格闘ゲームの中でも活発な競技シーンを持つ「ストリートファイター」シリーズ。競技人口が多く大会も頻繁に開催されていますが、中でも特に優勝のハードルが高いと言われているのが「EVO」と「CAPCOM CUP(カプコンカップ)」です。

両大会で優勝した数少ない選手のひとりが、ももち選手(@momochi212)。格ゲー界のトップランナーでもあるももち選手は何をきっかけにゲームにハマり、そしてどのような経緯でプロの道を歩むようになったのでしょうか。

年上プレーヤーを倒したい一心で格ゲーにのめり込む

――何がきっかけでゲームに触れるようになったのでしょう?

父親の影響ですね。物心ついたころから家にファミコンがありました。印象深いのは「ドラゴンボール」のゲームですね。自分はドラゴンボール大好き少年だったので、ファミコンやスーファミで出ているドラゴンボールのゲームは大体やっていました。

特に格闘ゲームの「ドラゴンボールZ 超武闘伝」で友達と対戦したりしてよく遊んでいましたね。ただ、その頃はドラゴンボールが好きという気持ちが大きく、まだ「格闘ゲームにハマった」という感覚はありませんでした。

――では、格闘ゲームにハマったのはいつ頃だったのでしょうか?

小学5年生の時に初めてゲームセンターに行ったのですが、当時流行っていた「ザ・キングオブ・ファイターズ’95」を見た時、キャラクターのカッコよさに衝撃を受けたのを覚えています。その日から、ゲームセンターに通うようになりました。

――5年生からゲーセン通いとは、早いですね!

そうですね(笑)。初めは幼馴染の友達と通っていたのが、自分ばかりが上手くなっていき、他の皆は徐々に離れていったのを覚えています。しかし同級生には勝てても、ゲームセンターに行くと必ず強い年上のプレーヤーがいるんです。そういう人たちを倒したい一心で格闘ゲームに打ち込んでいました。

――ももち選手の名前が格ゲーコミュニティーで広く知られるようになったのはいつ頃なのでしょうか。

かなり後の話になりますね。多分「闘劇'07」に出場した時だと思います。それまでは地元の愛媛県に住んでいて大きい大会に出場したことはなかったんですが、「闘劇'07」で「ストリートファイターIII 3rd Strike」(以下、サード)部門に出場して、トップ4まで勝ち抜くことができたんです。

その経緯もあって「サード」は思い入れのあるタイトルですね。それまでずっとプレーしていた「ザ・キングオブ・ファイターズ」シリーズは攻めが強いゲームなんですが、「サード」にはブロッキングといって相手の攻撃をさばけるシステムがあるんです。このブロッキングと攻めの駆け引きが絶妙で、どんどんハマっていったのを覚えています。

――ゲーセンに通っていた当時で印象に残っている他の大会はありますか?

「クーペレーションカップ」ですかね。「サード」勢の間で「闘劇」と同じくらいの盛り上がりを見せていた大会が「クーペレーションカップ」で、「闘劇'07」で名前が売れる前から「クーペレーションカップ」に出場していました。

初めて出場した時、僕は名古屋のプレーヤーたちとチームを組んで出場したのですが、結果は散々だったのを覚えています。確か1回戦か2回戦で負けてしまったんです。

――ももち選手でも最初は勝てないものなんですね!

そうですよ(笑)。

プロになるために海外遠征でアピール

ももち ストリートファイターV
「ゲームに関わる仕事に就きたいと思っていた」と語るももち選手

――当時からプロになろうと考えていましたか?

当時は「プロゲーマー」という存在が無かったので、そんな考えはありませんでしたね。とりあえず目の前にある「サード」を極めたいという思いだけでした。

――プロになったのは「ストリートファイターIV」(以下、ストIV)の頃ですよね?

そうですね。ただ「ストIV」が出た当初はそんなに興味は無かったんです。ずっと「サード」をプレーしてきて、まだまだ「サード」が好きだったので。ただ当時の「ストIV」の盛り上がりは本当にすごくて。特に印象深いのは、格ゲーから引退したと思われていたウメハラ選手が復活したことです。その話を聞いた時には、「俺もやんなきゃな」と思いましたね。

それからどんどん「ストIV」が主流になっていって、日本から何名かのプロプレーヤーが生まれました。自分もプロになるために自費で海外の大会に行っては、色々なチームにアピールしていました。活動を見ていてくれたEvil Geniusesに声をかけられて、晴れてプロになれたんです。

――なぜプロゲーマーになることを決断されたのですか?

やっぱり、自分にはゲームしかないからですね。「サード」をやっていた頃から、何らかの形でゲームに関わる仕事をしたいと考えてはいたんです。そんな中でプロゲーマーという選択肢が出てきて、このチャンスを逃すわけにはいかないと思いましたね。

――プロになってから数々の大会で結果を残されてきたももち選手ですが、1人で練習することが多いと聞きました。

そうですね、自分は他のプレーヤーと一緒に練習するより、1人で練習することが多いと思います。というのも、皆と一緒に練習する事で距離が近づきすぎると、仲間意識が芽生えて牙が抜けてしまうのではないかと思うんです。レベルの向上にはもちろん一緒に切磋琢磨していくことも大事なのでそこはバランスですが、「大会ではこいつらはライバルなんだ」という感覚も大事にしたいと思っています。

1人練習も大切にしているというももち選手

――1人で格ゲーをやり込む際に気をつけていることはありますか?

多くのキャラクターを使うことですかね。プレーヤーの中には、他のキャラは誰かに教えてもらえばいいや、と思ってメイン以外のキャラクターを練習しない人もいますが、自分はなるべく多くのキャラクターを練習するようにしています。

より多くのキャラクターを使うことでゲームに対する理解度も上がります。新しいキャラクターが配信されたりシステム調整があったりしても、対応しやすくなりますね。

――ももち選手がライバル視しているプレーヤーのなかで、一番意識しているのは誰ですか?

ウメハラさんですね。ずっと最前線でプレーされている方ではありますが、ここ1年の活躍が凄まじくて、最近は特に意識しています。

直近では12月に開催された「TOPANGA CHAMPIONSHIP Season2」でウメハラさんと対戦しました。試合には勝てたのですが、3本先取という短いフォーマットだったので、今度はもっと長期戦で戦いたいですね。

――長期戦というと「獣道」のような?

そうですね(笑)。「獣道」で対戦するとしたら完全に自分が挑戦者ですね。やってみたいという気持ちはあります。

ウメハラさんは格ゲーコミュニティーを引っ張ってくれている存在ですが、いずれは越えなくてはいけないと思っています。そう言う意味でも、常にウメハラさんのことは意識していますね。

(撮影・林紗記)

ももち選手が格ゲーを熱く語る