相手チームの本拠地を破壊することを目指し、味方と連携して戦う「MOBA(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ)」。

プレーヤー人口が1億人超えのタイトルを抱える人気ジャンルですが、奥深さゆえプレーの難易度は高く、挫折する人も多い印象です。今回はMOBAプレーヤーに向けて、負けを乗り越えるために噛み締めたいプロゲーマーの名言を集めました。

負けを忘れられないのはみんな同じ

Yutapon選手(DetonatioN FocusMe)「正直勝ってるときより負けてるときの記憶の方が強いんで。なんならもう、次も負けないようにしようぐらいの気持ちでやってましたね。 何連勝してるっていうのはあんまり意識にないです」

引用:【DNG PLAYERS】#23 DFMドキュメンタリー~激闘のプレーオフ舞台裏 in LJL 2020 Summer Split~

「DetonatioN Gaming」(@team_detonation)のLeague of Legends部門「DetonatioN FocusMe」(DFM)に所属するYutapon選手(@yutapongo)。5連覇がかかっていた国内大会「LJL 2020 Summer Split Playoffs」の感想を求められた彼は、「5連覇って言いますけど……」と前置きしつつ、こう言い切りました。

MOBAはカジュアルなプレーヤーにとっても、負けたときのショックは大きい気がします。メジャーなタイトルは試合時間が約30分と長く、1時間に及ぶこともあるからでしょう。時間をかけてキャラクターを成長させて、終盤でぶつけあう興奮は何にも変えられませんが、多くの時間を使った分、負けたときはなかなか立ち直れないものです。

Yutapon選手の言葉はそんな状態を認めてくれると同時に、次に向けて喝を入れてくれます。負けた記憶が強く残っていても、気持ちを新たにしてもう一度挑戦してみましょう。チャンピオンやアイテムなど勝つための膨大な選択肢が用意されているMOBAでは、試合ごとにまったく新しいストーリーが繰り広げられています。きっと次こそは上手くいくはずです。

現在DFMは来シーズンに向けて活動中。「LJL 2020 Summer Split Playoffs」では惜しくも5連覇を逃し、連勝後の敗北という苦しい結果に終わった彼らですが、来シーズンではその悔しさを糧にしてさらに進化した姿を見せてくれるでしょう。

どんな試合でも得られるものがある

Heenコーチ(Team Secret)「勝っても負けても何かを得られるように、生産的なプレーをしています」

引用:Interview with TNC Predator's coach Heen

MOBAは精神力が試されるジャンルです。何度キルされても、どれだけ相手チームと差がついても、本拠地を破壊されるまでゲームは続きます。諦めかけたまま、ずるずると試合を続けてしまった苦い思い出がある人もいるのではないでしょうか。

「Dota 2」競技シーンで活躍するHeenコーチ(@Heen1337)は、勝とうが負けようが生産的なプレーをするのが良い練習方法だと言います。Heenコーチは試合に勝ったとしても「ゲーム序盤では調子が悪かったから、次は候補にあった別のキャラクターを試してみよう」といった、次に活かせる学びを見つけているそう。

たとえ試合に勝てないときでも、新しい学びや何かひとつ「これができた!」「次はこうしよう」という経験を持ち帰られればいいのです。ただでは負けてやらないよう意地を通せば、その積み重ねが勝利を呼び込んでくれることさえあります。

怒りは静かに燃やすもの

CoreJJ選手(Team Liquid)「彼は怒りを言葉で表現するのではなく、ゲームを通して見せてくれました」

引用:DUOS: Crown and CoreJJ (2019)

かつて「League of Legends」のプロチーム「Samsung Galaxy」に所属していたCoreJJ選手(@TLCoreJJ)は、世界大会「2016 World Championship」を思い出してこう語ります。「彼」とはチームメイトだったCrown選手(@Crown)のこと。彼らは決勝戦にて2-0で負けていたものの、3ゲーム目から驚異的な立て直しを見せます。

2016 Worlds Final Game3 SSG vs SKT

Crown選手が怒りを表現したというその試合。てっきり彼が暴れまわったのかと思いきや、驚くほどひたむきで、粘り強いプレーが1時間以上も繰り広げられていました。

最初の2ゲームを落としたのが響いたのか、序盤ではスキルやロームの精度も高いとは言えなかったCrown選手。それでもゾーニングなどできることを着実にこなしていき、チャンスを探ることを諦めませんでした。ゲーム開始から54分後にはついに相手チームのFaker選手に食らいつき、スキルを正確に打ち込みます。そのまま集団戦に持ち込み、見事キルを勝ち取りました。

「勝利につながる怒り」とは、つい想像してしまいがちな乱暴なものではなく、静かに燃え続けるものなのでしょう。

その後Samsung Galaxyは3ゲーム目、4ゲーム目と順調に勝利しましたが、惜しくも5ゲーム目を落とし敗北。しかしスタンディングオベーションが起きるほど、彼らのプレーは観客の心に深く刻みこまれていました。

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ゲームに負けるとついカッとしてしまいますが、怒りをモチベーションにしつつ、それを制御しながら冷静にプレーすることを心がけたいですね。

できないことや分からないことが尽きないからこそ、新しい成長のチャンスがいくらでもあるのがMOBAの魅力だと思います。紹介した名言の力で、みなさんが挫折せずMOBAを楽しむことができれば嬉しいです。