「高校生大会にどうしても出たい」。高校2年生のときにN高に転校した大友さん。昨年の全国高校eスポーツ選手権での優勝を経験し、今年は新たなチームで「STAGE:0」に臨むことになりました。仲間ともコミュニケーションを取り、練習を積んで自信を持つようになります。そして、プレーヤーネームは「ShakeSpeare」(シェイクスピア)として、8月の大会を迎えました。

予選で訪れた最大の壁

私は本番で弱気になる性格です。「STAGE:0」の九州・沖縄ブロック予選の段階から、腕が震えて弱音を吐いてしまうくらい不安でいっぱいでした。

そしてブロックの決勝進出チームを決める試合で、私たちは同じN高のチーム「team no plan」と戦うことになりました。「team no plan」とは、強化選手としてお互いを高め合ってきたので、泣きそうになるくらい不安でした。

いつも通りにやれば勝てる。いや、もしかしたら負けてしまうんじゃないか……。

気付くと私は泣きそうになっていました。

負けてはいけない5vs5の集団戦に何度も敗れ、その結果、声は震え、心臓はドクンドクンと跳ね上がり、頭の中では「敗北」の二文字しか考えられなかったのです。

優勝すると意気込んで、優勝を目指して練習してきたのに、多くの人の目にも映らない予選で負けてしまうのか。その恐怖で私は冷静な判断ができなくなりました。

弱音と仲間の絆

「もう、勝てなくない?」

みんなが思っていても口に出さないようにしていた言葉。まだ勝てると希望を抱いて言わなかった言葉。

涙と一緒にあふれさせてしまいました。絶対言っちゃいけなかった。

でも、自分じゃ抱えきれなかった気持ち。

その言葉を吐いてしまった後、他のメンバーも不安な状況で「大丈夫大丈夫、俺がcarryするから」とぷりもが言ってくれたんです。

ぷりもだって不安なのに。ぷりもだって励ましてもらいたい立場なのに。けど、それに続いて他のみんなも「大丈夫、勝てるよ」と声をかけ始めてくれました。同年代のぷりもやvann君までにとどまらず、後輩にまで。

きっとみんな自分に言い聞かせているのもあったのかもしれません。でも、その言葉のおかげで腕の震えは止まり、涙も引っ込み、後はもう勝つしかないと、ゲームの勝敗を決める最後の集団戦に臨みました。

さっきまでは涙が出るほど冷静さを欠いていたのに、敵の行動を冷静に予測することができました。

「このタイミングでこっちのスキルを吐こう」「ポジションはここにしよう」。最後の集団戦が起こる前にある程度計算はしていたのですが、敵の焦りもあって、とてもきれいに勝つことができました。

試合が終わった瞬間、安堵する人もいれば、泣きそうになっている人、そして嬉しさのあまりに席から立ちあがる人。反応はそれぞれだけど、全員で成し遂げた一つのことに対してこんなに喜ぶほど、私たちは一所懸命に練習をしてきたんだな、と実感しました。

因縁の相手との決勝を楽しむ

N高が優勝を決めた瞬間

そして、迎えた全国大会最終日の9月21日。全員の緊張はある程度とけていました。決勝当日にも関わらず、各々が自由に行動をしていた状態でした。

それでも、予選で一度足元をすくわれたこともあり、試合が始まる直前に「勝てるよね?」って聞いたり、リールベルトさんに「喝」を入れてもらったり。自信満々で準決勝と決勝に挑めるように周りの人に協力してもらいました。

実は、私たちは試合に勝てるように、1回しか通用しないであろう「隠しピック」を持っていたので、準決勝は無事勝ち進むことができました。

そして、優勝をかけた決勝戦。クラーク記念国際高校との因縁の対決を迎えました。私は昨年冬の大会が終わってから、ずっとクラークを恐れていたし、クラークには決勝まで上がってきて頂上で戦いたいなと思っていました。

ライバルではありますが、お互い準決勝の時に「頑張って」と言い合うほどの仲でもありました。なので、勝ちたいって気持ちはもちろんありましたが、純粋にこの決勝戦を楽しみたいっていう気持ちが一番でした。

全ては優勝のために起きていたハプニング

STAGE:0で優勝し、配信のインタビューで喜びを語る大友美有さん  (C)2020 Riot Games, Inc. Used With Permission.

そして、見事に優勝することができました。自信が持てるほど練習をして、その結果起きた慢心をすくわれて。大会優勝を目指す過程で色々なハプニングがありましたが、きっと全ては優勝するために起きたことなんだなと、「STAGE:0」を無事優勝できた今、思います。

高校生同士の大会ではあったのですが、私は今回の大会でコミュニケーションの取り方や、一所懸命物事に取り組むことの大切さ、そして思い入れは時間を重ねてこそ深くなるものなんだと学びました。

高校生最後の大会、今冬から始まる第3回全国高校eスポーツ選手権はまた違う5人で出ることになってしまいましたが、STAGE:0と同様、そのメンバーでできることを磨いて大会に臨みます。私たちが王座を他のチームに奪われないように努力していく成果を見てくれると嬉しいです。

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大友さんは7日から始まる「第1回U19eスポーツ選手権」にも出場します。

「『STAGE:0』とはまた違うメンバーになっていますが、U19の大会でも頂点目指して勝ち進んでいきたいと思います。応援よろしくお願いします!」と意気込みを語っています。

大友美有さん

STAGE:0

同じ高校内のチームで日本一を争う、高校対抗eスポーツ大会。クラッシュ・ロワイヤル、フォートナイト、リーグ・オブ・レジェンドの3部門がある。昨年の第1回大会は、全国の高校1475校から1780チーム・4716人が参加。配信視聴者数は約136万人だった。第2回大会の今年はオンライン形式での開催。1779校から2158チーム・5555人がエントリーした。

大友美有

おおとも・みゆう 2002年8月生まれ、埼玉県出身。スターダストプロモーション・ゲーム事業部に所属。「女子高生ミスコン2019」でファイナリストに選ばれ、モデル活動とともにeスポーツに力を入れる。2019年の第2回全国高校eスポーツ選手権、2020年の高校対抗eスポーツ大会「STAGE:0」のLoL部門でそれぞれ優勝し、プロゲーミングチーム「Rascal Jester」に練習生として加わっている。