルになっているという答えです。

「個人的な感想ですが、今の環境はとにかくスピードが速いんです。あと一手が引けるか引けないかというラインなどは、もう人間が目で見て判断できないレベルのところまで来ているんじゃないかと」

当然、スピードが速くなれば同じ時間内に操作可能な手数も増えます。わずかなスピードの差がゲームに与える影響について、SAKI選手はこう解説します。

「自分は相手の戦術を先読みして、それを上回る手を準備して対応することを理想としています。ただ、今はわずかな時間でたくさんの手数を引けるので、どうしても先読みを超えられる瞬間が生まれるんです」

この課題に気づいてからは高速化対策として相手の陣地を見過ぎないようにするなど、独自対策を講じているSAKI選手。ただ、その裏にあるのは「ぷよぷよ」の一番の面白さは「わずかな瞬間の駆け引きにこそある」という信念です。

「本当にいろんなことを考えながらぷよぷよをプレーしていますが、それで疲れを感じることはないんです。好きなことだからずっと遊んでいられるんですよね」

この魅力を、どうやって初心者へ伝えていくか。これがプロ選手として、そして「ぷよぷよ」上達術の伝道師としてSAKI選手が感じている課題です。

「勝つことも楽しいんですが、初心者がそこをスタートにすると勝てないことが面白くないことにつながってしまいます。まずはどうやったら「ぷよぷよ」というゲーム自体を面白いと思ってもらえるんだろう、というのは常に考えています」

将来的には「ぷよぷよ」を教える教室を開いてみたいという野望も明かしてくれたSAKI選手。彼の追求する「ぷよぷよ論」には、知識だけではなく初心者への思いやりも詰まっています。