「ストリートファイターV チャンピオンエディション」(ストV CE)の招待制オンライン大会「Blink All Star Challenge: Japan」が昨年、開催されました。ドミニカ共和国のeスポーツ団体「Blink Esports」が主催した日本人向けの大会で、ときど選手(@tokidoki77)、藤村選手(@fujimura333)をはじめとする日本のトップ選手16名が招待されました。

ハイレベルな試合の連続になった大会ですが、熾烈な戦いを制して優勝賞金3500ドルを手にしたのはレジェンド・ウメハラ選手。ベテラン選手の活躍に、格闘ゲームコミュニティーは大いに盛り上がりました。

日本を代表するプレーヤーが大集結のオールスター戦

例年通りならば、大会が目白押しの時期。ところが、新型コロナウイルス感染拡大の影響でオフラインのeスポーツ大会が開きにくい状況が続き、格闘ゲームコミュニティーは活発とはいえない状況でした。

そんな中、一気に活気づけたのが「Blink All Star Challenge: Japan」でした。今回が初開催となる同大会は、カプコンカップ優勝経験のあるMenaRD選手なども所属するドミニカ共和国のeスポーツ団体「Blink Esports」主催の招待制オンライン大会です。

注目を集めた理由は、何といっても招待された選手の豪華さです。以下のトーナメント表を見てもらえれば分かる通り、出場選手には「EVO 2017」チャンピオンのときど選手、「カプコンカップ2018」優勝者のガチくん選手、「EVO 2019」王者のボンちゃん選手がそろい踏みました。他にもふ~ど選手やウメハラ選手など、「ストV」で無類の強さを誇る選手が集結したのです。

大会のトーナメント表(初日)

これだけ豪華な面子が揃う中、初戦の組み合わせは全て配信上でランダムに決められました。ウメハラ選手とふ~ど選手が初戦から当たる大会など、前代未聞です。

組み合わせは全てルーレットで決められた

若手りゅうせい選手がベテラン達をなぎ倒す!

この大会で一際異彩を放っていたのがFAV gaming所属のりゅうせい選手です。りゅうせい選手は10代のころから「BLAZBLUE(ブレイブルー)」シリーズのトッププレーヤーとして有名で、2018年に「ストV」へ移行してからめきめきと実力を伸ばしている若手選手です。

まだ大きな大会での実績はありませんが、ウメハラ選手の配信でラウンジに果敢に挑む姿勢などから「やる気勢」としてコミュニティーからの人気も高いりゅうせい選手。そんな彼が大会でベテランの選手たちを次々と破る姿は、ファンを大いに興奮させました。

■vsときど選手

りゅうせい選手は今大会で一貫してメインキャラのユリアンを使用していました。ユリアンはVトリガーの「エイジスリフレクター」が強力で、試合後半の爆発力はゲーム中でもトップクラスです。

りゅうせい選手の使用するユリアン

りゅうせい選手のトップ8初戦の相手はときど選手。「ストV」プロを代表する世界的トッププレーヤーです。

豪鬼を使用することで有名なときど選手ですが、実はサブキャラクターとしてユリアンも研究しており、対策は万全です。ユリアン使いのりゅうせい選手にとっては、辛い一戦になるかと思われました。

しかしりゅうせい選手は積極的な攻めの姿勢でこの逆境を乗り越えます。強気のデンジャラスヘッドバットや跳びでときど選手を追い込み、後半のエイジスリフレクターを絡めた読み合いも次々と勝っていきます。

エイジスリフレクター

なんとりゅうせい選手は3-0のストレートで勝利します。ベテランのときど選手がトップ8で敗れる番狂わせに、配信チャットは大いに盛り上がりました。

■vsガチくん選手

ウィナーズセミファイナルで惜しくもウメハラ選手に敗れると、りゅうせい選手の次の相手はRed Bullアスリートのガチくん選手となりました。ガチくん選手も「ストリートファイターIV」時代から最前線で活躍する強豪プレーヤーです。

ガチくん選手の使用するキャラクターは、バランスの優れたラシード。ときど選手との試合とは打って変わって、試合はジリジリとした展開が続きました。

りゅうせいユリアン(左)、ガチくんラシード(右)

一進一退の攻防が続いた後、試合はお互いがリーチの状況で最終戦へもつれ込みます。視聴者が固唾を飲んで見守る中、りゅうせい選手が土壇場で投げを通して勝利。ウメハラ選手が待つ決勝戦へ駒を進めました。

レジェンド・ウメハラ vs若手・りゅうせい

りゅうせい選手を決勝で待ち構えていたのはウメハラ選手。ウィナーズセミからの再戦カードとなりました。

ウメハラ選手といえば言わずと知れた格闘ゲーム界のカリスマです。その人気もさることながら、ウメハラ選手の強みは何といっても年を重ねても衰えを知らない「やりこみ」の姿勢。大会が少ない今年も配信で延々と「ストV」をプレーしており、まさにトップアスリートです。

そんなウメハラ選手が使うキャラクターはガイル。ソニックブームという飛び道具が強力で、りゅうせい選手はどうやってガイルに近づくかが課題となります。

ウメハラ選手の使うガイル

序盤、りゅうせい選手が首尾よく攻めを通し、第1試合はりゅうせい選手に軍配が上がります。しかし、相手のプレースタイルを分析しながら対応してくるのがウメハラ選手、ここからウメハラ選手の反撃が始まります。

中盤には、りゅうせい選手が持ち前の攻めの強さでウメハラ選手を画面端に追い込む場面もありましたが、ウメハラ選手は追い込まれても全く焦りません。どっしりと構えてソニックブームや前ダッシュでりゅうせい選手を追い返します。

ウメハラガイル(右)のソニックブーム

着実にラウンドを勝ち取っていくウメハラ選手に対し、りゅうせい選手のプレーからは徐々に焦りが感じられるようになります。対空精度が落ち、技の空振りも増えていく中、ウメハラ選手はミスを見逃さずに反撃を決めていきます。

りゅうせい選手決死のEXヘッドバットもウメハラ選手は落ち着いてガード

果敢に戦ったりゅうせい選手でしたが、結果は3-1でウメハラ選手の勝利となりました。大会一番の勢いだったりゅうせい選手にリセットすらも許さないとは、さすがウメハラ選手。「格闘ゲームに若さなんて関係ない」と宣言するかのような見事な勝利で、ベテランプレーヤーとしての意地が感じられました。

試合後のツイートでは「今は勝てなくてもいつから勝てるから、初心者も頑張れ!格ゲーなんてやりこんだもん勝ちだよ!」とりゅうせい選手を励ますような言葉も述べました。

将来的にはドミニカVS日本の大会も?

ハイレベルな大会を開いたBlink Esports代表のRicardo氏にメールでインタビューを行いました。

――今回の大会は、どういう経緯で開催に至ったのでしょうか?

Ricardo氏(以下、敬称略) 元々は昨年9月ごろにBlink主催の世界大会を開く計画をしていたのですが、ご存知の通り、オフライン大会の開催が難しい状況です。

元々計画していた大会でも、私たちの思いは「格闘ゲームコミュニティーにどれだけ才能あるプレーヤーがいるか」を示すことでした。そこで、日本人プレーヤーに焦点を当てた大会を開こうと思ったのです。

――ウメハラ選手が優勝したことについては?

Ricardo ウメハラ選手がどれだけストイックなプレーヤーか知っていたので、彼が優勝するのは驚くべきことではないと思っています。ドミニカでもウメハラ選手の人気は非常に高く、我々のコミュニティーもウメハラ選手の活躍を見て大いに盛り上がりました。

――ドミニカの格闘ゲームコミュニティーはどのような状況なのでしょう?

Ricardo 我々のコミュニティーは非常に上手くオンラインに適応できていると思います。毎週オンライン大会が開催されていますし、世界大会のない期間も着実にレベルアップしているはずです。

また、世界大会が開催されるようになれば、ドミニカの選手は世界でも活躍できると思います。

――ずばり、日本とドミニカ、どちらが強いそうですか?

Ricardo 日本の格闘ゲームコミュニティーは我々にとって大きな憧れで、我々はどのようにしたら日本に勝てるようになるのかを考えてきました。今までは日本の方が強かったと思いますが、ドミニカはどんどん成長しています!

次にBlinkが大会を主催する時は、日本 vsドミニカの大会を開催して、どちらが本当に強いのか見てみたいですね!

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Capcom Fightersによると、Capcom Cup 2020は今年2月19日~21日、ドミニカ共和国のプンタ・カナで開催予定となっています。予定通り開催されれば日本からもプレーヤーが参戦することになるので、さっそくドミニカ人選手と日本人選手の対戦が見られるかもしれません。