2020年9月に開幕した「ぷよぷよ」プロシーンのSEASON3。実力伯仲のプロが居並ぶ公式大会では、安定した戦績を残し続けることがこれまで以上に難しくなりつつあります。

そんなSEASON3開幕戦を優勝で飾ると、続くSTAGE2でも準優勝と勢いに乗っているのが、プロeスポーツチーム「思考行結(しこうこうけつ)」に所属するぴぽにあ選手(@piponeer)です。強さを支える幅広い戦い方やぷよぷよのルーツとは。ぴぽにあ選手にお話を聞きました。

全力を懸けられる可能性を感じた大会

「ぷよぷよを初めてプレーしたのは幼稚園の頃でしたけど、当時は連鎖の仕組みが全く理解できませんでした(笑)。小学生の頃に弟がゲームソフトを買ってもらったので、ちゃんとプレーするようになったのはそこからですね」

幼少期からぷよぷよに親しんできたぴぽにあ選手。子供のころから大きな連鎖を打つことに憧れがあり、今では共にプロとして活動する「レジェンド世代」のKamestry選手の動画を見ながら連鎖技術の研究をしていたのだとか。

「子供のころは『大連鎖が全てだ』と思っていました。でも、それが複雑な消し方や連鎖尾の作り方として今も生きていると感じます」

高校生の頃から対戦での上達を志すようになったそうですが、そのきっかけもやはりKamestry選手らレジェンド世代が出場した大会「Red Bull 5G」でした。

「何か打ち込めるものというか、全力を懸けてトップを目指せるものを漠然と探していたんです。そんな時に大会を見て『ゲームで勝つって、かっこ良いんだな』と」

勝負の世界で輝く先輩達に憧れ、踏み出したぷよぷよの世界。今ではトッププロの一角として、最前線で輝く立場となりました。

負けず嫌いを乗り越えた向上心

かつては自分のやり方を曲げることが苦手だったそう

本格的に取り組み始めてからは切磋琢磨する仲間に囲まれ、あっという間に実力者の仲間入りを果たします。プロライセンスが発行されるようになる以前から、ぷよぷよ界では名の知れたプレーヤーのひとりでした。

ただ、本人は自分の成長速度が決して早いわけではないと感じているようです。

「自分のやり方の間違いを認める、新しいことを取り入れる、というのが苦手だったんです」

今あるプレースタイルを崩すことで勝率が下がることへの抵抗感……つまりは負けず嫌いさが上達へのハードルになっていた時期もあったそう。思い切って壁を乗り越えたことで、今の安定感ある強さを徐々に身につけました。

「論理的に考える能力が昔より上がりましたね。何が原因で負けたのか、何故それを練習しなければいけないのか、ということを考えられるようになりました」

新しい手法や技術を取り入れる段階で負けることがあっても、練習は練習。そう割り切って次々とハードルを超えることが「ぴぽにあ流上達術」というわけです。

「自分でもここ3~4年で伸びている実感がありますし、まだまだ伸びる余地があると感じています。もちろん、今でも負けるのは嫌ですけどね」

自分より強い人がいるから強くなれる

「準優勝」の悔しさに涙したことも

ぴぽにあ選手の試合の中でも印象的だったのが、2019年の「いきいき茨城ゆめ国体」文化プログラムとして開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権2019 IBARAKI」の決勝戦。神奈川県代表として臨んだ本戦では破竹の勢いで勝ち上がりましたが、決勝戦では難敵マッキー選手の前に惜敗。準優勝という結果に、試合後には思わず涙がこぼれました。

「悔しかったですね。年に1回の大きな大会で特別な思い入れがあって、そこに向けて全力を出してやってきたという自覚もありました。あまり人前では泣かないですが、もともと涙もろい方なんです」

中学、高校と続けたバレーボール部時代にも悔しさから涙することもあったと明かしてくれたぴぽにあ選手。それだけの負けず嫌いでも一時の敗戦を受け入れて新しい技術に挑戦できているのは「まだまだ自分よりも強い人達がいるから」なんだとか。

「もし自分が絶対的な存在になったとしたら、今と同じ勝ち負けの感覚で居られなくなると思うんです。負けることが、それまで戦ってきた人に対して失礼になってしまうんじゃないかと」

自分よりも強い。そう感じる人が居るからこそ敗戦を受け入れ、分析し、また練習して強くなる。

「だから、今のうちに負けておかないと」

そう笑うぴぽにあ選手。ユーモアの裏に、飽くなき上達への意欲が隠れています。