神奈川県横須賀市、NTT東日本神奈川事業部、NTTe-Sportsは「地域活性化に向けた3者連携協定」を締結しました。eスポーツやアーバンスポーツを活用したコミュニティの形成や、インフラ整備による観光・周遊の促進などが目的です。

横須賀市は「音楽・スポーツ・エンターテイメント都市」への発展を目指しており、この連携を通して製造業や情報通信業に加わる新たな基幹産業として観光業を成長させていきたいとの狙いがあります。

NTT東日本は昨年12月より「Yokosuka e-Sports Project」に参画するなど、eスポーツ領域における同市への支援を行ってきました。プロジェクトによって市内の2つの高校が新たにeスポーツに取り組んでいます。

今回の協定では、今年1月に設立されたNTTe-Sportsも含めた3者連携となりました。NTT東日本の最先端のICT技術とNTTe-Sportsが得意とするeスポーツ分野での発信力を活かし、横須賀市の取り組みを外部へ大きく発信していくとのことです。

今月21日に開かれた記者会見で、NTTe-Sports代表取締役副社⻑の影澤潤一さんは「自治体との協定は横須賀が初めてとなるので、非常に身が引き締まる。そして熱意に燃えています」と話しました。

連携における3つのテーマ(横須賀市提供)

eスポーツ世界大会の誘致も目指す

今回の連携には「新たなスポーツ文化の創造と発信」「インフラ整備 観光周遊促進」「生活利便性の向上 経済の活性化」という3つの大きな目的があります。そのための主な取り組みとして、以下のような施策が挙げられました。

プロジェクトの主な取り組み(横須賀市提供)

NTT東日本局舎の利活用

横須賀市の中心街にあるNTT東日本局舎ビルの一フロアをリニューアルするもので、eスポーツエリアやプログラミング教室、テレワーク拠点など複数の機能を設けることで、様々な層の人々が集まるコミュニティスペースの開設を目指しています。

eスポーツエリアは来年度オープンを予定。NTTe-Sportsが今年8月に東京・秋葉原に開業したeスポーツ施設「eXeField Akiba」との通信でのコネクティビティ、イベントや日々の運営、コミュニティ形成における連携を想定しています。

地域のイベント×eスポーツ

よこすか産業まつりなど、市内の大きなイベントとコラボしたeスポーツイベントを開催します。地域の企業や学校だけでなく、他地域との遠隔対戦なども実施し、数年後には全国大会や世界大会の誘致も目指していきたいとのことです。

高校のeスポーツ部の開設支援

既に「Yokosuka e-Sports Project」においても高校eスポーツ部の創設支援が行われてきましたが、環境構築支援だけでなく、効果的な練習方法や弱点克服の遠隔指導、指導者派遣などチーム強化の領域でも取り組みを進めていきます。eスポーツの裾野を広げ、横須賀市の新たな文化として定着させる狙いです。

市の担当者は「eスポーツは運動の得意不得意や年齢も問わない、誰にでも取り組めるコンテンツです。まだ競技人口が少ないものの世界的に勢いが強まっているeスポーツ分野をきっかけとして、新たな動きが創造されれば地域の活性化にも繋がると考えています。若いみなさんの将来についてもeスポーツ分野にとどまらず、これをきっかけにICT業界への就業など選択肢を広げることができると考えています」と話しています。

このほかの取り組み

東京五輪から正式種目になった自転車競技のBMXの大会誘致とICT環境の整備を行います。観光施設に非接触タグなどを整備して多言語で情報配信することで来訪者の観光利便性の向上を図ります。また、2022年4月にリニューアル予定の「よこすかポートマーケット」において、ローカル5Gを活用した実証実験も検討しています。デジタル地域通貨の導入などにも取り組みます。

eスポーツを軸にした地域活性化の可能性

連携協定締結についての発表記者会見(横須賀市提供)

横須賀市の上地克明市長は「eスポーツ、アーバンスポーツのエンターテイメント化だと思っています。パラダイム・シフトが今起きつつある。パラダイム・シフトに向かっていくのか、作っていくのかという意味で先駆けを横須賀はしたい。あらゆる意味での価値観というのを変えていきたい」と話しています。

また、市内の三浦学苑高校でeスポーツに取り組む伊藤亮教諭は、横須賀市やNTT東日本による支援施策について「(eスポーツを導入するにあたって)機材が高額で学校の負担もかなり大きいということが考えられて、なかなか導入に踏み切れなかったんですけど、こうした支援の機会をいただきまして、挑戦するというスタートラインを切れたことは大変感謝しています」とコメントしています。

現在、eスポーツ部創設に向けて動いている高校もあるとのことです。この3者連携協定がそうした動きを加速し、横須賀市全体のeスポーツシーン活性化に寄与するのではと期待が持てます。今後もeスポーツを軸とした地域活性化の可能性について注目していきたいと思います。