日本野球機構(NPB)と株式会社コナミデジタルエンタテインメント(KONAMI)が共催するプロ野球eスポーツリーグ「eBASEBALLパワフルプロ野球 2020」(パワプロ)でプロプレイヤーが競う「eBASEBALL プロリーグ」。2月27日と28日、セ・パ両リーグの「コカ・コーラ eクライマックスシリーズ(eCS)」が開かれます。3月6日予定の「SMBC e日本シリーズ」では、今季の「eBASEBALLプロリーグ」の日本一の球団が決します。

そのセ・リーグ1位で、eCSに臨むのは横浜DeNAベイスターズ。キャプテンを務める河合祐哉選手(@ao4649_sw23)と同じくプロ野球のベイスターズで活躍する今永昇太選手が2月、対談をしました。

メンタルの面からプロ野球と「パワプロ」の共通点を探ります。圧巻の投球術に加えて数々の名言を残す姿ファンから「投げる哲学者」の愛称でも親しまれる今永投手と、プロリーグで何度も逆転劇を演じてきた勝負強さが光る河合選手。その準備とメンタリティーに迫りました。インタビュアーはeBASEBALLでゲーム解説者を務めるハル飯田が担当します。

「やらない勇気」が必要だった

対談に臨む今永昇太選手

──新型コロナウイルスの影響から、2020年シーズンのeBASEBALLはレギュラーシーズンの終了からポストシーズンの開催まで約2ヶ月の空白期間が生まれました。

河合 もちろんこの期間にも練習はしていますが、その量や内容は選手によってさまざまだと思います。自分はレギュラーシーズンで良い終わり方が出来なかったので、色々と試してみる機会になりました。

──今永選手も昨シーズンは約2ヶ月間の開幕延期を経験されていますが、やはり難しさはあったのでしょうか。

今永 結果論になってしまいますが、僕は今となっては「もう少し気持ちを切っても良かったな」とは思いますね。

──ということは、当時はずっと気を張ったまま過ごされていたと。

今永 ずっと「明日試合が出来るよ」くらいの体づくりをやっていましたし、常に投げ込みを行って肩の準備していました。アクティブレストじゃないですけど、いったん頑張らなくていい期間を作ることの意味を感じました。「パワプロ」で言えば、違うゲームをやってみる期間とかになるんですかね。

河合 そうなると思いますね。僕も息抜きに他のゲームをプレイすることはあります。

今永 (この経験が)ゲームの技術と結びつくかは分からないんですけど、やれと言われたら意外と感覚は残っているものだし、一日休んだからと言って失うような技術じゃないんです。なので、状態のグラフをいずれ上げていくためにも一旦「下がるところ」の期間があっても良かったなと思いますね。

河合 割と僕も「感覚が鈍る」というのが嫌で、毎日「パワプロ」を触るようにはしていたんですけれど、ここ最近になって「本当にやらないとダメなのかな」と(モチベーションの低下を)感じることもありました。今永選手のアドバイスから「やらない勇気」みたいなものも大事にして、一度リフレッシュしてみようかなと思います。

河合祐哉選手

──eBASEBALLでは毎週末に試合を行うので、「1週間に1試合」というペースは河合選手と先発投手である今永選手の共通点です。試合日に向けて気持ちの運び方はどのようにしていますか?

今永 現実的に考えて、その1週間を毎日頑張る必要はないですよね。試合の日にベストなパフォーマンスを出せるのが一番ですし、3日前に体の調子が良いですと言っても意味がありません。1週間をどう過ごすのかを逆算して、自分の中で「この日までにこれをクリアしておけば良いな」という決めごとを作っておくのが大事です。

当たり前の練習や調整はやりますが、この積み重ねで1週間のうちにぐーんと技術が向上する訳ではないと思います。何でもかんでも「やれ」と言われたらやってしまうと思いますが、それでは頭もパンクしてしまって意味がないですよね。

河合 僕は今まで「やらなアカンな」という義務感があったりもしたので、この考えは早速取り入れようかなと思います。

今永 僕らは体を動かすので休みというのが分かりやすいですよね。例えば「今日は体が軽いな」という感覚があれば、休めている証拠です。でも(eスポーツをプレイする)皆さんは手を動かす競技なので、恐らく大事なのは脳ですよね。なかなか「脳が今はめっちゃ休んでるな」と実感するようなことはないと思うので、意識的に休ませてあげないといけないんじゃないでしょうか。

──トップアスリートとして活躍する今永選手の考えは、eスポーツ選手にとってもすごく説得力を感じる内容だと思います。

河合 参考になります!

相手が誰でも自分のやることは変わらない

2020年シーズンで登板する横浜DeNAベイスターズの今永昇太選手 (C)朝日新聞社

河合 折角なので今永選手にメンタルのことで質問させてください。今シーズンの僕は相手チームのエース級プレイヤーと対戦することが多かったのですが、今永選手は予告先発で敵チームのエースと当たる時は特別に何か意識されていたりしますか?

今永 僕も開幕投手の経験がありますが、ローテーションの関係で相手球団のエース級との投げ合いが続くこともありました。でも、実際は相手ピッチャーが誰かはあんまり関係なくて、相手が誰でも「先制点を挙げずに辛抱強く投げる」という自分のやるべきことは変わらないと考えています。

河合 相手が誰かは気にしない、ということですか?

今永 もちろん相手の予告先発を見て「タフな試合になるだろう」ということは頭に入れますが、スコアが1-0でも5-0でも、自分のやることはあんまり変わらない。というのが僕の経験ですね。

──それは2年連続で開幕投手を務められた今永選手ならではの貴重な経験談ですね。

今永 逆に「相手はエースじゃないから大丈夫だ」というメンタルで入ると点を取られたりという事もあったんで、関係ないんだと思うようにしています。

河合 常に自分のやるべきことを淡々とやるのが大事なんですね。

今永 もちろん相手のいることなので、自分の100%で敵うかは分かりません。ただ、自分が100%を出せば勝つ確率は絶対に上がるんです。自分が100%を出して、それを相手がどう感じるかという勝負なので、まずは自分がベストを尽くすことを意識すると良いんじゃないでしょうか。

河合 ありがとうございます。

──今季の河合選手は対戦相手を意識していた、ということですか?

河合 対戦相手の発表を見て、相手のネームバリューに押されるというか、嫌だなと感じることはありました。

今永 そこで「難しいゲームになることは間違いない」ということを頭に入れて、あとは普段通りを心がけるイメージですね。

迎え撃つ必勝法は「自分を特別視」すること

対談に臨む河合選手

──それでは、これから重要な試合に臨む河合選手へ「ベイスターズの先輩」である今永選手からエールをお願いします。

今永 初年度も優勝してるってことは3分の2で優勝ってことですよね、凄くないですか?(笑) そんな河合さんに僕からアドバイスすることはないと思いますけど。

河合 いやいや、お願いします。

今永 他のチームはきっとDeNAを倒すことを目標に掲げていると予想されます。そういう時は守りに入るんじゃなく、僕は「自分を倒しに来てくれてるんだ」と考えるようにしています。自分は「皆が立てない所に立てている特別な存在なんだ」と思ってほしいですね。

河合 分かりました。

今永 自分はそこに立ちはだかる壁なんだ、という気持ちです。

──河合選手はそういうの得意ですよね。かつてはプロリーグで「僕と対戦しましょう」相手を指名して見事に勝利するというシーンもありました。

河合 そういうこともしましたね。やんちゃな時期もありました。

今永 「ストリートファイター」じゃないですか(笑)。でもそれと同じで、自分の力を過信するくらいで丁度良いです。倒しに来ている相手に盾だけ持っていても勝てないですから、剣もしっかり持って戦って欲しいです。その実力はあるんだと思いますし。

河合 ありがとうございます。頑張ります!

2021年シーズンのスローガン「横浜一心」を発表する横浜DeNAベイスターズの三浦大輔監督(右)と今永昇太選手=1月 (C)朝日新聞社

──それでは逆に、河合選手からも今永選手やリアルのベイスターズにエールをお願いします。

河合 三浦大輔監督が就任されて新しい船出ということで、ファンは今永選手や東克樹選手の復活による投手陣の活躍を待ち望んでいると思います。野手も外野の定位置争いなど競争が激しいなと思ってキャンプを見ていますので、この勢いでチーム全体がレベルアップして「パワプロ」でも皆が使いたくなるくらい「強い強い横浜」を見せてください!応援しています。

今永 頑張ります!

──あと、今永選手は球速をプラス5キロですね。

今永 ダイジョーブ博士(=パワプロシリーズに登場するキャラクター)のところに行ってきます。チームメイトにも「スライダーとカットボール両方投げられた方が良いらしい」って言っておきますよ。

河合 それはかなり助かります(笑)。

──本日はどうも、ありがとうございました。

今永&河合 ありがとうございました!

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今永選手からのエールを胸に、河合選手率いるDeNAが突破を狙う「eCS」は2月27日にセ・リーグ、28日にパ・リーグの試合があります。無観客での開催となり、試合の模様はライブ配信されます。e日本シリーズに進出するのはどのチームか。注目の戦いです。