日本を代表するプロ格闘ゲーマーの一人であるももち選手(@momochi212)。プロ選手として活動する傍ら、公私に渡るパートナーであるチョコブランカ選手(@chocoblanka)と共に立ち上げたゲーミングチーム「忍ism Gaming」の運営やゲーム配信など、様々な活動に取り組んでいます。

ももち選手はeスポーツ業界へ多角的な関わり方をしている身として、格ゲーコミュニティーにどのような想いを抱いているのでしょうか。

若手選手に足りないのは「大舞台の経験」?

――2020年は新型コロナウイルス拡大の影響がeスポーツ業界にも影響を与え、業界全体に変化が求められた一年だったと思います。振り返ってみていかがですか?

今年は「CAPCOM Pro Tour(CPT)」も多くの大会がキャンセルされて、非常に特殊なシーズンでした。一年を通して大会などで海外に行かなかったのは、10年以上ぶりの出来事ですね。去年までとの一番大きな違いは、やはり「CAPCOM CUP」への出場枠の数です。2019年度はCAPCOM CUP出場者32名のうち、半分以上が日本人プレーヤーでしたが、2020年度は日本からの参戦枠が2枠しかありませんでした。

日本人プレーヤーが皆その2枠をめぐって戦っていたので、予選は非常にハイレベルでした。自分はその枠を獲得することができず、CAPCOM CUPに出場できないというのは初めてのことだったので、非常に悔しいシーズンになりましたね。

※編注:CAPCOM CUP 2020は1月16日に開催中止が発表されました。

そんな中で、2020年は競技シーン以外のことに時間を作れた一年でもありました。今までは自分の活動をゆっくり見直す時間がなかったのですが、忍ismの活動や配信業など、より幅広い活動に力を入れることができました。

新型コロナの影響が収まってCPTが以前のような形に戻っても、国内での活動は大事にしていきたいですね。2020年を経て、大会に出場する以外にも競技シーンやコミュニティーに貢献できる活動は沢山あると気づけました。

――ちなみに、忍ismはどのような経緯で設立されたのですか?

自分がまだEvil Geniusesに所属していた頃に立ち上げました。その頃から自分は引退後のヴィジョンを考えて始めていて。自分の思いとしては、引退後も若手プレーヤーの育成やイベント運営などを通して、ずっとゲームに携わっていたいんです。ただ、何かアクションを起こすために引退まで待つ必要はないと思い、忍ismを立ち上げました。

チームとしては、ジョニィ選手や大谷選手など、若手の育成が一つの大きなコンセプトになっています。そこにハイタニ選手や藤村選手などのベテラン選手が、若手を引っ張ってくれる存在として在籍してくれています。

――色々な関わり方がある中、若手の育成に力を入れているのはなぜですか?

元々人に教えるのが好きなので、それを生かして業界を盛り上げられたらと思って始めました。格ゲー業界は若手が出てきづらくどんどん高齢化しているのですが、最近になって少しずつ若手が結果を残せるようになってきましたね。

――チームの若手選手とはどのような関係性なのでしょうか?

正直、あまり慕われている感じはしないですね(笑)。

年上プレーヤーが頑張っている間は辞められないと語るももち選手

――そうなんですか(笑)。では、若手の選手か少しづつ結果を出す中で、世代交代の波を感じることはありますか?

それは感じないですね。格闘ゲームはやっぱりおじさんが強いので(笑)。Sako選手は41歳で、バリバリ現役です。前を走っているおじさんたちが現役でいる限りは、自分も辞められないと思っています。

――ベテランの方々が引退されないと、若手選手は大変ですよね。

そうですね。でも、強い人が引退したから若手が勝てるようになる、というのも違うと思います。若手選手には実力でベテランを超えられるようになって欲しいですね。

――若手選手で特に注目している方はいますか?

ナウマン選手です。日本の若手選手の多くはまだ大きな結果を残せていませんが、彼らに実力が無いわけではなく、大舞台に慣れていないことが大きな要因だと思います。そんな中でナウマン選手は精神力が強くて、大舞台でも実力を発揮できるのが強みですね。

――ということは、忍ismの若手選手にもメンタル面の指導をされているのでしょうか?

う~ん……彼らはまだ実力が足りていないですね(笑)。

「スマブラ」でもプロに噛み付けるように

「スマブラ」もプレー中のももち選手

――最近のももち選手はゲーム配信も精力的に取り組まれています。どのような思いで配信されているのでしょうか?

最近は「ストリートファイター」に限らず、「大乱闘スマッシュブラザーズ」(以下、スマブラ)や「スプラトゥーン」など、配信では様々なゲームをプレーしています。

自分がゲーム好きだからというのもありますが、「より多くの人に格ゲーを知ってもらいたい」という思いもあります。「スマブラ」配信を見てももちを知ってもらって、そこから他の格ゲーに興味を持ってくれる人もいるので。そうやってコミュニティーを広げていけたらなと思っています。

昨年9月に「ストリートファイターV」がPS Plusでフリープレイとして配信されて、そこで新規プレーヤーがかなり増えた印象もありますね。自分のラウンジにも初心者の人が沢山来てくれて、とても嬉しかったです。

――特に「スマブラ」はかなりプレーされていますよね。

そうですね。「スマブラ」の盛り上がりがすごいというのは以前から知っていて、それで興味を持ってプレーしはじめたのですが、触ってすぐに「良いゲームだ」と思いました。

それに日本の「スマブラ」コミュニティーは年齢層も若めで活発なので、羨ましいですね(笑)。小学生が「ストリートファイター」にハマってくれる機会はなかなか無いので、そういう意味でも「スマブラ」はすごいなと思います。

――最後に、今後の抱負や目標はありますか?

「ストリートファイター」に関して言うと、2020年度はCAPCOM CUPに出場できずにもどかしい思いをしたので、来シーズンはしっかりと結果を求めていきたいです。

あと、やっぱり「スマブラ」はもう少し上手くなりたいですね。たまに配信で、おそらく小学生だろうって相手にも負けてしまうので……。自分はスマブラコミュニティーからしたら化石級の年齢だと思いますが、おじさんが頑張っている姿を少しでも応援してもらえればなと思います。

――将来的には「スマブラ」の大会で優勝したり……?

いやいや、自分が「ストリートファイター」のプロだからこそ、そんなに甘いもんじゃないってはっきり分かります。でも、めちゃめちゃ頑張って傷跡くらいは残したいですね……(苦笑)。

(撮影・林紗記)

ももち選手が格ゲーを熱く語る