8月22日~9月19日の約1カ月間に渡って、学生コミュニティー支援プログラム「LeagueU」の主催で開催された全日本大学選手権「LeagueU JAPAN COLLEGIATE CHAMPIONSHIP 2020」(JCC 2020)。今大会から追加された「VALORANT」部門において記念すべき初代王者となったのは、近畿大学esportsサークル(@kindai_e_Sports)でした。

近畿大学esportsサークルのメンバーに大会に向けての練習や印象に残っているプレー、日本のeスポーツシーンについて考えていることを聞きました。

近畿大学esportsサークル「VALORANT」部門のメンバー

・misoshiru:大会メンバーを募集した発起人。グランドファイナルではヴァイパーを巧みに操った。
・The Professor:IGL(インゲームリーダー)およびコーチを担当。大事な場面でしっかりと決める。
・acxe:グランドファイナルではオーメンをピック。攻守において勝利に大きく貢献した。
・はろ美:グランドファイナルではフェニックスをピック。圧倒的な突破力で翻弄した。
・はむたろう:グランドファイナルではサイファーをピック。安定したスタッツで勝利に貢献。
・星街あやめ:リザーブとして大会前のスクリムに参加するなど、チームの成長に貢献した。
・ぽかぽか:リザーブとしてチームに貢献。大会当日はバイト先でこっそり大会を視聴していた。

近畿大学esportsサークルとは?

――サークルの活動内容や規模を教えてください。

misoshiru:正式名称は「近畿大学esportsサークル」です。部門は「リーグ・オブ・レジェンド」(LoL)、「コール オブ デューティ」(CoD)、「シャドウバース」(シャドバ)、「大乱闘スマッシュブラザーズ」(スマブラ)、「レインボーシックス シージ」(R6S)など、多岐に渡ります。

「VALORANT」部門ができたのは最近で、サークルとして定期的に活動しているわけではありませんが、僕が大会に出場したいという理由で同部門からメンバーを募りました。

――「VALORANT」部門は何名ほど在籍していますか?

はむたろう:「VALORANT」部門は20人くらいです。

misoshiru:大会に向けて20人に声をかけた結果、今のメンバーが集まってくれました。強いプレーヤーに囲まれてよかったです。期間は2カ月ほどでしたが、メンバーチェンジも交えつつ、集まれるときに集まって練習していました。

acxe:練習とは別にメンバーでプレーすることも多くて、2人や3人で集まって毎日のようにプレーしていましたね。

The Professor:僕とmisosiruはもう大会には出場しないと決めたので、今は活動していません。axceとはろ美は今後も活動していくみたいです。

ぶつかり合いながらも掴み取った優勝

――JCC 2020にエントリーしたときはどんな気持ちでしたか?

misoshiru:JCC 2020は同じ大学のメンバーでしか出場できないので、それなら優勝できると思って出場を決めました。他の大会だと別の大学のプロプレーヤーを呼べるので、それだと勝つのは難しいな……と。

僕はacxeから競技シーンの話をよく聞いていたので、せっかくなら大学生4年間のうちに本気でゲームをプレーしてみたいという気持ちがありました。

――自分たちの実力に自信はありました?

misoshiru:ありました。メンバーが強いので(笑)。

大会メンバー全員が集まれるのは週に1回くらいでしたが、他のメンバーも交えてほぼ毎日のように練習していましたし。

The Professor:学生シーンなら勝てるかな、という自信はありましたね。

――The ProfessorさんはIGLおよびコーチを担当され、チームとしての体制がしっかりしている印象を受けました。コーチとして、どのように練習メニューを組み立てていったのでしょうか。

The Professor:サイト内に侵攻するまでのセットアップを統一したり、ソーヴァのリコンボルトやキルジョイのナノスワームなどのスキルのより良い使い方を提案したりしました。そのうえで戦略も立てていましたね。

練習日程の調整も僕が担当していたのですが、なかなか合わなくて大変でした。

――ゲーム内外において雰囲気が殺伐とすることがある、と聞きましたが……。

The Professor:そうですね。特に日程調整が......。

acxe:他にも色々ね。

The Professor:やめようや。俺が悪かったって(笑)。

――実際、普段の練習の雰囲気はどうですか?

The Professor:大会の時と同様でバチバチですね。

星街あやめ:スクリムの録画を見たり、通話を聞いている感じだと、真剣が故のぶつかり合いなんだろうなって。

misoshiru:僕はあまりプレーが上手くないので、よく僕がミスして台パンされたり、ため息をつかれたり……何回も空気が悪くなったのを覚えています。

The Professor:結論、みんなが真剣だからってことだよね。

――では、大会までの活動で思い出に残っていることはありますか?

acxe:ぶつかり合いも含めて、みんなで一つの目標に向かって熱くなれたことですね。優勝も含めて、良い思い出だなって思います。

The Professor:やっぱり優勝したことですね。

misoshiru:分析データから立てた戦術が刺さったときは嬉しかったですね。大会に出るまで相手チームの分析をプレーに活かしたことがなかったので、こんなに変わるのかと感動を覚えました。

たとえ忙しくても、少しでも空いた時間があればゲームにログインして、ソーヴァのリコンボルトの角度や位置を研究していたのですが、それが大会で活かせたのは本当に嬉しかったです。

はむたろう:ゲームの大会に出場すること自体が初めてなので、優勝したことが一番嬉しいですね。

ぽかぽか:僕はリザーブで大会には出場しなかったのですが、スクリムではふだん一緒にプレーしている大会メンバーと対戦する機会があって、それが楽しかったです。

星街あやめ:スクリムや大会の動画をチェックしていると、自分だけでなくチームも成長していることが目に見えて分かったので、そういった瞬間が印象的でした。

はろ美:僕たちはどのチームよりもたくさん練習したと思っています。チームメンバーと一緒に戦略を考えたり、スクリムで練習したり……たくさん準備したうえで優勝できたというのが印象深いですね。

――大会で印象に残っているシーンはありますか?

The Professor:グランドファイナル第1マップの最終ラウンドです。オペレーターでクアドラキルを達成してマップ勝利しました。予選グループリーグ(配信なし)でもマッチポイントの場面で活躍できましたが、配信のあるグランドファイナルという大舞台でも活躍できたのは嬉しかったです。

第1マップ、The Professor選手がクアドラキルで勝利を飾る

はむたろう:予選グループリーグの試合なんですけど、ディフェンダーが有利とされるスプリットで、序盤から相手のアタッカーを止められない厳しい試合があったんですよ。そんな状況で、僕がエースをとったことで流れが変わって、そのまま試合に勝利しました。とても印象に残っています。

acxe:僕は他にも学生大会に出場していたこともあって、誰よりも自分が上手いと思えるくらい自分のプレーに自信がありました。でも、今回の大会で自分よりも上手いと思うプレーヤーに巡り合えたのが嬉しかったです。特に、愛知工業大学と対戦したときは「この対戦相手、僕よりも強い」とハッキリわかりましたね。

ぽかぽか:優勝が決まった第3マップの最終ラウンドです。人数不利かつAサイトがとられている状況で、スクリーンからacxeがダブルキルで人数差イーブンに持ち込んで、The ProfessorがAメインまで裏どりして……と、しっかり記憶に刻まれています。あのラウンドを落としてしまったら次はエコラウンドにせざるをえなかったので、勝負どころで勝てたのはすごく印象に残りました。

第3マップ、acxe選手のダブルキルを皮切りに快進撃がはじまる

はろ美:大会ではほとんどセージをピックしていたのですが、グランドファイナルではフェニックスをピックして活躍できたので楽しかったですね。

misoshiru:僕はウィナーズファイナルでソーヴァをピックしていたのですが、あらかじめ研究していたショックボルトが決定打となってラウンド勝利できたことや、オーディンで壁抜きキルが成功したことなどが印象に残っています。

――misoshiru選手はグランドファイナルではヴァイパーをピックしていましたよね。

misoshiru:僕はもともとセージをよく使っていたんですけど、大会の途中でナーフ(弱体化)されてしまったので、ヴァイパーを使うことにしました。大会でヴァイパーをピックすると決めてからずっとヴァイパーの練習をしていましたね。実況のP0HaKさんにも褒めていただいて、嬉しかったです。

リコンボルトで敵の位置を特定し、オーディンの壁抜きキルを成功させたmisoshiru選手

大学生から見たeスポーツシーンとは?

――大学生という立場から見て、今のeスポーツシーンはどのように映っていますか?

acxe:まだまだ発展していないという印象です。やっぱり「たかがゲーム」と思われている風潮が残っていると思うので。それが払拭されて、スポーツとしてでなくても、ひとつの競技として見られるようになってほしいです。

――はむたろうさん、はろ美さんは半年後に卒業を控えている思いますが、就職先はゲーム関係の企業ですか?

はむたろう:僕はゲーム関係の企業ではなく、所属している学科に関連する企業です。ゲーム関係の企業に就職するというのは、考えたこともありませんでした。でも先日、就職先の企業で内定式があったのですが、自己紹介で大会優勝の話をしたところ良い反応を得られました。

はろ美:僕も所属する学科に関連する企業です。ゲーム関係の企業に就職した先輩たちもいるので、まったく考えなかったわけではありません。面接のときにゲームでの活動の話をして好感触を得たことがありました。面接官が若い人ほどゲームに興味を持ってくれるので。大会での優勝実績を伝えたら、すごいと褒めてくれることもありましたね。

――在学生でeスポーツやゲームの仕事に就きたいと思っているメンバーはいますか?

星街あやめ:僕は可能であれば関わりたいですね。

acxe:僕は「オーバーウォッチ」がリリースされた頃から競技シーンに興味があるので、ぜひ関わっていきたいです。

The Professor:僕は関わらなくていいかな(笑)。正直なところ、まだ未来が見えないという印象です。

はろ美:定年まで働けるのかという不安があるよね。

はむたろう:日本では厳しそう。

misoshiru:グローバル市場であれば働きたいと思います。でも、日本ではゲームに良い印象を持たない人もまだ多いと思うので、発展が遅くなりそう……という見解ですね。

acxe:僕は逆に考えているんですよね。20年後くらいには、その考えも変わっていると思う。日本でも希望はあると思います。

ぽかぽか:とはいえ、勝ち続けなければいけないと考えると選手として長期的に活動するのは難しそうですよね。長く活動することを考えると、僕は選手よりもゲームの楽しさを伝えるストリーマーに憧れがあります。

――プロゲーマーを目指している、もしくは目指していたメンバーはいますか?

acxe:僕は大会が終わったあとにクラン勧誘していただいたこともあり、プロを目指したいと思っています。

The Professor:プロゲーマーではありませんが、コーチとしての経験を積み重ねている最中です。

はろ美:僕は大学2年生の時に「LoL」のプロプレーヤーを目指していたのですが、だんだん実力が足りないと感じてしまって……心が折れてしまいました。

The Professor:実は近畿大学esportsサークルのチームごとプロにならないかと、お話をいただいたことがあるんですよ。だけど、個人的に他のチームで活動してみたいという気持ちと、チームの内部事情などもありお断りしました。

はむたろう:プロチーム化するということは、例えばAbsolute JUPITERやREJECTといった強豪チームと対等に戦えるチームを作っていく必要がありますが、正直厳しいかなと。僕は就職も決まっているので、社会人になってから両立できるのか不安もありました。もう少し若ければ前向きだったかもしれませんね。

The Professor:はむたろう、はろ美は就職で、僕とmisoshiruもメンバーから外れます。しかし、新たに加入するメンバーはかなりの実力派と聞いているので、またプロから声がかかる可能性もあると思います。

――最後に、今後の活動について教えてください。

acxe:2021年2月にTeemo Cupがあるので、新たなメンバーをそろえて出場しようと思っています。

――ありがとうございました。今後の活躍にも期待しています!