今年12月に5周年を迎えるユービーアイソフトのタクティカルFPS「レインボーシックス シージ」(R6S)。Aroer1na(アロエリーナ)選手(@possiblyaloe)は、R6Sサービス初期から名を馳せているプレーヤーの一人です。

かつて世界の舞台で戦ったこともあるAroer1na選手は、「eiNs」「Sengoku Gaming」「Unsold Stuff Gaming」といった国内プロリーグの強豪チームで活躍。2019年6月に「Apex Legends」(Apex)のプレーヤーに転向しましたが、19年10月に現在の所属チーム「Team Northeption」でR6Sプレーヤーとして復帰しました。

そこから数々の功績を残しています。そんなAroer1na選手に、復帰を決めた経緯やその間の葛藤、今後のビジョンについて、オンラインで聞きました。

サービス初期から自分の実力に自信を持っていた

――まずはAroer1na選手の「R6S」における活動歴を教えてください。

「R6S」は発売から三カ月後くらいに始めました。国内のアマチュア大会で優勝したこともあったのですが、当時はあまり「R6S」が流行しておらず、大会もあまり開催されないと聞いていたので……。それからは「オーバーウォッチ」をプレーしていましたね。

「オーバーウォッチ」を1年くらいプレーしたあと、また「R6S」に戻りました。ちょうどYEAR2の頃ですね。その時、実力に自信があったので「競技シーンで戦ってみたい」と思っていました。Twitterでメンバーを募集していたら、当時eiNsのリーダーだったShiN選手から声をかけて頂いてチームに加入し、世界大会の「Six Invitational」などに出場しました。

――1番印象に残っている大会を教えてください。

「Six Invitational」への出場が決定した2017年の「APAC Finals」ですね。優勝したことがきっかけで、世界大会が開催されたモントリオールとサンパウロへ行くことになったので、最も印象に残っています。

「Apex」への転向はすんなり受け入れられた

別ゲームへの転向はあっさり受け入れられたという

――Aroer1na選手は2019年6月に「R6S」部門から「Apex」部門へ移籍しました。それまでずっとプレーしていた「R6S」から別ゲームのプロへ転向すると決めたとき、どんな思いでしたか?

当時のSengoku Gaming(SG)の「R6S」部門はメンバーが他チームへ移籍することもあり、継続が難しいとの理由から解散になりました。僕にも他のチームで「R6S」を続ける道がありましたが、当時「Apex」を楽しんでプレーしていたので、「やってみるか」という気持ちでSGの「Apex」部門に転向しました。

「Apex」部門として香港の大規模な大会に招待されたのですが、デモの影響もあって大会が中止になってしまい、出場機会を失ってしまったのは残念です。

――勝手な想像ではありますが、「R6S」のプロシーンに心残りがあるのかと思っていました。

自分はやっぱりゲームが好きで、「R6S」の前は「バトルフィールド(BF)」シリーズをよくプレイしていたんですよ。「Apex」は「BF」と同様にマップが広いので、そこに共通点を感じて楽しいなと思っていました。だからか、割とあっさり転向を受け入れられましたね。

――「Apex」部門に転向したことで、「R6S」のプレーヤーとして完全に引退することを考えましたか?

「R6S」のプレーヤーとして「衰えたな」「新しいプレーヤーに譲ろうかな」と思ったことは何回もありますね。でも、頭でゲームを理解している点では、誰にも負ける気がしないんですよ。だから、自分はまだまだ現役でいけると思っています。最近ちょっとパフォーマンスが良くないですけど、努力次第で巻き返せるかなと。

ただ、僕が「R6S」を始めたころは痩せていたんですけど、当時と比較すると15kgくらい太っちゃって……。もしかすると、パフォーマンスに影響してるのかもしれません。ランニングや筋トレを心がけているんですけど、3日坊主なので……。いや、3日どころから2日くらいでやめちゃっていますね(笑)。

――SGの「R6S」部門が解散し、元チームメンバーのSuzuC選手gatorada選手は移籍先のCYCLOPS athlete gaming(CAG)ですぐに世界大会に出場しました。元チームメンバーとしては「悔しい」という気持ちが強かったのではないかと想像していますが、いかがでしたか?

元チームメイトで言うと、Papilia選手やReyCyil選手、YoshiNNGO選手も世界大会へ出場しているので……。最初は「メチャクチャ悔しい」「羨ましい」という思いもありましたが、最近ではそんな感情を通り越して「頑張れ!」と応援する気持ちが先に出てくるようになりましたね。

再びR6Sプロリーグを目指して

Northeptionのパーカーを羽織ってインタビューに応じるAroer1na選手

――2020年10月には現在のTeam Northeptionへ加入し、再び「R6S」の選手として活動を再開しました。「R6S」に対する思いはやっぱり強かったのでしょうか?

ゲームへの思い入れもありましたし、経済的な理由もありました。「Apex」の選手として活動していたものの、当時は配信などでの盛り上がりが中心で、競技シーンが成熟していたとは言えませんでした。選手として活動を続けるのは、ちょっと厳しいかなと。それに、「R6S」は今まで培ってきた経験と実績があるので、どのチームに入ってもやっていけるという自信もありました。

――Team Northeptionに加入した経緯を教えてください。

「R6S」の選手として活動したいとツイートしたところ、いろいろなチームから声をかけてもらったんです。その一つがTeam Northeptionで、最初は「このチーム聞いたことないけど、どうなんだろう?」と少し疑問に思っていました。

話を伺ってみるとチームのオーナーが企業の社長も務めていました。その会社のeスポーツ事業として今後活動していくと聞いて「チーム運営の地盤が固い!」と思いましたね(笑)。また、チームとしても一からのスタートということだったので、自分も改めて一から始めてみようと思い、加入を決めました。

――最近では父ノ背中、野良連合 JCG(現・REJECT)、YOSHIMOTO Gaming Lamyといった強豪チームにも勝利していおり、Team Northeptionは今もっとも勢いのあるチームだと思います。その強さの秘訣とはなんでしょうか?

マップやオペレーターといったゲームの基礎的な部分を理解したうえで、メンバーの個性が輝くような戦略が立てられる、といった点ですかね。

ゲームの理解度はチームごとに差が出やすく、中にはゲームの基礎的な部分を大事にせず、メンバーの個性を前面に押し出す戦略のチームもあります。Team Northeptionはゲーム理解という土台がしっかりしたうえで、みんな自由に動いています。そういった部分が強みですね。

――たしかに、SpeakEqsy選手(@speakeqsy)とかを見ていると、「こんな位置でピークするのか!」と思ような独特な動きをしているという印象がありますね。

SpeakEqsyは他に代わる選手がいませんね。あんな動きができるのは、アイツだけです(笑)。

――Aroer1na選手の遊撃(ローム)もいい感じでしたね。

僕はお散歩係なので、ひたすらお散歩しています。

Northeptionのパーカーでインタビューに応じてくれたAroer1na選手

――Team Northeption内の役割は決まっていますか?

サポートが僕で、Febar(@kamiFrag)がフレキシブル(何でも屋)、他3人はアタッカーですね。

――今、1番対戦したいチームはどこですか?

国内チームはどこでも、どんと来いですね。海外チームで言うと、eiNsに所属していた時はFaZe Clanにボコボコにされ、Sengoku GamingのときはFnaticに苦戦を強いられました。どちらのチームも、いつかTeam Northeptionでリベンジしたいと思っています。

――今の目標を教えてください。

僕たちはジャパン プロリーグ(PL)に出場する機会を失ってしまい、かなり悔しい思いをしました。ですから、当面の目標はPL出場ですね。「APAC」や「Six Invitational」出場を見据えて、まずはPL出場を目標に活動していきたいです。

配信などで色んな試合を見ていると「なんでこうしないんだろう?」と思えることが多くて、まだまだ自分の知見を生かせる場があると思っています。戦略が上手くハマるかどうかの予想は、大体当たるので。世界の試合を見ていてもそう思えるので、もっと自分の実力を試していきたいですね。

――最後に「これだけはどうしても言いたい」ことがあれば、どうぞ。

元チームメイトが今は各チームで結果を出しているので、やはり負けたくないという気持ちが強いですね。特にeiNsのチームメンバーだったShiN選手やSuzuC選手には負けたくないです!

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《取材を終えて》R6Sプロシーンから身を退いたことで葛藤があったのかと思いきや、意外にもすんなりと受け入れたとのAroer1na選手。インタビューを通してプレーヤーとしての前向きさや、FPSゲームを愛する気持ち、そして何より「R6S」の選手としての自信が強く伝ってきました。今後もR6Sシーンを牽引するベテラン選手の活躍から目が離せません。

Aroer1na

プロゲーミングチーム「Team Northeption」所属。「R6S」の競技シーンから一度は身を引き「Apex」に転向するも、「R6S」に戻り活躍中。

■経歴
2017年8月 eiNs加入
2018年2月 Sengoku Gaming加入
2018年12月 Unsold Stuff Gaming加入
2019年1月 Sengoku Gameing再加入
2019年6月 「Apex」に転向(所属はSengoku Gaming)
2019年10月 Team Northeption加入、「R6S」競技シーン復帰