はじめまして、Okayama(@TDokayama)です。普段は「R6S」の大会企画などを行うトーナメントディレクターとして活動しながら、大会の実況・解説も担当しています。

「レインボーシックス Japan Championship 2020」は9月19日からオンライン予選が始まりました。17~18日の決勝に駒を進めた8チームの特徴をこれまでの対戦データから読み解き、それぞれどのような特徴があるチームなのか、どういった試合展開になりそうか、自分なりの予想を交えて紹介していきます。

「R6S」での勝負を予想するには、本来であればマップごとの勝率や他大会での戦績など、膨大なデータを見なくてはなりません。そこで今回は、試合展開の基盤となる「マップのBAN/PICK」に焦点をあて分析したいと思います。

オンライン予選でのBAN/PICKのデータを見ながら、8チームそれぞれの傾向を探っていきましょう。

※FAV gaming、GUTS Gaming、CYCLOPS athlete gamingはオンライン予選で2試合しか戦っていないため、直近の大会である「APAC NORTH STAGE2」のBAN数とPICK数のデータを参考にします。

FAV gaming

カッコ内は1度目のBANフェーズで先に選択した回数。以下同

・BANで見るFAV gaming
FAV gamingは「カフェ・ドストエフスキー」と「海岸線」が5回のBAN、続いて「オレゴン」「ヴィラ」「クラブハウス」をBANする傾向にあります。「領事館」「テーマパーク」は相手チームがBANしたこともあってか、1度もBANしていません。

数字を見る限り、最近人気ではないマップは相手がBANすると予測しているか、むしろ自分たちが得意としているのではないか、と考えられます。逆に「カフェ・ドストエフスキー」「オレゴン」など流行りのマップ(=相手が練習してそうなマップ)をBANしているように見えます。

FAV gamingは相手の得意・不得意マップに合わせてマップBANの段階から戦略的な対応ができるチームと言えます。

・PICKで見るFAV gaming
どのマップもPICKしており、特定のマップを苦手としているようには見えません。PICKを見ても、FAV gamingは相手に合わせて戦える柔軟なチームと言えそうです。

GEARMIX esports

・BANで見るGEARMIX esports
GEARMIX esportsは「領事館」のBANが6回と1番多く、毎回1度目のBANフェーズで選択しています。2度目のBANフェーズでは、「ヴィラ」「クラブハウス」「テーマパーク」の順によくBANしています。

「カフェ・ドストエフスキー」「クラブハウス」「オレゴン」の3マップをBANしていないので、特定の部屋を一つひとつ占領していく戦略がハマりやすいマップを好んでいるのでしょうか。

・PICKで見るGEARMIX esports
最もPICKしているのが「オレゴン」、その次に「カフェ・ドストエフスキー」と、自分たちの得意マップを選ぶ傾向にありそうです。どちらも、撃ち合いで勝てば時間短縮がしやすいマップ。撃ち合いを得意とするGEARMIXが頻繁にPICKするのも頷けます。

GUTS Gaming

・BANで見るGUTS Gaming
GUTS GamingのBANは「オレゴン」が5回と多く、「海岸線」「テーマパーク」が続いています。相手の遊撃プレーヤーが動きやすいマップをBANする回数が多い傾向にあります。逆に「領事館」「ヴィラ」のように端から相手を追い込んでいき、最終的に相手を囲い込むことができるマップはBAN数が少なめです。

・PICKで見るGUTS Gaming
FAV gamingと同じく、PICKに大きな偏りはありません。ただし、勝利しているマップは「領事館」「カフェ・ドストエフスキー」など、自分たちではあまりBANしないマップです。得意、不得意マップを意識した戦略を立てていそうです。

NORTHEPTION

・BANで見るNORTHEPTION
NORTHEPTIONは「APAC NORTH」に出場しておらず、「Japan Championship 2020」のオンライン予選にはシード枠で参加したので、2試合しか行っていません。データが少なく、他のチームにとって対策が立てづらい存在です。

少ないながらにマップBANを見ると、2試合とも「海岸線」を最初にBANしており、続いて「領事館」「テーマパーク」をBANしていることから、撃ち合いが発生しやすいマップを避けているのでしょうか。

・PICKで見るNORTHEPTION
NORTHEPTIONは「クラブハウス」「テーマパーク」をPICKしています。「クラブハウス」は相手を囲い込みやすいマップ。NORTHEPTIONはGUTS Gamingと同じように、部屋を一つひとつ占拠できるマップを好む傾向にあるかもしれません。

エヴァ:e

・BANで見るエヴァ:e
最初にBANする回数の多さから、「海岸線」は苦手意識を持っていそうです。

「カフェ・ドストエフスキー」「領事館」の2マップは一度もBANをしていません。重要拠点をおとした後、距離を詰めて制圧しやすいマップが得意なのだろうと考えられます。他の4マップはBANをしたりPICKしたりと変動的で、相手によって柔軟に対応を変えられるチームという印象です。

・PICKで見るエヴァ:e
PICKマップは「オレゴン」「領事館」が1番多く、「海岸線」「テーマパーク」と続きます。

注目したいのは、防衛側が不利な「領事館」をあえて積極的にPICKしている点です。自らPICKしたマップは攻撃側から始まるルールをうまく使い、自分たちが不利な状況を減らす工夫をしているように見えます。

ELEMENT.36 JAPAN

・BANで見るELEMENT.36 JAPAN
ELEMENT.36 JAPANのBANは「テーマパーク」「海岸線」「カフェ・ドストエフスキー」の3マップに集中し、特に最初のBANで必ず「テーマパーク」を選んでいることから、決勝トーナメントでも同じ戦略をとることが予想されます。

2度目のBANフェーズでは、相手チームの傾向を見て「海岸線」「カフェ・ドストエフスキー」のどちらかからBANするでしょう。

・PICKで見るELEMENT.36 JAPAN
PICKマップも偏りがあり、ELEMENT.36 JAPANは自分たちの土俵に引き込んで戦いたがるチーム、と言えそうです。

予選のデータを見ると、流行マップである「オレゴン」「ヴィラ」「クラブハウス」をPICKするのでは、と予想されます。とはいえ、決勝トーナメントではAceとMerusiが使用可能な新環境。戦略に変化が見られる可能性もあるでしょう。

CYCLOPS athlete gaming

・BANで見るCYCLOPS athlete gaming
CYCLOPS athlete gamingは全てのマップを1度はBANしています。どのマップでも戦えるチームということでしょう。

強いて言うなら、最もBAN数が多い「テーマパーク」では正面で撃ち合うことが多く、カバーが他の試合に比べて少ない印象があります。ここをBANするということは、正面の1対1の撃ち合いではなく人数有利状態で戦えるマップを好む傾向にあると分析できます。

・PICKで見るCYCLOPS athlete gaming
CYCLOPS athlete gamingのPICKは「カフェ・ドストエフスキー」「オレゴン」「クラブハウス」と、現在人気のマップが多め。このPICKが戦略的なものか、お互いにBANをすると残りやすいマップなのか、色々な見方ができそうです。

どちらにせよ、CYCLOPS athlete gamingはすべてのマップに自信を持っていると言えるでしょう。

Sengoku Gaming

・BANで見るSengoku Gaming
Sengoku Gamingは自分たちの苦手マップをBANする傾向があります。
最初のBANで「テーマパーク」、2回目のBANで「カフェ・ドストエフスキー」を選ぶことが多く、決勝大会でもこの2マップをBANしてくる可能性が高いと思います。

・PICKで見るSengoku Gaming
Sengoku GamingはBANしている3マップ以外は自らPICKしており、これらは得意マップなのでしょう。Bo3では相手に合わせてPICKを変えて戦うことが予想されます。

決勝トーナメント1回戦での戦略を考えてみる

8チームのBAN/PICKの傾向を見てみると、大きく二通りに分けられます。

  • 自分自身が得意なマップ/不得意なマップをBANしていくタイプ
  • 相手チームに合わせてマップをBANしていくタイプ

どちらも一長一短ある戦い方です。この2タイプが激突する際、どのようなマップBANになるのか……各チームの傾向をもとに、決勝トーナメントの1回戦の行方を予想してみましょう。

第1試合 FAV gaming対GEARMIX esports

まずは第1回戦の2チームから。

・1度目のBAN
FAV gamingは相手がよくPICKする「カフェ・ドストエフスキー」「オレゴン」のどちらかをBANするでしょう。
これまでのBAN傾向から、「カフェ・ドストエフスキー」を選ぶ可能性が高そうです。

GEARMIX esportsは予選で頻繁にBANをしている「領事館」を選ぶと思われます。

・PICK
FAV gamingとしては、GEARMIX esportsが2番目にBANすることが多い「ヴィラ」をPICKして有利に試合を進めたいところ。

GEAMIX esportsは、FAV gamingがよくBANをしており、反対に自分たちが得意とする「オレゴン」をPICKしてくるでしょう。

・2度目のBAN
残すは「海岸線」「テーマパーク」「クラブハウス」の3マップ。

FAV gamingはここで相手に合わせるよりも、自分たちがよくBANをしている「海岸線」をBANするでしょう。GEARMIX esportsは予選でCYCLOPS athlete gamingに撃ち合いで勝っていることを考えると、撃ち合いが発生しやすい「海岸線」は封じておきたいマップに違いありません

FAV gamingがどのマップもしっかりと対策を立てているであろうことから、GEARMIX esportsとしては普段BANしている「テーマパーク」を選ぶのが得策と言えそうです。

・Okayamaのマップ予想
「ヴィラ」「オレゴン」「クラブハウス」

第2試合 GUTS Gaming対NORTHEPTION

続いて、GUTS GamingとNORTHEPTIONの対戦です。

先程も述べたように、NORTHEPTIONのBAN情報が少なすぎるため、精度の高い分析はできません。ただチームの傾向を見るに、GUTS Gamingは相手に合わせたマップBAN、NORTHEPTIONは自分たちの戦い方を貫く、と予想しています。

・1度目のBAN
まずGUTS Gamingは自分たちの苦手マップであり、NORTHEPTIONが1度PICKをした「テーマパーク」をBANすると予想します。「海岸線」「オレゴン」もGUTS Gamingの苦手マップ。「海岸線」はNORTHEPTIONも予選でBANをしていますし、もう一方の「オレゴン」はNORTHEPTIONにとってエヴァ:eとの戦いに敗れたマップです。

よって、GUTS Gamingが「テーマパーク」をBAN。NORTHEPTIONは予選と同じく「海岸線」をBANしてくるでしょう。

・PICK
GUTS Gamingは自分たちの得意マップの中でも、NORTHEPTIONがBANをしていた「領事館」を。

NORTHEPTIONは相手チームに合わせず、得意な「クラブハウス」ををPICKしてくると予想します。

・2度目のBAN
残りは「オレゴン」「ヴィラ」「カフェ・ドストエフスキー」。

GUTS Gamingはこの中で最も多くBANをしている「オレゴン」を選ぶBANしてくるでしょう。

NORTHEPTIONは、GUTS GamingのBANが少なく勝率も高い「ヴィラ」を選ぶはずです。

・Okayamaのマップ予想
「領事館」「クラブハウス」「カフェ・ドストエフスキー」

第3試合 エヴァ:e対ELEMENT36.Japan

3試合目はエヴァ:e対ELEMENT.36 JAPAN。

相手チームの性格に合わせてマップのBANをしていくエヴァ:eと、自分たちのスタイルを貫くELEMENT.36 JAPANのマッチアップです。

・1度目のBAN
ELEMENT.36 JAPANが毎回最初にBANしている「テーマパーク」を選ぶことは、想像に難くありません。

エヴァ:eも苦手な「海岸線」をBANしたいところですが、ELEMENT.36 JAPANの得意マップを封じるためにも、「海岸線」に次いでBANが多い「ヴィラ」を選ぶと思われます。

・PICK
ELEMENT.36 JAPANはエヴァ:eのPICKが少ない「クラブハウス」を選択、エヴァ:eは得意な「領事館」をPICKすると予想します。

・2度目のBAN
残ったのは「海岸線」「オレゴン」「カフェ・ドストエフスキー」。

エヴァ:eはこの中で最もBANをしている「海岸線」を選ぶでしょう。ELEMENT.36 JAPANも、二つのうちより多くBANしている「カフェ・ドストエフスキー」を選ぶと思われます。

・Okayamaのマップ予想
「領事館」「クラブハウス」「オレゴン」

第4試合 CYCLOPS athlete gaming対Sengoku Gaming

次はCYCLOPS athlete gamingとSengoku Gamingの試合。

この2チームは戦い方や理想とするプレースタイルが似ているため、正直なところ予想がかなり難しいです。両チームとも相手の裏を突くマップBANをしてくるのでは……と考え出すと終わりがありません。

・1度目のBAN
「テーマパーク」は両チームともBANが多く、双方にとって苦手なマップだと考えられます。いずれBANされることを前提に最初は「テーマパーク」の次にBANしたいマップを選ぶ可能性が高いと思います。

今までのBANを見ると、CYCLOPS athlete gamingは「領事館」、Sengoku Gamingは「カフェ・ドストエフスキー」あたりでしょうか。

・PICK
CYCLOPS athlete gamingは苦手な「海岸線」を避け、Sengoku Gamingが1回BANしている「クラブハウス」をPICKするでしょう。

Sengoku Gamingの選択は難しいところですが、今までBANしていない「ヴィラ」のPICKが無難そうです。

・2度目のBAN
残すは「海岸線」「オレゴン」「テーマパーク」。

ようやくどちらかが「テーマパーク」をBANするでしょうが、両チームとも次に「海岸線」をBANする傾向にあります。結果としてこの2マップがBANされ、「オレゴン」が残ると予想されます。

・Okayamaのマップ予想
「クラブハウス」「ヴィラ」「オレゴン」

知れば知るほどマップ予想は楽しい

「R6S」は「タクティカルシューター」と呼ばれる、非常に戦略要素の強いFPSです。直近の「マップBAN/PICK」という限られたデータから予想してみましたが、これだけでも試合外で様々な駆け引きが行われていることが分かります。

今回は分かりやすさを重視してあえてシンプルに分析したため、正直なところこれだけの要素で精度の高い予想はできません。過去に似たような考察をしたときはマップのBAN/PICK傾向に加えて、プレーマップでの戦績、プレースタイル、相手との相性など他の様々な面まで分析して、ようやく80%ほどBAN/PICK予想が的中したくらいです。

さらに今回は、決勝ではAceとMerusiが使用可能になること、そして対戦相手が決まってから2週間近く準備期間があることを考えると、誰も予想しなかった展開も起こり得るでしょう。

ただ、不確定要素が多いからこそ、予想が楽しいという一面もあると思います。みなさんもマップのBAN/PICKを予想して、その先の勝敗予想まで楽しんでみてはいかがでしょうか。

ではまた、「レインボーシックス Japan Championship 2020」でお会いしましょう!