Summer Splitのプレーオフは8月16日から9月6日まで行われました。5連覇をかけて今季に臨んだ絶対王者・DetonatioN FocusMe(DFM)はレギュラーシーズン4位。優勝予想が混迷を極める中で、栄冠を手にしたチームはV3となりました。

そのDFMも底力を見せつけ、決勝戦に進みます。対するのは、レギュラーシーズンを1位で駆け抜けたV3。Bo5形式(先に3勝すると勝利)での決勝戦は5試合目までもつれる激闘となりましたが、V3が初優勝を遂げました。長期戦を意識した多彩な戦術で挑戦者を退け、新王者に相応しい実力を示したと言えます。決勝戦の同時接続視聴者数は最大5万人以上となり、注目を集める戦いとなりました。

優勝を決めて歓喜の輪をつくるV3 Esports

プレーオフの熱戦を振り返る 実力チームひしめくRound1

それでは、順を追ってプレーオフを振り返りたいと思います。プレーオフに出場できるチームはレギュラーシーズン上位6チーム。試合形式はレギュラーシーズン中とは異なる「Bo5」形式です。長期戦ゆえ、集中力や修正力に加えて相手の作戦をかき乱せる「手札」をいかに多く用意できるかが重要となります。

CGA勝利シーン

8月16日に行われたRound1。第1試合は、レギュラーシーズン3位のCrest Gaming Act(CGA)対5位のFukuoka Softbank HAWKS gaming(SHG)でした。

SHGが序盤にキルとゴールド共に有利を築く展開が多かったですが、集団戦の上手さでは終始CGAが上回りました。集団戦ではSHGのキャリー・Dasher選手にフルフォーカスしてキル。オブジェクトファイト前では人数をかけて、浮いているSHGの選手をキャッチすることで人数差を付け続け2連勝を収めました。3戦目では、SHGのADC・Honey選手がエズリアルで15キルを見せる活躍もあり1勝を返しましたが、CGAの勢いを止めることはできず3-1でCGAの勝利となりました。

プレーオフ第2試合、DFM vs BC1戦目のバンピック

第2試合は、レギュラーシーズン4位のDFM対6位のBurning Core(BC)。BCは1戦目からDFMのMID・Ceros選手の得意チャンピオンであるジグスとハイマーディンガーをバン。ウェーブクリアとポークに長けるチャンピオンを封じることで、MIDで主導権を握らせない狙いです。結果、Ceros選手はGaeng選手のバードのRスキルとシナジーもあるニーコを選択。ターゲットバンは完全にDFMの想定通りでした。Ceros選手はニーコで高いパフォーマンスを見せ、全体で10,000ゴールド差を付ける圧勝を収めました。

2戦目、ニーコもバンされたDFMはMIDでツイステッド・フェイトをピック。TOPのカミール、JUNGLEのカーサスと合わせて徹底的にキャッチして倒しきる戦略に出ましたが、今度はBCのMID・Eugeo選手が魅せました。使用するカシオペアがまだ強くない序盤から積極的にテレポートで味方に寄ってキルを稼ぎます。育ったEugeo選手を止めようとしたDFMのキャッチにも、ストップウォッチ2つで味方が寄る時間を稼ぎ、勝利に繋げました。

3、4戦目は互いにオブジェクトで差をつけ2-2となり5戦目へ。34分までキル数、ゴールド、獲得オブジェクト数に差がつかない接戦となりましたが、DFMのSUPPORT・Gaeng選手によるレオナのエンゲージが決まり、集団戦に勝ち切って3-2でDFMの勝利となりました。

多彩な戦術を見せるV3、王者DFM復活の兆しが見えたRound2

第1試合1戦目でV3が見せた「スワップ」戦術。序盤からTOPへのタワーダイブを成功させた

Round2、8月22日に行われた第1試合はレギュラーシーズン1位のV3と、2位のSengoku Gaming(SG)が戦いました。勝者は優勝決定戦であるFINALに進むことができます。第1試合、いきなりV3の秘策がSGを襲います。V3のADC・Archer選手が使うアフェリオスは度重なる弱体化を受け、ADCの中でも序盤に弱いチャンピオンです。

アイテムが完成する後半に強いアフェリオスにゴールドを集めるために、V3は試合開始直後からTOPのPaz選手とスワップ。タワーダイブによるキルと、タワープレート獲得によって大量のゴールドを得ました。結果、SGはアフェリオスの成長を止められず1戦目はV3の勝利となりました。

2戦目、V3が序盤から主導権を握るも、30分のドラゴンファイトでSGが勝負に出ます。SGのJUNGLE・Blank選手のドラゴンスティールからのトリプルキル。流れを手繰り寄せたSGがそのまま勝利しました。3戦目はV3が圧倒し、V3有利の2-1で迎えた4戦目。55分にも及ぶ今夏最長の試合となりました。

V3のADC・Archer選手が使うセナは、パッシブスキルによって試合時間の経過とともに通常攻撃が強化されます。実況のeyes氏に「反則級」と言わしめるほど育ったセナが猛威を奮い勝利、3-1でFinalsへ進んだチームはV3となりました。

第2試合DFM vs CGA。サイドレーンで影響力を出すDFM・Evi選手のナー

翌日に行われた第2試合。Round1を勝ち上がったCGAとDFMの試合です。DFMのTOP・Evi選手が仕事人ぶりを見せてくれました。Evi選手がレーンの強いレネクトンやナーをピックすることで、JUNGLEのSteal選手が相手のジャングルに入りゴールド・経験値差を広げます。TOPレーンをプッシュした後は、Evi選手が先に他のレーンに寄ることでチーム全体の有利を徐々に築き、DFMが得意とする中盤以降の集団戦で確実に勝ち切る勝利パターンで試合を進めました。

CGAは高いパフォーマンスを見せるMIDのAria選手やADCのGango選手がダメージを出せる環境を整えたいですが、集団戦では育ったEvi選手のゾーニングやCeros選手のニーコによるRスキルで陣形を崩されます。結果、集団戦で勝ち続けたDFMが3-1でRound3に進みました。レギュラーシーズンでのインタビューで、DFMのSteal選手の「(Bo5形式の試合を)4回することはもっと良い成長につながる」との言葉通り、調子を上げてきたDFM。春王者としての力を見せつけました。

圧巻の勝利、春の決勝カード再現となったRound3

DFM・Evi選手が扱うシェンのRスキル「瞬身護法」。SGの強力なガンクからCeros選手を守った

いよいよ大会も大詰めです。9月5日に行われたRound3は、Spring Split決勝と同じ組み合わせとなりました。SGは世界大会優勝経験のあるJUNGLE・Blank選手と、ガンク合わせの強いアジールを得意とするMID・Pirean選手の高いパフォーマンスを起点に勝つチーム。対してDFMは、味方チャンピオンにシールドを付与しながら寄れるシェンをピックすることで、少数戦やガンクで不利を背負わない作戦を選びました。

シェンの影響力は絶大でした。防御力が低いCeros選手のハイマーディンガーの窮地を救うだけでなく、BOTレーンでの2対2にも駆けつけ、人数差を付けて有利を広げました。2戦目もシェンを起点にDFMの狙い通りに試合が進み、2勝を重ねました。

3戦目、SGにシェンをバンされるもDFMの勢いは止まりません。プレーオフを通して度々試合を決定付けてきたDFMのSUPPORT・Gaeng選手のレオナが猛威を奮います。SGのMID・Pirean選手をはじめとするキャリーを確実に止め、DFMが集団戦で圧倒。結果、3-0でFinals進出を決めました。

試合後のインタビューでは、DFMのADC・Yutapon選手が「(Gaeng選手について)完璧でした、震えるレベル」と試合後にコメント。レギュラーシーズンで一度も勝てなかったSGを完封する春王者としての力を見せつけました。

Finalsはこの夏一番アツい試合、勝敗を分けたのは「手札」の差

FINAL1戦目、集団戦で圧力を出したCeros選手が扱うニーコのRスキル「ポップブロッサム」

LJL Summer Split Finalsは、春の王者・DFMとレギュラーシーズン1位・V3の対決となりました。V3は個人技・集団戦ともに高い実力を持つチーム。序盤からSUPPORT・Raina選手やMID・Ace選手ががJUNGLEのBugi選手に寄ることで、相手JUNGLEの動きを制限します。DFMとしては、いかに中盤まで耐え抜いて、万全な状態で集団戦に臨めるかが重要です。

1戦目、DFMのMID・Ceros選手のニーコが魅せます。集団戦ではニーコのRスキルによってV3選手をゾーニング、フラッシュを切らせます。スキルによるスネアも的確に決め、集団戦を有利に運びました。

しかし、V3は豊富なエンゲージスキルを活かしてアッシュ、サイオン、リリアによって徹底的にエンゲージを狙います。Ceros選手のニーコに対しては、Bugi選手がスキルを誘って発動効果アイテム「ゾーニャの砂時計」で回避。DFMの狙いをずらし続けたV3が1勝を収めました。

2戦目、3戦目はCeros選手がニーコで度々集団戦の勝利を決定付けます。集団戦が始まってV3のスキルが落ちた後にRスキルを使うことで確実に当てました。有利を広げたDFMが勝ち、1-2で4戦目を迎えます。

5連覇とはならなかったDFM

4戦目、序盤からDFMが有利を築いたものの、V3が集団戦の上手さで上回ります。19分、4000ゴールドものビハインドで迎えたドラゴンファイト。V3のSUPPORT・Raina選手がDFMのダメージディーラー・Cerosをキャッチして落とし切ります。逃げるDFMをドラゴンピット裏からPaz選手が追撃。加えて、Ace選手のゾーイがスナイプしてキル数をひっくり返しました。そのまま勢いに乗ったV3が4戦目をとり、運命の5戦目へ。

5戦目、V3が土壇場でRound2で見せた「スワップ」戦略を選択しました。終盤に強いADC・アフェリオスにゴールドを集めるために、TOPとBOTでレーン交換を行うというものです。日本では見られなかった作戦のため、DFMは対応が遅れます。思惑通り、V3のダメージディーラー・Archer選手のアフェリオスが育ち、試合を優位に進めます。

レギュラーシーズンを1位で堂々通過したV3の実力は凄まじいものでした。Ace選手のゾーイによるポーク、Bugi選手のリリアのスキル精度と集団戦の立ち回り、Paz選手のサイオンとRaina選手によるエンゲージ。一切の隙も見せず、チームの連携が噛みあっていたV3が悲願の初優勝を成し遂げました。同時に、V3は世界大会「Worlds」への出場権を獲得しました。

世界大会は9月25日から上海で開幕

V3勝利シーン。悲願の初優勝を成し遂げた

ついに歴史が変わったLJL。4連覇を遂げてきたDFMが優勝できなかった事実は、リーグ全体の実力が上がっていることを意味するでしょう。

Paz選手の優勝インタビューによると、優勝の決め手となった「スワップ」は、Finalsを迎える前に練習試合をしたベトナムの2チームが教えてくれた戦略だそうです。日本の他チームに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響で世界大会「Worlds」に出場できなくなったベトナムの2チームの思いを背負ってV3 Esportsは世界へとはばたきます。

「Worlds」は上海で9月25日に開幕します。