みなさんお久しぶりです。

前回のコラムではU19eスポーツ選手権(以下U19)の意気込みを書きました。引き続き、U19の話をしたいと思います。チームが勝てるように手を貸してくれたみなさんへの感謝の気持ちを込めて……。

U19は群馬県などでつくる実行委員会が主催。13~19歳の5~6人でつくるチームで参加し、学校の枠にとらわれない編成が可能でした。ゲームタイトルは対戦型PCゲーム「League of Legends」(リーグ・オブ・レジェンド、LoL)。オンラインの予選を経て、決勝がありました。決勝でぶつかるのは「KGP N1」(キングプリモナンバーワン)と「Pi-Po-DA!YOEEOOOON!Gaming」(ぴーぽーだよーーーんゲーミング、以下PPG)。

「KGP N1」は高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」のLoL部門を2連覇したN高校(沖縄)のチームのメンバーが参加。さらに、決勝でそのN高と戦い、惜しくも準優勝となったクラーク記念国際高高校・秋葉原ITキャンパスのチームのキャプテンらで構成しています。

対するPPGも、そのN高のメンバーである大友さんらで構成。実力ある2チームの激突となりました。

立ちはだかる試練

U19のオンライン予選を勝ち抜け、11月22日にGメッセ(群馬県高崎市)で開かれる決勝進出が決まったのは11月8日のことでした。最近は、みんなで会場に行き、現地で勝った喜びや負けた悔しさを味わうことが難しかったため、22日はすごく楽しみでした。

ところが、問題がありました。実は11月9日にリーグ・オブ・レジェンド(LoL)の一つのシーズンが終わったのです。次のシーズンに向けてアップデートが行われ、ゲームバランスに大きな変更が入りました。

このため、決勝は予選とは違うゲーム環境で戦わないといけないのです。今まで強かったキャラクターが弱くなったり、今まで使ってたアイテムが消えて新しいアイテムが追加されたりと、覚えることも多ければ、何が今の環境で強いのか(メタ)も大会までの約2週間で考えなければならない状況でした。

現れた救世主

短い時間で今のメタを知ることは簡単なことではなかったです。韓国で上位にいる人たちの対戦履歴をあさったり、そのキャラの動画を見たり、実際に使ってみて強いかどうかを試したり。普段やらないようなことに取り組まなければいけませんでした。

それらを理解してからやっとメタにあったキャラを新しく練習し、チームゲームでどのくらいそのキャラが通用するのかを試す段階に入ります。実際はメタが定まっておらず、U19以外の大会開催予定がない中、練習試合の相手を探すのは難しいことでした。

「このままじゃチーム練習ができないんじゃないか」。焦っていると、私が練習生として参加するRascal Jester(RJ)のsubメンバーのみんなが快く練習試合を引き受けてくれたのです。

RJのみんなは、最高で4日連続で練習試合をしてくれたり、対戦相手の「KGP N1」が使いそうなキャラを想定しながらチーム構成を組んでくれたり、LoLプロリーグのLJL出場経験のあるnagiさんやpinkさんが、私やrre君に試合のfeedbackをしてくれたり。RJのみんなには感謝しきれないほど練習に付き合ってもらいました。最初の方はやりなれない環境で上手くいかないことの方が多く、ひどいと10デス近くしていたのに、試合を重ねていくうちに自分のプレーを今の環境に合うよう改善していくことができました。

決戦前夜の再会

大友美有
チームメイトと試合に臨む大友美有さん

【両チームのメンバー】

KGP N1
TOP:黄色のヨッシー
JG:Funahwi
MID:ぷりも(N高)
ADC:きゅあみらん
SUP:菜奈那
SUB(TOP):vann(N高)

PPG
TOP:ボボォォォォォン
JG:ぽぽぉん
MID:rre(N高)
ADC:fflogs champion
SUPPORT:ShakeSpeare(自分、N高)

大会前日の11月21日午後8時。群馬に着いた私は敵チームのメンバーに囲まれていました。私以外の4人と相手チームの1人が一緒に行動をしていたので、一人寂しさに暮れていた私を拾ってもらったのです。

同い年の女性プレーヤー同士ということで、以前から交流のあった菜奈那(いぬだお)とは、今年2月以来会ってなかったので久しぶりに会えて嬉しかったです。少し待てば別行動組が帰ってくるとのことだったので、みんなで集まろうという話も出たのですが、時間も遅かったのと、作戦会議をそれぞれしようということで一旦解散になりました。

チームメンバーと合流し、作戦会議をしました。ただ、作戦会議といっても、banとpickはどうするかの話し合いと雑談で終わっちゃいましたけど……。会議が終わり、明日に向けて寝ようと早めに布団に入ったのですが、結局眠れなくて深夜3時ごろまで起きていてしまいました。

朝からマイペースなチームメート

迎えた22日午前6時。朝ごはんはチームみんなで食べようという話が出ていたので、早めに起きました。

ただ、集合予定時間にみんなの部屋をノックしたら、ボボォォォォォン君は既に朝ごはんを済ませていました。さらに、ぽぽぉん君は「rre君とfflogs champion君と一緒に行こう」という話になっていたのに姿が見えませんでした。

私は菜奈那とも一緒に食べようと彼女にも声を掛けていたので、「私と菜奈那だけで食べちゃおうか」と食堂に向かうと……。そこには一人で朝ごはんを食べてるぽぽぉん君の姿がありました。試合当日にもかかわらず、自由なみんなの姿を見て緊張がほどけました(笑)。

そして、群馬Gメッセに到着しました。リハーサルをするため中に入ったのですが、中はとても広く、照明もかっこよくて「こんなところで決勝ができるんだ」と胸が高鳴りました。

決勝が始まるまで3時間以上あったのですが、リハーサルやデバイスの設置、雑談をしていたらあっという間に登壇直前です。さっきまで和らいでいた緊張がどんどん高まっていくのを感じながら、舞台に上がるギリギリまで、ずっと韓国上位の人たちの対戦履歴を見て心を落ち着かせようとしていました。

負けることはないと信じていた

チームメイトと表彰式に臨む大友美有さん(右)

結論から言うと、私たちは敗れて準優勝でした。

2本先取の1試合目は私たちの負け。お互いに緊張が分かるような試合で、普段だったら狙いに行くところを狙いに行かなかったり、変な立ち回りをしてしまったり。

「次も負けちゃったらU19は終わりなんだな」と不安が募ります。2試合目はその不安とは裏腹に勝つことができました。

1試合目に負けた後、みんなが「まだあと2連勝すればいいだけだ」と前向きだったから勝てたと思います。その気持ちに引っ張られて、「このまま負けて終わるくらいなら、自分ができること、自分が見えている勝ち方を信じて思いっきりプレーしてやろう」と私も前向きになれました。

3試合目。どんな状況であれ負けることはない、と信じていたので、バロンやエルダー(試合を大きく動かすことができるオブジェクト)が獲られても、まだ勝てると思っていました。

でも……負けてしまったんですよね。

気持ちと裏腹の作り笑い

試合が終わり、私の隣で声を殺して泣いているfflogs champion君の姿が見えました。それを見て、私は作り笑いをすることしかできませんでした。

試合に負けたことがあまりにも悔しくて、でも泣いているところは絶対誰にも見せたくなくて。みんなと一緒にいる間はずっと顔に力を入れて笑顔を作っていました。

表彰の最中、rre君が悔しさのあまりに泣いてしまったところを見て、改めて私たちは負けてしまったんだなと思い知らされました。あれだけ頑張って練習してきたのに、周りの人たちにも協力してもらったのに、優勝をすることができなかったんだと……。勝って「ありがとう」とみんなに伝えるつもりだったのに、ごめんなさいの言葉しか出てきませんでした。

そして、インタビューを受けているとき、世の中って残酷なんだなと痛感しました。負けた側は試合が終わって何も考えたくなくても、こうやって思い出しながら悔しさとともに自分の気持ちを吐き出さないといけないんだと。

優勝したKGP N1(左)と、大友美有さん(右端)ら準優勝したPi-Po-DA!YOEEOOOON!Gamingが並んで表彰式に臨んだ

控室に戻る際、KGP N1のうれしそうな声が聞こえてきてホントに苦しかったです。けど、終わったことはしょうがないと、悔しさ隠しの笑顔を作りながら夜ご飯をみんなで食べ、私は次の日にお仕事があったので東京に向かいました。

解けた糸と流した涙

一人になると、ツンと張っていた糸がほどけたかのように涙があふれてきました。笑顔を作りすぎて、もしかしたら自分は全然悲しんでいないんじゃないか、とまで思っていたのに。

RJに連続で練習試合を組んでもらって、普段自分が面倒くさがってやらないようなことも頑張ってしていたのに、優勝できないで終わっちゃったんだって。もしかしたらこの大会がこの5人で出られる最初で最後の大会かもしれないから、どうしてもみんなで勝ちたかったなって……。

考えても仕方のないことではあるけど、この文章を書いている今でも悔しさをかみ締めながら書いています。でも、この悔しさもいい経験だと切り替えて、今回の件をバネにみんなでいつかLJLで戦えたらいいなとも思いました。

この思いをもう味わいたくないから、高校生最後の大会となる第3回eスポーツ選手権も優勝して、LJLで輝ける選手になれるよう、そしてこれまで一緒に頑張ってきたチームメンバーとLJLで敵か味方で戦えるよう、より一層努力していきたいと思います。

正直書いていてつらかったですが、自分の気持ちがこのような形で残せるのでありがたいことだなとも思っています。おそらく次は第3回eスポーツ選手権についてのお話をすると思うので、また読んでくださるとうれしいです!

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第3回全国高校eスポーツ選手権は、LoL部門の予選が20日に最終日があり、大友さんが所属するN高の「KDG N1」は2021年3月に開かれる決勝大会進出を決めました。

大友美有

おおとも・みゆう 2002年8月生まれ、埼玉県出身。スターダストプロモーション・ゲーム事業部に所属。「女子高生ミスコン2019」でファイナリストに選ばれ、モデル活動とともにeスポーツに力を入れる。2019年の第2回全国高校eスポーツ選手権、2020年の高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」のLoL部門でそれぞれ優勝し、プロゲーミングチーム「Rascal Jester」に練習生として加わっている。

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〈大友美有さんの出演情報〉
23日、87.6MHz「渋谷のラジオ」の「三浦優奈の『渋谷のラジオの惑星』」にリモート出演します。OA時間は午後9時~9時50分です。

※87.6MHz「渋谷のラジオ」は専用アプリをダウンロードしていただくと全国どこでも聴くことができます。ダウンロードの方法は「渋谷のラジオ」公式HP(http://shiburadi.com/)から。

三浦優奈さん Twitterアカウント(@miurayuna) /Instagramアカウント(@yuna_miura)