ウイイレ、パワプロ、フォートナイト。全く異なるジャンルのプロゲーマーたちに同じ質問をぶつけてみると……。4人のトッププレーヤーの考え方から「ゲームタイトルの魅力」「観戦が何倍も面白くなるポイント」が見えてきました。

語り合ったプロゲーマーは、「ウイニングイレブン」(以下、「ウイイレ」)のちょぶり選手、chip選手、「実況パワフルプロ野球」(以下、「パワプロ」)の下山祐躍選手、そして「フォートナイト」のJUMP選手です。

4人はいずれも、eスポーツ人材育成スクール「esports 銀座 school」(東京都中央区)で講師を務めています。11月、ふだんは別々のタイトルをプレーしているプロ選手がそろって語り合う、という珍しい機会でした。4人はリアルスポーツとの違いや勝利に必要な要素について語りました。

リアルスポーツの結果からゲームのアップデートを予測

――パワプロやウイイレは実際の競技が元になったゲームですが、リアルの野球やサッカーを観戦する際に気にしているポイントはありますか?

下山選手:純粋な気持ちで野球を観るときもありますが、ゲームと関連付けるのであれば、成績です。一番見ます。パワプロではアップデートが行なわれるごとに選手の能力が激減激増します。

たとえば、チャンスで打てたかどうか、ダブルプレーをとられたかどうか、そういった点をすごく気にします。プレーを見て、「この打球方向で新しい能力がつくかもしれないな」ということもよく考えてしまっていますね。

ちょぶり選手:海外サッカーが好きでよく観ています。ウイイレでも実際にサッカーの試合で活躍した選手が次の週で能力に変化があるとか、逆に退場した選手や怪我してしまった選手が使えなくなる、ということもありますので、ゲームをする観点では、そういう面を気にしています。

また、実際のサッカーを観てウイイレの選手を知ったり、ウイイレの中で選手を知り、実際のサッカーで観ることもあります。ウイイレ内の能力をみて、「実際のサッカーでも足速いんだな」みたいな。ゲームとすりあわせて観戦したりもします。

chip選手:サッカーを見る際は点を決めた、決められた、ということに一番注目しがちだと思いますが、僕はボールを持っていない選手がどういう動き方をしているのかの『オフ・ザ・ゴール』の動きを気にしています。

(ボールを持つ選手の)周りの選手がどういう動きをしたから、相手チームがどういう動きをして、じゃあどうするべきなのか、ボールを持っている選手はどう動くのか、ということに注目しています。

――フォートナイトでは、大会をどのように観戦していますか?

JUMP選手:フォートナイトはアジアやヨーロッパ、アメリカなどに分かれての大会があるのですが、地域によって使われる武器や建築が異なっています。今、ヨーロッパの人はこういう武器を使うのか、こういう場面でこういう事をするのかというところを、自分の戦術に取り入れるつもりで見ていますね。

それぞれのタイトルの魅力について語った

リアルではありえないゲームならではの采配

――それぞれのタイトルについて、eスポーツの試合を見たことがない人でもわかる魅力はどんなところでしょうか?

下山選手:パワプロの大会を見ている人は、プロ野球を見ている方が多いと思いますが、現実ではありえない采配がパワプロでは存在します。ルーキーがいきなりスタメンで出ていたり、今シーズン防御率6点台のピッチャーが先発で完封していたりとか。

また、意外とeBASEBALL プロリーグ内で先駆けて活躍している選手が多かったりもします。たとえば、すごく強いバッターがいて、本来4番で出せればいいのに(eBASEBALL プロリーグ内では)なぜか2番。けれども翌年、本物のプロ野球で2番で起用されていたりとか。

なぜそういう采配にしているのか、意味がわからないところがすごく面白いです。ありえないことが現実になる瞬間を、長期スパンで「こんなシーン(パワプロで)見たことがあるな」とか、「こんな采配を現実でもすればいいのにな」といったポイントで観てもらえると魅力や楽しみがあると思います。

ちょぶり選手:ウイイレはものすごくリアルなので、シンプルにサッカーの試合を観るように観てもらっても楽しいと思います。

ただ、パワプロと同じようにプレーヤーが10人いれば、10人それぞれで戦術が異なってきます。実際のサッカーもそうですが、細かくパスを繋ぐプレーヤーもいれば、ダイナミックなプレーをするプレーヤーもいますし、プレーヤーごとにやりたいサッカーがあるので、戦術面ではそういった違いが楽しめます。

chip選手:ウイイレでは、たとえばバイエルン対バイエルン、のように同じチームで対戦することもありますが、選手の能力が一緒でもフォーメーションが違ったり、ゆっくりパスを回すサッカーをしたり、縦に早いカウンターサッカーをするプレーヤーがいたりと戦術が異なってきます。プレーヤーそれぞれのクセというか、特徴が全然違うので、それを観るのがすごく面白い。

また、僕が世界大会に出場した時のCO-OPという3人で11人を動かすモードがあるのですが、1人で戦うのではないので、チームワークでイメージの共有をする必要があります。どういうボールを出すから、どういう動きをする、といった実際のサッカーみたいなやり取りをしていきます。点を取れれば3人で喜ぶ。盛り上がりもすごいので、そんなところも魅力です。

JUMP選手:フォートナイトは、100人が同じ島に降りて、最後の一人になるまで戦うという単純なルールになっていますので、やったことがない人でも、最後に誰が生き残るのかという緊張感を味わうことができます。

また、大会内で有名な海外のDJやアーティストのライブが行なわれることもあるので、ゲームだけでなく音楽イベントとしても楽しめるのがフォートナイト大会の魅力だと思います。

90分の試合を10分で戦うには

合同インタビューに出席した4人のプロゲーマー。左から下山祐躍選手、chip選手、ちょぶり選手。JUMP選手はオンラインで参加

――勝利に必要な要素について教えてください。パワプロ、ウイイレについてはリアルスポーツと異なる特徴があれば教えてください。

下山選手:まずプロ野球だと「この選手、最近調子いいですね」という場合、「調子」って後付けと成績が伴っています。パワプロの場合、「調子」って試合の前にすべて表示されるのです。まずそこが第一に違います。

その「調子」に伴って起用していきますが、かと言って、それがすべてでもないのがパワプロ。「調子」が良いからといってプレーヤーの技術がなければ打てないし、投げることができません。

また、リアルの野球ではバッテリーが脳みそを2つ使って考えながら、バッター9人の考え方、技術・技量を見極めて配球を練っていきますが、パワプロはずっと1on1です。なので例えば強打者と、下位打線の能力の落ちた選手でも相手の考え方が基本的に一緒なんです。ヒットを打つことに長けているプレーヤーならその対策をする、このプレーヤーは投球に長けているので、頑張って点を取ろう、取られないにしよう、など戦術が変わってくるのが大きく違うところだと思います。

それがちゃんとわかっていないと勝てません。負けたときになぜ負けたのか、と首をかしげてしまうので、そこが野球との違いだと思います。

ちょぶり選手:ウイイレについては、サッカーとは技術や経験、メンタリティーは共通している部分ではあると思うのですが、そうでない部分だとやっぱり(メインモードでは)11人を一人で動かすので、言ってみれば自分が監督のような立場でもあります。

戦術についても勝っているから守備的にしたり、逆に負けているから攻撃的にしたりと、自分で何から何までできます。戦術的な部分を自分ひとりで変えられるのが魅力の一つというか、リアルサッカーとの違いだと感じます。

chip選手:リアルサッカーとの違いはあまり感じてはいないのですが、あるとしたら、リアルサッカーが90分なのに対して、ウイイレは1試合10分くらいしかないので。その10分間で、オンラインで初めて対戦する相手の戦い方にもどう対応していくか、というのは異なるところかと思います。

たとえば、前半はAの攻め方、後半はBという攻め方をして、どちらの方が嫌がっているのかを把握したうえで「じゃあ、こっちの戦術でやっていこう」ということ。

逆もそうで、相手の攻め方に対して僕はこういう守り方をしなければいけない、こういう守り方はいつも僕がやっている守り方ではないけど、そこにどう対応すべきか、というのを10分で考えなければならない、そうした時間の違いというのはあると思います。

JUMP選手:フォートナイトの大会は、たとえば3時間で10回試合ができて、その中で生き残ったポイントだったり敵を倒した数のポイントで大会の順位が決まります。フォートナイトは基本動作の積み重ねです。

また、敵を倒す判断、倒さない判断、生き残る判断など、メンタル面も試合に大きく影響してくるので、メンタルや日々の細かい練習の積み重ねが大事だと思います。

「esports 銀座 school」の充実した設備

ネットマナーを守り応援してもらえるプロゲーマーに

――プロゲーマーを目指す受講生にどんなことを望んでいますか?

下山選手:一番望んでいることは、ゲームを通じて仲間を作って欲しいということです。パワプロ界隈は、なかなか仲間を作る機会がなく、少しずつコミュニティが出来始めているのが現状です。

ここ(esports 銀座 school)で実際にゲーム仲間を作れるのは、非常によい場だと思います。上手くなるというよりは、一緒に高め合い共感できる仲間を増やしていってほしいと思っています。

ちょぶり選手:プロになるには「高い壁」がある、と受講生の方は見られているかもしれません。もちろんプロになるのは大変といえば大変ですが、僕も昨年の国体で全国準優勝した、その一つの大会をきっかけにプロになりました。誰でも無料で参加でき、大会で結果を出せば声をかけていただける。誰にでもチャンスがあることを知ってほしいと思います。

chip選手:個人の希望ですが、一緒に公式大会に出場できたりすると「おお、うまくなったな」という感じで言えるので、そうした機会があればと思います。また、僕も去年の4月にウイイレの日本代表選考会で優勝、アジア大会で準優勝、世界大会ベスト4になりましたが、それまではいちプレーヤーでした。

公式大会で結果を残せば本当に声がかかったりするのでプロゲーマーを高い壁と思わずに、一生懸命努力する、というよりは夢中になってウイイレをやると成長は早いと思います。

JUMP選手:フォートナイトでの大会上位勢は若い方が多いです。一方、ネットマナーが悪い方も結構いらっしゃる。上手くなってもらいたいのはもちろんですが、応援してもらえるようなプロゲーマーになってほしいと思っています。

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