eスポーツと教育の融合に力を入れるクラーク記念国際高校(本校・北海道深川市)が、2021年度からeスポーツの取り組みを全国30ヶ所以上の拠点に拡大しました。4月には大会運営も可能なeスポーツ専用施設を備えた「CLARK NEXT Tokyo」が東京・板橋に開校。eスポーツを通じた教育をより充実させていく狙いがあります。

クラーク記念国際高校では、「才能開花」をキーワードに一人ひとりの「好き」や「得意」を伸ばす教育を掲げています。2019年に秋葉原ITキャンパスにeスポーツ専攻を開講し、合わせて英会話や経済学なども学ぶ体制を整えました。

秋葉原ITキャンパスの生徒たちが力を入れてきたのは、5対5のチームで競うリーグ・オブ・レジェンド(LoL)です。2019年度の第2回全国eスポーツ高校選手権、20年度の全国高校eスポーツ大会「STAGE:0」でいずれも準優勝するなど、実績を残しました。そして、eスポーツだけでなく、生徒たちが意欲的に学校生活に臨んでいると言います。

このため、eスポーツを通じた教育に将来の可能性があると判断。国内でのeスポーツに関連する需要の高まりと生徒たちの成長も見込めることから、今年度から全国30拠点以上でeスポーツの授業や部活を展開していくことになりました。

CLARK NEXT Tokyoがeスポーツの核に

新しいキャンパスで授業が始まっている=2021年4月

取り組みの中心となるのが、「CLARK NEXT Tokyo」です。新たに設けた「eスポーツコース」のほか、「ゲーム/アプリコース」、「ロボティクスコース」に計約120人が今春は入学。新しいキャンパスを使った授業が始まっています。新型コロナウイルスの影響を受けているものの、キャンパス内は生徒たちでぎわいを見せています。

eスポーツコースでは、秋葉原ITキャンパスのようにカリキュラムにeスポーツを導入。プロプレイヤーが指導にあたります。ゲームを通じて、コミュニケーション能力やマネジメント能力などのスキルを高める効果を期待しています。また、eスポーツ関連企業と連携した授業もあり、競技や大会の設計など「支える側」の視点も学んでいきます。

来春開校する「CLARK NEXT TOKYO」

これまで秋葉原ITキャンパスで学んできた2、3年生たちも、eスポーツについては板橋の1年生と合同で授業などに臨みます。eスポーツ専用の「eスポーツアリーナ」は全国の生徒が利用可能で、今後は大会の開催なども予定。さらに、地域に開かれた施設として、近隣の人たちによる利用も予定しています。

各拠点での部活動では、全国大会を目指すチームの育成にあたります。各拠点によって扱うタイトルは異なりますが、「LoL」のほかに「ウイニングイレブン」「実況パワフルプロ野球」などを予定。プロプレイヤーによる指導も予定しています。

三浦雄一郎校長「世界レベルでチャレンジを」

オンラインで取材に応じる三浦雄一郎さん=ミウラ・ドルフィンズ提供

1992年に開校した通信制のクラーク記念国際高校は全国50ヶ所以上の施設で教育を展開し、1万人以上の生徒が学びます。校長は、世界最高峰エベレストに70、75、80歳で登頂し、今も挑戦を続けるプロスキーヤー三浦雄一郎さん(88)は務めています。

三浦さんは昨年夏に特発性頸髄硬膜外血腫を発症。北海道で入院・リハビリ生活を送っていましたが、3月にオンラインで話を聞きました。

eスポーツに取り組む生徒たちについては、「(eスポーツは)人間の英知を集めたゲームになっている。うちの子どもたちもそれに向かって、世界レベルでチャレンジしてほしい。学校のモットーは『夢・挑戦・達成』であり、eスポーツへのチャレンジもその結果を出しつつある。さらにがんばってレベルを上げてほしい」と語ります。

「CLARK NEXT Tokyo」の今後については「すばらしい生徒が出てくると思う。応援したいなと思う」と期待を込めます。さらに、自分自身のゲームプレイについては「どんな程度でできるか、教えてもらいたい」と笑顔で話しました。

オンラインでインタビューに答える三浦雄一郎さん=ミウラ・ドルフィンズ提供

同校は、通信制でありながらも、制服を着て、毎日通学して学ぶ「全日型教育」というスタイルで、カリキュラムの柔軟性が高いことが特徴です。さらに、web学習を組み合わせて週に数日の通学や自宅学習をメインとしたコースも選ぶことができます。

自宅学習中心のコースに入学した生徒が、途中で「学校へ通ってみたい」と考えた場合に通学型へ変えるなど、状況に応じて在学中に変更することも可能です。どの通学スタイルでも、高校卒業資格を取得できます。

中学校時代に不登校などを経験した生徒にも学びの選択肢が多く用意されています。また、教員はカウンセリングの有資格者で、不登校経験のある生徒のケアにも取り組んでいます。