eスポーツの定義は? ゲーム、それともスポーツ?

一般社団法人日本eスポーツ連合(Japan esports Union=JeSU)によると、「eスポーツとは、『エレクトロニック・スポーツ(電子競技)』の略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、競技、スポーツ全般を指す言葉。コンピューターゲーム、ビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える際の名称」と定義されています。つまりゲームによる対戦競技です。

「スポーツ」と聞くと、多くの人が身体的な競技を思い浮かべてしまうので、ゲームに結びつかずに違和感を覚えてしまうきらいがありますが、「スポーツ=一定のルールのもとで勝敗を競い合う」と捉えると良いでしょう。

チェスやバックギャモン、囲碁や将棋がマインドスポーツ(頭脳を使った競技)と呼ばれるのに近いかもしれません。

eスポーツの市場規模は1500億円にも

オランダの調査会社Newzooが発表した「Global Esports Market Report 2020」によると、2020年の全世界のeスポーツの市場規模は9.74億ドル。2023年には、15.98億ドルまで成長すると予測しています。

では、日本のeスポーツ市場規模はどうでしょうか? 株式会社KADOKAWA Game Linkageの調査によると2019年は約61億円、2020年は約76.2億円と発表しており、2023年には約153.3億円にまで成長すると発表しています。

eスポーツが2024年のパリ・オリンピックの正式種目に?

eスポーツが注目を集めているのは市場規模だけではありません。2018年にインドネシアで開催されたアジア競技大会(アジアオリンピック)で参考競技として採用されると、国内でも2019年の「いきいき茨城ゆめ国体」で、eスポーツは特別競技として採用されました。さらに2022年のアジア競技大会(アジアオリンピック)の正式競技に採用されるなど、年々盛り上がりを見せています。

2024年にパリで開催される夏季オリンピックの正式種目としての採用が検討されている点も、大きなトピックでしょう。

ただしIOCの承認団体が存在しないことや、採用されるゲームタイトルに普遍性・一貫性がないことなど、正式種目になるまでには多くの課題があります。簡単な道のりではありませんが、このような議論がなされていること自体、eスポーツが世界的に注目されている証となっています。

また2019年にソニー生命が発表した「中学生が思い描く将来についての意識調査2019」における男子中学生の「将来なりたい職業」で、1位の「YouTuberなどの動画投稿者」につづき、2位に「プロeスポーツプレーヤー」がランクインする結果となりました。

eスポーツがここまで注目を集めるまでには、様々なプロセスがありました。その歴史を振り返ってみましょう。

eスポーツの歴史と成り立ちを振り返る

eスポーツの歴史は、コンピューターゲームの誕生とその普及まで遡ります。1970〜80年代に「スペースインベーダー」「パックマン」などのゲームタイトルが人気を博し、各プレーヤーがスコアを競い合い、小規模の大会も開かれるようになりました。

その後、1990年代になると日本ではカプコンの「ストリートファイターⅡ」やSNKの「餓狼伝説」「ザ・キング・オブ・ファイターズ」などの格闘ゲームブームが起き、対戦型・競技としてのゲームが確立されるようになっていきました。

欧米では、「PGL(Pro-Game Leagues)」「CPL(Cyberathlete Professional League)」などのプロゲーマーリーグが開催されるようになり、インターネットの普及に伴ったゲームのスポーツ化が進みました。

2000年代から急速に拡大したeスポーツ

2000年代に入るとeスポーツという言葉も使われるようになり、大規模な国際大会が開かれるようになります。2000年に世界最大級のeスポーツトーナメントのひとつである「WCG(World Cyber Games)」(2000年はWorld Cyber Games Challengeという名称)が始まりました。また、2003年にフランスで始まり、その後に「ESWC(eSports World Convention)」として続いた規模の大きな大会もあります。

このような大規模な大会の流れは、2010年代にはさらに加速し、日本でも2011年に国内初のフランチャイズ制eスポーツ大会「第1回eスポーツJAPAN CUP」が開催。その後は先述した通り、オリンピックの正式種目に採用が検討されるなど一般的な認知を獲得するに至ります。

eスポーツで競われるゲームジャンル

eスポーツで競われているのは、どのようなゲームなのでしょうか? 代表的なジャンルを紹介します。

FPS(ファースト・パーソン・シューティング)

FPSはシューティングゲームの一種類で、操作する本人の視点でプレーするのが特徴です(ファースト・パーソン=一人称)。代表的なゲームタイトルに、「コール オブ デューティ(CoD)」「カウンターストライク」シリーズがあります。

TPS(サード・パーソン・シューティング)

FPSと同様にシューティングゲームの一類ですが、「サード・パーソン=第三者視点」の通り、操作するキャラクターが画面上に見えているのが特徴です。代表的なゲームタイトルに「スプラトゥーン」や「フォートナイト」があります。

RTS(リアル・タイム・ストラテジー)

ターン制の戦略ゲームとは異なり、プレーヤーはリアルタイムで命令・行動をして、戦うゲームです。代表的なゲームタイトルに「ウォークラフト」「エイジ オブ エンパイア」などがあります。

MOBA(マルチプレーヤー・オンライン・バトル・アリーナ)

複数人数がチームに分かれて「敵の本拠地の破壊」などを勝利条件に争うゲームです。RTSの一類であり、メンバーの役割や位置などの戦略性が重要になります。代表的なゲームタイトルに「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」「Dota 2」などがあります。

格闘ゲーム

プレーヤー同士が操作するキャラクターを選ぶ対戦型ゲームです。「ストリートファイター」「鉄拳」シリーズなど人気タイトルが多くあります。

DCG(デジタル・カード・ゲーム)

その名の通り、コンピューター上で行うカードゲームです。トレーディングカードゲームをデジタル化したもの、と捉えていただければ問題ありません。プレーヤーはカードデッキを組み、対戦相手と戦います。代表的なゲームタイトルは「ハースストーン」「シャドウバース」です。

スポーツ

バスケットボールやサッカー、野球などのスポーツで競い合うゲームです。eスポーツでは、「ウイニングイレブン」シリーズや「FIFA」シリーズのほか、サッカーを基にした「ロケットリーグ」などが人気です。

パズルゲーム

パズルを解くことを目的としたゲームです。特に、画面の上からパズルが降りてくるものは「落ちゲー」「落ち物ゲーム」とも呼ばれ、代表的なタイトルに「テトリス」「ぷよぷよ」があります。このほか、「パズドラ」も知られています。

音ゲー

リズムに合わせてボタンなどを押していくゲームです。対戦では「相手より正確に押し続けられるか」が問われます。代表的なゲームタイトルに「BEMANI」があります。

eスポーツの大会と賞金は?

eスポーツの大会数が増加するとともに一大会の優勝賞金や賞金総額も年々高くなっています。現在では優勝賞金が億を超えることも珍しくありません。ゲームで一獲千金を夢見ることは以前は考えにくかったですが、今では現実のものとなりつつあります。

優勝賞金が高いゲームタイトルは?

eスポーツの大会も年々規模が大きくなるにつれ、その賞金額も高額になっています。2019年に開催された「フォートナイト」の大会では、弱冠16歳のアメリカの少年が優勝し、賞金300万ドルを獲得したことが大きな話題となりました。

世界でもっともプレーヤーが多いと言われている「Dota 2」の大会「The International 2019 Dota2 Championships」の賞金総額は約3400万ドル。「リーグ・オブ・レジェンド」が毎年開催している世界大会である「World Championship(Worlds)」では、賞金総額が645万ドル。「ハースストーン」の公式大会における賞金総額は2300万ドルであり、2020年12月に開催された「ハースストーン」の世界大会の賞金総額50万ドル、優勝賞金20万ドルとなっています。ちなみに2020年の世界大会で優勝したのは日本人のglory選手でした。

またFPS/TPSのバトルロイヤルゲーム「PUBG(PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS)」も賞金が高いことで知られています。グローバルチャンピオンシップの優勝賞金は400万ドルであり、日本でも2021年2月から開催される「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE SEASON 1」の賞金総額は3億円。さらにプロ選手全員に対して年間350万円を保証しています。

このようにプレーヤー人口が多いゲームタイトルほど賞金総額も高くなっており、今後はさらに驚くような賞金額の大会が開かれるかもしれません。

まとめ

ゲームで競い合うeスポーツは、世界中でプレーヤーが増え、市場規模も拡大の一途をたどっています。各ゲームタイトルの世界大会では数千万人がインターネットを通じて観戦することも珍しくなく、集客力・観客動員数という点でもリアルなスポーツイベントに引けを取りません。

今後、eスポーツがどのように進化を遂げ、拡大をしていくのか。また日本でどのように発展していくのか。ぜひ読者の皆さんも注目ください。